鉄血の一夏   作:ディーノpc35

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第4話

1週間後一夏は千冬と一緒に教室へ向かていた。一夏の緊張はピークに達していた。

 

「おい一夏、しっかりしろよ」

 

「いや、だって……俺、女子ばっかりのところに入るんだよ?普通に怖いって」

 

千冬は呆れたように息を吐いた。

 

「全く仕方ない奴だな。男のお前が来るとは誰も思ってないから多少は騒がれるかもしれんが……まぁ大丈夫だろ」

「大丈夫かなぁ……」

 

そんなやり取りをしているうちに教室の前まで到着した。

「ああそれと、学校では織斑先生と呼ぶように。後で呼ぶからその時に入ってこい。」

 

そう言って千冬は教室に入った。

 

ドアを開ける音と共に生徒たちの視線が一斉に集まる。教壇に立つ千冬の姿を見た瞬間、ざわめきが広がった。

「あ、織斑先生。もう会議は終わられたんですね。」

「ああ、山田先生クラスへの挨拶を押しつけてしまってすまなかったな。」

「い、いえ副担任ですから、これくらい……」

「諸君、私が担任の織斑千冬だ。君たち新人を1年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ、私の言うことへの返事は『はい』か『Yes』で答えるように。いいな。」

千冬の自己紹介が終わると教室には黄色い声援が響いた。

「キャ―――――ッ!」

「千冬様、本物の千冬様よ!」

「ずっとファンでした!!」

「私、お姉さまに憧れてこの学園に来たんです!!北九州から!」

「あの千冬様にご指導いただけるなんて光栄です!」

「……毎年、よくもこれだけバカ者が集まるものだな、感心する。それとも私のクラスにだけ馬鹿者を集中させてるのか?」

 

そんな光景を呆れた目で見つめる千冬、だがクラスは相変わらず黄色い声援が飛び交っていた。

「きゃああああああっ!お姉様!もっと叱って!罵って!」

「時には優しくして!そしてつけあがらないように躾をして!」

教室の外でも聞こえた声援に一夏は苦笑するしかなかった。

 

「静かにしろ!…これから1人だけ紹介したい人物がいる。さぁ入ってこい!」

一夏は千冬の指示で教室へ入る。クラスメイト達の視線が集中する中、緊張しながらも一歩ずつ前へ進む。

その姿を見るなり一瞬教室が静まり返る。

しかしその静寂もすぐに破られた。

「男子?!しかもカッコいい……」

 

「ねぇねぇあの子誰なの?!」

 

教室中で歓声があがるなか、一夏はその場で深呼吸し震える声で自己紹介する。

 

「あ……あの、織斑一夏です……よろしくお願いします」

 

 

その瞬間、爆発的な盛り上がりとなり女子生徒たちは興味津々の様子で騒ぎ出す。

 

「男の子だ!」「しかも美形?!」「すごく可愛い!」

「織斑ってことはあの千冬様の弟?!」

 

 

「すごい……」

 

驚きと興奮の中、千冬はさらに続けた。

「彼は特別入学した男操縦者候補生だ。まだ経験不足なので色々サポートしてやってほしい」

 

千冬の言葉に生徒達は更なる興奮を見せる一方で、一部からは警戒心や嫉妬心など複雑な感情も見え隠れしていた。

その時、一人だけ違う雰囲気を持つ金髪碧眼の少女が挙手した。

 

「先生、少しいいでしょうか?」

 

千冬はその生徒の方を見る。

「セシリア・オルコットか?なんだ」

 

彼女は立ち上がり堂々と発言した。

「このような出来損ないがこのIS学園に入学し貴重な時間を奪ってしまうということですか?」

 

その言葉には明らかな侮蔑と嫌悪感

 

セシリア・オルコットの発言に教室の空気が凍りつく。皆、一夏を見つめるが、彼は困ったような表情をしていた。千冬は鋭い目でセシリアを見つめ返す。

 

「オルコット、お前は何を言ってるんだ?」

 

セシリアは不敵な笑みを浮かべながら続ける。

「事実ではありませんか?ISは女性にしか使えないはずなのに男が入学なんて非常識です。それに出来損ないの男に教えを請うなんて……」

 

その瞬間、教室は完全に沈黙に包まれた。

 

「オルコット、貴様の言葉には聞き捨てならない部分が多いが……」

千冬は冷静さを保ちながら、しかし厳格な声音で言った。

「この織斑一夏は正式な入学手続きを経て、しかもIS適性検査において規定以上の数値を示した上で入学している。それに、彼がここで何をするかは彼自身の努力次第だ。文句があれば彼自身に向けて言え。私が許可する」

 

千冬の言葉にセシリアは一瞬怯むが、それでも挑戦的な態度を崩さない。

「ふん……まぁいいでしょう。ですが、私は認めませんよ、そんな甘い考えで入った男なんか」

 

その言葉に一夏は内心で怒りを覚えるも、それを表情に出すことなく、落ち着いた声で返す。

「俺が何ができるか分からないけど、とりあえず全力で頑張るしかないと思ってます」

 

しかし、セシリアは冷たい視線を送ったまま。

「期待しないでおくわ」

 

授業が始まる合図とともに教室の空気が少し和らいだものの、セシリアとの間に火花が散るような緊張感は依然として残っていた。

 

その後も授業は続く。一夏は教科書や資料とにらめっこしながら必死に追いつこうとしていた。授業中に時折チラチラとこちらを見る視線に気づきながらも、一夏は自分にできることに集中していた。

 

「ここまででわからないところがあったら訊いてくださいね。なにせ私は先生ですから。」

 

山田先生が教卓の前に立って話しかけてくると、一夏は彼女が用意した教材に目を通しつつ質問を考える。

「先生、これってどう解けばいいんでしょうか?」

「それはですね……」

 

丁寧に解説してくれる山田先生のお陰で理解が深まっていった。

授業が終わり休み時間になると、教室内は異様な雰囲気となった。

興味津々な目で見てくる生徒達に対してどう対応して良いか分からず、一夏は緊張していた。

 

その時、一人の女子生徒が一夏に話しかけてきた。

「……ちょっといいか」

「え?」

 

振り向くとそこには長い黒髪をポニーテールに結び、鋭い眼差しの少女が立っていた。それは幼馴染の篠ノ之箒だった。

 

「え……もしかして、箒?」

「あぁそうだ。久しぶりだな、一夏」

 

互いに見つめ合いながらも距離感を探るように沈黙が流れた。しかし、その沈黙を破ったのは一夏の方だった。

 

「元気にしてた?」

「まぁ、それなりにな。お前こそ誘拐されて死んだって聞いてたぞ」

 

「それは……俺も色々あってな。」

次の授業を知らせるチャイムが鳴り響く。

「……とにかく、また後でな」

 

そう言って箒は自席に戻って行った。一夏も慌てて席に戻り次の授業に備えた。

 

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