終わりまでの旅路〈待機を終了します〉   作:ヒツジ(ラム肉

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第五話 最後

風が吹いていた。

 

高い建物の屋上。

 

街は広がっている。

 

しかし灯りは少なかった。

 

夜なのに、街は暗い。

 

少女は屋上の縁に座っていた。

 

足をぶらぶらさせている。

 

隣にはりすくまる。

 

少女は言う。

 

「少ないですね」

 

りすくまるは答える。

 

「はい」

 

少女は街を見渡す。

 

遠くの道路は静かだ。

 

人の姿もほとんどない。

 

「魔物」

 

少女は聞く。

 

「最近どうですか」

 

りすくまるは答える。

 

「発生頻度」

 

「減少」

 

少女は頷く。

 

「そうですよね」

 

少し間が空く。

 

「最近あまり戦ってない」

 

りすくまるは言う。

 

「はい」

 

少女は言う。

 

「良いことです」

 

りすくまるは答える。

 

「はい」

 

風が強くなる。

 

屋上の看板が揺れる。

 

少女は空を見る。

 

星が見えていた。

 

「りすくまる」

 

「はい」

 

「魔法少女」

 

少女は少し間を置く。

 

「今何人ですか」

 

りすくまるは答える。

 

「現在活動個体」

 

「三」

 

少女は静かになる。

 

「……三人」

 

「はい」

 

少女は言う。

 

「この前まで十人くらいいましたよね」

 

りすくまるは答える。

 

「はい」

 

少女は聞く。

 

「戦闘ですか」

 

りすくまるは答える。

 

「否」

 

少女は言う。

 

「消去」

 

「はい」

 

少女は少し笑う。

 

「やっぱり」

 

沈黙が落ちる。

 

風だけが吹いている。

 

少女は言う。

 

「残り三人」

 

「はい」

 

少女は聞く。

 

「誰ですか」

 

りすくまるは答える。

 

「個体番号」

 

「一二四」

 

「三〇一」

 

そして。

 

少し間を置く。

 

「個体番号」

 

「〇〇一」

 

少女は笑う。

 

「私ですね」

 

「はい」

 

少女は空を見る。

 

星が多い。

 

「三人か」

 

りすくまるは言う。

 

「はい」

 

少女は聞く。

 

「もうすぐ終わりますか」

 

りすくまるは答える。

 

「可能性」

 

「高い」

 

少女は頷く。

 

「そうですね」

 

しばらく沈黙。

 

少女は言う。

 

「りすくまる」

 

「はい」

 

「世界機構」

 

「はい」

 

少女は聞く。

 

「最近変じゃないですか」

 

りすくまるは少し黙る。

 

そして答える。

 

「確認」

 

少女は振り向く。

 

「やっぱり」

 

りすくまるは言う。

 

「世界機構」

 

「機能低下」

 

少女は聞く。

 

「理由は?」

 

りすくまるは答える。

 

「不明」

 

少女は小さく笑う。

 

「それは珍しい」

 

りすくまるは言う。

 

「はい」

 

少女は聞く。

 

「壊れるんですか」

 

りすくまるは答える。

 

「可能性」

 

「存在」

 

少女は空を見る。

 

長い時間が流れている。

 

「壊れたら」

 

少女は言う。

 

「どうなります?」

 

りすくまるは答える。

 

「魔法少女制度」

 

「終了」

 

少女は頷く。

 

「そうですよね」

 

少し間が空く。

 

少女は言う。

 

「魔物は?」

 

りすくまるは答える。

 

「不明」

 

少女は笑う。

 

「またそれ」

 

りすくまるは言う。

 

「はい」

 

そのとき。

 

りすくまるの目が光る。

 

少女は聞く。

 

「魔物?」

 

りすくまるは答える。

 

「否」

 

少女は言う。

 

「じゃあ?」

 

りすくまるは言う。

 

「通信」

 

少女は静かになる。

 

「誰から」

 

りすくまるは答える。

 

「魔法少女個体」

 

少女は聞く。

 

「どっち」

 

りすくまるは答える。

 

「個体番号三〇一」

 

少女は立ち上がる。

 

「行きます」

 

りすくまるは言う。

 

「了解」

 

二人は移動する。

 

街を越え。

 

建物を越え。

 

夜の中を進む。

 

そして。

 

屋上に降りる。

 

そこに一人の魔法少女がいた。

 

立っている。

 

空を見ている。

 

少女は近づく。

 

「こんばんは」

 

魔法少女は振り向く。

 

少し笑う。

 

「こんばんは」

 

少女は聞く。

 

「消去ですか」

 

魔法少女は頷く。

 

「うん」

 

少女は言う。

 

「もう一人いましたよね」

 

魔法少女は言う。

 

「さっき」

 

「終わった」

 

少女は黙る。

 

魔法少女は笑う。

 

「これで」

 

「最後かな」

 

少女は言う。

 

「まだ私がいます」

 

魔法少女は言う。

 

「そうだね」

 

少し間が空く。

 

魔法少女は空を見る。

 

「長かった」

 

少女は言う。

 

「お疲れ様です」

 

魔法少女は笑う。

 

「ありがとう」

 

そして。

 

りすくまるを見る。

 

「お願いします」

 

りすくまるは答える。

 

「了解」

 

光が生まれる。

 

静かな光。

 

少女はそれを見ていた。

 

粒子が風に溶ける。

 

光が消える。

 

屋上には三人いた。

 

今は。

 

二人になった。

 

少女は空を見上げる。

 

星が多い。

 

「りすくまる」

 

「はい」

 

少女は言う。

 

「これで」

 

少し間を置く。

 

「最後ですね」

 

りすくまるは答える。

 

「はい」

 

風が吹く。

 

世界は静かだった。

 

そして。

 

長い時間が。

 

ここから始まろうとしていた。

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