鉄血の一夏   作:ディーノpc35

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第6話

その日の放課後、一夏は千冬に寮へと案内された。

「ここがお前が住む部屋だ。鍵はこれだ、無くすんじゃないぞ」

「え……鍵?てか寮長室って書いてあるけど。」

「お前と同居させるわけにはいかないからな。IS学園では基本的に全寮制だ。例外はほとんどない。男のお前には誰かと同じ部屋にさせるわけにはいかないからな」

「そういうことか。……なぁ千冬姉」

「なんだ?」

「部屋に足の踏み場がないんだけど?」

「…………」

 

千冬は無言で目を逸らした。一夏は一瞬ため息をつき、掃除道具を取り出した。

「とりあえず、掃除するか……」

「すまんな」

「良いってことよ」

その後、一夏と千冬で共同して掃除し終わったときには既に外は暗くなっていた。

二人は夕食を作ることにした。

「材料ってあるか?」

「あぁ、冷蔵庫の中にいろいろと入っているから好きに使え」

「了解。少し時間がかかるけど先にシャワー浴びててくれ」

「あぁ」

 

それから暫くして、料理が完成した。

「千冬姉、飯できたぞー」

「わかった。今行く」

風呂から出てきた千冬と二人でテーブルを挟み食事を始めた。

「美味いな」

「ありがと。どうだ?感想は?」

「とてもいい味付けをしている。」

「そうか。ならよかった」

一夏は少し照れ臭そうに笑った。二人の会話は他愛のないものだったが、互いにとって居心地の良い空間を作り出していた。

食後、片付けを済ませ一夏は久しぶりに千冬と過ごすことができた。

 

翌朝、一夏は日が昇る頃に目を覚まし鉄華団にいた時の日課であったトレーニングを済ませて食堂に向かった。食堂では多くの生徒が朝食を食べていた。一夏はトレーを持って列に並ぶと注文したものを載せて席についた。その時、背後から声がかかった。

「一夏」

振り返るとそこにいたのは箒だった。彼女は一夏のトレーを見て少し驚く。

「お前、いつも朝からこんなに食べるのか?」

「あぁ、もう癖みたいなもんだな」

「ふぅん……それよりここ、座ってもいいか?」

「あぁ」

箒が隣に座ると彼女はじっと一夏のことを見つめてきた。

「何だよ?」

「いや、お前が生きててよかったと思ってな」

「心配かけて悪かったな」

「いいさ、お前が無事ならそれで充分だ」

「ありがとな」

それから二人は黙々と食べ続けていたが

「お、織斑君、隣いいかなっ?」

 

「あ、あの、昨日はごめんなさいっ、急にみんなで質問攻めなんかしちゃって!」

「私、鷹月静寐っていうの。織斑君の前の席」

「わ、私は相川清香です。えっとね、織斑君の二つ前」

「私は谷本癒子だよー。清香と仲良くしてあげてね」

「ほんとごめんね、今日は私も気をつけるからっ」

「あー、はい。ありがとうございます」

次々と話しかけてくる女の子たちに若干困惑する一夏。それでもとりあえず返事をしておいた。

すると

「織斑君、朝からすごい食べるね何人前なの?」

 

「俺?五人前だけど」

「そんなに食べないでしょ?嘘だよね?」

「いえ、マジです」

「うっそぉーー!?」

まさかの答えに驚愕する女子たち。周りの人間も唖然としていた。

「おかわり行ってくる」

「えぇ~~~~」

 

呆気にとられる少女たちを置いて一夏は席を立ち再び列に並ぶ。

「うおー、すごい量食べてるぞー!」

「あの細い体のどこに吸い込まれていくんだ!?」

 

騒がしい視線を背中に受けながらも平然とトレイに次々と料理を載せていく一夏。

それらをすべて食べ終えたところで彼は席に戻ってきた。

「お、お疲れ様です、織斑さん」

「あぁ、ありがとう」

 

周りの女子たちは若干引いているようだ。

それから、一夏は教室へ向かい席についた。

少しすると担任教師である千冬が入ってきてホームルームが始まった。授業が始まり

「織斑、お前のISだが学園で専用機を用意するが予備機がない。だから少し待て」

「へ?」

 

千冬の言葉に教室内はざわめいた。何故なら、この学園においてIS専用機を持つ生徒はわずかしかいないためだ。

「先生っ!質問です!」

 

生徒の1人が手を挙げた。

「なんだ?」

「織斑君だけズルイじゃないですか! 不公平です!」

「それにはいくつか理由がある。まず織斑が男であり、ISを使えると判明した場合、下手をすれば学園内で誘拐され、データ採取のために監禁される可能性もある。次に専用機を持つことで戦闘訓練で相手が本気でやらない等の問題も考慮すれば持たせるのが妥当であろう。」

 

「「「「………………」」」」

千冬の説明に生徒たちは何も言えなかった。

「よって織斑は専用機を支給されることになったのだ。以上だ」

 

チャイムが鳴り授業は終わった。

一夏は今日の授業の復習をしているとセシリアが来た

「安心しましたわ。まさか訓練機で対戦しようとは思っていなかったでしょうけど」

「まあ?勝負はみえていますけど?さすがに、フェアではありませんものね」

「わたくしはすでに専用機を持っていますし、IS同士の戦闘にも経験がありますので」

 

「あなたのように、いきなり初心者に勝負を仕掛けるような無粋な真似はいたしません」「ですが、あなたの機体が来るまでは戦うこともできません。それまでお互いに健闘を誓いましょう。まぁ、私の勝利は揺るぎないでしょうけども」

「精々、負け惜しみが減らない程度には強くなっていただきたいですわね」

一夏はため息をつく。そして立ち上がりセシリアの前に立つ

「確かに俺はISでの戦闘は初心者だが、負けるつもりなんて毛頭ない」

 

セシリアは一夏を睨みつける

「……わたくしを愚弄するおつもりですの?」

「別にそんなんじゃない。ただ事実を述べただけだ」

「そう。ならば、この勝負でどちらが上かハッキリさせましょう。私の勝利が確定していますけど」

「せいぜい負けた時の言い訳を考えておくことですわね」

そう言って去って行ったセシリア。一夏は静かに腰を下ろす。そして

「……俺が勝つ」

 

そう呟いた。

 

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