鉄血の一夏   作:ディーノpc35

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第10話

朝、教室ではある噂で持ちきりになっていた。

「織斑君、聞いた?二組に転校生が来たんだって」

「転校生?今の時期に?」

まだ4月の時期に転入してくる者がいることに疑問を抱く。

「うん、しかも中国の代表候補生だって」

「ふーん、どんな奴なんだろうな」

「…………気になるのか」

隣にいた箒は不機嫌そうに一夏に聞く

「ん?ああ、少しは」

「ふん……来月にはクラス対抗戦があるというのに女子を気にしている余裕があるのか?」

「そうですわ!一夏さん。クラス対抗戦に向けて、より実戦的な訓練をしましょう。相手なら専用機を持つこのわたくし、セシリア・オルコットが務めさせていただきますわ」

来月のクラス対抗戦の優勝賞品として一位のクラスに学食デザートの半年フリーパスが配られるからクラスのやる気が高い。

「まあ、やるだけやってみるよ」

 

「それでは困りますわ!一夏さんには勝っていただきませんと!」

 

「そうだぞ!男たるものそのような弱気でどうする!」

 

「織斑君が勝つとクラスみんなが幸せだよー」「織斑君、頑張ってねー」

 

「今のところ専用機を持ってるクラス代表って一組と四組だけだから、余裕だよ」

 

一夏の周りで楽しそうなクラスメイト達、そこへ教室の入り口から声をかける人物がいた

「——その情報、古いよ」

 

「二組も専用機持ちがクラス代表になったから、そう簡単には優勝できないから」

腕を組み、片膝を立ててドアにもたれていたのは——

「鈴……?お前、鈴か?」

 

「……ぁ……一…‥夏……」

 

鈴は一夏を目にした途端に涙を流し、そのまま一夏に抱き着いた。

「馬鹿ぁー!」

「おい、なんで泣いてんだよ?」

 

「あんたが死んだと思ってたからよ!」

 

「それは悪かったよ」

 

「本当よ!どれだけ心配したと思ってるのよ!」

 

一夏の胸に顔を埋めたままの鈴の背中を優しく擦る

「悪い。でも俺はこうして生きているから、心配することないさ」

 

「うん……でも、本当に良かった……」

 

しばらくして落ち着いたのか、顔を上げた鈴は涙を拭って笑顔を見せる

「とにかく、また会えて嬉しいわ一夏」

 

「ああ、俺もだよ鈴」

 

「それで、あんたがクラス代表になったって聞いてきたんだけど本当?」

 

「ああ、そうだけど……そろそろ後ろを見たほうがいいぞ」

 

「後ろって……」

 

鈴が振り返るとそこには鬼教師こと千冬が立っていた

「……凰、授業が始まる。さっさと教室に戻れ」

 

「は、はい!」

 

鈴は自分の教室に戻ろうとするがドアの前で振り返る

「一夏、あとで詳しく話聞かせてもらうからね」

 

「わかった。休み時間にでもな」

 

「約束よ」と言い残し、鈴は自分の教室へと戻っていく

 

「さてと、席につけ授業を始める」

 

そしていつも通りに授業が始まった。鈴との再会に少し浮かれていた一夏だが、千冬の授業が始まると真面目にノートをとる。一夏が授業を受けていると隣から視線を感じる

 

「……………」

 

横目で見てみると箒が何か言いたげな表情でこちらを見ていた

「どうした?」

「……別に何でもない」

 

そう言うとプイッとそっぽを向いてしまう。何故か不機嫌そうな箒に疑問符を浮かべる一夏であった。そして昼休みになり、一夏と箒とセシリアは学食へ向かう。

「お前のせいだ!」「あなたのせいですわ!」二人は午前の授業中山田先生に注意五回、千冬に4回叩かれており機嫌が悪くなっていた

「お前ら、自業自得だろ」

二人の言い分に呆れる一夏だった。そんな話をしながら食券を購入しようと販売機に行くと。

「待ってたわよ、一夏!」

 

一夏たちの前で仁王立ちして立ちふさがったのは凰鈴音だった。

「はぁ〜普通に通行の邪魔だからどいてくれ。食券出せないし。」

 

「わ、悪かったわね!というか、久しぶりに会ったのにあんたは『どいて』とかひどくない!?」

 

「あのなぁ〜」呆れたように溜め息を吐く一夏に鈴はますます怒る。

 

「大体、アンタを待ってたんでしょうが!なんで早く来ないの!」

 

「いや、昼休みが始まってまだ5分しか経ってないんだが?」

 

「うぐっ」

 

ようやく鈴が移動し、一夏達はそれぞれ食券を買う。

「2年ぶり位か、元気にしてたか」

 

「げ、元気にしてたわよ。アンタこそ、誘拐されて死んだって報道されてたけど死んでなかったのね」

 

「おう、なんとかな」

 

「ふーん……あっそ」

 

注文していた品が渡されてその量に鈴は驚く

「な、何よ、この量……」

 

「いや、普通だろ?これくらいは」

 

「あんたが普通じゃないわよ!」

 

鈴はツッコミを入れ、セシリアと箒も同じ思いなのかうなずいていた。テーブルについた一夏たちは食べ始め、鈴は一夏に話しかける

「で、どうしていなくなったと思ったらここにいるわけ?」

「それは……」

「はっきり言いなさいよ!」

 

「千冬姉に許可をもらってきたらな。それより、いつ代表候補生になったんだ?おばさんとおじさんは元気か?」

 

互いに質問する鈴と一夏だったがセシリアと箒は疎外感を感じてか不機嫌そうに声をかける

「一夏、そろそろどういう関係か説明してほしいのだが」

 

「そうですわ!一夏さん、こちらの方とはどういう関係ですの!」

 

「ああ、紹介する。こいつは凰鈴音俺の幼馴染だ」

 

「幼馴染?」

 

「ああ、鈴が転校してきたのが小五の頭だから箒と入れ違いで引っ越してきたんだ。」

 

「鈴、前に話した俺の通っていた剣道道場の娘で幼馴染の箒だ」

一夏の紹介に二人はにらみ合うように互いを見ていた。

「ふうん、初めまして。これからよろしくね。」

 

「ああ。こちらこそよろしく。」

 

「ンンンッ!わたくしのことを忘れてもらっては困りますわ!」

 

「……他の国とか興味ないし。」

「ちょっと貴女、失礼でしょう!わたくしはイギリス代表候補生、セシリア・オルコットでしてよ!?」

「言っておきますがあなたのような方には負けませんわ!」

「そ。戦ったらあたしが勝つよアンタより強いもん」

鈴の確信じみた言い方にセシリアと箒は絶句する。一夏は食べる手を止めていなかった。

「一夏アンタ、クラス代表なんだって?」

「ああ、二組のクラス代表は別な人だったはずだけど、なんで鈴になたんだ?」

「頼み込まれたのよ、アンタとそこのセシリアの試合を見て自分じゃ太刀打ちできないって」

「ふーん。じゃあクラス対抗戦は鈴と当たるのか」

「ええ、そうよ。私が勝つけどね」

「俺も負けるつもりはないぞ」

一夏と鈴は火花を散らすかの如く睨み合う。箒とセシリアは置いてけぼりにされてしまった。

 

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