ユウキを救いたい天使の話   作:もく 

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プロローグ

SAO事件記録全集より内容の一部を引用

 

 

天使

 

「誰も死なせない」

 

 

第1層のフロアボス攻略戦を皮切りに、ほぼ全ての最前線に立ち続けた稀有なプレイヤーである。

特筆すべきは第60層攻略時、全プレイヤー中で最速の条件達成によりエクストラスキル『ヒーラー』を習得した点にある。この実績がシステムに「献身の極致」と判断されたのか、直後に唯一無二のユニークスキル『天使』を発現。

以降、攻略組における最高峰のダメージディーラーでありながら、同時に戦線を支える絶対的な守護者として君臨することとなる。

 

彼のビルドは、本人曰くステータスの9割をAGI(敏捷)に、残る1割をSTR(筋力)に振るという、防御を一切捨てた極端な速度特化型であった。

 

本来、『ヒーラー』による支援には有効射程が存在し、前線の乱戦状態ではカバーが遅れることも少なくない。しかし、彼はその圧倒的なスピードによって「射程外」という概念を消失させた。

傷ついた仲間の元へ誰よりも速く駆けつけ、死の淵から引き戻すその姿は、まさに攻略組にとっての福音であったという。

 

『絶剣』との連携は当時の攻略組の間で「不可侵の領域」と称され、彼らを中心に結成された少数精鋭のギルドは、この残酷なゲームが終焉を迎えるその瞬間まで、最前線の希望として剣を振り続けることになった。

 

 

 

 

悪魔

 

「SAOの全てを壊すために俺はここにいる」

 

 

 

攻略組の間で、前述の『天使』と対をなす存在として恐れられ、同時に最も頼りにされたプレイヤー。両名は現実世界においても双子であり、アインクラッドという仮想世界においてもその絆は特異な形で発現した。

 

偶然か、あるいはシステムによる「対比」の調整か、彼は『天使』がユニークスキルを獲得したのと同時刻、対極に位置するユニークスキル『悪魔』を付与された。

 

特筆すべきはその極端なステータス構成である。

相棒である『天使』が速度に全てを捧げたのに対し、彼は全ステータスの9割をSTR(筋力)に、残り1割を最低限のAGI(敏捷)に割り振った、純粋な破壊の体現者であった。

本来、鈍重なパワー型ビルドはボスの広範囲攻撃を回避できず、タンクによる護衛がなければデスゲームにおいては生存率が下がる。しかし、彼はその弱点を「避ける必要がない」という傲岸な戦術で塗り替えた。迫りくる衝撃を正面から叩き伏せ、敵の防御ごと粉砕する一撃は、まさに悪魔的な威圧感を放っていた。

 

背後を『天使』の超速支援に預け、自身は眼前の敵を蹂躙することだけに専念する。その背中を預け合った無敵のコンビネーションは、絶剣率いる少数精鋭ギルドの「矛」として、アインクラッドの75層に至る道全てを打ち破っていったのである。

 

 

 

 


 

 

 

しかし、この二人には誰にも言えない秘密があった

彼らは比喩ではなく、正真正銘の本物の天使と悪魔だったのである

この世界が『ソードアート・オンライン』という物語であることを知り、一人の少女を救うという明確な目的を持って、彼らはこの仮想世界へと降臨した

 

2026年3月29日

紺野木綿季が死亡する

 

定められた死の運命をねじ曲げ、残酷な結末を拒絶するために

これは、ただ一人の少女――ユウキを救うために奔走する、天使の物語である

 

 

 




一旦1話だけ書かせていただきました
反応次第で続けていこうと思いますので、お気に入り登録感想の方よろしくお願いします
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