今回は決戦後の出来事に繋げる間の回。少しハッチャケてますが本人たちはいたって真面目です。天然や唯我独尊が混じってるだけで真面目です。
時はわずかに遡り。
「――叩き切れ」
「ヤダ!! これ持って帰る!!」
「馬鹿か貴様!! こんなデカブツ、運び出せてもどこに置く!? まさか
「俺の部屋の窓際に置く!!」
「銀の屋敷の前はもっとやめろ!! そもそも門を通り抜けられる大きさか!?」
「……じゃあ土地を買ってそこに安置する!!」
「なんだその意固地は!? 普段の引け腰はどうしたのだ!?」
しばらく寝転がって体力を回復させたヘディンとヘグニは沈黙したロボットの前で言い争いをし始めた。始めたが時間が惜しいヘディンは怒りを抑えて一言目に告げた言葉の意味を伝える。
「戦闘中に言っただろう。
「……………あっ」
「わかったならさっさと中身を開けて生死を確認をするぞ! もし生きていれば捕虜にしてこいつの動かし方でも聞け!」
「なるほど!」
付き合い方、と言うより扱い方に慣れたヘディンの言葉に納得したヘグニはロボットへ駆け上っていく。巨剣を振り下ろした体勢で安定した足場はないが第一級冒険者にとっては遊具程度の物だ。
ヘグニはヒョイヒョイっと登ると胴体部分を観察する。戦闘中、この部分に
「ん?」
すると人で言う横腹に当たる部分、突起物が付いた円盤らしきものがあった。一度反対側を確認したが同じ物はなく、他の部位にも似た物がなかったので特に気になった。なので突起物を掴んで弄り始める。ガチャガチャと回りそうで回らない。引っ張ってみても外れたり伸びたりはしない。ここでこれがドアノブのようなものなら、と考えたヘグニは物は試しにと押しながら回してみる。
それは見事的中して動き、90度の所でカチリと手応えがあった。
ビーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!
「うわっ!?」
突如として鳴り響いた音に驚いて落ちそうになったヘグニだったがすぐに捕まり、ぶら下がる形だが落下を回避した。その間にも音は鳴り、そしてゆっくりロボットの胸部が動いて、開いていく。
「ほぉ」
ヘディンが興味深そうに眺めながら事の流れを待つ。ヘグニは間近で動くその様子に胸の内で興奮していた。そして花開いたかのようにロボットの胸が広がると音も鳴りやんだ。
「ヘグニ、さっさと中を確認しろ」
「うん、任せて」
少し興奮気味にヘグニはロボットの開いた胸の中に入っていく。ヘディンは時間はかかるだろうと腕を組んだがそんな予想を外してヘグニが出てきてロボットから降りてくる。予想が外れた苛立ちと事が早く済みそうと思う相反する感情が混ざっていたが、そこはすぐに後者へと天秤を傾けた。
「早かったな。
「いや、それが……、
「何? 無人だったのか?」
「いや、中は椅子があったから人が座るのは確かだと思う。それと『これを取れ』って書いてあった、なんか片方がベタベタする帯にこれがくっ付いていた」
ヘグニはそれをヘディンに見せる。箱のような物だが変な突起物が多く、それぞれに違うマークが描かれている。そこに加え、手書きしたような文字と矢印があり、『ここを押せ(※まさかエインヘリヤルがビビる訳ないよな?)』とあった。ちょっとイラっと来た。
「押すぞ」
「うん」
ヘディンの言葉にヘグニはあっさりと従う。少しは警戒しろと言いたいが片方は挑発された事で、もう片方は好奇心で躊躇う事無く矢印先の、三角形を横にしたマークのある突起物をカチリと押した。
『―――アー、アー。よし。まずは勝利おめでとう。そしてこれは音を保存できる魔道具みたいなものだ。つまり過去の声だ。俺はここにはいない』
突起物を、再生ボタンが押されたことで録音されていたカロンの声が発せられる。ヘグニは驚いて思わず落としそうになったがヘディンがその腕を掴んで回避する。
『ただこのロボット、『ブロンテス』を動かしていたのは間違いなく俺だ。
「契約?」
「黙って最後まで聞け」
つい声が漏れたヘグニを諫めるヘディン。
『ディース姉妹が俺を襲撃した話は聞いてるか? 問題はその事実なんだが、俺がエレボスへの恩義でこの戦いに参加した形である以上、
ここまで聞いてヘディンは背景を理解する。
『……独白だと長々と話しちまうな。とにかく俺はディース姉妹の代わりに戦った訳だが万が一、死亡や捕縛を避けるために最初から身は隠させてもらった。またオラリオに来る際には、まぁ『ブロンテス』の今後でも聞くとするわ』
「大事にします」
「だから黙って聞け」
やけにキリッした表情で答えたヘグニをまたヘディンは諫めた。
『ついでに言っておくがよく調査もしない道具を勘で動かすのはオススメしないぞ。下手をすると壊すからな』
「……ッッッ」
その補足にヘグニはまた何か言いそうになったが、三度目となればちゃんと自制することが出来た。よってヘディンも何も言わなかった。
『さて、言いたい事はあるがそこは俺個人の感情だからそれを最後にして吐き捨てようか。―――俺はエルフが嫌いだから次に会ったからその顔をぶん殴るから。じゃあな、最優種族と言いながら里に出てこない引きこもりの未開文明種族共が』
そこまで語ると押したスイッチがカチリを元に戻った。
ヘディンとヘグニは最後の一言で沈黙してした。明らかな種族差別だが、これに短気を起こすには否定できない事実が2人にあったからだった。
―――こっちがまだ見ぬその
「あー、負けた。クソ、チクショウめ」
「―――クソ甘い!」
しかし濃いと思っているので懐かしんだ時か氷入りじゃないと飲まないタイプである。今回は気を紛らわす為に飲んだだけである。それでもちゃんと飲み干した上で空き缶も捨てずに回収する。ごみ捨てマナー云々よりアルミ缶が転がっている事実が問題になる為である。
「白黒にコーラバケツで顔にぶっ掛けたい」
それでも物足りなかったようで最後にまた悪態を吐いた。しかし魂は100年近く経っても子供じみた感情は消えきれないのは、ある意味で人間身があるとも言えるが。
そこでようやく心が安定したカロンは他に痕跡を残していないかを確認し、何もないと判断すると廃墟から出て建物の屋根に昇る。ある戦いを見つけるためだった。
それは案外、簡単に見つかった。
「ハデにやってるなぁ、ラフィアの奴」
見るよりも聞こえた爆音と銃撃音でその戦場へ視線を向けたカロンはすぐにそこへ向かった。
そして現在である。
「胴体に一太刀。【
「そうですね。不満げな顔で私の技を盗むくらいでしたから」
「それプライドを刺激してるぞ? それで、まだ動けるか?」
「動けますが先に『サリエル』を外します」
「まぁ修理しないといけないしな。と言うかお前、フィールドを切ってたのか?」
「まぁ、対等にと思いまして」
2人が話している『フィールド』と言うのは『プラズマ・フォースフィールド』と言う磁場のバリアみたいなものである。有限エネルギーを使っているがこれが展開されている間は高速移動のGや攻撃を緩和する役割を果たす。しかしラフィアは今回、こちらが有利すぎると言う判断でオフにしていた。最もこれはアンドロイドであるラフィアだったからできた事であり、生身の人間では高速移動のGで潰されたりするので普通はオフにする機能はない。言ってしまえば『サリエル』は違法改造である。最も、『違法』と呼べる法はほぼないに等しいもであったが。
とは言え、今は関係ない事情はともかく、ラフィアは寝転がったまま『サリエル』を外す。そうして彼女は起き上がり、対して寝たままの状態である『サリエル』をカロンが回収する。
「地下に隠れるぞ」
「はい。……っ」
駆け出そうとする2人だったがラフィアが肩膝を落として座り込んだ。すぐに立ち上がったがカロンは立ち止まり、彼女の身体に刻まれた傷を睨む。
「……いったんお前も俺の能力で運ぶ」
「すぐに出してくださいよ」
「ああ。お前にはまだする事があるからな」
すぐに意思疎通を行い、ラフィアが伸ばした手を掴むと同じようにその姿が消えた。
カロンはすぐにその場から再び駆けていく。1人ゆえにその身は自由で、それこそ
カロンはその扉を開けて中へ入っていく。
「―――おかえりなさい、カロン様」
「ただいまって言えるほどの拠点じゃないけどな」
「でもこの浄水器、下手をすれば世界でトップですよ?」
「まぁそれはそうだな」
「
出迎えたのはリリルカと大勢の野良猫たちだった。コルフがいないと思ったらキャットタワーの一番上で寝転がっていた。
ここは今日の決戦より前に密かに設置した隠れ家、ではなくオラリオの野良猫たちの為に残した避難所のようなものだった。キャットタワーだけではなくクッションもあるしこっそりオラリオの上水道に繋げた前世の浄水装置で綺麗な水が飲める。食料は流石におけなかったがそこは野良猫たちに頑張ってもらおう。
「……ラフィア様は?」
「能力で運んできた。今出すから壁際を空けてくれ」
「
ラフィアの事を尋ねられてすぐに答え、カロンが近づほうの猫たちが一斉に場を空ける。そしてその人一人分のスペースの場所に能力にしまっていたラフィアを再び出した。
「……到着しましたか。あっ、リリさん。ご気分は―――」
「って、体に一直線の太刀傷があるじゃないですかぁ!?」
「ご心配なく。見た目が派手で内部はそれ程ではありません」
「冷静!?」
「騒ぐな騒ぐな。それよりもラフィア、さっき動きが悪かった原因を探るから上を脱げ」
「カロン様も女性に何言ってるんですか!?」
「ラフィアはアンドロイド、言わば人形だぞ。
「あっ、いやそれも……。ん? ソッチ?」
「
「ボフッ!」
ラフィアの大怪我に動揺していたリリルカだったがその騒ぎで起きたコルフに顔を覆われる。そんなモゴモゴとしている間にラフィアが上着を脱いで、より斬られた跡をカロンは診断を始める。
(見た目は人工皮膚と装甲を裂かれて内部には問題なさそうだが、膝を付いた事を考えると伝導系に異常がありそうだ。だがこの傷の大きさだと首から下を確認しないとダメだな。フルメンテをする時間はないし、異常個所だけ見つければ、見つければ? ああ)
前世でラフィアの修理もしたこともあるカロンだからこそその手間の多さに悩み始めたが、その手間を省略する方法があった事に気づく。
「【其は、真理を綴る銀の楔。目覚めよ古き森の記憶。白銀の調べを以て、万象を編む記述を解き明かさん。我が瞳の前に偽りは潰え、秘されたる理は白日の下に晒される。虚ろなる綴りを書き換え、歪なる言葉を真実に。境界を越え、妖精の瞬きを以て、現世うつしよの理を再定義せよ。欺け、幻惑。射抜け、至高の真理。我が視線の先に虚妄の檻を。――――我が名はアールヴ。】【グラマリー・サイト】」
早口で詠唱を紡ぎ、妖精眼の魔法を発動する。その目で改めてラフィアの状態を注視する。するとカロンの視界には透過したラフィアの構造がよく見え始め、同時に脳内の構造イメージに対してある箇所が不一致していた。
「ここか」
「わかったのですか?」
「ああ、どうやらこの目は応用、いや用途が広いみたいだ。とにかくこれなら既存の交換パーツだけで十分だ。――リリ、どうせだから観察していけ」
「プハッ! な、なぜですか?」
「今後、俺たちといるなら機械、ラフィアのようなこの世界にない物を見る事になるし、使う事になるだろう。専門家程の理解はしなくていいが『こんなものがある』認識だけ培っておけ。でないと万が一、どうすればいいか混乱するだろうからな」
「……わかりました。コルフ、少し待ってください」
「
「コルフも見てみたそうだ。懐に抱えておけ」
「そうですか。ほんと便利ですねカロン様のスキル」
「猫とクソ妖精だけだけどな」
「クソって」
「お前、冒険者の事は?」
「例外はありますが大半クソですね」
「だろう? そう言う事だ」
とりあえず意思疎通ができた所でカロンは交換パーツと小道具を取り出して作業に取り掛かる。リリルカも言われた通り、コルフを抱えてその作業を見学する。野良猫たちも近づいてきて様子を見に来たりするが明確に邪魔をする猫はおらず、むしろ飽きて部屋の中で寛いだり遊んだりする方が多かった。
そうして地下でひっそり身を隠している間に外界は決着がつく。
それはカロンの主神であるエレボスの送還が決定したことでもあった。
カロン・グリマルキン
実はロボットに乗らずに遠隔操作していたが、スキルのお陰で経験値は獲得している。ただしこの時点で恩恵は改宗可能状態である。何気に前世の能力を使うシーンが初登場した。
将来オラリオに戻ってくるに備え、今回の件で協力してもらった野良猫たちの先損率を上げるために地下へ猫たちの避難所を作っていた。目的は病気のリスクを下げる綺麗な水の提供と冬ごもりの為のクッションと運動不足対策のキャットタワー。その他おもちゃがある。猫好きには溜まらない空間となる予定。
実はエレボスの送還については思う所がある。
実は防御を切って戦っていたが、破損はしたもの本人にとっては小破程度のダメージである。とは言え精密な部分も当たった為に動作異常を起こした。
自己診断の機能はあったがカロンの能力で運ばれている間は瞬間移動した形になる為、この事実から収納中は時間が止まっているの事。食材なども試して同じ効果だったのだが、カロン曰く『確かに預かりシステムを権利購入できるようにリクエストしたが、どんな仕組みなんだ?』と不思議がってる。
修理後、彼女に逃走経路の確保の役割がある。縁は、まだ紡がれる。
リリルカ・アーデ
地上の決戦中は野良猫たちと共に避難していた。カロンが戻ってくる間での暇つぶしにSw〇tchで〇ケモンSPを初プレイしていた。どれがいいと聞かれてなんとなくで選んでいる。御三家は水タイプを選んだ。
カロンに救われたおかげで感情がしっかり出るようにあり、ラフィアの怪我やカロンの『脱げ』宣言はツッコミを入れていた。意味深な言葉を聞いた所でコフルにちょっかい出されたのでそこは曖昧になってる。その後、修理風景をみてラフィアが人類でない事を改めて認識し、同時に機械と言う物を学ぶ意識を持つ。
コルフ
暇を持て余して寝ていた。リリルカがポ〇モンやっているのを見たりもしたが一人でやる物と認識して邪魔はしなかった。
名前を貰ってから尻尾は二つに分かれたが誰にも気づかれてない。と言うか交差するように巻いているのは気づきにくい。
白黒の妖精
とりあえずロボットは現場に放置となる。一応、2人が勝ち取ったものなので【フレイヤ・ファミリア】の団旗を置かれるが『盗られないように見張る!』と駄々を捏ねるヘグニにヘディンは
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