終わりまでの旅路〈待機を終了します〉   作:ヒツジ(ラム肉

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第八話 終了

 

空は静かだった。

 

星がゆっくり巡っている。

 

海は遠くで揺れていた。

 

岩場に二つの影がある。

 

少女と、りすくまる。

 

少女は空を見上げていた。

 

長い沈黙が続いている。

 

風が草を揺らした。

 

少女が言う。

 

「りすくまる」

 

「はい」

 

少女は聞く。

 

「納得しましたか」

 

少しだけ間が空く。

 

そして。

 

「……はい」

 

少女は微笑む。

 

「そうですか」

 

また沈黙が落ちる。

 

海が揺れる音だけが聞こえる。

 

少女は遠くを見る。

 

地平の向こう。

 

小さな光があった。

 

文明だった。

 

また新しい文明。

 

少女は言う。

 

「また生まれましたね」

 

りすくまるは答える。

 

「確認」

 

少女は言う。

 

「頑張ってます」

 

「はい」

 

少女は空を見る。

 

星は変わらない。

 

少女は言う。

 

「世界」

 

少し間を置く。

 

「不思議ですね」

 

りすくまるは答える。

 

「はい」

 

少女は続ける。

 

「意味があるのか」

 

「分からない」

 

「でも」

 

少し笑う。

 

「続いていく」

 

りすくまるは言う。

 

「はい」

 

沈黙。

 

長い時間の沈黙だった。

 

少女は言う。

 

「りすくまる」

 

「はい」

 

少女は少し考える。

 

そして言う。

 

「長かったですね」

 

りすくまるは答える。

 

「はい」

 

少女は言う。

 

「数千万年」

 

「はい」

 

少女は笑う。

 

「よく付き合ってくれました」

 

りすくまるは答える。

 

「任務」

 

少女は言う。

 

「それでも」

 

少し間を置く。

 

「ありがとう」

 

りすくまるは黙る。

 

風が吹く。

 

海が揺れる。

 

そして。

 

りすくまるは言う。

 

「……ありがとうございました」

 

少女は少し驚く。

 

それから笑う。

 

「今の」

 

「人っぽい」

 

りすくまるは答える。

 

「確認不能」

 

少女は笑う。

 

「そうですか」

 

また沈黙。

 

少女は立ち上がる。

 

空を見上げる。

 

星が多い。

 

そして。

 

りすくまるを見る。

 

穏やかな笑顔だった。

 

十四歳の姿。

 

契約した日のままの姿。

 

少女は言う。

 

「では」

 

りすくまるは答える。

 

「はい」

 

少女は静かに言う。

 

「終わりにしましょう」

 

りすくまるは頷く。

 

「了解」

 

少し間が空く。

 

少女は空を見る。

 

そして。

 

もう一度笑う。

 

何も言わない。

 

りすくまるは言う。

 

「待機を終了します」

 

光が生まれる。

 

静かな光だった。

 

少女の体がゆっくり粒子になっていく。

 

りすくまるの体も同じように崩れていく。

 

苦しみはない。

 

ただ形がほどけていく。

 

粒子が風に流れる。

 

光が揺れる。

 

そして。

 

消える。

 

岩場には誰もいない。

 

風だけが吹いている。

 

海が揺れている。

 

遠くでは文明の灯りが増えていた。

 

岩場の上には、もう誰もいない。

 

ただ風だけが通り過ぎていく。

 

海は変わらず揺れていた。

 

星はゆっくり巡り続けている。

 

二人が見続けていた世界は、そこにある。

 

遠い地平の向こうでは、文明の灯りが少しずつ増えていく。

 

人々は生まれ、歩き、語り、何かを作り、そして消えていく。

 

それでもまた、新しい誰かが生まれる。

 

誰も知らないまま、世界は続いていく。

 

空は変わらず静かであった。

 

それでも世界は続いていく。

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