(仮)購買意欲が勝った転生者   作:Celtmyth

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 誤字脱字報告、感想ありがとうございます。
 やはり本編時代を意識しているので展開が早いかもしれません。ちなみにベルゲンの治安イメージはロアナプラ。
 余談ですが前回はDMCが登場するシーンありましたね。私は学生のウチに辞めました。効果モンスターが増えたりデッキのカードを把握することが増えたりで「あ、もう無理」となり、トドメは相手のモンスターが効果で攻撃力上がってたのに表記のまま思って反撃された時ですね。あれもう競技だよ競技。


第2話『地獄五神会』

 トンネルを抜けた先、再び日の下を浴びるカロンたちが見たのは眼下に広がる都市であった。鉄道車両が走るのはその街並みよりも高く建造された橋の上であり、それらはまるでスイカの縞模様を描くように何本もあった。

 

「これが、ベルゲン」

「確かにこれは、治(・)安(・)が(・)悪(・)い(・)な(・)」

 

 リリルカは想像と違う光景にそんな感想を口にしたがカロンはその逆で、聞いてた通りと言わんばかりだった。

 

「何故ですか?」

「血(・)と(・)煙(・)の(・)臭(・)い(・)が(・)強(・)い(・)。それにあそこ、オラリオの円形闘技場(アンフィテアトルム)に似た建物から聞こえる声。あれは阿(・)鼻(・)叫(・)喚(・)の(・)声(・)だ」

 

 窓から眺めた先にはオラリオにある建物と遜色がない建造物があった。違うのは催し事でしか聞かないような歓声と断末魔が車両まで届いている事だ。加えて最初に血と煙の匂いがすると聞いたリリルカは恐る恐る窓から下を覗く。

 鉄道列車だが、カロンにとってはゆっくり走る程度の速度しか出ていない。しかしだからこそ、眼下の光景を見逃さない。

 

 

 

 

 

 複数の人間たちが乱闘をする光景を。

 

 眷属が魔法で建物を破壊する光景を。

 

 その果てに、死体となった者たちが至る所に横たわる光景を。

 

 

 

 

 

「ヒィイッ!」

 

 リリルカは恐怖に窓から離れて身を縮め、カロンにしがみ付く。そんな彼女を抱きしめて安心させるカロンは同じく眼下の光景を見て違う点に気づいていた。

 

(子(・)供(・)が(・)思(・)っ(・)て(・)い(・)た(・)よ(・)り(・)少(・)な(・)い(・)な(・))

 

 もちろん視界の外や建物の中や影で見えなかった可能性もあるが、それにしても死(・)体(・)を(・)含(・)め(・)て(・)子供の数が少なかった。世界中の犯罪者が流される場所とは言え、『都市』の名を冠する場所にしては数が少ない。まさかそう言った行為を控えてるとは思わないし、原作知識からこの都市を出身とする人物がいる事を知っているので妙だと考える。

 

「ここまでの治安が悪いのに、この鉄道は無事ですね」

「そりゃあ生命線だからだろ。あそこの鉄道橋を見てみろ。物資を下ろしている」

 

 ラフィアの疑問に答え、今度は真下ではなく真横を指差す。その先には所謂駅のような建造物があり、貨物車からの物資を昇降機のようなもので下ろしている。同時に、身なりが不自然な人々も。

 

「そしてあれはここに送られてきた犯罪者だろう。だが注意するのは今(・)と言う事。あれは俺たちが入ってきた門からじゃない。でなければ入り口にその痕跡なり残った人なりいたはずだ」

「なるほど。あの列車の出発駅は別の場所と」

「俺たちの到着駅だな。ま、駅にしては古風だな」

 

 見えてくるのはこのカルデラ山内部の端、最も緩やかな壁にあり、カロンが入ってきた門と繋いで複数の線路が縞模様になる、二点を繋ぐ目的地。石造りで建造された城の如き【ヤマ・ファミリア】の本拠(ホーム)らしき場所に。

 城壁であるだろうが城攻め対策がされており間違いなく都市からの襲撃に備えたそこへ、唯一でありすべての線路を飲み込む巨大な城門を潜って入っていく。鉄と鉄との摩擦音が鳴り響きながら徐々に速度が落ちていき、人一倍の金切り音が鳴り響くと同時に停車する。

 

「中々、ノスタルジックな駅ホームですね」

「これが鉄筋の大屋根とかあればハ〇ポタとかの欧風だが、さすがにないか」

 

 いわゆる頭端式ホームと言える場所だが建材はほぼ石材。屋根に関しては人が乗り降りするスペースだけだ。ついでに言えば中華風である。

 

「客人の方々、どうぞお降りください。あちらにヤマ様から案内役を任された団(・)長(・)がお待ちです」

 

 車両の窓の外からエルフの女性がそう伝えてきた。カロンたちはその指示に従って降りようと席を立ち、しかしリリルカが街並みを見た恐怖でまだ体が震えており、そんな彼女をしがみ付かせたままカロンは優しく先導する。

 車両から降りた途端、入れ替わるように【ヤマ・ファミリア】の眷属たちが乗り込んで一緒に積まれていた荷物を下ろして運び始める。本拠(ホーム)の中に入れた後で目を離すのは不用心、とは考えなかった。

 間(・)違(・)い(・)な(・)く(・)見(・)張(・)ら(・)れ(・)て(・)い(・)る(・)。人生経験が長いカロンと野生を持つコルフがソレに気付いており、カロンに従うラフィアと怯えるリリルカは自主的な行動はしない。この状況下で変な行動でも起こすようなのはバカ―――と神ぐらいなのでここは指示に従って移動する。目印は、とても分かりやすかった。

 この場で右往左往せずに立ち尽くし、カロンたちを見ている犬人(シアンスロープ)がいる。ぱっと見犬人(シアンスロープ)としてのモデルは柴犬。その者は和服、極東服を身に纏ってより異質さを纏っている。そんな人物へカロンたちが近づいていくと、目の前と言うには離れた距離で頭を下げられた。

 

「ようこそ【ヤマ・ファミリア】の本拠(ホーム)、遮那閻魔宮殿(しゃなえんまきゅうでん)へ。ワタクシ、主神にして裁判長たるヤマ様より団長にして補佐官を任されてますハチジョウノ・梓(アズサ)と申します。これより客人である皆さまをヤマ様の元へご案内しますわ」

 

 礼儀と腰の低さを感じさせる丁寧な挨拶だった。カロンたちはそれに感心していた。

 

(日本、いやこの世界は極東か。明らかな異邦人が団長。実力か、人柄か。だが――)

(手の位置が刀に届く所にありますね。油断せずにこうして丁寧に対応する所、警戒と接待の五分五分ですね。それにしても―――)

(細身で長髪のポニーテールっぽい髪型。女性口調ですが間違いなく―――)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(((男だな・ですね・です……!)))

 

 現代風に言えばオネェ系侍だった。渋いイケメンボイスで色気あるのがよりキャラを濃くしていた。

 

 

 

 

 

 

 

「実の所、ここへは護送された犯罪者しか来ませんので『客人』の来訪はそれなりの異常事態(イレギュラー)に当たるのですよ」

「それでしたら送り出す側とのやり取りはどうしているのですか?」

「基本、門の所で済ませますわ。門番の彼女たちは受付の窓口の役割を担っていますの。まぁ2人に怖気づいて本当にやり取りだけですわね」

 

 どちらかと言えば古代中国を思わせる内装の廊下と言える通路の道中、梓との会話は彼の数歩後ろを歩くラフィアが対応していた。更にその後ろからコルフ、カロンと続いてリリルカはしがみ付いたままで歩く。ただし進む速さは遅く、先導する梓が小さなカロンとリリルカに気を遣っている事は察する事が出来た。その反面、刀の柄から手を置いたままであった。

 客人が来ることは異常事態(イレギュラー)と言った。これは前例が存在し、そしてそれはこのベルゲンの運営においては不都合な出来事だったのだろう。そしてこの梓と言う男は、あらゆる対応に備えている。カロンはそう考えていた。

 

「ところで、後ろのキミたちは何か聞きたい事はありません? ヤマ様の所へ案内した後はもうワタクシ口ははさみませんわよ」

 

 そこに妙なタイミングで梓から声を掛けられた。

 

「俺、でいいですか?」

「ああ、ワタクシが丁寧にしているとはいえ、アナタ達も合わせなくていいですわよ。自然体で話してくれればよろしくてよ」

「……神ヤマとの会話は本当に口を挟まないのか?」

「ええ、もちろん。その方が集中できますし」

「代(・)表(・)者(・)同(・)士(・)が何を話しても?」

「同じく」

 

 梓は笑顔で、刀の柄を撫でる。その意図を理解してカロンは警戒心を強すぎず弱すぎず、気を抜きすぎない程度にしておく。

 

「到着しましたわ。こちらにヤマ様がおります裁定の間となります」

「入り口から近い場所ですね」

「ヤマ様はここへ送られた犯罪者の裁定も行っていますの。なので移動も最小限且つ最短にしていますの」

「神とは言え身の危険のリスクがあるだろうに」

「ご安心を。ワタクシが傍にいる限り、我が神へ凶刃は届きませんので。―――ヤマ様、ご客人を連れて参りましたわ」

「―――ああ、入れ」

 

 扉に向かってカロン達と話していた時より大きめのトーンで挨拶をするとその奥から返事が返ってくる。思ったより幼い声であり、その姿を連想してしまう。そして扉が厳かに開けられると梓の先導と手招きでカロンたちは入室する。

 中は広く、反面飾り気がない簡素な作りだ。せいぜい扉から真っ直ぐ左右に伸びた柱が特徴的だった。その間に敷かれた長い絨毯を踏みしめながらこの先、重厚な机と椅子、そして書類と書簡の山に挟まれて座り込む神がいた。

 神は少年神であり、背丈は小さく威圧感もそれに比例している。上半身しか見えないがノースリーブの中華風の衣装で露出させた紅髪と褐色肌には腕輪や冠と黄金に輝く豪華な装飾を纏う。何より眼差しに幼さの気配はなく、老獪さが相手の身を貫くほど鋭い。

 

「ワシがここの主神ヤマである。代表者よ、前へ出よ」

 

 見た目に似合わず老人のような言葉遣いで尊大に命じる。それにラフィアが前に出――ようとした所でカロンに掴まれ止められる。

 

「?」

「気づかれてる」

 

 黙って振り返るラフィアにカロンはただ一言そう言い、彼女の代わりに前へでる。そして兜を脱いでここまで隠していた髪と耳を晒した。

 

「ほぉ」

「初めまして神ヤマよ。私が代表となるカロン・グリマルキンです」

「エルフと猫人(キャットピープル)の混血か?」

「正確にはハーフ同士の両親を持ちます。しかしこの髪と瞳の色を持って生まれ落ちた為、2人の安全の為に距離を置いております」

「エルフか」

「はい」

 

 矢次と飛んでくるヤマの言葉にカロンは即答する。

 

「ウラノスの紹介状を梓に渡せ」

「わかりました。ラフィア」

「こちらになります。どうぞ」

「ええ」

 

 そして要件となる話題となるとそれぞれがスムーズに動く。ラフィアが差し出した紹介状を梓が受け取り、それを彼が運んでヤマへ渡す。封蝋を確認して本物かどうかを一瞥してから封を解く。そして中にしたためられていた文に目を通し始め、大きなため息を吐いた。

 

「梓、お前も読め」

「よろしいので?」

「お前に見せるのはお(・)前(・)じゃからだ」

 

 ヤマの意味深な言葉でありながら梓も文の内容に目を通す。そして頷き一つで丁寧に返した。

 

「さて、カロンよ。お前たちの用件がエレボスの神託により、救世の為にこのベルゲンから主神を探す事と理解した」

「難しいですか?」

「ワ(・)シ(・)は(・)別(・)に(・)構(・)わ(・)ん(・)。じゃが知っての通りここは邪神集う都市じゃ。そして中にはエレボスのような世界の為の必(・)要(・)悪(・)。ここにいる事こそ愛する下界の為と考える神もおる」

「この街は邪神たちによる反理想郷(ディストピア)と聞いておりますが」

「そ(・)ん(・)な(・)神(・)ほ(・)ど(・)根(・)付(・)い(・)て(・)出(・)よ(・)う(・)と(・)し(・)な(・)い(・)、と言える神もおると言う事じゃ。じゃが――」

 

 カロンたちの目的を理解したヤマが説明をしていると扉がノックされた。

 

「ヤマ様、皆様が集まりましたのでここへ連れて参りました」

「丁度よいの。――カロン。ワシはお前たちが来た時点でこの都市に用があると考え、事前にある4柱の神を呼んでおいた。入れ」

 

 入室の許可が下りると扉が開く。開けたのはヒューマンの女性だったが彼女は梓の様に先導はせず、控えていた4人、いや4柱の神々が先に入室する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紹介しよう。この都市においても隔離・拘束が必要な住人を監獄に収容する奈落の神タルタロス」

「あ、どうも……」

 

 まず地味めでありながら端正な顔立ち、どこかエレボスに似た容姿を持った男神。

 

 

 

 

 

「冤罪または技能持ちの住人を保護し食料・道具の生産を管理する冥界の女神エレシュキガル」

「こんにちは」

 

 次に眼鏡をかけて服装も礼服の様に整って、しかし美の神のような美しさを持つ女神。

 

 

 

 

 

「ここの闘技場周辺で戦犯・殺人鬼など血の気の多い住人のまとめ役をしとる死の女神ヘル」

「……メンドォ」

 

 次に色白で猫背に加えて歩行杖を持った、そこ以外は若々しい美人である女神。

 

 

 

 

 

「そして治療と葬儀の総責任を任せとる境界の神ケルヌンノス」

「………」

 

 最後に鹿の角から毛皮の衣装を纏いベルゲンにとっては最も縁遠い肩書の男神。

 

 

 

 

 

「ベルゲンはワシとこの4柱を頂点に、それぞれの従属神と無所属の神々がおる。お主らがやる事はワシを除いて『世界を救うために力を貸してくれ』と、説得する事じゃ」

「「「「は?」」」」

 

 ヤマの言葉に4柱は呆気に取られた反応をした。それだけでカロンはその難しさを理解した。

 

 




カロン一行
 ベルゲン側の紹介回だから主人公側は控えめ。
 聞いた通り治安が悪い場所の様であったがそこを巡り回る事もありうるのでカロンとラフィアが簡単に構造を把握していた。特にラフィアは映像記録としてデータに残しているので後で確認する事も可能。しかしリリルカとコルフがいるので片方が護衛もしくは防衛装置で守るしかない為、仮拠点が欲しいと思っておりそこをヤマと交渉で得られないか考え中。


ハチジョウノ・梓(アズサ)
 聞いてわかる通り極東の『朝廷』の為に働く八家の出身。内面イメージは光属性が混ざった銀○の○杉さん。オネェ口調なのは威厳を軽減させると本人は言っている。女性だと思った読者のみなさん、期待を裏切り申し訳ございません。ちなみにLv.4である。
 カロンの案内の最中、刀から手を離さなかったのは『怪しかったら斬っちゃえばいいでしょ?』が本人談。そしてカロンたちの目的においては彼が団長として、そして個人的な感傷により他人事ではない。その他とベルゲンに来た経緯は本編で明かします。


ヤマ
 老人口調だったが外見はカロンと同じほどの少年神。イメージは2Pっぽい東〇の映〇様。残念だけど少女じゃないよ。
 世界中から犯罪者を送られてくるベルゲンにおいて、万が一に崩壊して集まった犯罪者が溢れないようにと最高神クラスの説得で頂点を任されている。邪神たちも『管理なんてやってられねぇ! 俺たちの反理想郷(ディストピア)を満喫するんだ!!』と渡りに船だった為反発はない。反発はないがちょくちょくとチョッカイを掛けてくる邪神もいる。梓を始め第二級冒険者クラスがいるのはこれが原因。
 代表者がカロンと見抜いていた理由はラフィアに魂がなく、そして体に対して老練した色が見えるカロンが代表だと考えたから。


四天王的な4柱。
・彼の神と兄弟神で奈落そのものたる男神=タルタロス
・ある狡知神に縁がある女王たる女神=ヘル
・対極の妹を持つ冷酷で厳格な女主人たる女神=エレシュキガル
・生と死の表裏一体を司る鹿の角を持つ男神=ケルヌンノス

 オリ神祭りな神々。話の終わりであんなことはあったがこの4柱の中からカロンたちの主神が出る予定。
 ファミリアとして力があるのはタルタロスとヘル、生命線を握る意味で力があるのがエレシュキガルとケルヌンノス。彼ら彼女らにより現在のベルゲンの治安は最悪であっても抑制がされている状態である。彼ら彼女ら以外の邪神は虎視眈々と下剋上を狙うか身の程を弁えていうかの二通だが。
 余談で後半2柱はFG○登場の神々だが性格はそ(・)れ(・)ほ(・)ど(・)似ていない。


名前未明の女性
 4柱を案内した女性だがこの第二章に関わるキャラクター。ナナヲアカリの「ワンルームシュガーライフ」が脳内に流れてくるようなハートフルな女性である。

貴方はどの主神が好み?(※本当に好みだけです。選んだ神が主神に選ばれることはありません)

  • 彼の神と兄弟神で奈落そのものたる男神
  • ある狡知神に縁がある女王たる女神
  • 対極の妹を持つ冷酷で厳格な女主人たる女神
  • 生と死の表裏一体を司る鹿の角を持つ男神
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