エロ同人RPG系勇者ちゃんVSヒロピン好きの俺VSダークライ   作:らっきー(16代目)

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評価に赤色付きました。ありがとうございます


奴隷市場は男も売りなさい

 商売をする時に売り物を1つ選ぶなら何にするだろうか。

 

 大航海時代には香辛料は同じ重さの黄金と取引されたという。航海というリスクは大きいとはいえ、軽くて運びやすい価値の高い物はそのリスクを飲んでもなお儲かるものだったのだろう。現代人としてはスーパーで簡単に買えるものというイメージではあるが。

 

 貴金属や宝石は現代でも鉄板の商品だ。金は安定した資産……どころか暴騰していたし、宝石は人が見栄を張る癖が無くならない限りは需要があり続けるだろう。レアメタルなどまで含めれば文明がある限りは安泰だろうし。採掘の技術があるならという但し書きは付くが、商品としては分かりやすくネタにできる。

 

 或いは依存性のある物もいいだろう。分かりやすいのは薬物や酒、タバコ。一度嵌れば値段が上がっていっても辞められなくなるのだからいい金蔓と言うしかない。一部では砂糖なんかも依存性の強い物として挙げられているらしい。まあ三大欲求に繋がる物は大体依存性が強いし、需要も無くならないだろう。

 

 ……などと色々例を出してはみたが、個人的には一択で、人を売ることだと思っている。

 

 古くは奴隷貿易。船にぎっしりと人間を詰め込んで出荷していたのは有名な話だろう。

 現代では……まあ具体例を挙げると角が立ちそうだからやめておくが、労働力として紹介してピンハネするビジネスが大手を振って存在しているのが分かりやすいだろう。

 

 ファンタジー世界だと性が頭に付く奴隷のイメージが強くなってしまっているが、労働を強制的にやらせるというのはそれだけでビジネスになるのである。なにせ紹介で十分な金を得られるうえ、それさえ済めば後はピンハネを続けるだけでいいのだから。

 

 

 

 

 

「力仕事が面倒だと思ったことは? 魔物退治の前衛が欲しい? それならコイツにお任せ! 値段は──」

 

「家のことが心配? 家事が面倒? それなら──」

 

「魔法使いを加えるもよし、教師として教わるもよし──」

 

 呼び込みの声がやかましい。商品の大体は借金のカタに身体で金を返す羽目になった連中だから特に同情には値しない。金を持たずに金が必要な所に来るのが悪いのだ。

 

「……なんか、思ってたより綺麗ですね」

 

「襤褸切れしか着てない薄汚い奴隷を想像してたか?」

 

「まあ、取り繕わずに言えば……」

 

「表通りの奴隷はこんなもんだぞ? 商品を汚くしても売れないしな」

 

「それはそうですね……え、裏通りは?」

 

「ま、目当てはもっと奥だ。さっさと進もう」

 

「あの、裏通りは!?」

 

 奴隷が薄汚いイメージははたしてどこ由来なのか。前世的には大航海時代後の奴隷船あたりから来てるとは思うのだけど、勇者ちゃんもそういう認識だったということは多分この世界でもパブリックイメージはそうなのだろう。

 扱いが良い身綺麗な奴隷は店員とか普通のパーティメンバーと区別がつかないからだろうか。まあ現代でも派遣社員と正社員を傍から見ても見分けらんないもんな。

 

 力仕事用、家事用、冒険者の荷物持ち要員。別にそういう奴隷を買いたい訳じゃないから無視して奥へと進む。羽振りが良くなった奴隷商として教えて貰った奴は裏通りの奥の奥に居る奴らしい。つまりは目をひそめられるような商品を取り扱っているということだ。

 

「……なんか私がイメージしてたのってこんな感じです」

 

「まだマシな方だぞ?」

 

 片腕が欠損した元冒険者。刺青を入れられた犯罪者。多分訳ありなのであろう若い女性。まあマトモな用途で買う奴は居ないだろう。

 

「こういうのって誰が買うんです……?」

 

「暇を持て余した金持ち。若い女は……勇者ちゃんにはまだ早いからやめときなさい」

 

「いや、買いませんよ?」

 

「それは良かった。助ける為にって買おうとするんじゃないかと」

 

「いや……まあ、勇者としてはそうするべきだとは思いますけど……私も流石にそこまでお人好しじゃないといいますか……犯罪者とかまで助けるほど私も善人じゃないといいますか……」

 

「お、意外。でもま、そりゃそうだわな」

 

 誰かを助けるのは誰かを助けないということ、なんてセリフもあったけれど。冒険者なんてやってれば嫌でもそれを実感することになる。

 

 1つ依頼を受けるということは他の依頼を受けないということ。困っている誰かを助ける為に他の困り事を見過ごすということ。ちゃんと理解してくれていて何よりだ。

 

「まあ気に病む必要も無い。奴隷制度が許せないとか言い出すならまた別だろうが」

 

「そこまで考えたこともなかったですね……そもそも身近に奴隷とか居ませんでしたし」

 

「村の出って言ってたもんな」

 

 身の回りの世話をさせるとか、こき使える従業員が欲しいとか、裏切らないパーティメンバーが欲しいとか。何かしらの目的と金の余裕が無ければ奴隷なんて買いはしない。そもそも村じゃ売ってないだろうしな。子供を売り飛ばす親の方なら居るかもしれないが。

 

「でも剣1本での剣闘奴隷からの立身出世物語とかは好きでしたよ、夢があって」

 

「勇者ちゃん本とか読めたんだ……」

 

「馬鹿にしてます?」

 

「いや、そんな暇あったら外で魔物狩りとかしてそうだなって」

 

「人の事野蛮人だと思ってません!? そこはせめて男の子と遊んでそうとかそのぐらいじゃないですか?」

 

「それはイメージ通りかもなぁ……」

 

 無自覚に初恋奪いまくってそう。いや、幼少期から発育良かったのかは知らないけど。どっちみち距離感ナチュラルに近いしな。男子の間で協定とか出来てそう。

 

「ん、そろそろ着く……前に勇者ちゃんはこれ着ときなさい」

 

「なんですこれ……外套?」

 

「頭から被っときな。絡まれるから」

 

「……一応私達買う側なんですよね?」

 

「勇者がこの辺の奴隷買うなんて広まったら今後に関わるぞ」

 

「え、どんなのが売られてるんです? この辺は」

 

「まあまあまあまあ」

 

「……もしかして来ない方が良かったやつですかこれ」

 

「帰ってもいいが……女神様のお告げはGOサイン出してるんだろ?」

 

「うーん……多分?」

 

「なんだそりゃ。俺だけで行こうか?」

 

「いえ、乗りかかった船ですし……一種の社会勉強ってことで」

 

 

 

 入り口の方ではあった活気なんてものは裏通りの奥には存在しない。『商品』は絶望に染まっているし、売り手も声をかけてはこない。多分お忍びで来てる人が多いからだろう。貴族の坊っちゃまとか、なんでわざわざ自分で来たがるかね。

 

 商品の見本として時折並んで……いや、並べられているのは、魔物に呪われた人だった物。なんたらとかいう奇病に罹った男か女かも分からない人間。前世の基準で言えば義務教育も終えていないような年齢の子供。『格安』を示すスラングを書かれた板を首から提げている少女。

 

「……」

 

 声も出さず顔も覆われている勇者ちゃんが何を思っているのかは分からない。果たしてロクでも無さの許容範囲はどこまでかね。正直奴隷という制度自体にブチ切れてもおかしくは無いんじゃないかと思っていたが、そこはまあ異世界故の常識の違いだろう。だからこそどこまで許容するのかが分からなくなっているのだが。

 

 

 

「──悪いが、ウチの商品は全部売約済みだ。別の店に行ってくれ」

 

 目的の店に入った途端に言われた事はそんな事だった。羽振りがいいというのは少なくとも間違ってはいないらしい。

 

「ああ、そりゃ悪かった。ところで、ここの店はどんな商品を?」

 

「言う必要があるか? まあいい。ガキだよ。男女問わず、孤児を集めて売り捌いてるんだよ」

 

 転売ヤーは孤児も売る時代か。恐ろし……くもないか。金持ちは子供を食べたり犯したりするって言うしな。

 

「ちなみに誰が買うんだ? 貴族様か? 教会の神父様とかか?」

 

「神父はむしろ商品の仕入れ先だな。悪いが、顧客の事を話す気は無い。ウチも信用商売なんでね」

 

「そらそうだよな。……こっちも先に謝っておく。悪いな」

 

「は?」

 

 議論だなんて野蛮なことをしている暇は無いし、儲かっている相手に通じるほどの賄賂を出すのも面倒だ。だったら暴力が1番早い。

 剣も何も武器は無いが、素手で人を殺せるぐらいにはチートボディだから問題無い。

 

「あんた、利き腕は?」

 

「何を──」

 

 多分右利きだろう。知らんけど。奴隷商人の左腕を思い切り握ってやれば、ぐしゃりと肉と骨が潰れる音がした。

 

「誰に売ったんだ?」

 

「い、言えな──」

 

 右腕。両方潰すなら利き腕聞く必要も無かったな。

 

「昔、賭けをした事があってな。1つずつ骨をへし折っていくんだ。それで何本目から『やめてくれ』が『殺してくれ』に変わるか賭けるんだが……俺はそれが弱くてな。変わる前に殺してしまう。……で、誰に売ったんだ?」

 

「う、ウーティスさん!」

 

「あ? あー……悪いな、嫌なもん見せて。勇者ちゃん、外に出ときな」

 

「い、いえ、そうじゃなくて。あれ……」

 

 勇者ちゃんが指差す先にあるのは『商品』。具体的に言うなら第二次性徴を迎えていない少年少女。身なりはいいし、痩せ細って飢えているなんてことも無い。ただ。

 

「欠損、火傷跡……薬品で溶かされたのもあるのか? ……店主さん、商品の味見をさせたんだろ? どんな声で鳴くか紹介しなきゃいけないもんな?」

 

「この店って……」

 

「楽器屋。人間製の。……いや、そうだよな。勇者ちゃんを連れてくるべきじゃなかったな。何やってんだ俺は」

 

 こういう虐めは管轄外だ。勇者ちゃん顔青ざめちゃってるし。言い訳をさせてもらうなら、店に入るまでは単純なぺド向けの奴隷商だと思ってたんだ。まさかリョナラー向けだったとは。そもそも表通りまでで帰しとくべきだったな。奴隷に抵抗無さそうだったからこっちも気遣いが足りてなかった。

 

「……勇者ちゃん、その子達に回復魔法かけておいてあげて。気休めにはなるだろうから」

 

「……私もそっちを──」

 

「ダメ。こういうのはお兄さんがやるもんだから。勇者ちゃんみたいな若い女の子がやるもんじゃないんだよ」

 

 やだよ勇者ちゃん闇堕ちルートとか。闇堕ちして衣装がエロく変わるのは大歓迎だけど。でもハイレグアーマー以上のエロ衣装ってなんだろな? 

 

 渋々なのか子供達の方へ行ってくれた。まあさほど広い店内でもないから声……というか悲鳴は聞こえてしまうだろうが、それは仕方ない。勇者ちゃんの手が綺麗であることが重要だ。

 

「顧客について話す気になったら何時でも言ってくれ。骨が無くなったら次は手足を引きちぎるから……まあ、失血死しないうちに頼む」

 

「待て待て! 話す! 話すから!」

 

「やっぱ暴力は世界共通言語で助かるな。で? どっかのボンボンか? 旅人……はこんな大荷物は買わないよな」

 

「……領主様だよ。この街を治めてる領主。最初は摘発しに来たのかとビビってたが、今じゃあここ以外の所でも大口顧客だ」

 

「……へぇ?」

 

 まあ欲望の街の領主が闇堕ちしてるとかエロRPGじゃありがちか。炎の紋章な闇のオーブも国王を闇堕ちさせてたもんな。そこまでのお偉いさんとなると、とりあえず勇者ちゃんと今後の方針を考えないとか。これで魔石関係無いただのサイコパスだったら……まあその時はその時か。

 

 ……というかこの世界、王族は大丈夫なのかね? 下手したら闇堕ちして戦争ふっかけまくるコースとかありそうなんだが。

 

 




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