・基本構造
本作における宇宙は、観測ネットワークによって存在が保証される構造を持つ。
観測は因果に対して未来方向にのみ行われ、収束した過去は単一の履歴として固定される。
存在と観測は分離されており、過去の事実は変更できないが、観測を通じて整合的な再現を構築することは可能である。
また、観測ネットワークとの整合性を失った存在は、認識論理深度の低下を経て消滅する。
・アンカー分類
※ただし以下の解説において、現在位置X=0をTとする。
◇絶対定義アンカー
宇宙の物理法則および存在定数を定義する基準点。
認識論理深度は+FFFE付近にあり、相対位置は観測基準に依存せず定義されるため、同一の座標系上には直接配置されないが、参照関係を通じて間接的に位置づけられる。
名前が示す通り、宇宙内部から変更することは不可能。
◇絶対不可逆アンカー
分岐宇宙の観測コストが飽和することを防ぐため、収束できた履歴のみを観測対象とする際に成立する境界点。
観測系において「それ以前の分岐がすべて収束済みである」と確定した地点であり、この点より過去は単一の宇宙履歴として扱われる。
このアンカーは観測系によって選別された結果として確定するが、一度確定した後は観測系に依存しない存在保証基盤として振る舞う。
なお、依存消滅点アンカーの循環参照構造を通じて、その存在は未来方向から間接的に整合的に再構成されうるが、これは存在そのものではなく論理的な参照である。
※重要な補足
確定した事実があることと、それを観測できることは別である。観測は依存消滅点アンカーによるネットワークを通じた循環参照によって可能であり、直接的なアクセスではない。そのため観測結果をもとに整合性を満たす範囲で再現を構築することは可能である。ただし、確定した事実そのものを変更することはできない。
◇未定義アンカー
依存消滅点アンカーとしてまだ定義されていない分岐直後のアンカー。
未定義アンカーは、依存消滅点アンカーへ遷移可能な前段階のアンカーであり、観測ネットワークへの接続によって依存消滅点アンカーとして再定義される。絶対不可逆アンカーを参照していること、絶対定義アンカーを参照していること、自分自身を観測していること、という最低要件を満たせば、分岐発生点以降かつ収束点以前の区間(T≧0)に存在できる。
未定義であること自体は依存消滅点アンカーのネットワーク接続とは無関係であり、存在の成立条件には影響しない。
ただし観測ネットワークに接続されていないため存在保証は弱く、長期的には依存消滅点ネットワークへ接続されるか、認識論理深度が低下して消滅する。
◇依存消滅点アンカー
分岐した宇宙が形成する観測ネットワークに存在するアンカー。特にその中で「可逆点」でも「基準点」でもないアンカーのこと。
現在地点Tから未来方向(T≧0)に存在し、かつ(T>0)を満たす収束点に至る区間内に無数に分布する。他のアンカーとの観測関係によって存在が保証されており、この観測ネットワークから切断されると消滅する。
また「絶対不可逆アンカーを参照していること」「絶対定義アンカーの定数範囲内にいること」の条件を満たさない場合も存在できない。循環参照構造により、直接観測することなく過去(T<0)方向に存在する絶対不可逆アンカーの存在を論理的に再構成できるため、その存在証明としても振る舞う。
共通因子基準点アンカーの存在を証明するための「定義用依存消滅点アンカー」や、10^5以上の依存消滅点アンカーの存在証明ノードとなった「多重依存消滅点アンカー」など用途によって名称が異なる。
◇可逆点アンカー
あるアンカーから複数の分岐経路が存在する場合において、それらの経路がいずれも観測ネットワークの整合性(共通因子・定数・因果位相)を維持したまま同一の収束点へ到達する性質を持つとき、分岐の起点として機能し、かつその分岐構造全体が可逆性を持つことが確定しているアンカー。
この性質により、当該アンカーを経由する分岐は可逆であり、異なる経路を辿った場合でも同一の収束点へ再到達することが保証される。
◇相対定義アンカー
依存消滅点アンカーのうち、三女神が観測している宇宙(T=0かつ認識論理深度0を満たす宇宙)と相互参照関係を持ち、その存在を保証しているアンカーまたはアンカー群。
この相互参照存在保証型宇宙においては、相対定義アンカーの存在数が観測ネットワークの安定度に影響し、その結果として認識論理深度に影響を与える。
◇共通因子基準点アンカー
未来の収束点に対して過去側に位置する依存消滅点アンカーのうち、特定の条件を満たす共通因子を持つアンカー群の中で、最も安定した存在保証を持つ基準アンカー。その安定性の結果として高い認識論理深度を持つ。現在世界の認識論理深度を維持するための基準点として使用される。
◇非依存消滅点アンカー
依存消滅点アンカーが構成する観測ネットワークに存在するアンカーのうち、消滅処理の対象にならないアンカー群。これらは宇宙の存在保証や構造維持に関わるため、収束過程においても認識論理深度を-FFFFへ沈める対象とはならない。観測ネットワークから切り離された場合、特定条件下に限り独立した観測対象として再定義される。
・状態量について
◇認識論理深度
任意のアンカーがどれだけ安定した観測ネットワーク内に位置しているかを示す指標。
本観測系は因果方向に対して未来方向のみを観測対象とするため、認識論理深度は未来方向に展開される観測ネットワークの構造に基づいて決定される。
単なる観測関係の数ではなく、共通因子・定数・因果位相の整合性を含めたネットワーク全体との整合度によって決定される。範囲は概ね +FFFF から -FFFF の間に分布する。
絶対定義アンカーのように宇宙全体の存在定義の基準に近いアンカーほど高い値を取り、逆に観測ネットワークから切断されるか、定義条件を満たさなくなったアンカーは負の方向へ遷移し、最終的に -FFFF に収束する。
◇因果位相
任意のアンカーにおける因果連鎖が、未来方向に構築される観測ネットワークおよび収束構造と整合しているかを示す離散的指標。
値は通常 +1 または -1 を取る。
+1 は因果連鎖が収束方向と一致し、観測ネットワークと整合している状態を示す。-1 は因果連鎖が収束方向に対して反転しており、共通因子・定数系との不整合を引き起こす状態を示す。
因果位相が -1 の場合、認識論理深度は急激に低下し、共通因子の汚染や収束失敗の原因となる。
本作の設定は、物語の裏側で一貫した構造を持つよう設計しています。
ただし、そのすべてを本文中で明示することはしていません。
読者ごとに異なる理解や解釈が生まれる余地も含めて、この作品の一部だと考えています。
考察や解釈の共有は歓迎します。
どのように読み取られたかを見ること自体が、作者にとっても重要な観測です。