エロ同人RPG系勇者ちゃんVSヒロピン好きの俺VSダークライ 作:らっきー(16代目)
魔王が復活するためには人の悪意がエネルギーとして必要なのだとか。それを加速させるためにばらまかれてるのが闇のオーブ……もとい魔石であって、それを浄化して復活の妨害をするのが勇者の使命──とお告げで伝えられたと昔勇者ちゃんが話してくれた。
「橋が通れないってどういうことですか!」
「通れないなんて言ってないぜ? ただ通行料として10万ばかりかかるってだけだ」
そんな勇者様へのお告げに従った旅路は、早くも順調とはいかなくなっていた。
「ぼったくりにも程があるって言ってるんです!」
「払えないなら通さない。心苦しいが領主様からの命令なんでね」
そこに貼ってある通りにな、と指さされた先には確かに印の押された布告の紙がある。しかし。
「500Gって書いてあるじゃないですか! なにが10万って──」
「嬢ちゃん文字が読めないのか? その下にあるだろ? 『ただし、持ち込む物に応じて別途税を徴収する』ってなぁ」
要は貴金属やら香辛料やらへの関税だ。当然俺達の積み荷にそんなものは存在しない。別に商人でもないしな。ちなみに1Gはざっくり1円だと思ってもらっていい。物の価値自体が違うからあまりあてにはならないが。
「嬢ちゃん、ずいぶん立派なものを二つも胸に持ってるじゃないか。こりゃあちょっとばかし余計に金がかかるってもんだろ?」
「……ッ!」
ただまあ、権力を与えられた人間なんて大概腐るもんだ。一言で言ってしまえば目の前のコイツは腐敗役人だ。賄賂か身体のどっちかを差し出せという要求。欲に忠実で実に人間らしい。
こんな輩は叩き殺して魔物の巣に放り込み『不幸な事故』を起こすのが一番手っ取り早いんだが、基本善人の勇者ちゃんにそんな発想は出ないらしい。自分の身体を抱き締めながら嫌悪感を込めて睨むのが精一杯というご様子。むしろ胸が強調されるからやめたほうがいいと思うんだがな。
「まあ金が無いなら仕方ない。そのデカい胸で一発……おっと、二人いるなら二発かな。そんだけ抜いてくれりゃあ500Gで通してやろうじゃないか」
「ふざけないでください! 誰がそんな──!」
「どうどう。勇者ちゃんストップストップ」
このままじゃ会話がループするだけだな、と思ったから止めに入った。下手に殴りかかって衛兵沙汰とかになっても困るしな。殺るなら上手にやらないと。
フーッ! と猫の威嚇のように息を荒げている勇者ちゃんをなんとか宥めて関所から出る。橋の上にこんなもん造れるあたり儲かってるんだろうなとか、ああいうところの衛兵って何交代制なんだろうとか、どうでもいいことを考えながら。
「……ウーティスさん、どうしましょう」
「二発ぐらい抜いてやったらいいんじゃないか?」
「ぶっ飛ば──ごほん、流石に怒りますよ?」
少し落ち着いた彼女に提案してみたがダメだったらしい。俺としても自分以外が勇者ちゃんの身体を堪能するのは面白くないから乗り気になられても困るが。
10万を払うのはナシだ。別にその程度で痛む懐じゃないが、折角面白くなりそうなのに無難に解決なんてつまらないにも程がある。
「……そうだな。俺達は橋が渡れなくて困っているわけだ」
「目的の街、川の向こうですもんね」
「だがしかし、川の向こうに行くのに橋を渡る必要は無いんじゃないか?」
「ほうほう」
「渡し舟があれば送ってもらえるし、最悪泳いだっていいわけだ」
「おお!」
「そんじゃ、ちょっと船でも探してみるか」
「はい!」
威勢のいい返事が聞こえてきたところで二手に分かれる。……まあ、渡し舟なんてあるわけないが。そんなものあったら関所の意味が無い。泳いで渡るのも……まあ、何かしら誰もやらない理由があるんだろう。大半の『なんでこうしないんだろう?』の疑問の答えは、『とっくに誰かが試したが駄目だった』だ。
「ウォータースライム?」
「ああ。それも川と一体化してんじゃないかって特大の奴だ」
「なるほどねえ……」
川の近くに居た適当な男に話しかければ、実に単純な答えが返ってきた。
どうりで誰も泳ごうなんてしないわけだ。死ぬ……かはその時のスライム気分次第なところが大きいが、リスクには見合わないだろう。普通の奴は500G──安めの一食分の食事代ぐらいで通れるわけだしな。美人は大体得するもんだが、世の中全部がそうというわけでもないらしい。
「まあ兄ちゃんも大人しく金を払うことだね。男なら大して要求されないことだし」
「そうしたいんだが、生憎連れがいてなぁ」
「そりゃご愁傷様。でも、なんでわざわざ? 女の子を連れてくような街じゃないだろう?」
「色々と訳アリでな。とにかく、助かったよ」
情報料として金を渡せばそこで追及も無くなった。まあ金にもならない無駄話を続けたがる旅人は少ない。しょうもない情報に思えても、何かしらの取引材料になったりするからだ。ちょうど今、川を誰も泳がない理由を聞いたように。
ひとまず分かったのは、やはり橋を渡る……つまりは関所を通る以外にどうやら方法は無さそうだということ。よほど大きく迂回でもすれば別かもしれないが、生憎そこまで長旅をする準備はしていない。
結論──
「泳ぐしかないな」
「うう……すみません……」
船を見つけられずにしょんぼりとしている勇者ちゃんにそんな結論を話す。スライム? なんだっけそれ。
「まあ物は試しってな。ということで勇者ちゃん、行ってみようか」
「はい……え……? ウーティスさんは?」
「万が一泳げそうにない深さだった時のために岸で待っとく」
「なるほど! ……? こういうのって、男の人が先陣切ってくれるものじゃないですか……?」
「勇者様は一般人に危険かもしれないところに先に行けと?」
「う゛……そう言われると……」
分かりましたよと渋々ながらも行ってくれる勇者ちゃんは将来悪い大人に騙されるんじゃないだろうか。お兄さん心配です。
「あ、ちょい待ち。水の中で動けるように魔法かけるから」
「そんなことも出来るんですねぇ……」
「むしろ無理だったらどうする気だったんだ? 勇者様と違って、公共の場で真っ裸になる度胸は俺には無いぞ」
「私だって無いですよ!」
『アデプト』──簡単に言うと……テキオー灯? 水の中でも問題なく動けるようになる魔法だ。
渡り始めは順調だった。魔法の力で簡単に川を進めることにはしゃいだ様子すら見せて──悲鳴が上がった。
「きゃぁああ! ちょ、なにぃ!?」
「おー……でっかいな……」
今回ばかりは勇者ちゃんの乳の話ではない。彼女を宙づりにしているスライムの方の話だ。
「この……離せ!」
なんとか剣を振るってはいるが……ありゃダメだな。物理無効系のモンスターか。ゲームなら魔法が効きやすかったりするのが定番だが……
「『セイクリッド──』むぐぅ!?」
流石不定形モンスター。体の一部を触手のようにして口に突っ込んだ。ありゃあどうにもならんわ。嚙み千切れもしないだろうしな。
「お、久しぶりの見せしめじゃないか。しかも美人。いいねぇ」
「ん?」
勇者ちゃんの方ばかり見ていて気付かなかったが、いつの間にやら人が集まって来ている。
「見せしめ?」
「金を払わずに抜けようとする奴は後を絶たないからね。あのスライムはそのための防衛装置。言ってみれば、お仕置きのようなものかな」
「なるほど?」
確かにあのスライムから殺意は感じない。液体状だから、あのスライムが鼻と口を押さえるだけで人は死ぬしな。そうしていないということは本当に殺す気は無いのだろう。テイムされたモンスターか何かなのだろうか?
「まあ君も見てるといい。良い物が見れると思うよ」
「そりゃあ楽しみだ」
少なくとも見物人が集まるだけの何かがあるのだろう。なんとなく、助けを求める顔で四肢を拘束された勇者ちゃんがこっちを見ている気がしなくも無いが、助けてと言われたわけでもないし気のせいだろう。
「おおすげぇ。鎧脱がせてる」
「器用だろう?」
デカいスライムがうねうねとした流体の身体を器用に使って、勇者ちゃんのガントレットやらブーツやらを脱がせていく。……水に流される前に回収しないとな。
「『アトラクト』」
簡単に説明すると引き寄せる魔法。生活に役立つちょっとした魔法といったところで、正直使いどころはあまり無いのだが……こういう要素ってコンプリートしたくなるよね。
ひとまずこれで流されて全ての持ち物を失う最悪の事態は回避できる。様子見のためにと他の細々した物をこっちに置かせておいたから装備だけ集めれば大丈夫なはずだ。
さて、鎧を失くして覚悟の決まったハイレグ姿になった勇者ちゃんはどうしてるかと思えば──
「なんだあれ、服が……溶けてる?」
「元々は医療用の技術らしいよ。言っただろう? 見せしめって」
スライムが覆った部分が半透明な体を通して肌色になっていく。どんなペースかは知らんが最終的に全裸で宙吊りにされる哀れな不埒物の出来上がりというわけだ。むー! むー! と必死な様子の勇者ちゃんが身体を隠しも出来ていないあたり本当に辱めが目的らしい。
「勇者ちゃーん! 大丈夫かー!?」
「んー!! (大丈夫に見えます!?)」
「はは、何言ってるか分かんねぇや」
「んむぅ!? (ウーさん!?)」
無駄な時間を使っている間にも服はスライムに溶かされていく。上半身はともかくとして、元々覚悟の決まった角度の服だったから下半身は尊厳が保てるギリギリのラインだ。周囲で男共が盛り上がっている。
「んぅ!? ん! んー!」
段々とスライムの浸食が進んできて、『この辺は乳首ねぶりスライムがよく出てくるわ』という世界で2番目に有名なスライムについての説明を思い出した。このままだとそういう展開になりかねない。ちょっと声が艶っぽくなってきてるし。
俺の趣味云々は置いといても、ここで救出するのは顰蹙を買いそうだ……が、仕方ないだろう。これ以上他の男共に見せたくないし。そろそろ桜色が見えてきそうだし。
「『フリーズ』」
温度を奪って動きを鈍くする魔法……だが、こういう液状のモンスターには特攻だ。砕いて潰せるようになるからな。現に勇者ちゃんもなんとか彼女を捕らえていた部位を砕いて脱出している。
「勇者ちゃん、無事か?」
「ふ、ふふふ……」
ちょっと目がイっちゃってる。でもその格好だと怖いよりエロいが先に来るね。
「『セイクリッドハンマー』!」
「わお」
身の丈の……少なく見積もって二倍。それも比較的小柄な勇者ちゃんじゃなく俺の背丈を基準にして。
それだけの大きさの、光で出来た槌が。小気味のいい音を立てながらウォータースライム……改めアイススライムを砕いていく。デカい相手にはやっぱ打撃武器だよね。今は関係ないけど骨相手とかも。
「乙女の! 尊厳を! なんだと思ってるんですか!」
関所を無視して通ろうとした罰としては優しい方じゃないだろうか、なんて口にしたらあのハンマーに叩き潰される気がする。流石にただじゃすまなそうだから遠慮願いたいところだ。なにせそんなことを考えている間にもガッシャンガッシャンとスライム君は砕かれている。
「勇者ちゃん落ち着いて落ち着いて」
「ウーさん止めないでください! あいつ殺せない!」
「ウーさん言うな」
スライムの殺し方は核を潰すことだ。だからまあ、一見暴れてるだけの勇者ちゃんのこれも殺し方の一つではある……のだが。いかんせん相手がデカすぎる。バケツで池の水を全部汲みだすようなもんだ。理論上はできるが労力が割に合わない。
「……あんまり暴れると全部見えるぞ。桜色とか」
「桜……? ────!?」
おお、声にならない悲鳴。スライムの活躍で勇者ちゃんの今の格好はなんというか、服の残骸を身にまとってるだけだからな。凍ったその残骸が張り付いているからギリギリで隠さなければならない所が隠れているだけだ。
「……見えました?」
「なんなら今も隠しきれてないぞ? ……これでも巻いとけ」
取り出したるは……まあ、何の変哲もないマントだ。身体を隠すには十分だろう。
「よし。そんじゃあ……逃げるか」
「ウーさんなんかこう、いい魔法とかないんですか! あのスライムにこう……思い知らせてやれるような!」
「恨みが深すぎない? 減るもんじゃあるまいし」
ちなみにあるかないかで言えばある。代わりにここら一帯が更地になるが。
「乙女の尊厳が減りました!」
「大丈夫大丈夫。観客はとっくに逃げてるから」
具体的には勇者ちゃんがでっかいハンマーを出したあたり。野次馬なんて安全なところでしかしたくないよね。下手したら楽しんでた不埒な男としてあのハンマーに裁かれるのだから、そりゃあ逃げるってもんだ。
そんなハンマーに砕かれ続けた哀れなスライム君は再生中だ。幸いにもテイムモンスター殺しの罪は背負わずに済みそうである。安心したところでとりあえず勇者ちゃんを背中に担いで岸まで戻るとしよ──めっっちゃ柔らかいな……ありがとう、スライム君。
「……ウーティスさんも眺めてましたよね?」
背中から声。
「? ああ」
「……もっと早く助けられませんでした?」
「まあ、凍らせるぐらいなら」
やって見せた通りだ。倒すのは面倒でも色々やりようはある。
「なんでやってくれなかったんですか?」
「え、勇者ちゃんが気持ちよさそうにしてたから」
「~~~~!!」
後頭部を引っ叩かれた。ハンマーじゃなかっただけよしとしようか。
「結局振り出しに戻っちゃいましたね……」
岸で疲れた顔をした勇者ちゃんが呟いている。幸い……或いは残念なことに、きちんと用意してきた予備の服に着替えている。でも予備の服もハイレグなのはどうかと思う。そういう戒律でも持っているのだろうか、勇者ちゃんの言う女神様には。
「安心しろ。俺は最高に頭のいい方法を考えた」
「おお!」
勇者ちゃんの眼に輝きが戻った。やっぱり勇者ちゃんはこういう顔が似合う。大型犬みたいで。
「まず勇者ちゃんがさっきの服に着替えなおす」
「この布切れと呼ぶことすら憚られる残骸ですね!」
「そして衛兵のところにもう一回行く」
「ふむふむ」
「するとあの衛兵は絶対下卑た取引を持ち掛けてくるだろう」
「まあ……容易に想像できるのが嫌ですね……」
「そしたら勇者ちゃんはこう言うんだ」
「なんて言えばいいんですか?」
「『胸だけですからね!』って」
「『セイクリッドラン──』」
「待て、話し合おう」
お茶目なジョークだったのに。というかえげつないものを唱えようとしなかったか? 槍で串刺しは勘弁願いたい。まあハンマーも嫌だが。
「……冗談だ。とりあえずあの衛兵のところに行こうか。そんで耳を塞いで後ろを向いておいてくれ」
「わかりまし……これは信じていいやつですよね……?」
「当然。最高に頭のいい方法を思いついたって言ったろ?」
「あ、それは本当だったんですね」
失礼な。適当なことなんて10回に15回ぐらいしか言わないのに。
ともあれ俺たちは、再び橋へ……腐敗役人系衛兵のところへ向かったのだった。
「なんだまた来たの──ぶへらっ!」
鎧を着込んでいても人は吹き飛ぶものらしい。まあ兜を付けていなかった分軽かったのかもしれない。
「ウーさん!? いきなり何してるんですか!?」
「何って……気絶させただけだが……?」
また俺何かやっちゃいました? というか後ろ向いておけって言ったのに。
「まさか頭のいい方法って──」
「暴力」
ついでに書類偽造。通行許可のところに名前を書いておく。机を漁ったら出てきた目的の街への入門許可証も貰っておく。一緒に管理してるのね。
「20万払ったり勇者ちゃんが身体使うよりはいい方法だろ?」
「う……でも、流石に罪もない人を殴るなんて」
「ソイツに乳を強請られたこと忘れたか? しかもそのせいで勇者ちゃんは大勢に半裸を見られる羽目になったが……」
「全身の骨折っちゃいましょう!」
笑顔で物騒なことを言っている。まあ手のひら返しが早い子は大好きだよ。
ともあれこれにて目的達成。あとは衛兵を起こして少しばかり脅しつけておけば──
「……勇者ちゃん、癒しの魔法使えたよね?」
「え? はい。どうし──まさか」
「やりすぎちった」
「わーーー!!」
頑張れ勇者ちゃん。世界がどうかは知らないが、少なくともその衛兵の命は君にかかっている。