エロ同人RPG系勇者ちゃんVSヒロピン好きの俺VSダークライ 作:らっきー(16代目)
「それでシルヴィア……最近どうなんだ? その、冒険の方は」
「えっと……順調、ですかね……? まあまあ上手くやってます」
仰々しい謁見の場とかじゃなく小さな(城の規模と比較しての話。高そうな調度品とか置いてある応接室みたいなところ)部屋に通された理由が分かった。なんやねんお前ら2人。離婚後に会う父親と娘か? 離婚後に会う父親と娘だったわ。こんなとこ見られたら王様の威厳もおしまいだよ。
「……その、国王様は、近頃は?」
「……最近山向こうが少し騒がしいが、そのくらいだ。強いて言うなら魔物の被害報告が増えているせいで後処理に忙しいくらいか」
勇者ちゃんが聞いてるの多分仕事のことじゃないよ。お父さんが元気でやってるのか聞きたいんだよ。体調とか心配してるんだよ。
「……」
「……」
そんで2人して黙り込むんじゃないよ。会話初心者か? あと勇者ちゃんがチラチラ助けを求めるようにこっちを見てくるのはいいとして、王様はなんやねん。初対面……ではないが、こういう時に助けを求める相手としては大間違いだろ。
「……国王陛下、勇者シルヴィアの任務について、1つ御相談が」
任務でいいのか? 勇者としての冒険は。ともかくこのままだとずっと沈黙が続きそうだから切り出させてもらう。
「話してみろ」
「カノープスの騒動は? ……ご存知でしたら話が早い。あそこの領主が魔石に乗っ取られて襲いかかってきましてね。やむを得ず正当防衛として処理させて貰ったのですが、如何せん領主を殺したというのは外聞が悪い。そこで──」
「よい。適当な証拠で処刑したと……いや、今後も同じような事例が起きる可能性があるか。ならば気付かれぬうちに領主に魔物が成り代わっていたということにしておこうか。そして卿とシルヴィアは余の密命を受け偽物の領主を討伐したと触れておこう」
「流石話が早い」
え! 甘やかしてる! ダダ甘ですよ! 早く気づいて!
隠蔽どころかわざわざ勇者の功績にまでしてくれている。領主殺しの噂もすぐに収まるだろう。なんならカノープスを救ったという名声も得られそう。勇者ちゃん、これまでは勇者って名乗ってるだけの一般冒険者みたいなもんだったし。魔物討伐の名声と大衆ウケしやすい名声は違うのである。強い冒険者も重宝はされるが。
「他に問題は?」
「え? えーと……」
考え込む勇者ちゃん。俺としてはとりあえず領主殺しを赦してもらうという目標を達成出来てヨシ! なのだが。他になんかあったっけ? 路銀が欲しいぐらいかな。必要に迫られれば俺個人の資産を持ち出せば良いだけではあるが、あって困るものでもないだろう。
「……冒険者は過酷だろう。しっかり食べているか? 夜眠れているか? 路銀や装備に苦労はしていないか?」
初めての娘の一人暮らしを心配するお父さんか? しっかり食べてなくてこんな胸が育つ訳ないだろ。装備はよく破かれて苦労してるけど。
「ええと、大丈夫で……あ、お金はちょっと使い過ぎたかも……」
「……酒や男はまだ早いのではないか?」
「え、そういうので身を崩すと思われてます?」
「冗談だ。どうせカノープスで絞られたのだろう? ……卿がしかと教えてやればよかったものを」
「うわ飛び火」
まああの街物価が高いのもそうだけど、大半の使い道は酒と性だから王様の心配通りになってもおかしくない。前世的に例えると歌舞伎町みたいなものか? あそこはむしろ駅の方がダンジョンだけど。……歌舞伎町のボスとかあの領主は龍〇如くの住人だったのか。
「女神がちゃんと神託下さないのが悪いんですよ。金を用意してから行けって言えば勇者ちゃ……シルヴィアさんもしっかり用意したでしょうに」
「女神の気紛れは余にもどうしようもない。幾つかの情報を伝えてくれているだけ神の慈悲なのだろう」
そういえば王様にも神託来るんだっけ? その神託に従った結果捨てた娘を勇者に祭り上げたわけだし。これがなかったら一生関わらない気だったのかね。
「まあよい。カノープスを救った功績として幾らか用立てよう。……それでシルヴィア。代わりに聞く、というわけではないのだが……」
「なんです?」
「……お前の母は。ルシエラはどうしている?」
瞬間、空気が凍った。
「……捨てといて今更気にするんですか? 自分で会いに行けばいいでしょうに」
「王がそのように気楽に外に出れる訳が無いだろう」
「そうですよね。私にも一度も会いに来ませんでしたし」
親バカLv100なことしといてなんで会いに行かないんだよ。視察とかかこつけて様子見に行けよ。不器用か? 碇ゲ〇ドウなのか? 勇者ちゃんも拗ねてるよこれ。どうやって接したらいいか分からないならちゃんとそれを伝えなさいよ。ゲン〇ウもジェ〇トもそれで失敗してんだぞ。会う資格が無いとか苦悩してても子供からしたら関係無いんだよ。養育費を振り込むだけじゃ育児にはならないんだぞ。
「……あのお手伝いさんに聞いた方が早いんじゃないですか? 私よりお母さんと一緒に居る時間長いですし」
「そう……だな」
俺はどんな感情でこれを見守ってたらいいの? 勇者ちゃんは『言いすぎちゃったな……』って暗い顔になってるし、王様は『娘を怒らせ……娘と呼ぶ資格など、余には無いな……』って顔してる。地獄か? 一回腹割って話し合えお前ら。それが出来たらこんなことになってないんだろうけど。
結局そこから会話が膨らむことも無く、親子の時間は終わりになった。路銀の話とか言い出せる雰囲気じゃなかったけどどうなったんだろう。流石に無報酬は……キツくもないな。元々領主殺しの罪さえどうにかなればよかったんだし。
なんて考えていたけど式典とかは無しで明日お金だけくれるらしい。堅苦しい礼儀作法なんて身についていないからその方が助かる。勇者ちゃんもこのテンションで明日また父親と謁見とか嫌だろうし。
指定された宿は残念ながらきちんと二部屋用意されていた。一部屋ならベッドが二つあろうと潜り込むつもりだったのだが。まあ流石に宿の人に文句を言うわけにもいかない。諦めて寝るしかないだろう……なんて考えていたところで控えめなノックの音が聞こえた。扉を開けてみれば──
「ウーティスさん、もう寝るとこでした?」
「いや、暇を持て余してたところだ」
やはりというか勇者ちゃん。他に尋ねてくるような相手が居ないだけとも言う。
「昼間はすいませんでした。変な空気に巻き込んじゃって」
「いや、ほんとに。どんな顔してたらいいのかわからんかったぞ」
「ですよね~……」
たはは……と笑う勇者ちゃん。まあ距離感をどうしたらいいかも分からない相手だしあの空気も仕方ないだろう。
「父親……王様のことは嫌いか?」
「……わかんないんです。捨てられたって言っても私は覚えてない頃の話ですし、むしろ間接的な教育とか恩があるくらいなんですけど」
「けど?」
「お母さんのことを見てると、どうしても……」
「あー……」
一緒に暮らしてた時期もあったのだろうか。壊れた身内の姿を見続けるのは辛かっただろう。それだけでも父親を恨む理由になりそうだ。
「まあ、お父さんが王様だって知ったのは最近なんですけどね。アーサーとだけ聞いてもピンとこなかったですし。勇者が血筋で決まるって聞かされてようやくって感じです」
「知ってどう思った?」
「特に何も。ふーんってぐらい……だったんですけどねぇ……今日で変わっちゃいました」
「ほう。どうして?」
「なんか、もっと冷酷な人だと思ってて。王族のしきたりとか分かんないし、追い出されたのもしょうがないんだろうなぁって諦めてたんですけど。あんな普通の人みたいに接されると……こう……」
「……無理にまとめなくていい。思ったことをそのまま口に出してみろ」
「なんて言ったらいいんでしょうね。気まぐれとか義理だとか思ってたのが、精一杯の善意だったんだって分かっちゃって。気が抜けちゃったって言うか……半端に……父親なんだって、実感しちゃったって、言うか……」
話しながら涙を流している。王様への恨みと恩義と家族愛の板挟みってところか?
「……いっそ冷たくしてくれれば恨めたのに。もっと優しくしてくれれば甘えられたのに。お母さんのこと気にかけてくれてるなら……会いに来てくれれば良かったのに。そんなことを考えちゃって」
その結果出力されるのがあの態度なのはお人好し過ぎない? 一発ぐらい殴ってもいいと思う。というかこれ権力闘争で勇者ちゃんとお母さんを追い出した王妃が全部悪いんじゃないか? 知らん人だけどもう嫌いだな王妃のこと。
「すいません。こんな話聞かされても困りますよね」
「いや? 吐き出したいことがあるなら聞き手は居た方が良いだろう。まあ俺には聞くだけしか出来んが」
解決方法を求められたとしたら困る。王様を誘拐して母親のところに引きずるぐらいしか思いつかないよ。神様のチートって役に立たねぇな。
「……十分です。ありがとう、ウーティスさん」
「礼は要らん、何もしてないしな」
「それが嬉しかったんですよ」
どういうことだろう。まあ勇者ちゃんがいいならいいか。難しいこと考えても疲れるだけだし。
「あ、そういえばなんですけど」
勇者ちゃんが落ち着くまでしばし間があって。
「ん?」
「ウーティスさんの親ってどんな人なんです? 聞いたこと無いな~って」
そんなことを聞かれた。
「まあ話したこと無いな。面白い話もできないし」
「というかウーティスさん、自分の事話してくれないですよね。私が聞かないから?」
「というより、面白くないからだな。両親の事もあんまり覚えてないし」
ちなみにここで言う両親は今生の方。前世の記憶なんてもう自分の名前も覚えてないよ。オタク知識は魂にこびり付いてるけど。
「そんなことあり……もしかして私みたいなパターンです?」
「王族の隠し子がそんなポンポンいるか。単純にガキの頃に死んだだけだよ」
「……ごめんなさい。迂闊なこと聞いて」
「何が? ……ああ、気にすんな。とっくに吹っ切ってる」
というかこの世界だとそんな珍しい話でも無いしな。魔物がうろついてて、呪いとかもあって、賊が出るぐらいには治安が悪い世界。モブにまで視点を当てればそりゃ死人は多いだろうというだけ。
更にちなみに、俺の故郷もとっくに滅んでる。そりゃ悲しくはあったが、いつまでも引きずっても仕方ないしな。泣いて故郷が復活するなら泣き続けていてもいいだろうが、生憎そんなチートは持ってない。
……なんて話勇者ちゃんにしたら余計凹ますよな。俺の話題デッキが貧弱すぎるばかりに……かといって猥談ビートダウンする雰囲気でも無いし、アグロ天気は今じゃないしな。やはりコントロール今後の予定か? そろそろ女神のお告げが来るだろうし。
「あの、色々聞いてもらったついで……って言ったらあれなんですけど、もう一つお願いしてもいいです?」
「叶えられる範囲でなら」
流石に湖に浮かぶ月を取ってくれとか言われたら困る。空の月なら全力で魔法を撃てば欠片ぐらいは手に入るかも。……この世界でのアレの正式名称は月でいいのだろうか?
「えっと……その……一緒のベッドで寝ても……いい、ですか?」
「珍しいな。いや、一緒に寝るのは珍しくないが、そっちから言ってくるのは」
より正確に言うと俺が勝手に潜り込んだり、起こしに来た勇者ちゃんをベッドに引きずり込んで抱き枕にしたり。
「……私だって、人肌恋しいときはあるんですよ?」
「うーん危機感の欠如」
異性にそんなこと言っちゃ駄目だよ。襲われたらどうする気なのだろう。俺は自制心が発泡スチロールにギリギリで負けるぐらい強固だからいいが。
「ダメなら諦めますけど……」
「ほらさっさとこっち来なって」
「え、早……」
元々寝巻き……なんて言うほど上等なものでも無いが、着替えも必要なかったし。ベッドに入るだけならそりゃ早いというもの。
そこからやや時間があって、もぞもぞと勇者ちゃんもベッドに潜り込んできて、俺の腕の中にすっぽりと収まってきた。
うん、まあ甘えたい気分の時もあるよな。人肌恋しいって自分でも言ってたし。でもそれはそれとしてドキドキします。触ると逃げるタイプの猫ちゃんが向こうから甘えに来てくれた時の気分……に、下心を追加した気分。
「おやすみなさい、ウーティスさん」
「ん、おやすみ」
俺の意思がスポンジにギリギリ勝てるぐらいに固くて良かったな。そうじゃなかったら勇者ちゃん襲われても文句言えないよこんなの。
呑気に寝息をたてている勇者ちゃんに、そんな事を考えていた。
総評5000いけそう…!
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