本作の原作者である大森先生が描く世界観はこの身には壮大過ぎて解釈違いが怖いと思う時があります。とは言い訳で実際は『残酷な描写』が苦手です。だから『ダンまち』の二次創作でその部分が曖昧になってしまうのが最近の悩み。
こんな事をここでなぜ語るのか? そんな部分に触れる話だったからです。
今は2日目の夜中もしくは3日目の午前深夜帯
何が悪かったのか? その理由はもう覚えていない。
きっかけはただ帰り道を間違えてしまったのかもしれない。
間違いはただ言葉巧みに騙されてしまったのかもしれない。
それからは絶望と地獄。引き離された里を想うも父母の、友の、長の、同胞たちの教えの言葉が穢れた身を締め付ける。
高潔で誇り高いのが私たち。どの種族より気高い種族。それなのに堕ちたこの身では同胞の軽蔑を受ける。
違うの。違うの。私は望んでここにいる訳じゃないの。
騙されて、捕まって、逃げ出させなくなって。
痛い。痛い。苦しい。止めて。止めて。
そんな目で見ないで。そんな事言わないで。
泣き続けて涙は枯れた。叫び続けて声は枯れた。故郷は色あせて古木のよう。同胞は別の種族に見えるようになった。私の世界はもう私とあの子だけ。
そこに女神さまが現れた。でもとってもとっても意地が悪い女神様。彼女は私とあの子に毒酒のような囁きをして手を伸ばした。
でもこれは後戻りできない片道の誘い。同時に想い続け、胸の奥底にわずかに残る矜持を捨てる道。手を差し伸べるこの女神さまは世界を遊び場にする邪悪な女神様
でも私とあの子を見てくれなかった世界に、蔑んだ目で見降ろした人々に未練はなかった。
望まぬ世界へ堕とされ、誰も手を伸ばしてくれなかった人々はきっとヒトじゃない。
女神さまは私たちに恩恵と祝福を与えてくれた。
女神さまは私たちに多くの事を教えてくれた。
優しく
力加減を間違えて
ああ、楽しい楽しい!!
だから
私たちは美しき
―――――アハッ。
―――――キャハッ。
ハ、ハハッ、ハハハハッ!ハハッ、ハハハハハハ、ハハハハハハハハハハハッ、ハハハハハハハ!ハハッ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ、ハハハ、ハハハハハハハハハハハハハハ!ハハハハハハハハハハハ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!ハハッ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!ハハッ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!ハハハハハハッ!ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ、ハ、ハハハッハ、ハハッ、ハハハハッ!ハハッ、ハハハハハハ、ハハハハハハハハハハハッ、ハハハハハハ!ハハッ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ、ハハハ、ハハハハハハハハハハハハハハ!ハハハハハハハハハハハハ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!ハハッ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!ハハッ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!ハハハハハハッ!ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ、ハ、ハハハッハ、ハハッ、ハハハハッ!ハハッ、ハハハハハハ、ハハハハハハハハハハハッ、ハハハハハハハ!ハハッ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ、ハハハ、ハハハハハハハハハハハハハハ!ハハハハハハハハハハハハ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!ハハッ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!ハハハハハハッ!ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ、ハ、ハハハッハ、ハハッ、ハハハハッ!ハハッ、ハハハハハハ、ハハハハハハハハハハハッ、ハハハハハハハ!ハハッ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ、ハハハ、ハハハハハハハハハハハハハハ!ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!ハハッ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!ハハッ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!ハハハハハハッ!ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ、ハ、ハハハッハ、ハハッ、ハハハハッ!ハハッ、ハハハハハハ、ハハハハハハハハハハハッ、ハハハハハハハ!ハハッ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ、ハハハ、ハハハハハハハハハハハハハハ!ハハハハハハハハハハハハ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!ハハッ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!ハハッ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!ハハハハハハッ!ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ、ハ、ハハハッハ、ハハッ、ハハハハッ!ハハッ、ハハハハハハ、ハハハハハハハハハハハッ、ハハハハハハハ!ハハッ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ、ハハハ、ハハハハハハハハハハハハハ!ハハハハハハハハハハハハ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!
ハ、はハ、……は―――。
ねぇ
「――ああ、2人そろって寝てる。ただ起きた時、暴れられても迷惑だから鎮静剤の点滴を打たせて貰っている。むしろそっちが大丈夫か? モゴモゴしてるぞ」
短い、もしくは長い夢から覚めて聞いたのは会話の声だ。ただし気配は一つ。その相手の気配はない。
木でできた天井がある。つまり室内で、あの襲撃した場所じゃないし
「――大丈夫じゃなさそうだな。いや、本を破られたから男としてはダメージが大きいな。――追加? やめとけ。また女王様が癇癪を起こすだろうが。と言うかもう読む余裕もないだろ?」
だからこそその声がよく聞こえたのかもしれない。
そんな同じことを考え感じている、隣り合って横になるディナとヴェナは自然と視線がそちらに向けられる。そこにいたのは頭を大きな布を被せた、しかしその布越しで耳に魔道具のようなものを当てているのは彼女らが
「ん、起きたか。悪い、2人が目覚めた。またそっちから連絡してくれ。――俺から? アホか、通信機がそっちにバレるだろうが。それじゃあな」
魔道具を耳から離し、しかし被った布を取らないまま彼女たちを見下ろす。
「気分はどうだ?」
声を掛けられて二人は返事をしようとしたが上手く喋れない。うー、とか、あー、とか。抜けた声しか出ない。それを聞いた
『……こっちなら話ができるか?』
『『え?』』
それは耳が拾った声ではなく、頭の中に響いた言葉だった。姉妹も思わず、しかし同時に思った言葉が響いた。
『俺のスキルだ。特定の対象と念話、心の声で会話ができる。有効距離はあるが、この状態は関係ないな。で、もう一度確認する。気分はどうだ?」
『………ふわふわする』
『………ゆめのなかにいるきぶん?』
『鎮痛剤の副作用にしては効きすぎてるな。これ以上の服用は止めるか』
そう言って
『
『
その言葉に
「……チッ」
しかしその舌打ちと同時に消えた。ディース姉妹も思わず殺されると思ったが同時に覚えはある。そう、まるで
ディース姉妹は狂気の面が強いが、その見た目以上に老獪と呼べる賢さと経験がある。故に
『両方、が答えだ』
その思考も
『言っておくが、俺はエルフが嫌いだ。お前らを殺さないのはエレボスの義理立てだからな』
翡翠色の髪、エメラルドに似た瞳。そして頭の上ではなく顔の横に生えた猫耳の顔で告げた。しかしディース姉妹は驚いたように目が大きく開いていた。
『えるふ?』
『……えるふ?』
『ああ、
口を使ってないが、吐き捨てるように言い放った。しかし
ディース姉妹はその意図を薄々と察しながら、ただその事とは違う事が知りたかった。
『ねぇ、おしえて?』
『ききたいこと、あるの』
『あ? 何をだよ?』
『わたしは、なにもの?』
『わたしは、わるいもの?』
『『あなたにとって、
カロンもこの姉妹の問いにエルフへの嫌悪が奥に引っ込んだ。彼がその嫌悪を隠さなかった事でエレボスからオラリオで名のあるエルフ、【ロキ・ファミリア】のリヴェリア・リヨス・アールヴや【フレイヤ・ファミリア】のヘディン・セルランドとヘグニ・ラグナールを筆頭、それに並んで目の前にいる【アレクト・ファミリア】のディナ・ディースとヴェナ・ディースの事を教えられている。特にエレボスが
それを踏まえ、カロンはエルフを嫌っている。だから、気遣わない。
『お前らは罪ある
『『……どうして?』』
『高潔、貞淑、気高き妖精の同胞。そう口ずさむ癖に他種族には高慢に振る舞い交流もせず、排他的な姿は傲慢と自己愛の塊だ。この神時代、ましてやそれ以前の古代の時代に勇名を馳せたエルフの英雄はいない。むしろお前たちのような悪名を持つ同胞を軽蔑と拒絶の態度を見せながら、
『罪に塗れたお前らも、俺がお前らエルフを嫌悪するきっかけになった者共も、お前らを始末出来ていないこのオラリオのエルフ達も、善悪の立場や好かれる嫌われる評価に分かれたとしても俺にとってはどっちもエルフだ。純粋さを愚行に走らせ、美しい容姿の裏で誰よりも成長が遅い幼心で醜い振る舞いをするお前らこそが俺が見るエルフだ』
それは言い訳じみた、ただツギハギの言葉並べに等しい答えだった。カロンにとってエルフは嫌悪の対象だ。そこに比較はなく、ただ最低評価の平等しかなかった。嫌い、の感情しかない。故に言葉にすると形が曖昧になってしまった。
しかし今の三人はカロンのスキル【
『……あは』
『……はは』
『何か言いたいのか?』
『ない、わ。
『はなし、もうじゅうぶん。すこし、
「――ならこれ以上の話はなしだ。長くても二時間もすれば意識はハッキリするだろう。そしたらさっさと隠れ家に戻れ。次は襲って来るなよ。その時は、確実に殺す」
キッチリそう言うと部屋の隅にあったヘルムを被り頭と瞳、耳を隠したカロンはそれ以上は何も告げず、さっさと退出してしまった。扉を閉める時さえ乱暴な音を立てた所から終始機嫌は悪かったようだ。
筋金入りだわ。ディース姉妹は揃ってそんな事を思った。曖昧な意識でロクに動かない身体。襲撃でもされれば簡単に捕まるし場合によっては殺されるなぁと、現実味を欠いた事も考えてしまう。ふと逃走もしくは侵入経路と窓を見ればなぜか野良猫が屯っていた。
(のらねこ)
(ああ、にてる)
可愛い見た目に反して好き嫌いがハッキリしていて、特定の相手にしか懐かない。そのくせ、独自の矜持があるみたいで気紛れを見せてくる。特に自分の力だけで生きなければならない野良ならより顕著だ。あの
理由はわからないが、どこか安心感を得た姉妹はお互いの手を繋いで、顔を動かして目と目を合わせた。
(つみびと、だって)
(えるふたちの、たいまんだって)
((わたしたちも、えるふ、だって))
大っ嫌いなエルフ。誰が聞いても軽蔑である言葉で、そんな風に言われたのは初めてだった二人は、なぜか心穏やかだった。
カロン・グリマルキン
前々世と前世、そして今世を合わせて100年近い人生経験を持ちながら『親の愛』を初めて知り、それを遠ざける形にしたエルフは唾棄するほど嫌い。強者だろうが王族だろうが狂人だろうが区別しない。その根幹、エルフの思想はエルフであるならさほど変わらないと認識しているから。
しかし同時にその人生経験から形成された矜持や信念に反する事はしない。医者として患者は見捨てず、戦う者として恩に反せず、愛された者として気持ちを偽らず、嫌う者として浅慮や激情に任せるような
だから治療し、邪神に気遣い、恐れず本音を語り、その上で助けた。部屋を出たが野良猫たちに見張りを建てて自分は離れた所で見守っていた。
ディース姉妹
地獄を見た。絶望を知った。侮蔑を聞いた。救いようのない人生であった。だから邪神の甘言を、その手を取って狂気の底へ堕ちた。それが悲しみを拭い、怒りを晴らす行為だと。自分たちの訴えを、お前たちがしてきた事だと、見捨てたお前たちが知らぬ事だと血に舞い、狂い笑う。
そんな中、これまでの狂気がこの時だけ眠った。その夢の中とも言える時間の中で初めての存在を知った。それはかつて自分たちも崇拝していた色を持ちながら、自分たちと姿と違う子供。老人なんて名を使っていた小さな野良猫みたいな人。自分たちへの嫌悪も殺意も隠さないくせに、自分たちの命を守る行動をしていた。そして自分たちを悪い妖精だとハッキリ言った人。
ああ。きっとこんな人、他にいない。