エロ同人RPG系勇者ちゃんVSヒロピン好きの俺VSダークライ   作:らっきー(16代目)

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同人ゲーでシーンの無いボス、みんなから嫌われすぎてて可哀想。でも残念ながら当然


教会が黒幕は流石にもう意外性が無い

 教導都市スティグマ。女神様を崇める一神教なこの世界における聖地である。なんでも初代勇者に女神様が初めて神託を授けたのがこの場所なのだとか。勇者ちゃんに会うまでは眉唾な話だなぁ……って思ってたけど、案外本当にあった出来事なのかもしれんね。

 

 幸い一度行ったことがあったから今回は転移魔法で楽が出来る。まあ通過しただけでどんな街なのかは知らないんだけど。大きい聖堂が観光名所になってることだけは知ってる。前世的に言うと名古屋ぐらいには詳しいぞ。新幹線乗っても降りないんだよね、名古屋駅。

 

 観光名所なのに何故行ったことがないのかと言えば……宗教で地雷を踏むのが怖かったからだ。お前『異端』ゆんか!? ってなったら一神教の世界じゃ詰みだよ。多神教前提、神様と一緒に酒盛りしたりするエピソードやら神様を殺したりするエピソードやらもある元日本人としてはやりにくい事この上ないのである。

 

 だが、今は違う! (ギュッ)何せ今回は勇者ちゃんがいるからね。女神の神託を受ける存在とかそれこそ日本的に言えば卑弥呼様みたいなもんでしょ。

 

「よし、到着」

 

「わ……大きい女神様の像ですねぇ」

 

 ちなみに勇者ちゃんは来た事は無いそうだ。『別に熱心な信徒って訳じゃないので……』との事らしい。神託を聞ける限られた人間が熱心じゃなくていいのか? 

 

「それで今回は何しに来たんです? なんか流れで来ちゃいましたけど」

 

「えーと……ほら、あれだ。俺もいい歳だし、1回ぐらい聖地巡礼しとこうと思ってな。定年後のお遍路さんみたいな」

 

「誰ですおへんろって……まあ私も興味無い訳じゃないですけどね。でも今じゃなくてもいいんじゃ?」

 

「思い立ったが吉日、その日以降は全て凶日って言うじゃん」

 

「しっかり準備を整えるのも大事だと思いますよ?」

 

「論破されちゃったな……。いや、勇者ちゃんにも見せたあの古代文字読める人居ないかな〜って思って」

 

「なるほど。村の教会とかじゃ読める人多分居ないですしねぇ。……なんで最初からそう言ってくれないんです?」

 

「え~♡先輩、こんなのも読めないんですかぁ~♡情けないですね~♡って馬鹿にされるかなって」

 

 そんな馬鹿にされ方ならむしろされたいかもしれない。でも勇者ちゃんが似合うかと言われると……ちょっとサミットカード使って呼び寄せて会議させてもらいたい。

 

「どういうイメージなんですそれ。というか私も読めないのに馬鹿にするわけないじゃないですか」

 

「え~♡勇者ちゃん、こんなのも読めないの~♡情けな~い♡」

 

「フンっ!」

 

「いちのやっ!?」

 

 どんどん勇者ちゃんの折檻に遠慮が無くなってきている気がする。こちらももっと巫山戯なくては、無作法というもの……

 

「はぁ……まあ、分かりましたよ。とりあえず教会行って聞いてみましょうか」

 

「実際どうなの? 古代文字ってどのぐらい使われてるもん?」

 

 ちなみに勇者ちゃんに目的を言わなかった本当の理由は神託とかで邪魔が入りそうだから。女神が魔石バラまいてたら絶対調べるの邪魔してくるでしょ。あのてるてる坊主が女神の味方なのか、それとも敵対してるのか分からない以上考えすぎで終わるかもしれないんだけどさ。

 

「例えが難しいんですけど……熱心な信徒の人は皆読めると思いますよ?」

 

「え、そうなんだ」

 

 もっとこう……神聖な文字! って感じかと。大神官だけが取り扱うことを許される、みたいな。

 

「聖典は古代文字で書かれてるんですよ。私は共通語に翻訳された奴しか読んだこと無いですけど、熱心な人は他人のニュアンスが混ざるのが気になるって感じで……」

 

「なんとなく察したわ」

 

 原作厨……というより原書厨みたいなもんだね。こんなのは偽物の聖典だよ。食べられないね。本当の翻訳を見せてあげますよって人種。熱心な信徒ってそういう? 

 

「あ、それと熱心な信徒関連でもう一つ。この街で私の事『勇者』って呼ばないでくださいね」

 

「なんで?」

 

 卑弥呼ポジションじゃないの? ……あ、有名人すぎて囲まれるとかか。転売ヤーの群れの中で最新ゲーム機の話するようなもんだもんな。

 

「嫉妬で殺されかねないので……」

 

「なんで???」

 

 いきなり物騒な話になってきた。勇者ちゃん、何したの? でもこの街来たこと無いって言ってたよな。

 

「その、熱心な信徒さんって熱心なので、女神様の言葉一つ一つを翻訳して自分が正しいって激論を交わすことを生きがいにしてるような人も居るんですけど」

 

 厄介オタクかな? 

 

「そういう人からすると、直接女神の言葉を聞けるのってズルに見えるらしくて……」

 

「しかも一瞬で否定されかねないわけだもんなぁ」

 

 何かしらについて解釈を戦わせているところに『女神さまに聞いてきたらこう言ってましたよ!』って言ってくる奴、厄介どころじゃないもんな。議論してるやつらに権力があったら尚更。……これ、王族と教会実は仲悪いんじゃないか? 勇者の血統ごと嫌ってる神官とかいるでしょ。勇者ちゃんが気にしてるのもそういうことだろうし。

 

「まあそもそも勇者って名乗って信じてもらえるかって話なんですけどね」

 

「王様お墨付きなのに?」

 

「女神様の神託が降りて来たって言って何の根拠も無いのに信じてくれるのウーティスさんぐらいですよ? 王様も証明になるようなものくれたわけでも無いですし」

 

「そういえば会った時ぼっち冒険者だったもんなぁ……」

 

「言い方!」

 

 確かに神の声を聴いた! って言ってる人なんて歴史をたどれば幾らでもいるだろうしな。ましてや勇者ちゃん、隠れ王族血統なわけだし。つまり熱心な信徒とやらから見た勇者ちゃんは『神の声が聞こえると主張する王族の血統を名乗る小娘』なわけだ。そして勇者と信じてもらえたとしても今度は嫉妬の嵐に晒されると。そりゃ勇者って呼ばないでとも言うわな。

 

「まあ事情は分かった。けど、じゃあ勇者ちゃんのことなんて呼んだらいいんだ?」

 

「え、普通に名前で呼んだらよくないです?」

 

「シルヴィア・エルドリック・オーレルヴェインちゃん?」

 

「なんでフルネーム? というか我ながらごっついですねフルネーム」

 

 そりゃ国名が入ってるからね。王族のフルネームが軽くてもなんかやだし。

 

「普通にシルヴィアって呼んでくださいよ。というか王族の苗字名乗るのもそれはそれで不味いですし」

 

「シルヴィアちゃん?」

 

「はい」

 

「……なんか俺キモくない? 年下の女の子にちゃん付けって許されるの?」

 

「別に良くないです?」

 

 許されるの??? 確か職場でちゃん付けで呼んだのがセクハラ認定された判決があったはずだぞ? 

 

「じゃあ呼び捨てはどうですか? 私はどっちでもいいんですけど……」

 

「シルヴィア?」

 

「なんでさっきから疑問形?」

 

 なんだろう。凄く恥ずかしい。俺って性根が童貞なのかもしれない。女の子下の名前で呼ぶのって凄く緊張しない? でも苗字呼びの選択肢はもう封じられちゃったしな……

 

「……よし! 行くぞシルヴィ! 俺たちの戦いはこれからだ!」

 

「渾名呼びに逃げましたね? まあいいですけど」

 

 なんでそういうところは鋭いのよ勇者ちゃん。

 

 

 

 

 

 大聖堂は観光名所になっているだけのことはあって、いかにも金がかかっていそうな造り。やたら高い天井とか、ステンドグラスとか。多分女神の権威の象徴とか寄付金を用いた職の斡旋とか色々な理由があるのだろう。人によってはこれを見ているだけでも楽しめるのだとは思う。

 

「そういえばゆう……シルヴィ。女神様ってそもそもどういう教えなの? 魔物は見つけ次第全員ぶっ殺せとか?」

 

「それもありますけど──」

 

 あるんだ。ボケのつもりだったのに。

 

「一番の基本は隣人愛ですよ。自分を愛するように他人を愛しなさい。両親を愛するように世の大人を敬って、我が子を愛するように他の人の子供を慈しみましょうって」

 

「おおう」

 

 なんだろう。綺麗事言うのやめてもらっていいですか? 家族と他人を同じ優先度にできるわけないだろうに。もっと言うなら自分と他人を同列にできるわけないだろうに。というか。

 

「ま、私はお母さんがアレですし、お父さんも居ないんですけどね!」

 

「反応に困るよ」

 

 勇者ちゃんそれ持ちネタにする気? まあ俺も人のこと言えるような家族構成してないけどさ。チート転生者は天涯孤独なのである。親を愛するようにって言われてもね……

 

「まあでも、村の教会はそんなに熱心に教えを……って感じじゃなかったですからねぇ。私も詳しく言えるかって聞かれると微妙です」

 

 この世界において教会は勿論神の教えを広める施設ではあるのだが、もっと身近な役割として……現代風に言うと学校と病院当たりの役割を兼ねている。あと孤児院もかな? 

 

 勇者ちゃんの村の教会は孤児院っぽかったし、病院は……まあ治癒魔法が女神由来の魔法だからだ。病気が流行った時にお祈りもしてくれる。役に立ってるのかは知らん。神様が居る世界だから祈りも無駄では無いのかも。

 

「……よし。シルヴィ、この辺に神官っぽい人いる? なるべく熱心な信徒っぽい人」

 

「見ただけじゃ熱心かまでは分かりませんけど……あの女神様のシンボル付けてる人そうじゃないです?」

 

「女神様のシンボルって?」

 

「ウーさん、どうやって今まで生きて来たんです……? ほら、あの蛇と杖の」

 

「あれってそうだったんだ……」

 

 この世界アスクレピオス居たの? いやまあ、蛇が再生のシンボルなのは定番か? 

 

「シルヴィ。ちょっと女神様の教えについてもっと詳しく知りたいから原典が読みたいって聞いてきてくれ」

 

「いいですけど……自分で行かないんです?」

 

「知らない人怖い」

 

「ええ……子供ですか……」

 

 正確に言うと知らない宗教関係者怖い。現代日本人のみんな、ちょっと気持ちわかってくれるよな? 

 

 幸い勇者ちゃんは頼んだ通りに恐らく神官であろう人の所へ行ってくれて……少し話した後、一緒にこっちに来た。

 

「ウーさん、その……」

 

「いやぁ村の出でそこまで女神様の教えを深く知ろうとは実に関心! 微力ながらお力になりましょう!」

 

 力にならなくていいんだよ。古代文字の読み方だけ教えてくれ。

 

 終業式の校長先生の話より退屈な話を聞くこと数時間、もっと自分でも勉強したいと言って、神官の知識を誉めそやして金を握らせてようやく原典(の写本)と古代文字の辞書を手に入れることができた。最初から金で殴ればよかった気がする。

 

「大丈夫です? ウーさん、凄い疲れた顔してますけど」

 

「綺麗事聞きすぎて頭がおかしくなってきた。バランスを取らなきゃ……」

 

「バランスって……何する気です?」

 

「ゆう……シルヴィの膝に頭乗せてお腹に顔埋めて思いっきり吸う……」

 

「なんでちゃん付けするかどうかは迷うくせにそういうことは平然と言えるんですか……?」

 

「シルヴィを吸わないと耐えられない……」

 

「はいはい。せめて人が居ないところでそういうことは言いましょうね~」

 

 宿に着いたあと(観光地価格で高かった)膝枕はしてくれた。ついでに頭も撫でてもらった。お腹の空気は吸わせて貰えなかった。2勝1敗。この街に来た目的の3分の2は果たせたと言っていいだろう。古代文字の翻訳? 夏休みの最終日までにやればいいでしょ。

 

 ……ところで俺は、これから勇者ちゃんの事を名前で呼ぶべきなのだろうか? 誰か職場でのコンプラに詳しい人、教えてくれ。

 




勇者ちゃん
名前で呼んでもらえてご満悦。名前呼びを恥ずかしがってるところを見て不思議な感情が芽生えてきてる。ふーん……戦闘だと誰よりも頼りになるのにこういう所は初心なんだ……


引き続きお気に入り、高評価よろしくお願いします
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