エロ同人RPG系勇者ちゃんVSヒロピン好きの俺VSダークライ 作:らっきー(16代目)
ちょっと後半シリアスだから苦手な人は読み飛ばしてね。主人公にシリアスな過去とかある系ね~とだけ思ってくれれば
蘇生という特級の奇跡を見せられた人達は大盛り上がりしている。歓声だのお祝いの声だの次は私をだの。
すごい一体感を感じない。今までにない何か熱い一体感を。
風……なんだろう吹いてきてない確実に、着実に、俺のほうに。
(勇者ちゃん、勇者ちゃん)
(なんです?)
(俺のとこからだと見えないんだけど、夫ってどんな人?)
もしかしたらスケルトンと結婚した異種姦好きなのかもしれない。前世ではベルリンの壁と結婚した人だっていたし。
(え? うーん……黒髪の──)
まだ髪の生えているスケルトンの可能性も……あるわけねぇだろ。キモイよそんなの。
幻覚かなぁ……催眠かなぁ……チートボディに搦め手は通用しない。集団催眠をかけられようと一人だけ素面で居られるのである。多分現状はそういうことなのだろう。逆に俺一人だけイカれてるのだったら泣く。でも蘇生なんて出来るわけないじゃん。出来たらとっくに人口爆発で世界が滅んでるよ。
かと言ってこの場で問いただすわけにもいかない。カルト宗教ど真ん中で奇跡の否定とかとんでもないことになるの目に見えてるし。とりあえずてるてる坊主を問い詰めるのが一番早いか……?
「いかがでしたか?」
「うお」
後ろから使えないまとめサイトみたいなことを言ってくるな。
「カマエルさん! さっきの奇跡って──」
「女神の神殿でも見られないでしょう? 見世物のようにしてしまったのは心苦しいですが……」
「御託はいらん、何が目的だ?」
「弱者救済」
「は?」
「不幸な人へ救いの手を。簡単に述べればそのようなものですよ」
「……誰でも、あんな奇跡を受けられるんですか?」
「ええ。とはいえ──」
勇者ちゃんちょっと絆されてない? そいつ魔石バラまいてる悪人だよ。正直『お前のせいで傷ついた人間の方が多いだろうが!』って斬り捨てる方が妥当な扱いだと思うよ。好感度上げる催眠光線でも放ってんのか? 吸血鬼みたいに。
ちなみにこの世界において『奇跡』……いわゆる回復魔法は女神さまへの信仰が厚い者へと授けられることになっている。でも俺は教会に寄付しまくっても使えるようにならなかった。信仰の厚さって何?
教会が病院の役割を果たせているのはこれが理由だな。傷の治療とか解毒とかは魔法じゃなく奇跡の領分だから。勇者ちゃんは……多分女神が加護として奇跡を使えるようにしてるんだろう。どっちかというと殺しに使ってばっかな気もするけど。
ついでに『魔法』は才能8割に努力2割ぐらい。一応理論を学べば誰でも使えることにはなっているらしいが、メラまでしか覚えられない人とメラガイアーまで覚えられる人が居て、その違いは分かってないって感じ。なんか寝て起きると閃いたりするんだよね、って言ったら信じられないものを見る目をされたことがあるから他の人は違うらしい。
ちょっと脱線したが、要はさっきのはこの世の誰より女神様に認められていて誰一人他に使える者のいない蘇生の奇跡を授けられているか、単純に何かしらの詐術かなのだが……どう考えても後者だよな。そもそも俺と周りで見えている物が違ったし。
以上、てるてる坊主の話を聞き流していた一般転生者の考察でした。胡散臭すぎて聞く気になんないよ。なんかあったら勇者ちゃんが聞いといてくれるからへーきへーき。
「……ではこちらへ」
「はい。ウーさんも行きますよ」
「ん? おお」
なにやら移動する流れになっていたらしい。奇跡の舞台裏でも見せてくれるのか? などと思っていたのだが。
「どうぞこちらの部屋をお使いください。家具は最低限の物しかありませんが」
「いえ、ありがとうございます」
それだけ言っててるてる坊主はどこかへ去って行った。今どういう状況?
「今どういう状況?」
「内心をそのまま口に出してそうな顔してますね。さては何も聞いてませんでしたね……?」
「うん」
だって真面目な話されても、『でもコイツ詐欺師なんだよなぁ……』としか思えないし。それが態度に出たらどうなるか分からない以上、もう最初から何も聞かないのが最善手なのである。
「奇跡を起こせるならあのゴブリンの犠牲者も助けられるんじゃないですか? って話をしてたんですけど」
「そんな流れになってたんだ」
まあ魔石の被害者だもんな。死体が残ってるのかも分からんけど。ゴブリンは人間の雄なら骨まで食べるぞい。
「そしたら一日にそう何度も出来るものじゃないからって言われて、じゃあ見張らせてもらいますって言ったら泊まることに」
「ほぉん」
幻覚だか催眠だかにも準備が要るのかね。それにしたって勇者ちゃんを遺す理由が分からんが……戦闘で勝てそうにないから催眠術で勇者ちゃん味方に付けようとかしてる? そもそもてるてる坊主達の目的が分からんが。弱者救済を真面目に成し遂げようとしているとも思えんし。
「……まあ、とりあえず次とやらを見てから考えればいいか。馬脚を現してくれればそれでいい話なんだがなぁ」
「む、ウーさんは奇跡を信じてないんですか? 目の前で見たのに」
「見たって言ってもなぁ……」
見たのは催眠なり幻覚なりの現場なのだが、それを勇者ちゃんに言うのもな。腹芸とかできるタイプじゃないし、正面から問いただしそう。
「まあほら、とりあえず今日は休もう……このベッド凄いふかふかだぞ」
「またそうやって誤魔化そうと……ほんとだ、何で出来てるんですかねこれ」
羽毛かな……奇跡が本当か噓かは一旦置いておくにしても儲けていることは間違いなさそう。寄付金が多い順に奇跡を与えるとかやって搾り取ってるのかね。なんかやたらといい匂いのするお香とかも焚かれてるし。ベッドもやたらデカいし……それは二人用だからか?
「ウーさんもうちょっと詰めてくださいよ」
「勇者ちゃん寝相良い方だし大丈夫じゃない?」
2人で使っても余裕があるでかいベッドってちょっと持て余すね。もうちょい狭ければくっついて丁度いいぐらいだったろうに。
夢を見た。
勇者ちゃんと出会うよりもずっと昔。転生して自分の強さに酔っ払っていた頃の、今となっては黒歴史のような頃の夢。
当時の俺はファンタジー世界に生まれ変わった事に浮かれていて、周りの事なんて何も見えちゃいなかった。ゲームをプレイしているのと同じ感覚で日々を過ごしていた。
今も同じだが、その時から冒険者にはなっていた。単純に異世界転生と言えばやっぱりこれだろという思いがあったのと、手っ取り早く金を稼げたから。ついでに、暇潰しとしても丁度良かった。どんな敵を相手にしても苦戦なんてしなかったから。
そして当時の俺も今と同じように、パーティを組んでいた。まあ別に一人でも構いはしなかったのだけど……その時も、何となく放っておけない相手を見つけてしまったから。
『家族の為にお金が必要なんです』と冒険者になったらしい彼女は、冒険者としての実力はそこそこぐらいだったろう。簡単に命を落とすほど弱くは無いが、英雄として名を残せるような強さは持っていない、そのぐらいの人間。
それが背伸びしてでも依頼を受けて時にボロボロになって帰ってくるのを見て、まあ手伝ってやろうかと、そう思ってしまったのだ。
自分で言う話でも無いが、俺と組んでから彼女の収入は増えたとは思う。報酬の高いクエストをこなせるようになったし、治療費も必要なくなったから。何せ俺なら誰かが怪我をする前に魔物程度ぶち殺せる。
ただ、それでもお金が足りなかったのは、彼女の言う『家族』の数が他の人より少しばかり多かったから。
『私が一番歳上でしたし、孤児院の先生ももう歳ですから。私が頑張らないと!』
この世界で、孤児の将来なんて大した選択肢は無い。冒険者になって死ぬまで綱渡りを続けるか、身売り同然の条件で使い捨ての労働者として売り飛ばされるか。見目麗しければ身体を売るという選択肢もあるが……まあ、才能があれば冒険者が一番マシだな。
彼女は言った通り冒険者としてはそれなり程度であったから、その辛さも存分によく分かっていた。『お嫁に行けそうにないし……✕✕✕✕✕くん貰ってよぉ』なんて酔った時に冗談をよく言う位には全身傷だらけだったな。あの綺麗な金の長髪だけでも美貌としては十分だったと思うのだが。
だから、そんな他の家族達にはそんな目にあって欲しく無いと、『まずはみんなを学校に入れるのが目標ですね! 大きい教会でもいいですけど!』と貧乏クジを引き続けていた。
それでもまあ、上手くいっていたのだ。別に何が相手だろうと俺1人で十分だったし、彼女に多めに金を渡す事にも否は無かった。自分に酔っていただろうと言われれば否定は出来ないが、頑張っている人を応援するぐらいの余裕はあったから。
そんな日常は、何の予兆も無く終わった。
『幾ら送っても手紙の返事が来ないんです』
そんな相談を受けて、彼女の家族達の所……孤児院へと向かった。転移魔法もある以上、大した手間でも無かったから。そしてそこで見たのは──ただの燃え痕だけだった。
調べて分かったのは、何の面白味も無い事実。孤児院としては不相応な収入を得ていたそこは、金目当てで狙うにはあまりにも容易い目標で。それを守れたはずの人間は、自分の力に酔って偽善を行って満足していただけの。それだけの話。
『✕✕✕✕✕さんは何も悪くないですよ。私が馬鹿だったんです』
無理矢理作った笑顔は見ていられなかった。そして俺は、そこでもまた間違えた。
『冒険者はちょっとお休みします。せめて、弔うぐらいはしてあげたいですし』
そうして彼女と別れて、気ままな冒険者生活に戻った。一人で生きていくことに問題は何一つ無かったが、少しだけ寂しくなって──数ヶ月経った頃に、大きな街に遊びに行った。それこそ、奴隷が売っているぐらい。
女の子の奴隷を買って結果的に懐かれるとかチーレムものあるあるだよなぁ……なんて考えながら商品を見ていた時に、何時か見た金髪が目に入った。
最近仕入れたばかりだがもう長持ちはしない──売り手の言葉はそれ以上覚えちゃいない。半殺しにして売り手を聞き出せば、羽振りのいい賊の集団。
何人か失敗して殺してしまったが、その賊達を拷問して聞き出せた情報を繋ぎ合わせれば、孤児院を襲った復讐に来た女一人を返り討ちにして……それ以上生かしておく価値は感じられなかった。
それから何年か適当に生きてきた。魔物を適当に殺して得た金を寄付して虚しくなったり、関係無い賊を八つ当たりの衝動のまま皆殺しにして回ったり。
そんなある日。初めて見るのに何故か懐かしく覚える少女に出会った。
彼女と同じ金髪で、ちょっとだけ実力と理想が釣り合ってなくて、それでも眩しくなるような善人で。
一緒に居ると、少しだけ自分が上等な人間なんじゃないかと錯覚出来るような、そんな女の子と──
「────ん」
誰かが呼んでいる。
「大丈夫ですか? 魘されてましたけど」
「……ああ、勇者ちゃん。もう朝か」
蓋をした記憶を無理矢理こじ開けられたような、嫌な夢を見た。もう何年も思い出していなかったというのに。
「勇者ちゃん?」
「ん?」
「なんですかその呼び方。いつもみたいにシルヴィアって呼んでくださいよ、──お兄ちゃん」
「は?」
もしかしてまだ夢の中か?
金髪の少女(故人)
孤児院出身の冒険者A、ウーティスが別の名前を名乗ってた頃のパーティメンバー。勇者ちゃんと違って背が高くてスラッとした体型。
復讐鬼になれるほど強くも無かったし、全部から目を逸らせるほど弱くも無かった普通の女の子。何処かで巡り合わせがほんの少しだけ違ってたら今も一緒に冒険してたかも。でもそうはならなかったからこの話はここでお終い。
多分……初恋だった