聖杯憑依者と戦姫絶唱   作:伽華 竜魅

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……300って、マ?
うっそでしょありがとうございます…!!




デュランダル護送

 

 

 

 

【広木防衛大臣、テロリストに暗殺され死亡。犯人はグループである可能性があり、今も捜索中…】

 

こっそり警察(ポリス)からパクった無線機からそんな通信が聞こえた。

間違いなく先史文明の巫女の亡霊…フィーネが裏で回した殺害が起こったことだろう。

つまり明日辺りに動くかもしれない。

 

念のため天使の詩(エンゲルリート)とは別に小鳥を使い魔にして偵察はさせてあるし、視界共有でたまに見たりしてるからある程度分かるけど。

 

「よいっしょっと!」

 

身体を起こして解し、魔術回路の状態確認…うん。

回路は良好、聖杯も問題なし。

魔力も充分あるから、一、二回程度なら無茶をしても大丈夫だろう。

 

現界してるわけじゃないから魔力も自然と回復するし、食事とかでも回復するから大丈夫。

これなら天使の詩(エンゲルリート)や投影だけじゃなく、アレも一回だけならできるかな?

今の私じゃ本家である彼女たちのように連続とかできないし、不安定すぎるからな……置換魔術(フラッシュ・エア)も念のためマキリから貰った本からちゃんと事細かな詳細まで読んで覚えたけど、それでもだ。

 

「原作と違って翼がいる以上、圧倒的にクリスが不利になる。ふふっ、まぁどっちの味方でもないから、どうでもいいし、全員私が痛めつけるけど」

 

そう言いながら街を見下ろす。

軽い風が吹き荒れて、スカートや髪が揺れる。

あぁ、でもこう無心になるとどうしても……。

 

「寒くなるな~……」

 

何度も、マスターたちのことで肌が恋しくなる。

 

 

    ※ ※ ※

 

 

特異災害対策機動部二課本部の会議室で、早々に会議は進められていた。

 

「任務は、完全聖遺物――デュランダルの護送よ」

 

デュランダルを元々保管・管理していた二課本部は永田町最深部、特別電算室――通称『記憶の遺跡』に移送する計画を広木氏の亡くなったその日に決断。実際は政府が、でありトッキブツはその木っ端役人である以上逆らうことは不可能。

任務とは命令でありそれ以上でも、それ以下でもない。

 

死に直結するものであろうと歯向かうことも背を向けることもできない。

要諦輸送日時は会議している今日の明朝、次の日。

詳細は外部に漏れない為チップに記載し、各自確認。

 

全員が真剣となり静まり返っている空気の中、響は静かに手を上げる。

それを了子は指した。

 

「あの、あの子たちは来るんでしょうか?」

 

「……そうね。確証はないけれど、可能性は高いわ。だからこそ、政府はこのタイミングでデュランダルの護送を決めたんでしょうし」

 

「そう……ですか」

 

人間同士で争うのは間違っている。

話し合えると今も信じ続けている響は、あの少女たちと話がしたいがためにこうしているのだろう。

特に、自身よりも年下と見えるあの少女のことを。

 

「司令、あの者たちは互いにも敵対関係にありました。同時に来ては乱戦になる恐れがあります」

 

一方で翼もまた、警戒していた。

片方はネフシュタンの鎧とノイズを召喚し使役する杖の、二つの完全聖遺物を所持する者。

片方は完全聖遺物と見受けられる短剣に加え、聖遺物ともただの兵器とも異なる何かを使用し、ノイズどころかシンフォギアのバリアフィールドを簡単に突破するほどの力を見せている。

 

「ネフシュタンの少女は分からないが、もう片方の少女はイリヤスフィール・フォン・アインツベルンと名乗っていた。完全聖遺物を所持し、聖遺物と断言できない未知の力にてノイズを倒すことの出来る少女。彼女の名は既に知れたから片っ端から調べているが、()()()()()()()()()()()

 

「そも、完全聖遺物は各国が血眼になって探しているとっても貴重な物。あの子が使ってるものが何であれ、聖遺物を所持しているのは間違いない。ネフシュタンの子とは裏で実は繋がってる可能性も視野に入れておかないとね!」

 

「彼女の詳細はどうあれ、その実力生身でシンフォギアと渡り合えるほどだろう。油断するなよ!!」

 

 

    ※ ※ ※

 

 

『天下の往来独り占め作戦』決行日。

四台の黒色の車と一台のピンクの車、そして翼の乗るバイクと上空からのヘリが既に目的地へ向けて動いていた。

 

そして橋を渡る途中で突然道路が爆発した。

予想はされていたが妨害…デュランダルを奪取するため、敵もついに動き出したということ。

一台の護衛車が橋の一部の崩落に巻き込まれてそのまま落下するのを見て、了子の車の助手席に座っていた響は恐怖と驚愕が混じったような表情を露に蛙してた。

 

それでも止まってはいられない。

残りは橋を抜けて市街地にへと突入した。

あらかじめ人払いをしていたため、平日にもかかわらず人通りには人が人っ子一人いない。

 

すると下水管から勢いよく水が噴き出し、マウンホールが車体に当たって二台ともにスリップした。

弦十郎はこれらを見て敵は下水管を巧みに利用していると判断し、すぐさま了子たちへ伝達した。

そして最後の護衛車もやられ、残ってるのは了子と響、そして翼だけとなった。

 

「なぜ護衛車だけを的確に…それもノイズで直接ではなく、わざわざ妨害行為で……」

 

翼は護衛車を狙う敵…どちらかは不明だが、その襲撃に違和感を感じていた。

 

『弦十郎君、ちょっとヤバいんじゃない? この先の薬品工場でノイズが暴れて爆発でも起きたらデュランダルは……』

 

『分かっている! さっきから護衛車のみを的確に狙い打ちしてくるのは、ノイズがデュランダルを損壊させないよう、制御していると見える!』

 

弦十郎の言葉を聞いて了子の舌打ちを漏らす。

それはノイズをソロモンの杖で操っているはずのクリスが、人を傷つけずに事なそうとしている事に気が付いたから。

予想外の乱入者によって、半端な結果に終わったにもかかわらず、何故か人を傷つけないようにしているクリスは、フィーネの思想から脱却し始めていると悟ったからだ。

 

『狙いがデュランダルの確保なら敢えて危険な地域に滑り込み攻め手を封じるって寸法だ!』

 

『勝算は!?』

 

『思いつきを数字で語れるものかよ!?』

 

そのやり取りの後、了子と響の乗る車と翼の乗るバイクは海沿いの薬品工場に入る。

するとノイズが下水管から現れて、了子は慌ててハンドルを切るがそのせいでスリップして反転。

上下逆になって行動は不可能になってしまった。

 

翼はすぐにバイクを車の傍に停車させて降りる。

響たちもすぐにデュランダルのケースを持って車から出てきた。

 

「こりゃあちょっとヤバいわね……二人とも、お願いできるかしら?」

 

「はい! 行きましょう翼さん!!」

 

「あぁ!」

 

――Balwisyall nescell gungnir tron(喪失までのカウントダウン)

――Imyuteus amenohabakiri tron(羽撃きは鋭く、風切る如く)

 

響は心臓に突き刺さり、融合症例という形となったガングニールを。

翼は胸のペンダントとなっている赤いクリスタル状の物を。

それぞれの聖遺物の『聖詠』を奏でることで、その身にシンフォギアを纏わせた。

 

「立花はノイズを。ネフシュタンの少女は私が相手する。今の所イリヤスフィールという少女はまだいないが、そちらの警戒も怠るな」

 

「はい!!」

 

響は融合症例によるシンフォギアの力と修行による定まった戦法によって、アスファルトの硬い地面に亀裂が入るほどの力強い踏み込みを見せ、ノイズを炭化させていった。

シンフォギアという超常科学のシステムが産み出すエネルギーは、人知を容易く超えるもの。

だがまだ融合症例状態である響の場合は、その中でも群を抜いている。

 

一方の翼は剣を片手に持ち、ネフシュタンの鎧を纏うクリスと対面する。

 

「デュランダルは渡してもらおうか。あのガキがいないうちにな」

 

「……」

 

敵として目の前にいるクリスと分かり合えるなど、翼には自信はない。

何より響の理屈には正直賛同は出来ないし、正しいとは思えない。

それこそ理想論と断言できる。

 

だがそれでも貫き進もうとする響を、今改めて思った翼は切り捨てる気はもうない。

故に剣先を突きつけた。

 

「最終通告だ。ネフシュタンの鎧を解除して投降しなさい」

 

「誰が。あたしには叶えなきゃならねぇもんがあるんだ……そのためにもデュランダルとあっちにいる馬鹿な奴は必要なんでな!!」

 

クリスはネフシュタンの鎧の一部である鞭を手に構える。

翼もまた翼も相手の出方をみて意識を臨戦態勢に切り替えた。

 

――だが次の瞬間、無数の光が雨のように周辺のノイズへ降り注ぎ、全てを炭化させた。

 

「なっ…チッ、もう来やがったのか…!!」

 

「くっ…立花! 無事か!?」

 

「は、はい!!」

 

響の安否を確認した翼は、そのままノイズを一匹残らず蹴散らしたその矢へ視線を向ける。

そして注意すべきはノイズやネフシュタンの少女、ましてやイリヤと彼女が使う短剣と力だけにあらずと今断言できる。

 

「(なんだ…あの矢は?)」

 

装者の中では断トツで戦場を乗り越えてきた防人にしてその身を剣とする彼女の目には、その矢の違和感を少なからず感じていた。

だがそれが何なのかまでは分からない。

一方で傍にいた了子(フィーネ)はその異質、奇怪さに気づいていた。

 

「(アレは矢と呼べる物なの? もはやアレは、剣を矢に変えたようなもの……異物だわ)」

 

聖遺物の中には弓矢に関するものもある。

そして聖遺物研究科でもある櫻井の記憶と先史文明の巫女であるフィーネの中でも、捨て駒でもある矢そのものが聖遺物に当たる物は少ない。

しかし今地面に突き刺さっている矢は全て聖遺物…それも完全聖遺物に当たるものだ。

 

矢でありながら剣に近い構造。

だが一つ一つが異なる形をしており統一はされていない。

そして異質な、通常の矢とは異なる、聖遺物に由来する気配が混ざり込んでいる。

 

そんなものをあろうことか遠距離武器で躊躇いなく放った。

それらはそこで着弾し回収は不可能に近く、奪われる可能性の方が高い。

にもかかわらずだ。

 

――瞬間、足音が彼女たちの耳に響き、翼が、響が、クリスが、そして了子(フィーネ)が音の方へ振り向く。

 

「ふぅん…勢揃いってところかしら」

 

土煙と炭化したノイズの塵の中から現れた、小学生ぐらいの小柄な少女。

 

「――また会ったね、お姉ちゃんたち」

 

黒弓を持つイリヤが戦場へ参上した。

 

「そして――()()()()()()()()()

 

イリヤは目を細めながら了子(フィーネ)を見つめる。

それに対して了子(フィーネ)は表情を崩しはしないものの、警戒していた。

 

「同類……?」

 

「急いできたけど、肉体的戦闘は今始まった感じだね……まぁいいわ。まだ起動していないだけマシね。私じゃどうやっても起動できないから」

 

イリヤは黒弓を消し、汚れ一つない白髪の毛を二本、天使の詩(エンゲルリート)へと変えて召喚する。

 

「デュランダルは私がもらうわ。あなた達に……特にあなたに渡すわけにはいかないからね。でも三つ巴だと面倒だし、逃げられるかもしれない。だから――」

 

そして両手に干将・莫耶を投影し構えた。

 

「――手足の一本や二本は覚悟してね?」

 

莫耶を持つ方の手を上げ、乙女らしいポーズをし微笑みながらそう告げた。

 

 

 

 





ざっくりしちゃったけど、お許しを…。

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