エロ同人RPG系勇者ちゃんVSヒロピン好きの俺VSダークライ   作:らっきー(16代目)

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闘技場でレベルマックスにするのは常識

 闘技場。これは異世界転生ものに限らず、ファンタジー要素があるゲームなんかじゃあ定番の施設だ。ものによっちゃあ物語の舞台になったりするし、そうでなくとも登場すれば経験値やら金策やらでお世話になりがちな施設だろう。炎の紋章なゲームで序盤でレベルマックスにしてみたり。

 

 さて、この世界における闘技場の立ち位置だが……無理やり例えるとするなら競馬場、だろうか。行われるのはレースではなく一対一だったりバトルロワイアルだったりの決闘だが、勝者を当てられれば賭けた金がそれなりの倍率になって返ってくる。それなりにルールも定められているから凄惨な殺し合いにはならない……という建て前もある。骨折ぐらいは普通にするし、運が悪ければコロッと死ぬが……まあそのぐらいはご愛嬌だろう。骨折ぐらいなら金さえ払えば治してもらえるしな。流石に死人の蘇生は無理だが。

 

「あの……入るだけで三日分の食費が消えたんですけど……」

 

「この街じゃあ一食分にもならないから気にするな」

 

「う゛……! 本当に破産しません? ここでお金稼げるのはさすがに嘘じゃないですよね?」

 

「失礼だな」

 

 大丈夫大丈夫。転生者嘘ツカナイ。実際人生一発逆転を夢見て本当に成功した奴だっているし。まあそのまま沈んでいった奴の数の方が遥かに多いのだが。

 

「ちなみに勇者ちゃん、今戦ってるあの二人どっちが勝つと思う?」

 

 入場時点で既にこの試合は始まっていたからもう賭けは締め切られている。だからこれはただの世間話だ。

 

「ルール次第だと思いますけど……普通に槍の人の方じゃないですか?」

 

「だよな」

 

 剣使いと槍使いの試合。剣道何倍段だかなんだか、とにかくリーチが長い武器の方が有利なのは言うまでもない。炎の紋章なゲームの相性的にも槍の方が強そうだし。斧と槍? 知らん。

 

「実際こういうところってルールとかどうなってるんですか?」

 

「殺したら負け、逃げ回って塩試合にするな、降参したら追撃禁止。……あとなんかあったかな」

 

「ますます長物の方が強そうですね……」

 

 結局試合は順当に槍使いが勝っていた。特に見どころもないつまらない試合だ。

 

「ちなみにこれって賭けてたらどのぐらい儲かってたんですか?」

 

「ん? あー……二倍らしいぞ」

 

「……稼ぐには効率悪くないですか?」

 

「はっはっは。そんな簡単に稼げるんなら今頃この観客席は満員だろうよ」

 

「それもそうです、ね……? やっぱ稼げるって嘘だったんじゃないですか!?」

 

「人聞きの悪い。賭ける額を増やせば稼げるぞ? 今のだって百万賭ければそれが二倍だ」

 

「外れたら?」

 

「マイナス百万」

 

 無言でどつかれた。まあ現実的じゃないよね。ゲームでよくあるミニゲームとしてのギャンブルならともかく、現実的には賭け事なんて胴元が一番儲かるようになっている。というか、そうじゃなきゃ興行として成り立たないよね。

 

「まあ落ち着けって。何も賭けるだけが闘技場の楽しみ方じゃないだろう?」

 

「もしかして──」

 

「出場するぞ……夜になってからだけどな」

 

「? なんか違うんですか?」

 

「まあまあ。それまで適当に暇潰そうか。ほら魔獣の肉の串焼きとか売ってるぞ」

 

「なんですかその体に悪そうな食べ物」

 

「でも安いぞ? 外で肉を食う百分の一ぐらい」

 

「わ、ほんとですね……腐ってたりしません?」

 

「それが意外とちゃんとしてるんだなあ。なんならMPも回復するぞ」

 

「えむぴー?」

 

 ちなみに魔獣と魔物の違いは死体が残るかどうか。魔物が普通の獣と交わって産まれた新種だとか、魔力を浴びることによって獣が変質したとか色々な説があるらしいが、そういうのはそのうち頭のいい学者さんが結論付けてくれるだろう。大事なのは普通の獣と同じように肉として食えることだけだ。

 

 勇者ちゃんにも一本渡してやればおそるおそると齧っていた……が、一口食べて問題なさそうと気づいたらしく、ペースを上げて食べ進めている。こういうところの軽食ってなんかおいしく感じるよね。

 

「ところで勇者ちゃん」

 

「ふぁんへう?」

 

 食べながら喋るんじゃありません。いや、話しかけた俺が悪いのだが。

 

「ここって人同士だけじゃなくて魔獣と人が戦ったりもするんだよ」

 

「ほうなんへふね」

 

 勇者ちゃんはお肉が気に入ったらしい。MPが回復する分美味しく感じるとかあるのだろうか。魔獣のお肉はジッサイアンゼンです。

 

「そんで魔獣が人の手足を食いちぎったりもするんだけど……人を食った魔獣の肉を食べたら、間接的に人を食べたことになるのかねぇ」

 

「……」

 

 試合で殺された魔獣の肉を使っているからここの軽食は安いのである。魔獣を連れてくるのもむしろ引き取り料をもらっているらしいし。

 

「勇者ちゃん?」

 

 真剣な顔で食べ終えた串を見て──投げつけて来た

 

「なんで食べちゃった後にそういうこというんですか!?」

 

「おお」

 

「おお、じゃない!」

 

 

 

 

 

「……それで、結局お金はどうするんですか。なんかちびちび賭けてたみたいですけど」

 

 まだちょっと怒っているのか、態度が少し刺々しい気がする。ちなみに今行われているのが最終試合。昼の部の、だけど。

 

「ちびちびじゃないぞ? 全財産だ」

 

「いくら儲けたんです?」

 

「全部スった」

 

「バカじゃないんですか!?」

 

 全財産賭けたのは流石に嘘だが、全部スったのは本当だ。複数人での戦いとかになると誰が勝ち残るかなんて分かんないね。

 

「……てなわけで、今から出場して金を儲けてくる。勇者ちゃんは全財産俺に賭けといてくれ」

 

「夜の部でしたっけ。昼と何が違うんです?」

 

「見てれば分かるが……まあ、色々と過激なだけだ」

 

 

 

 夜の部は人と人の戦いの真似事ではなく、魔獣と人との生存競争が行われる。それでまあ、連戦していくうちに段々と消耗していく剣闘奴隷を金持ちが酒片手にニヤニヤと眺める悪趣味な見世物なわけだ。

 

 基本的には人気が無かったり弱かったりで使い物にならない奴の最終処分場のようなものだ。時々高値で売られた女の子が出場したりもするが……こっちの方が悪趣味だな。どうなるかは気分が悪くなるだけだから割愛。賭け方が何勝するかでなく何分生き残れるかになるとだけ言っておく。

 

 しかしまあ、どこにも自分ならうまくやれると勘違いするバカはいるもので。そういう奴のために自分から身売りしてこの見世物になることもできる。勝てば目もくらむような賞金。負ければ惨めに死んで金持ち共のツマミになるだけ。

 

 当然そんなイキりバカを金持ちはニヤニヤと見ているわけなのだが──

 

「ほんとに儲かりましたね……」

 

「だから稼げるって言っただろ?」

 

 チート転生者の出場を許す方が悪い。こちとらライオンの頭にヤギの胴体、蛇の尾を持つ怪物だろうと素手で引き裂けるのだ。流石に多腕の巨人まで出てくるとは思わなかったが。別名処刑試合と言われるだけのことはある。ヘカトンケイルなんてどうやって連れて来たんだか。

 

「闘技場の人泣いてましたよ?」

 

「傑作だったな」

 

 お願いですから賞金を受け取って二度と来ないでくださいと懇願された。まあ魔獣また集めなおしだもんな。可哀想に。

 

 賞金プラスの、趣旨は変わったけれど盛り上がった暗黒金持ちからのおひねりでかなり儲かった。とはいえこの物価の高い街ではしばらく余裕とも言い切れないのが恐ろしい所だが。

 

「とりあえず活動資金は大丈夫そうですけど……これからどうしましょうか」

 

「女神様はなんか言ってくれないのか?」

 

「この街に魔石があるとしか……」

 

「役に立たないな……」

 

「不敬ですよ!?」

 

 まあでもこの手のって大体街のトップが持ってるのがお約束だよね。もしくはトップを脅してる知性のある魔物とか、大臣的な存在が領主を追い落とそうとしてるとか。魔物が魔石の力で化けてるってパターンもあるか。

 

「まあとりあえず今日は寝よう。宿探すぞ宿」

 

「それは異論無いんですけど、なんで大通りから遠ざかってくんですか? あっちの方にいっぱいありましたけど」

 

「お前今日の稼ぎ一日で溶かす気か?」

 

「……そんな高いんですか?」

 

「──Gする。平均でな」

 

「ひぇ……」

 

 その分サービスは凄いんだけどな。金さえ積めば文字通りに手足を使わずに生活させてもらえる。むしろ精神に悪い気もするが、そういうのを喜ぶ成金もいるんだろう多分。

 

「じゃあこっちは安い宿でもあるんです?」

 

「まあそんなとこだ。……ちょうどいい。そっちの路地覗いてみろ」

 

「? はあ……?」

 

 言われた通りにとてとてと向かっていき……すぐに戻ってきた。

 

「ウーさん! ウーさん!」

 

「ウーさん言うな。どうだった?」

 

「えっちな格好の女の人がいっぱいいました!」

 

 この街が人気な理由の一つでもあり、やたらと全てが高い理由の一つでもあり、金を持ってる男共がこの街を拠点にしがちな理由の一つでもある。

 

「娼婦のお姉様方だな。手っ取り早く金を稼ぎたくなったら弟子入りしてくるといい」

 

「しませんよ!?」

 

 でも勇者ちゃんの格好はえっちさでは負けてないと思うよ……なんて余計なことは口にしない。ハイレグアーマーなんてものを着てるとはいえ、肌面積は一応勇者ちゃんの方が狭いんだけどな。やっぱ形が色々と分かるのが良くないのだと思う。

 

「ということで今から宿に行きます」

 

「なんで敬語……というか、なんで私えっちなお姉さん見せられたんですか?」

 

「そういうの見たいお年頃かなって」

 

「~~~~!!」

 

 金属製のブーツで脛を蹴るのは反則だと思う。普通に痛いぞ。

 

 

 

「お、兄さん随分上玉連れてんなぁ」

 

「まぁな。……部屋は空いてるか?」

 

「泊りなら5000。飯が欲しけりゃプラスで1000貰う」

 

「じゃあ6000で」

 

「毎度あり。……ああ、あとあんまり汚すようなら別料金だ」

 

「あいよ」

 

 宿の受付とのやり取りを済ませて鍵を貰う。別に何かするわけでもなし、宛がわれた部屋へと向かった……のだが、道中様々な声をかけられた。いや、俺じゃなく勇者ちゃんの方がだが。具体的には『嬢ちゃんいくらだ?』とか『次は俺に買われてくれないか?』とか『冒険者プレイ……ありだな』とか。最後はなんか違う気がするが。

 

 まあ大体は「今は俺の相手をしてるんだから」と言えば納得して引き下がってくれたから問題はない。流石に接客中の相手を買おうとするほどの剛の者はそうはいないだろう。

 

 そうして入った部屋はごくシンプルな作りで、ベッドが一つに最低限のスペース。壁も薄いのか隣の部屋から若干嬌声が漏れ聞こえてくる。

 

「あの……すごく聞きたくないんですけど、この宿って……」

 

「連れ込み宿」

 

「ああ、だからこの辺えっちなお姉さんが多かったんですね」

 

「まあ、路地で買ってここに連れ込むのが定番だな」

 

 路地裏でそのままする強者もいるが。或いはそういうのが好きな変態とも言う。

 

「いや、平然となんてところに連れてきてくれてるんですか!?」

 

「?」

 

「なんか腹立たしい顔してる……!」

 

 だって安いから……と答えたら納得してくれるだろうか。実際サービスが無い分この街には見合わないほど安いんだが。その分衛生面とかにも期待は出来ない。長居するには向かない宿だ。ついでに防犯も期待できない。女性一人で泊ったら知らない男が入ってきたなんて話があるぐらいに。受付はそういうのを止めてはくれないぞ。

 

「あ、勇者ちゃん。これだけは言っておきたいんだが」

 

「なんですか真面目な顔して」

 

 ベッドは部屋に一つ。代わりに使えそうなソファだとか、そんな上等なものはない。だから必然二人で一つを使うことになるのだが。

 

「俺が寝てるからってやらしいことするなよ?」

 

「それ絶対私のセリフ!」

 

 ガントレットを付けた腹パンは流石に痛い。新しい学びを得た一夜になった。

 




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