少女、アイズ・ヴァレンシュタインは微睡む意識の中で気が付いた。
(ああ、これは夢だ)
一面に広がるのは血と敗残物の地平、その地平に立つのは兎の様に白い髪のマントをはためかせる戦士、その手には使い古された長剣と漆黒の短剣が握られ彼の後ろには無数の臓物と死体が撒き散らされている。
戦士はそんな彼らに目もくれず地平を歩き続ける。地平の向こうからやってくるのはゴブリン・コボルト等のダンジョン上層種からドラゴン等の深層種に至るまで様々、そしてそんな怪物の波の一番奥には漆黒の体躯を持つ片目の怪物が鎮座していた。
戦士は迫り来るモンスター達を一掃する。剣で、魔法で、その拳で。
(貴方は誰?どうしてそんなに強いの?)
アイズの呟きは泡と消え戦士はアイズの方をゆっくりと向く、その素顔が露わになるかと言う所でアイズは目を覚ました。
「………………………………」
目を覚ましたアイズは起き上がり着替えを済ませ朝食を取り外へ出る。
特に用事も無くただぶらぶらと歩くが直ぐに飽き帰ろうとした時
「これはこれは、かの名高い【剣姫】がお散歩かな?」
そこに立っていたのは明らかに胡散臭い神父、しかしアイズはそんなものを察知する能力が乏しい為普通の神父に見えた。
「君に良い話を持って来た」
「???」
神父はアイズに近付くと1冊の本を差し出してきた。
「ここには君の願いを叶える方法が書かれている」
そう言われアイズはその本を受け取ると本拠に戻り中を読む。
「願いを叶える…………英雄」
アイズはその文言に強く惹かれ深夜、皆が寝静まった後1人で本に書かれた指定の場所に向かう。
「良く来たね【剣姫】さぁ、此方へ」
本を渡して来た神父が魔法陣の前で待っておりアイズに魔法陣の前に立つ様に促す。
アイズは魔法陣の前に立つと本を見ながら詠唱を唱える。
魔法陣が光り輝きアイズは眩しさに目を閉じる。光が弱まり目を開けるとそこには1人の青年が立っていた。
「………………アンタがマスターか、サーヴァント セイバー、召喚に応じ参上した、期待はしないでくれ」
現れたのは白い髪を腰辺りまで無造作に伸ばした青年、その瞳は血の様に濁り赤黒い、その目に光は無く装備は一級品に見える。
「おめでとう、君が召喚したのはセイバー、サーヴァント内で【最優】の存在だ」
「最優…………」
「俺はそんな大層なものじゃない」
「さて、ここに7人のサーヴァントとマスターが揃った、諸君、ここに【第三次聖杯戦争】の開戦を宣言する」
アイズが振り向くとそこには影で顔が見えないが人影が6人いるのが見えた。こうして第三次聖杯戦争が開戦した。