(仮)購買意欲が勝った転生者   作:Celtmyth

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 誤字脱字報告、感想ありがとうございます。
 イレギュラー・レコード編が終わって、さっさと本編の時代に跳びたいとこなんですが本作の構成からここベルゲン編は外せない所です。本編も出ていない所で二次創作をして、それが本編で詳細でも出れば「う――――ん」となって心折れそうになりますね。
 なので少し回し気味で薄味かもしれませんが、どうかご容赦を。


二章 犯罪都市ベルゲン
第1話『Welcome to HELL』


 リリルカ・アーデにとってカロン・グリマルキンは第二の恩人である。【ソーマ・ファミリア】からの解放、そしてこれからの面倒を請け負ってくれた人物である。なんでも異世界の魂がこの世界で転生し、しかも半猫人(ハーフ・キャットピープル)と半妖精(ハーフ・エルフ)の間に生まれた上に王族妖精(ハイエルフ)の先祖返りをしたビックリ人物である。まだ11歳であるが。

 特に目を引くのが前世から能力で持ち出したこの世界にない道具や武器。食事は美味しいし娯楽も豊富。武器も凄まじく彼一人でも国を取るどころか興せると思えるほどだ。そこに神の恩恵(ファルナ)を授かりハイエルフの血が覚醒したように全てを見通す妖精眼を持つ。更にトンデモない事になった。

 そんな彼に面倒を見て貰っているリリルカは食事に加え、将来オラリオに現れるであろう第一の恩人、道化師(ジェスター)の若き時代で恩を返す為の教育と訓練を受けさせてもらっている。

 しかし、しかし今は下剋上の時―――。

 

 

 

 

「ここでオーバーレイ・ユニットを使い効果発動――」

「エクシーズ・モンスターの効果が発動した時に発動。その効果を無効化して破壊。相手に800のダメージを与える」

「ぐあぁあああああああああ!!」

 

 

 

 

 それでも全戦全敗の記録はまた伸び、その叫びが空(・)中(・)を(・)漂(・)う(・)飛(・)行(・)船(・)の室内で響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 今日も今日とてお遊びであり、リリルカに遊〇王で戦術を学習させていたカロン。勝敗か決したのでそれぞれのデッキを回収して片付けておく。2人が向かい合うテーブルは大きな窓の傍に置かれており、外を見れば青空と地平線、そして遠い地上が見下ろせる。

 ここは自動操縦飛行船『アビサル・マンタ』号。魚の様なフォルムに、ステルス機能を持ち地上からは見つけられない『深海の魚』ならぬ『上空の魚』。それは静かに、とは言えない航空であるか。

 

「チクショウめ! 慣れたデッキなら勝てたかもしれないのに!!」

「ラフィアとの勝率は?」

「2割です!」

「上がってるな。なら10連、いや3連勝まで出来たら自作のデッキで相手をしてやる」

「よっしゃ!!」

 

 悔しさを隠さず、しかし機会が得られると知って拳を掲げる。

 それを見て年(・)相(・)応(・)になってきたと思う反面、根っこは年(・)不(・)相(・)応(・)に大人びている。幼さが抜けきれない言葉遣いは彼女に誰も教える事をせず、それでも卑屈な程に丁寧な言葉を使うのは誰かに守って貰えない事からの自己防衛。ここはもう矯正しきれない部分とカロンは判断する。せめてこれからは選択肢に『掴み取る』事が出来るようにするだけだ。

 

「お疲れ様です。休憩に紅茶をご用意しました」

「ああ、ラフィア」

 

 そこへ見計らったようにお盆にティーセットを乗せたラフィアがやってきた。彼女の足元にはコルフが屯っていたがすぐにリリルカの元へ駆け寄って膝の上に乗る。

 

「コルフ~、カロン様が勝たせてくれないですよ~」

「ニャニャ(手加減しろよ)」

「しないな。それとリリ、紅茶を飲むならその眼鏡、外せよ」

「おっと、失礼しました」

 

 コルフに頬ずりをしていた所、その指摘を受けてリリは掛けたままの眼鏡を外した。

 付け加えるとこれはただの眼鏡ではなく、レンズに映った文字を共通語(コイネー)に変換する物だ。カロンとラフィアが協力して言語パックをプログラミングし、翻訳は日本語と英語に対応している。これでリリルカはカロンの持つ書籍や、今回のようなカードゲームのテキストも読む事が可能となっている。しかしカロンはこれなしでも読めるようにリリルカには日本語と英語の勉強をさせている。

 そんな眼鏡を専用ケースに収めている間にラフィアが紅茶の用意に加えてコルフ用のミルクも用意する。それをカロンが一番に口を付けて、一言。

 

「明日、ベルゲンに到着する」

 

 それが場の空気を一気に重く、冷たくさせた。

 

「………世界で最も治安が悪いと聞きますが、いざとなるとあまり想像が出来ないですね」

 

 そんな空気を乱したのは意外にもリリルカであった。と言いつつもこの発言をするまで百面相になっていたので葛藤と困惑があったようだ。尤も彼女にはカロンたちがいる安心感があった事も含む。それをカロンは察したが彼女の安全上に自分かラフィアが一緒にしないと思う反面、メンタル面と想像力を鍛えるためにリ〇ロのアニメ全話の視聴でもさせようと考える。

 

「具体的にはどのような流れになりますか?」

 

 更にラフィアが話を進めたのでようやくカロンは続きを言える状況になった。

 

「前提としてベルゲンの神々は邪神、ただしエレボス曰く理性的な邪神だ」

「にゃん(理性的とは)」

「まぁ比較的、が付く。闇派閥(イヴィルス)候(・)補(・)であるからベルゲンを出れば混沌をまき散らすのは確実だろうな」

「マジでそんな場所から主神を探すのですか?」

「だからどの神がいいか、ベルゲンの代表に聞くんだ」

「「代表?」」

「にゃあ?」

 

 

 

 

 

「犯罪都市ベルゲンの別名は『孔穴(こうけつ)都市ナラカ』、主神ヤマこと【ヤマ・ファミリア】による半国家系ファミリアだ」

 

 

 

 

 

 カロンにとってヤマと言う名の神は前々世で馴染みがなかった。しかしその別名は日本人であればよく知る神。

 

 

 

 

 

 その名は、『閻魔大王』と言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「旅人たちよ! この地に如何なる用があって参られたか隠さず答えよ!!」」

 

 そして翌日、カロンたちは離れた場所で『アビサル・マンタ』号から降り、偽装の為に旅支度のような荷物を持ってベルゲンの門前に立っていた。

 遠く空からでもベルゲンも街を見れていない。なぜならそこは言わゆるカルデラと呼ばれる地面が大きく窪んだ土地、凹地である。しかも盆地ではなく山に出来た場所であり、カロンたち飛行船であっても見る事は叶わなかった。しかしこれが脱出不可能と言われる所以であれば納得だ。

 そして話を戻して、そんなベルゲン唯一の門の前で2人の獣人に睨まれていた。牛人(カウズ)と馬人(エクウス)であり、オラリオのオッタルに匹敵する長身と屈強な肉体から放たれる威圧にリリルカはカロンの後ろに隠れて体を震わせていた。しかしそんな門番たちと対峙しているのはカロンではない。

 

「突然の訪問、重大な非礼をお許し願います。名乗りの不備や渡航の目的を明かせぬ身勝手も重々承知しておりますが、ここにお示しする通り、神ウラノス様より賜りましたしかるべき封蝋の捺された親書を携えております。不躾なお願いとは存じますが、まずはこの書状の紋章をお確かめいただき、しかるべきお方へお取り次ぎいただきたく存じます」

 

 見た目は成人女性であるラフィアが門番と応対し、頭を下げてギルドからの紹介状を差し出した。それを門番の牛人(カウズ)の方が受け取り、ジッと封蝋の紋章を睨む。

 

「……この色、本物か。だが貴様ら、近々オラリオから来る闇派閥(イヴィルス)捕虜の護送隊との関係は?」

「ありません。彼らとは別の目的で来ております」

「別の目的、か」

 

 門番はラフィアの言葉を聞いて思案し、そして紹介状を返した。その後に相方である馬人(エクウス)に目配せをして、お互いに頷く。

 

「入国を認めよう。しかしこの門は地獄への門」

「お前たちの身の保証はなく、そして助ける者もいない」

「加えて、騒ぎを起こすような者ならここの住人になると思え」

「その覚悟があるなら、入るがいい」

 

 門番2人が交互に語るとそれぞれ門柱へ移動し、そこのレバーを同時に下ろす。そして重厚に鳴り響く鎖と門扉の動作音が、開門を知らせる。そうして開いた先には石畳と、小さな光が見える長いトンネル。そしてなんとレーンが引かれた鉄道車両があった。

 

「車掌! ヤマ様に客人だ!」

「人数は3人! ついでに溜まっている輸送物も運べ!!」

『『『了解!』』』

 

 門番が叫ぶと視界の隅にあった小屋から数名が現れて出発の準備に取り掛かる。

 

「「では入れ。一切の希望を捨てて」」

「わかりました」

 

 別の要素があるセリフだったがラフィアは指摘せずその言葉に従って歩き始め、その横にカロンとリリルカが並ぶ。

 

「オラリオのバベルの塔もそうだが、このトンネルもこの世界の文明に対しては常識外の建造物だな」

「リリは【ガネーシャ・ファミリア】よりも厳格な雰囲気に圧されてますが」

「門番だしな。ランクアップしづらい場所とは言え実力を求めるならLv.3以上はあるんじゃないか? あと女性に任せているからレベルが低いってないだろ」

「確かに犯罪者を出さないなら――――。待ってください、女性?」

「ニャ(メス)?」

「確かに逞しいがあの骨格は女性だぞ、あの二人」

「女性ですね、二人とも所作に女性らしさがありましたから」

「―――――え?」

 

 未だに震えていた所にまさかの事実に震えが止まり、思わず後ろの門番たちとカロンたちを交互に見てしまう。その忙しさにリリルカが背負う荷物の上にいたコルフはラフィアの肩に移って、ジッと門番たちを睨む。

 そんなこんなで出発の準備が終わると同乗するヒューマンの男性、恐らく【ヤマ・ファミリア】の眷属であろう人物の先導によりカロンたちが車両へ乗り込む。内装はカロンが良く知る客車であったが、荷物が多く半ば貨物車の様だ。これはカロンたちが正体不明の客人であるからであろうが、しっかり座れるスペースはある。そのスペースに腰を下ろし、そのタイミングで車両が動き始めた。

 

「わぁ!?」

「にゃっ!?」

 

 いきなりの揺れにリリルカが驚き、コルフがラフィアの肩から落ちてそのまま彼女に受け止められる。カロンは蒸気や電気を使っている感じではなく、この世界の魔石を使った動力で動く物と、結構落ち着いてそんな分析をしていた。

 動き始めた車両はレーンに沿って真っ暗なトンネルへ入っていく。その途端にカロンたちのいる車両は真っ暗になり、走る音だけが残る。トンネルの内壁を覗けば進行方向には明かりが揺らいでおり、流石に正面と運転席には照明があるようだ。

 

「さて。地獄と呼ばれる地に、救世の希望は昇るか」

 

 少なくとも、エレボスが紹介状を残す邪神がいる場所だ。世界の滅亡に抗う神の一柱ぐらい、いてくれとカロンは願う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「客人じゃと?」

「ええ、門の方の電信からそのような報告が来ましたわ」

 

 同時刻、すでに門の報告は届いていた。片方は重厚な机の席に座り、都市内の報告書に目を通す神物(じんぶつ)。もう片方は向かい合い、腰に下げた刀の柄を撫でる袴の極東服を着た人物。

 

「曰く、オラリオのウラノス様だけが使用する封蝋がされた紹介状を持って現れたそうですわ」

「ウラノスからの紹介状か。少し前に早馬で『大抗争』の事と顛末、あと幹部級を含む闇派閥(イヴィルス)を輸送する報告は届いておったが、その件は知らないの」

「極秘でしょうか?」

「ならそれは護送に同行しとるヘルメスだけで十分じゃ。じゃが、あやつが同行するのも珍しい。その目的はその客人かもしれん」

「ヘルメス様が来るのですか? 確かに珍しいですわね」

 

 情報が共有されるにつれて双方の予想が共通から共有に変わっていく。

 

「……どちらであってもまず会って話すしかありませんわね」

「そうじゃ。ここは本来、客人など来る場所ではない。全く……」

 

 重い椅子を動かさず、体を真横に向けて横から席を立ったその神物は窓へ近寄り、その眼前に広がる街並みと、それより高く架けられた線路橋を走る列車を眺めながらつぶやく。

 

「これは嵐が起こるの」

 

 それがこの犯罪都市ベルゲンで頂点にして監視人の役に収まった神ヤマ、又はエンマとも呼ばれる予想は、確信でしかなかった

 

 

 

 




カロン・グリマルキン
 もう何でもありに道具から拠点をポンと出しているチート転生者。ちなみに前世の品々・兵器、特にロボットや『アビサル・マンタ』号は放棄施設の拾い物。今では能力で買えるがやっぱり高い。
 原作(※現時点での原作の刊行状況)では出なかったベルゲンに対して正真正銘、未知の場所で原作知識は役に立たないと考え、油断しないようにしている。オラリオと違ってバンバン重火器もSF兵器を使っていく予定。
 メインデッキは【古代の機械(アンティーク・ギア)】デッキ。アニメでク〇ノス先生が推しだったからチョイスしてる。ちなみに前世の未来世界も〇戯王があった時系列であり、発掘品として札を流通させて資金をゲットしている。娯楽系が高値かつ捌けるので、エロ本とか持ってたのもそれが理由。


リリルカ・アーデ
 すでに原作に準じた能力から外れ始めている原作キャラ。カロンにより食育と鍛錬の管理はしっかりこなされている。到着前の前夜にリゼ〇の一期をまず視聴させられ、『地獄じゃねぇえええかぁあああ!』と叫んだ。内田〇札さんは登場していない(多分)ので特定の感情移入はそれほどなし。
 ベルゲンについてはオラリオで劣悪な環境でいた為、これ以上の地獄と言われても想像が出来ない。しかしわからないからこそ警戒心は誰より一番に強い。すでに鍛錬で拳銃の扱いを覚えており、護身用に持たされている。
 メインデッキは【マドルチェ】デッキ。キャラデザで選んだ上級者向けデッキだが『墓地ではなくデッキに戻る』戦術が彼女にどこか合っていた。戦術の勉強がてら真っ先にアニメを見せられており、現在はZ〇XA〇に入ったのでエクシーズの入ったデッキを使わされた。


 RASA-F 1A04(ラフィア)
 カロンの世話とリリルカのサポートとコルフの面倒で一番忙しいがアンドロイドなので過労はない。その空き時間を使って大剣の扱いを覚えようとしている。
 カロン(11歳)とリリルカ(8歳+小人族(パルゥム))がいる中で唯一成人に見られるので前面に出る役目を追っている。彼女が保護者でカロンとリリルカは被保護対象として振る舞うのが面倒がないからである。
 メインデッキは【青眼(ブルーアイズ)】デッキ。理由は青だから。リリルカの〇戯王アニメの際には解説に入る。すでにデータでカードの情報を持っていうからである。


 コルフ
 すでに猫又(原作に妖怪の概念があるから『っぽい』)として皆に受け入れらえている。旅の中では誰かの傍にいて寛ぐ日々であった。
 メインデッキはない。猫だからカード持てないしデッキからドローも出来ない。〇Xでは『サルでも出来るのに』と思った。


 牛人(カウズ)と馬人(エクウス)の門番
 カロンの想像通りLv.3の眷属。まんま牛頭馬頭。カロンとラフィアが女性だと気付いてくれてこっそり感動して何かあれば助けると好感度爆上がり。ちなみに牛人は女性をカウズと言い、男性はブルズと呼ぶらしい。


ヤマ
 みんな知ってる閻魔様でインド神話要素はほぼ名前だけ。ヘスティアにウェスタの別名がある感じみたいなもの。
 姿は次回より。話していたのは補佐官であり【ヤマ・ファミリア】の団長に当たる人物。

貴方はどの主神が好み?(※本当に好みだけです。選んだ神が主神に選ばれることはありません)

  • 彼の神と兄弟神で奈落そのものたる男神
  • ある狡知神に縁がある女王たる女神
  • 対極の妹を持つ冷酷で厳格な女主人たる女神
  • 生と死の表裏一体を司る鹿の角を持つ男神
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