もし藤丸立香(女性)がFate/Zeroの雨生龍之介にキャスターとして召喚されたら   作:白豚くん

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初めて感想もいただいて、ありがとうございます!


第1話の補足も兼ねて構成しました。

雨生龍之介視点の回です。


第八話:狂人の独白

あー……、最高。マジで、最高だわ。  

ホテルのスイートルームの、無駄にふかふかなベッド。

その上で、俺——雨生龍之介は、言葉にできないほどの幸せを感じていた。  

窓の外を見れば、月がニヤニヤとこっちを覗き込んでる。

部屋の中は、さっきまでの「宴」の余韻がたっぷり残っていて、鉄錆みたいなあの独特の、それでいて清々しい匂いが充満していた。  

腕の中には、まだスースーと可愛い寝息を立てている女の子。  

俺が呼び出した、世界で一番「COOL」なパートナー。キャスター。

 

「……ふふ、ははは。……ホント、神様って粋なことするよなぁ」

 

俺は天井を見上げて、思わず独り言を漏らした。  

少し前までの俺は、ちょっとしたスランプだったんだ。  

人を殺すっていう、俺にとって唯一の、そして最高の「表現活動」に対して、どうにもモチベーションが上がらなくなっていた。

なんて言うか、ルーチンワークになっちゃってたんだよね。

刺して、開いて、中身を見る。

それだけじゃ、何かが足りない。

もっとこう、ダイレクトに「生」の輝きを感じるための、新しい手法が必要だって、俺の魂が叫んでたんだ。

だから、実家の蔵で見つけたあの古めかしい本……『儀式殺人』について書かれたあの胡散臭い手記を参考にして、見よう見まねでやってみたんだよ。

 

あの夜のことを思い出すと、今でも胸が熱くなる。

壁や床に描いた不格好な魔法陣。素材にした一家の鮮やかな「赤」。

そこから、煙と一緒に現れたのが、この子だった。  

最初は驚いたよ。悪魔を呼んだつもりが、出てきたのは俺とあんまり年が変わらない、オレンジ色の髪の可愛い女の子だったんだから。

最初は戸惑っていたみたいだけど、でも、彼女と「繋がった」瞬間に分かったんだ。  

 

『……あはっ! すごい、龍之介くん。

これ、君がやったの? この切り口、すごく大胆。

でも、ここの血管をもう少し残しておけば、もっと長く、綺麗な音で悲鳴を奏でられたかもしれないよ?』    

 

あの時の彼女の瞳。

黄金色の中に、混じりけのない狂気がキラキラと輝いていて。

 

一発で惚れたね。

見た目だけじゃない、あ、こいつは俺と同じ側の人間だ、って。

 

「……いやぁ、あの時、、俺、マジで感動して涙が出そうになったよ。

……『龍之介くん、これ、こうした方がいい音が鳴るんだよ?』って笑う君が、マジで天使に見えたんだ」

 

それからは、もう、最高にハッピーだった。  

冬木の街は、俺たちのために用意された巨大なおもちゃ箱みたいで。  

キャスターは、俺が思いもつかないような魔法みたいな……アートの手法を次から次へと披露してくれた。

俺が「量より質だよね」って言えば、彼女は

 

「じゃあ、一番綺麗な悲鳴を出してくれそうな子を、私の影でじっくり探そうか」

 

って応えてくれる。  

俺たちが作り上げた作品たちは、どれもこれも神様がスタンディングオベーションしちゃうくらいの傑作ばかりだ。  

さっきのこのホテルの「解体作業」だってそうだ。  

「時計塔のロード」とかいう、いかにもお堅そうなオジサンを、キャスターは笑いながら影で蹂躙してくれた。

 

『あはははは! 見て見て龍之介くん!

二人の肉体が、影の中で溶けて、一つに混ざり合っていくよ!

まるで、大きな、赤いマーブル模様のキャンディみたい!』

 

って、君があのオジサンとオバサンをぐちゃぐちゃに混ぜていた時、俺、改めて確信したんだ。

 

……君こそが、俺の、そして、俺は、君の、唯一無二の理解者なんだって。

 

キャスターの小さな肩を、より強く引き寄せる。  

柔らかな肌の感触。だけど、その内側には、この街の誰よりも禍々しくて、それでいて純粋な「暴力」と「魔力」が詰まっている。  

俺と同じ価値観を持って、俺の拙い「芸術論」を『最高にCOOLだよ!』って笑って肯定してくれる。  

 

「……あーあ。ホント、幸せすぎて怖いね、これは。

……神様、ありがとうございます。

こんな素敵なプレゼントを俺にくれるなんて。

……きっと神様も、俺たちの新作、楽しみにしてくれてるんだよね」

 

俺が幸せを噛み締めていると、腕の中の温もりが、微かに動いた。

 

「……んん……っ……。……龍之介、くん……?」

 

寝ぼけ眼をこすりながら、キャスター……藤丸立香が、ゆっくりと瞳を開けた。

その瞳は、今はまだ微睡みの中で、溶けた黄金のようにゆらゆらと揺れている。

 

「……どうしたの……? ……まだ、夜……だよね? ……眠れない……?」    

 

掠れた、甘えるような声。  

あれだけの戦闘をしてたとは思えないほど、無防備で、可憐な表情。  

俺は、彼女のふわふわしたオレンジ色の髪を、壊れ物を扱うように優しく、丁寧に撫でた。

 

「あはは、ごめんごめん。起こしちゃったかな。

……いや、なんでもないんだ。

……たださ、君と一緒にいると、マジでインスピレーションが止まらなくてさ。

……君は最高のパートナーだなぁ、って、改めて思ってただけなんだ」

 

「……ふふ、なにそれ。……改まって、恥ずかしいよ……」  

 

キャスターは少しだけ顔を赤らめて、俺の胸に頭を擦り寄せてきた。

 

「……でも、私も……嬉しいな。

……龍之介くんといると、私、自分が自分じゃないみたいに……

ううん、これが本当の私なんだ!って気がするの。

……ねえ、次はどんな『アート』を作ろうか?

……もっともっと、龍之介くんが驚くような、綺麗な『赤』を、私が描いてあげるね?」

 

その言葉を聞いて、俺の胸の奥が、熱いもので満たされた。  

あー、ダメだ。

この子を、ただ「キャスター」っていう、職業?の名前だけで呼ぶのが、凄く勿体ない気がしてきた。  

召喚した者・された者としての主従関係なんて、俺たちの「絆」には、もういらない。  

「ねえ、……ひとつ、聞いてもいいかな?」

 

「ん……? なあに、龍之介くん」

 

「これまでさ、俺、君のことを『キャスター』って、そんな風に呼んでたけど……。

……これからはさ、名前で呼んでもいいかな? ……名前で、呼びたいんだ」

 

立香は一瞬、きょとんとした顔で俺を見上げた。  

それから、まるで世界中の春を集めたような、眩しくて、残酷なほどに純粋な笑顔を浮かべた。  

 

「……ふふ、いいよ! ……あたりまえじゃない。

……私だって、龍之介くんに、ちゃんと私の名前を呼んでほしいって、ずっと思ってたんだよ?

私だけ、マスターのこと名前で呼んでたから、寂しかったんだから!」

 

「……マジで? よかった。

……それじゃあさ、……改めて。……よろしくね、立香ちゃん」

 

「うん! ……よろしくね、龍之介くん!」

 

俺たちは、血の匂いが漂う静寂の中で、もう一度深く、お互いを抱きしめ合った。

窓の外では、月が静かに、俺たちの「新しい関係」を祝福するように輝いている。  

 

「立香ちゃん。……明日の朝になったらさ、俺たちの『工房』に戻ろう!

コレクションも確認したいし、今晩集めた素材で、もっと派手な、歴史に残るようなアートをぶち上げようよ」

 

「あはは、賛成!

私も、頭の中でインスピレーションが止まらないんだ!

帰ったら、すごいのを作るからね!」

 

俺の指が、彼女の頬をなぞる。  

彼女は恍惚とした表情で、俺の手に自分の手を重ねた。

 

「……ねえ、龍之介くん。……約束だよ。……最後まで、私と一緒にいてね? …

…最後まで、私と一緒に、神様を喜ばせてあげようね?」

 

「もちろんだよ、立香ちゃん。……俺たちの芸術は、まだ始まったばかりだ。

……誰にも邪魔させない。……俺と、君の、最高のショーを続けよう」

俺たちは、朝が来るのを待ちわびながら、再び微睡みの中へと沈んでいった。  

雨生龍之介。  藤丸立香。    

二人の魂が、狂気という糸で、より強固に、より深く結びついていく。  

「……おやすみ、立香ちゃん。……いい夢を」

 

「……おやすみなさい、龍之介くん。……大好きだよ……」

 

ああ、明日も最高の1日になりそうだ……。

 

 

……そう言えば、立香ちゃんを召喚したあの家、なんで地下室なんかあったんだろうな?

おかげで彼女と会えたから、どうでもいいんだけど。

 

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