目が覚めたらドチャクソ顔の良い兄ちゃんと姉ちゃんに囲まれてた件について。
なに……? じゅうろくごう……? 16号……??
私が……??
「どうした、16号?」
「頭でも打った? なんて、私達人造人間がこの程度でどうにかなるとは思えないけど……」
人造人間……? ヤバいヤバい、話についていけん。
何だかよく分からない、何だかよく分からんが……。
「あの……お、お二人はどちら様でしょうか……?」
私がそう言うと同時に、二人は「はあ?」と声を上げ、ほんの一瞬、怪訝そうな顔を見せた後……同時に、「あ〜」と、勝手に何かに納得したように、呆れ混じりに首を振った。なんだコイツら、兄妹かよ。
「こりゃアレだ……マインドコントロールするにあたって、不必要なデータを一旦全部消去したって感じだな」
「後で作り直すつもり、とか何とか言ってたもんね」
……んっ? 何の話?
「あの……?」
「でもまあ、それならかえって都合が良い……またドクターゲロみたいな奴が出てもギャーギャー喧しいだけだしな」
「そうね……それで? 私達の事も分からないってワケ?」
「いえ、あの……ハイ」
言われて、よ〜く見ればどっかで見たことがあるような……無いような……気がしないでもない……ような……う〜ん……。
てか、さっきからなんなんだこの状況??
何なんだこの美男美女? 何なんだ私のこの可愛らしい女の子みてえなソプラノボイス?? 何なんだこのバトル漫画に出てきそうなポットと、それに見合わない荒野??
「俺達はドクター・ゲロという科学者が生み出した人造人間。俺が17号で……」
「私が18号。よろしくね」
「そしてお前は俺達と同じく16号……ただ、ゲロ本人はお前を起動する事を嫌がっていた……世界が滅ぶとかなんとか」
はあ……?? 人造人間?? 世界が滅ぶ??
何言ってんのこの人達……??
……ってアレ、そういう設定の漫画……どっかで読んだ事あるような……。
「しかし、その様子じゃ俺達が造られた目的の事も忘れてしまっているんじゃないか?」
「造られた……? 目的……?」
「孫悟空だよ。俺達はソイツを抹殺する為に生み出された」
「そん、ごくう」
私はその名を聞いた瞬間……人造人間がどうとか、ゲロたのなんだの、全て吹き飛んで……凄まじい違和感を覚えた。
私は、その名を知っている。知っていて当然だと思う。
知っていて当然ってくらいに覚えている、なのに……。
何故、何処で、どうやってその名を知ったのか。
あれは……そう、確か……漫画……?
漫画、だったような気がする。
「それじゃ行くか」
「行くって?」
「決まってるだろ? 孫悟空の所だよ。ゲロなんかの言いなりになるのは癪だが……俺達にも目的が欲しいからな」
「……だってさ、アンタは?」
……はっ? 何の話だっけ、えーと、そうだ……孫悟空に会いに行くって話だよね?
「い、行きます」
「それじゃ出発だ」
そうして、さも当然であると言わんばかりに二人はフワッと宙に浮いた。 は!? と声が出るより先に、置いていかれまいと、ただその一心で2人の後を追いかけようと駆け、飛び上がる。
すると、なんてことは無い。まるで夢の中で空を飛ぶかのように簡単に、手足を動かし、地を蹴って、前へ進むその延長のように、私の身体は宙に浮かんでいた。
「……!!」
声に出ない、感動だった。
いつか空を自由に飛べたら、なんて夢は……捨ててしまって久しいが……いざこうして叶うと、なんて爽快で清々しい。
「綺麗……」
思わずそう溢した私の目の前には、まるで鳥になったかのような……見上げるしかなかった青空が、今やこんなにも、手に届きそうな程に近い。
「……16号は随分外の景色が気に入ったみたいだな」
「こうしてるとホントにただの女の子みたいだねぇ」
「フッ、ただの女の子が空なんか飛ぶもんか」
そう言って笑う二人の目線に気付くまで、私の顔はウットリとして緩みきっただらしない物であった。