聖杯憑依者と戦姫絶唱   作:伽華 竜魅

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二話目になります。




チュートリアルの乱戦

 

 

 

 

ノイズの避難警報が発令されたことにより人の気配を無くした夜街。

その車道の上を一台の車がで駆け抜けている。

車のハンドルを握るのは、特異災害対策機動部二課司令『風鳴弦十郎』。

 

助手席には同僚であり、長い付き合いの友人にしてシンフォギアシステムの開発者。

更には異端技術『聖遺物』を動作させる櫻井理論の提唱者である『櫻井了子』。

その二人を乗せて走る中、弦十郎は険しい面持ちでアクセルを踏んでおり、了子は端末にて現場の状況を確認しており、その顔は驚愕に染まっていた。

 

「アインツベルン……?」

 

「知っているのか了子君」

 

「い、いえ……(()()()()()()()()()()()? いや、そもそもあの小娘は本当にアインツベルンなのか?)」

 

 

    ※ ※ ※

 

 

礼儀正しく挨拶をした少女――イリヤはその灰瞳でしっかりと三人を見ている。

一方で三人は無関係なのか、敵の仕掛けたものによるものかわからず困惑していた。

 

「こ、子供が何でこんなところに!?」

 

「……おいガキ! 死にたくなきゃさっさとここから――」

 

民間人まで巻き込みたくないクリスは、離れるよう告げる。

しかし次の瞬間、小鳥サイズの使い魔――天使の詩(エンゲルリート)がツェーレをクリスの顔の横にわざと外して放ち、地面に着弾した。

 

「見た目で判断しないでくれるかしら。私こう見えて、あなた達より年上なんだから」

 

三人が唖然としている中、その言葉が合図となったのか天使の詩(エンゲルリート)は本格的に、舞うように動きながら攻撃を始める。

それもどちらの味方で敵であるかなど関係ないように目の前にいる三人全員にに向けて放つ。

その攻撃に対し三人は咄嗟に避けていく。

 

「(ネフシュタンを纏う奴の反応から見て仲間という感じじゃない……かく乱させるための演技? いや)」

 

避けながら翼はイリヤを見た後にネフシュタンを纏うクリスを見る。

クリスもまたネフシュタンの鎧の一部である鞭を振るい攻撃を弾いたり、避けたりを繰り返していた。

 

「(攻撃が正確だ……つまり、第三勢力か…!!)」

 

翼は攻撃を躱しながらイリヤへと迫る。

 

「(威力は見た目よりも低い…! ならば!!)」

 

翼は相手が自身より幼い子(見た目)であろうと、関係なく斬撃を放つ。

しかし天使の詩(エンゲルリート)は小鳥から剣状に変形し、デーゲンとしてその斬撃を破壊し、そのまま翼へ迫り、その横を通り過ぎて地へと突き刺さる。

 

「アームドギアのように形状変化しただと…!? 貴様のそれはいったい……!?」

 

「ツェーレには勝ってもデーゲンには負けるんだ。やっぱりあなたは――弱いね」

 

「邪魔すんじゃねぇよ!!」

 

ノイズがイリヤへ迫り、炭化させようとする。

しかしイリヤは天使の詩(エンゲルリート)を二羽追加させ、迎撃を始めた。

()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「なっ…!?」

 

「ノイズは聖遺物でしか倒せないって言うけど、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。巫女の聖遺物に焦点し過ぎた末の見落としってところかしら?」

 

「ま、待って! なんでこんなことするの!? 私たちはノイズと違って人なんだから話し合いを――」

 

「それはこれまでの戦場で名を轟かせた英雄たちへの冒涜よ。それにあなたは私と同じで、()()()()()()()()()()()()()

 

「――えっ」

 

デーゲンで響の脇腹を貫き貫通させる。

響はわき腹と口から血を出しながら倒れこんだ。

 

「立花!?」

 

「仲間を気にしてる場合かしら?」

 

「なっ!? くっ…!!」

 

天使の詩(エンゲルリート)はツェーレとデーゲンを器用に切り替えながら攻撃を続ける。

 

「さて」

 

イリヤはクリスへと向く。

白髪の髪に整った外見。

一見すれば血を分けた姉妹のように見えるが、彼女たちはまったくもって赤の他人。

 

違う点があるとすれば瞳の色が違うことぐらいだろう。何より彼女たちは敵同士。

故にイリヤが一歩踏めば、クリスは一歩退く。

 

「その杖、私に渡してくれるかしら?」

 

「ッ! 狙いは杖か…なんでテメェみたいなガキがこれを欲しがる!? そもそもテメェ、どうやってノイズを……!!」

 

「渡してくれるなら教えてあげるわ。同じ白髪のよしみとしてね」

 

「誰が!!」

 

クリスはノイズを繰り出す。

しかしイリヤは天使の詩(エンゲルリート)で簡単に炭化させて撃退していく。

おまけにクリスへ攻撃も繰り出すことで、彼女は動き回っている。

 

その一方でイリヤはただ立ち尽くし、クリスを見るのみ。

それはまさに高みの見物のように。

 

「アハハッ! さっきまであっちのお姉ちゃんたちに向けてた威勢はどうしたの?」

 

「うるせぇ!!」

 

クリスはイリヤへと接近し、その鞭を振るった。

 

「――こっそり練習とかはしてるけど、やっぱり本格的な戦いの方がいいよね」

 

瞬間、イリヤは小さく何かを呟きながら片方の手が動かす。

そしてその掌に魔力が込められていき、形を形成し鞭を防いだ。

 

「ッ!?」

 

干将・莫耶。

その片剣、陰剣莫耶を投影し、ネフシュタンの鞭を防いでいる。

 

「(やっぱり違和感あるなァ、魔法少女の世界線でもないクロでもないイリヤが士郎…エミヤの投影魔術を使用するなんて……駄作にもほどがあるよね)」

 

とりあえずとばかりにイリヤは弾き飛ばし、クリスは驚きを隠せないとばかりに驚愕に染まりながらイリヤから目を離さないでいた。

 

「お前…それは聖遺物だな? なんでお前みたいな子供が、それも完全聖遺物を…!?」

 

「それを言うならあなただって聖遺物を()()()()()()()()()()()()

 

「ッ!」

 

何故とばかりにクリスは絶句する。

自身が纏うはネフシュタンの鎧であり、その手にはソロモンの杖が握られている。

つまり二つしか認識できないはずなのだ。

 

しかしイリヤは三つと言い出した。

それはまるで、彼女が元々持っていた一番相性のいい聖遺物を知っているように。

 

「何、言ってやがる……!」

 

「教えてもいいけどネタバレは面白くないわよね~…やっぱ謎があった方が醍醐味だし!」

 

陰剣莫耶を器用に回しながら、まるで今行っているこれらが全て遊びであるように語るイリヤに、クリスは一種の恐怖を感じた。

瞬間、青い斬撃がイリヤへ襲い掛かり、天使の詩(エンゲルリート)が盾となって防ぐ。

 

「ふ~ん、突破したんだ」

 

土煙の中イリヤが見たのは、盾となった使い魔以外の天使の詩(エンゲルリート)を全滅させて自身を見ている翼の姿。

後方では響が苦しみ、傷を手で抑えている。

 

「私を忘れないでもらおうか!」

 

「三つ巴……いいわ。どっちもかかってらっしゃい――と言いたいところだけど」

 

イリヤは天使の詩(エンゲルリート)と陰剣莫耶を解除し消滅させる。

 

「そっちの二人のお偉いさんがもうそろそろ来ると思うから、ここは潔く逃げるわね」

 

「なっ!?」

 

「バイバイ。また遊ぼうね? お姉ちゃんたち」

 

灰瞳のイリヤは背を向け歩き出す。

そして夜風が吹き荒れ、響たちが一度瞼を閉じ開ければ、そこにはもういなくなっていた。

 

 

    ※ ※ ※

 

 

「ふぅ……」

 

人気のない場所だと返って見つかるリスクが高い。

特に外見だけで見れば小柄な小学生女子が真夜中の人気のない街を歩くなんて目立つ、海外の血族故の髪色が違う者は特にだ。

ノイズの発生がなく、真夜中でもある程度人のいる場所に移動し、肩の力を抜きながら息を吐く。

 

「こう、何度も実感させられるのも癪ね……自分で確かめておいてあれだけど」

 

声を漏らしながら手を見て、魔術回路を確認して目を細める。

特に問題はない……イリヤの力と、貪欲、強欲故に得た『無限の剣製』の擬き的魔術は使えてる。

 

「と言っても、結構手ごわかったな、翼とクリスは」

 

あの二人は戦場になれている。

逆に主人公である響はほぼ素人……士郎でもまだ魔術が未熟だったとはいえ使ったりしてたからマシな方だ。

 

と言ってもどっちも力に振り回されている……まぁ主人公定番、初期は力に振り回されている的な感じだね。

 

とりあえず今日はここまでだ。

帰って回復に専念しよう……そう思った時、お腹がキュルキュルと鳴りだした。

そういえばご飯食べてなかったっけ。

 

「食事での回復も大事だし、何か食べないとな~……」

 

するとチャルメラの音が聞こえた。

見れば、『ラーメン』と書かれた車が走っていた。

そういえばここいらはノイズの発生がなかったから……気が付けば私は走っていた。

 

「待って~!! ラーメン食べた~い!!!」

 

いつの世もラーメンは最強で最高の食べ物。

そして前世ではセラが過保護すぎて食べさせてくれなかったから、余計に食べたいと言う反動が大きくなっていた。

 

あと前世と数年越しぶりのラーメンは最高に美味しかった。

 

 

 

 





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