エロ同人RPG系勇者ちゃんVSヒロピン好きの俺VSダークライ 作:らっきー(16代目)
まず、魔石とは何か(ネットリ)。凄く簡単に言ってしまえば魔法を溜めておける石である。
炎の魔法を込めておけば料理に使うガスコンロ代わりに。水の魔法を込めておけば水道代わりに。光の魔法を込めておけば電灯代わりに。勇者ちゃんと一緒に回収している魔石だけど、本来の使い道はこうなのである。だからある程度以上の魔法を使える魔法使いは食い扶持に困ることは無い。まあみんな冒険者とかやって犬死しちゃうんだけど。
そしてその魔石に魔王とやらの魔力が込められているのが闇のオーブ(笑)こと俺達が回収している魔石であり、勇者ちゃんが浄化して空の魔石に戻しているものなのだ。だから売っても問題無いのです。
と、何故そんな事をいきなり言うかといえば、拾った古代文字が書かれた紙の解読中だからだ。勇者ちゃんが言った通り実験レポートだったそれは、闇のオーブの取扱説明書とも言えなくはない。
「実験その1、魔石を人間に渡した時の反応。その者の持っていた欲求が励起される……もう知ってんだよなそんな事は」
魔物の場合は単純に凶暴化するし、人間の場合は……なんというか、こう、悪人になる。何が正義で何が悪かなんて言葉遊びをしだすと終わらなくなるから、まあ普遍的なイメージでの悪人だと思ってくれ。食べ物を踏み付けたり小動物を虐めたりするような。出力される悪事はその程度じゃ済まなかったけど。……まあこの世界、子供を楽器にして弄ぶような貴族は有り触れてはいないが珍しくはないんだけどな。闇のオーブが人をサイコパスにするとはいえ、サイコパスが全員闇のオーブを持っている訳では無いのである。必要条件と十分条件ってやつだね。これも言葉遊びか?
「実験その2、魔石を人間に埋め込んだ時の反応。身体能力や魔力が劇的に向上し、無敵の身体を手に入れる代わりに魔物と化す。その寿命はもって数日……あの魔人達ね」
これももう見た。近くにある分には平気なのに身体に埋め込むとダメなんだね。……というか無敵の身体、別に無敵じゃなかったけど。しかもアレ数日で死ぬんだ。じゃああのてるてる坊主最後の嫌がらせしただけかい。逃げときゃよかったかな。そしたら攫われた人達が殺されてたか。
「魔力の向上……せめてサンプルにもっと強い魔法使い選んでくれよ」
指先に火が点る程度が火球を放てるようになったとか、切り傷を直せる程度が失った手足を生やせるようになったとか。書いてあるのはそんな感じ。元から火球放てる人に埋め込んだ方がいいんじゃないすかね。
「しかも魔法の適性を与えることは出来ず……使えね~……」
せめて魔法戦士とか人類総魔法使い時代の幕開けとか夢見させて欲しい。メラがメラミになってもメラガイアーを打てるチート転生者的には大差ないのである。
「そんで肝心なところは読めないしよぉ……」
魔王の魔力のこもった魔石……面倒だから闇のオーブでいいか? とにかくそれは周囲の負の感情を集める。ついでに魔石を埋め込まれた魔人が人を殺したり、そいつ自身が死んだりすると、死に際の怨念とか恐怖とかそういうものも吸い取ってくれる。それらのエネルギーを蓄えて──
「■■様の元へ送られる……■■って誰なんだよって話なんよ」
辞書片手に格闘していたのだが、この古代文字だけ対応する言語が無かった。固有名詞か? だったら魔王の名前とかかな……でも魔王の元へ送られるんだったら魔王の魔力使ってちゃ意味ないよな……魔王に対しての大魔王みたいな奴が居るのかな。封印されてるとかそんな感じの。
「てるてる坊主は魔王なり大魔王なりの配下だとして……後はなんでこれが古代文字で書いてあったのか、かねぇ……」
意外! 大魔王の正体は女神様だったのだ! 勇者ちゃんがやっているのは浄化じゃなく、集めた負のエネルギーを女神に送っていただけ! ……まあ、ヌキゲーとかならこのぐらい意外性の無いシナリオでもいいんじゃないかな。もしこの予想が当たってたら女神に脚本家のセンスないっすね(笑)って言ってやろうと思う。
「ま、紙ペラ一枚の情報なんてこんなもんか。どっかでまたてるてる坊主と会えないかねぇ……」
別に世界を救おうなんて思うほど英雄願望は持っていないし、魔王を超える大魔王が復活しようとどうでもいい。人間と魔物の絶滅戦争でも始まったら話は変わるが、そうでないなら顔も知らない人間が何億人死んでもただの数字としか思えないカスが俺という人間だ。それが何故この案件にやる気を出しているのかと言えば──
「戻りました~。……なんか上手くいかなかった顔してます?」
「む……一言で言うと、古代文字をわざわざ解読したら徒労だった。そんなに顔に出てたか?」
「ウーティスさん結構分かりやすいですよ?」
よしよしと慰めてくれる彼女の為である。勇者ちゃんが人助けをするなら付き合うし、勇者ちゃんが世界を救いたいならまあ一つや二つ救って見せましょう。負ける気せーへん。チート転生者やし。
だからこれからも見せてね。勇者ちゃんのピンチシーン……勇者・ザ・ピンチを!
「……!? なんか嫌な予感が……!」
「気のせいだろ」
「で、どうだった? またゴブリンだっけ?」
「あ、はい。えーっとですね……」
俺が古代文字の解読をしている間、勇者ちゃんはといえば新たな神託に従っていたのだ。とはいえ、神託は目的地ぐらいしか教えてくれないらしいけど。クエストマーカーか?
時系列的には神託が来る、クエスト受注、勇者ちゃんが様子見に行っている間に解読作業、という形になる。様子見でえっちな目に逢ってたら泣きます。チャンスを逃したことになるので。
今回の神託が降りた先の村ではゴブリンに困っているとの事で、正直な感想を言わせてもらうと『え、また……?』だった。いや、前の闇のオーブゴブリンとは別個体だろうけどさ。敵の使い回しは良くないよ。コンパチキャラでシーン数を増やして多く見せるのは詐欺だよ。せめてシチュエーションは変えよ?
「とりあえず数は多かったですね。あともう洞窟に巣を作ってたみたいで。流石に中までは入れてないです」
「また洞窟か……」
某エルダースクロールなオープンワールドゲーが特にそうだけど、遺跡と洞窟と山でダンジョンをかさ増しするのはどうかと思う派閥のウーティスです。そういう意味ではオープンワールドよりローグライクの方がよっぽど冒険感あるかも。落ちてるアイテムとか構造とか毎回違いが産まれるし、ダンジョンによって出てくる敵とかも変えられるし。なんだよ山賊略奪団(一人)って。
「持ってかれた家畜……はとっくに食われてるとして。先に入った冒険者は生きてるかねぇ……」
「あんまり考えたくないですけど、多分手遅れだとは……」
今回の神託クエスト(雑命名)、珍しく他の冒険者が先に引き受けてるのだ。というか、他の冒険者が失敗したから勇者ちゃんに回ってきたのか? 他の冒険者が闇のオーブ拾って魅入られたらどうしてくれるんですかね女神様は。
「ゴブリンを舐めてかかった初心者パーティーが二つ壊滅。未だ帰ってこないベテランが送り込まれたのが二日前。少なくとも初心者君達は死んでるだろうな」
「せめて甚振られてなければいいんですけど」
怖いよ発想が……というわけでもない。ゴブリンは半端に知性が高いから人間が嫌がる事を的確にしてくるのだ。ゴブリン種の最強であるゴブリンロードなんかは攫った人間を盾にして攻め込んでくるぞ。雑魚ゴブリンも悲鳴を聞いて愉しむ為に捕まえた人間にわざと致命的にならない傷を与えて遊んだりするしな。……某街の楽器マニア領主はゴブリンだった……?
とはいえ最下級のゴブリンだけだったら大したことはない。大体は森とかで群れてるだけだし、仮に最下級ゴブが巣を作るにしても自然の地形を利用してねぐらにするだけだ。山賊と違って住環境を整えたりもしない。そのせいで攫われたり囚われたりする人の死亡率も高いんだけど。繁殖用の胎を大事にするなんて発想も無いし、不衛生で人間じゃ病気になるし。
長く生きて知恵を付けたゴブリンが居ると厄介になってくる。だいぶ前に勇者ちゃんと一緒に倒したのは然程でもなかったけど、体色が緑じゃないゴブリンは要注意だ。ちなみにロードは黒に近いグレーをしている。良い子のみんなは見かけたら逃げようね。肉盾にされても知らないよ。
「ベテランも帰ってこないってことはデカブツが居るんだろうなぁ……」
「外には居ませんでしたけど、巣の中は見れてませんしね。そこに居るかもです」
前も殺した緑のデカブツはホブゴブリン。赤くてホブの三倍の腕力があるのがゴブリンチャンプ。魔法を使えるのがゴブリンシャーマン。老成体で一番強いのがゴブリンロード。あの後ちゃんと本で調べました。こういうの分かんないままにしとくの気持ち悪くない?
「……ま、とりあえず行ってみるか。最悪洞窟の入口爆破して生き埋めにすればいいだろ」
「……せめて生存者が居ないか確認してからにしてくださいね?」
勇者ちゃんが1度行ってくれたおかげで転移魔法でゴブリンの巣まで飛べる。時間の節約になって有難いことだ。それはいいのだけど。
「勇者ちゃん、アレ、魔石?」
「た、多分……さっき来た時にはあんな事になってなかったんですけど……」
巣の外を見回るザコゴブリン共。それはいい。下っ端がそういうことをやらされるのはゴブリンも人間も同じだ。問題なのは、そいつら全員が身体に魔石を埋め込まれていること。
人に埋め込んだら魔人という無敵の魔物になる。じゃあ魔物に埋め込んだらどうなっちゃうんですかね。逆に人間になったらウケるね。
あれ全部回収……もう全部砕いちゃった方が早くない? 浄化する必要があるらしいからダメなんだろうけどさ。
「勇者ちゃん大丈夫? 漏らしてない? パンツ預かっとこうか?」
「漏らしてません! 昔の失敗をいつまでも引っ張らないでくださいよ!」
あれは良かった。流石に初冒険の緊張とか恐怖とか色んな条件が重なってのことだからもう二度と見れないと思われるのが残念だ。小スカまでなら守備範囲、ウーティスです。
「そもそも勇者ちゃんパンツ履いてないもんね」
「痴女みたいな言い方やめてくれません!?」
ハイレグアーマー……履けるパンツなんか無いわな。汚れとかどうなってんの? 問題はこの世界では鎧に魔法をかけることで解決している。冒険者全員臭い説が立証されなくて何よりだ。代わりに装備品が高いから駆け出しが苦労するんだけどね……
「よし、緊張も解れたろ。気負わず油断せず、行くぞ」
「最初からそのモードでいてくれればいいのに……」
魔石が埋め込まれたゴブリンの群れ……まあ問題無いでしょう。勇者ちゃんの攻撃は魔人にも通るし、俺も魔人の殺し方は身に付けたし。
悪いゴブリンは勇者様に退治されました。めでたしめでたし。この1行で終わらせてやるとしよう。
tips:ゴブリン退治は初心者向けのクエスト扱い。ただし上位種がいる場合を除く。でも舐め切ってると普通に殺される。ゴブリン専門の冒険者も居るかもしれない
tips:ゴブリンロードが率いるゴブリンの群れは統率も取れてるから実質軍隊。数年前にロードが産まれた時は村を滅ぼして装備を手に入れて孕袋も手に入れて数を増やして、街を滅ぼして……の繰り返しで大惨事になりかけた。でも国王軍を派遣するかどうかというところで隕石が落ちてきてゴブリン軍は滅んでしもうたんじゃよ…