コズミックイラのマチュ ~ロリニュータイプの日本再興記~   作:アキ山

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お待たせしました。

コズミック・イラの更新です。

もう原作なんて影も形もねーよ!?

暇つぶしになれば幸いです。


マチュ殿下、ご両親と再会する

 地球連合軍所属の強襲機動特装艦アークエンジェル。

 

 現在、その艦内は混乱の中にあった。

 

「バジルール少尉! あなた、本気で言っているの!?」

 

「はい。我々がヘリオポリスを安全に脱出するチャンスは、今をおいて他にありません。オーブ軍がザフトの相手をしている内にここから離れましょう」

 

 怒りを隠さないマリュー・ラミアス技術大尉の糾弾を、ナタル・バジル―ル少尉は表情一つ変えずに受け止める。

 

「ザフトの襲撃は私達が原因なのよ! それをオーブに全て押し付けて逃げ出すなんて……!」

 

「では、どうすると言うのです。まさか我々も参戦すると言うのですか?」

 

「そいつは無理だぜ、ラミアス大尉」

 

 マリューの言葉に冷静に問いかけるナタル。

 

 それに加わる様に口を開く男がいた。

 

 鍛え上げられた体を紫と白を基調にしたパイロットスーツに身を包み、癖のある金髪が特徴の士官。

 

 ザフトの襲撃から逃れてアークエンジェルと合流したメビウス・ゼロのパイロット、ムウ・ラ・フラガだ。

 

「どういう意味ですか、フラガ大尉?」

 

「地球連合はオーブの同盟国じゃない。そして軍事同盟がない以上、俺達が向こうの戦いに首を突っ込むのはご法度だ」

 

 マリューの言葉に肩をすくめるムウ。

 

 彼の言う通り自国の安全に関わらない第三国の紛争に武力介入することは、侵略行為とみなされる可能性もある事から原則として国際法では違反とされている。

 

 例外として正当な集団的自衛権の行使や該当政府、この場合はオーブからの要請があれば参戦しても違法にならない場合もある。

 

 しかし、ムウが言ったように中立を謳うオーブは他の国と軍事同盟を結んでいない。

 

 そのために集団的自衛権の行使は不可能、政府からの要請も無いのでアークエンジェルが参戦する事はできないのだ。

 

「それに我々の任務はこのアークエンジェルと、最後に残ったストライクを連合軍本部へ送り届ける事です。この二つを危険に晒さぬ事が最優先ではないのですか?」

 

 ナタルの意見にマリューは苦虫を噛み潰す。

 

 彼女が口にしたことは正論だった。

 

 自分達の任務はGATーXシリーズとそれを運用するアークエンジェルの開発。

 

 正義感や罪悪感でそれらが破壊される危険を冒すことはできない。

 

 しかし、ここに来て日が浅いナタルと違ってマリューはヘリオポリスに長く滞在してきたのだ。

 

 モルゲンレーテの職員をはじめ、ここに住む人々と交流だってある。

 

 自分達が原因で彼等の生活が破壊されたのに、何もせずに逃げるなど納得できなかった。

 

 そもそも敵軍が迫る非常時の中で彼等が行動もせずに意見をぶつけ合っているのは、現場を取り仕切る上官がいないからである。

 

 本来それを行うのはアークエンジェルの艦長に就く予定だった佐官なのだが、彼はザフトの襲撃によって本来のGATーXシリーズのパイロット候補生や正規クルーの多くと共に命を落とした。

 

 艦にいる生き残りはナタルを始めとする年若く階級の低い者だけだ。

 

 マリューは大尉ではあるものの、部隊運用など齧った程度の技術士官。

 

 ムウもパイロット一本の叩き上げなので、艦を指揮するなど門外漢である。

 

 意思決定を行う責任者がいないからこそ、彼等はこうも混乱しているのだ。

 

「……わかったわ。でも、せめてヘリオポリスの行政府には一報を入れましょう。迷惑をかけたお詫びと今までのお礼を」

 

「それは止めた方がいいでしょう。アークエンジェルとМSの開発は極秘で行われたもの、モルゲンレーテから行政府に知らされていない可能性があります」

 

「バジルール少尉の言う通りなら俺達がザフト襲撃の原因だって向こうは気づく。そうなった場合文句を言われるだけならいいが、最悪足止めを食らう可能性もゼロじゃないか」

 

「その通りです、フラガ大尉。そうなれば我々はザフトから逃れる機会を失う事になってしまいます。そして万が一オーブ軍がザフトを退けたとしても、コロニー襲撃の元凶として拿捕される危険もあります」

 

「まあモルゲンレーテが国有企業なのを考えれば、この船もМSも国同士の同意で造っていた代物だ。捕まったとしても取り上げられる事は無いだろうさ。だが、返ってくる間にどれだけ中身が調べられるか分かったもんじゃないわな」 

 

 せめてもの義理を通そうとしたマリューに二人から突きつけられる非情な現実。

 

 たしかにアークエンジェルもストライクも制作にはモルゲンレーテが関わっている。

 

 しかし彼等が全てを知っているわけではない。

 

 軍の機密である以上、マリュー達は構造の核となる部分にブラックボックスを仕込んでいる。

 

 キラが書き換えてしまった未完成だったОSもそうだ。

 

 あれがナチュラルでも動かせる代物ならザフトに対抗するための必須アイテムだ。

 

 そして戦後のミリタリーバランスにも大きく作用する重要なファクターともいえるだろう。

 

 大西洋連邦としては絶対に他国には渡す事の出来ない。

 

「我々はこれより隠密行動でヘリオポリスから離脱します。よろしいですね?」

 

「……ええ。でも、キラ君や子供達はどうしましょう?」

 

「キラ・ヤマトは解放できません。彼はストライクの中枢に触れたので」

 

「そうなると他の連中もダメだろうな。さっき見た限りだと、友達を置いて自分達だけ助かって納得するタイプじゃないぜ」

 

 意気消沈気味のマリューにムウと共に答えを返すナタル。

 

 そんな彼女は胸中で独り言ちる。

 

(現状、我々の戦力はあまりに少ない。フラガ大尉のメビウス・ゼロも次の襲撃までに修復が間に合う可能性は低いだろう。となれば、我々に残されているのはストライクのみ。それを動かせるのはキラ・ヤマト只一人だ。もしもの時には彼に戦ってもらわねば……)

 

 ナタルとて民間人を戦わせるのが非道である事は重々承知している。

 

 しかしアークエンジェルとストライクは地球連合にとって、ザフトのМSに対抗できる唯一の希望なのだ。

 

 今も機械仕掛けの巨人の脅威に晒されながら必死に戦う前線の同胞たちの為に、己が外道に落ちてでもアークエンジェルとストライクは護らねばならない。

 

 鉄面皮を装いながらもナタルは覚悟を決める。

 

 こうしてアークエンジェルは人知れず生まれ故郷を後にした。

 

 この行動が後にどのような波紋を産むのか、それはまだ誰にも分からない。

 

 

 

 

 どうも、姫ネコ被りをしすぎて剥がれないのではと危惧しているマリです。

 

 戦後処理というのは色々な意味で大変だ。

 

 まず連合の船に連れていかれたキラ兄なんだけど、こっちに関しては今のところ手は出せない。

 

 何故なら長門は大和会の立場的に父上の保護を最優先しないといけないからだ。

 

 他のヘリオポリス駐留軍もザフトの襲撃でやられているので、連合を追える手がないと言われた時はマジで愕然とした。

 

 なら私がオーロラでと立候補したんだけど、ミイラ取りがミイラになるから止めろとNOを突きつけられる始末。

 

 ガッデムッ!!

 

 まあ、軍事機密を知った云々があるからただ迎えに行っても返してくれないし、それ以前に私がМSに乗ってるのはバレるほうがアウトだろう。

 

 ザフトもいなくなったから大丈夫……かな?

 

 不安だけど今はオーブ政府に何とかしてもらうしかない。

 

「マリちゃん!」 

 

「うわっぷ!?」

 

 そんな訳で私は行政府が用意した簡易避難所でお姉さんに熱烈タックルを食らっています。

 

「貴方がどのシェルターにもいないと聞いた時は、心臓が止まるかと思ったんですよ!!」

 

「ごめんなさい、桜子さん」

 

 涙目で私に詰め寄っているのは岡部桜子さん。

 

 大和会の重鎮である岡部弾正氏の長女で、私の側付きに任じられた女性だ。

 

 見た目は長い黒髪と儚げな雰囲気を持つ深窓の令嬢だけど侮ることなかれ。

 

 武門の名家である岡部の出である彼女は薙刀に柔術、さらには短刀術に精通する剛の者である。

 

 オーブ本国ではコーディネーターの強盗3人をあっという間に叩きのめした実績があるくらいだ。

 

「最悪の事態だったら腹を切る覚悟まで固めていたのに……まったく!」

 

「それは勘弁してください」

 

 責任取るために腹を切るっていう人が武門に多いけど、切られる方の身にもなってほしい、マジで。

 

 というか、桜子さん胸の谷間に私の頭スッポリ入ってます。

 

 相変わらず立派なモン持ってんなぁ、コンチクショウ。

 

 再会の喜びから行われた漫才じみたやり取りは、すぐに終わりを迎える事になった。

 

「マリ!」 

 

「よかった! 無事だったのね!?」

 

「父上、母上!」

 

 私を見つけて父上達が駆けつけてくれたからだ。

 

「よく無事で……!」

 

「心配したのよ!!」

 

「父上達こそ! こっちも心配したんだから!!」

 

 桜子さんが放してくれたので、私は二人に向かって目いっぱい抱き着いた。

 

 本当に…本当に無事でよかった!

 

 存分に再会の余韻を味わった後、私達は父上の護衛に促されて避難所近くの雑居ビルの一室へ移動した。

 

 聞けば、ここは大和会の確保している拠点の一つらしい。

 

 和室になっている部屋に入り、桜子さんが扉を閉めたところで、私は父上と母上を前に畳の上で正座して居住まいを正す。

 

 そんな私の態度に二人も察してくれたのだろう、真剣な顔で向き合ってくれた。

 

「父上、母上、初めに言わねばならぬことがあります。──私はこの手で人を殺めました」

 

 一呼吸置いて告げると母上はヒュッと息を呑み、父上の眉間に深い皴が刻まれる。

 

 この事実を言えば二人がショックを受けるのは分かっていた。

 

 それでも黙っているわけにはいかない。

 

 私の行いで問題が出れば責任を取るのは父上達だ。

 

 どんな理由でも隠せば迷惑が掛かる事になる。

 

「何故、そんな事になったんだい?」

 

「実は……」 

 

 私は父上に尋ねられるまま今までの経緯を話した。

 

 もちろん、嘘偽りは無しだ。

 

「──マリ。自分のやった事を後悔しているかい?」

 

 全てを語り終えた後、父上は静かに問いかけてくる。

 

「……わかりません」

 

 その内容は答えに窮するものだった。

 

「あの時、ザフトの兵を討たねば私も獅子吼も死んでいました。それに自惚れかもしれませんが、私とオーロラの手が無かったら長門は今より大きな被害を受けていたでしょう」

 

 私は自分の行いを頭の中で振り返りながら言葉を紡ぐ。

 

「なにより、これは戦場での事です。私が己の行いを悔いるのは、倒れた相手の名誉を傷つける事になります」

 

 そうだ。

 

 あの時、相手は私を殺す気だった。

 

 だから私も相手を討つ覚悟を決めて行動した。

 

 そして私が生き残った。

 

 ならば、私はこの結果を背負って生きねばならない。

 

 罪も、彼の縁者がこちらへ向けてくる怨嗟も、その全てと向き合う。

 

 それが私の付けるべき責任だなのだ。

 

「ただ、本来私は戦場に出るべき人間ではありません。その私が私情で戦争に首を突っ込んだ、そこに関しては猛省しなくてはいけないと思います。申し訳ありませんでした」 

 

 私は最後の言葉と共に深々と頭を下げる。

 

 裏ではどうあれ私の公的な立場は一般人。

 

 今にして思えばオーロラに乗った事は緊急避難だとしても、戦闘を行うのはやり過ぎだ。

 

 民間人が戦場で戦闘行為を行えば、罪に問われる。 

  

 そして子供の私には責任を負う権利がない。

 

 その咎は父上達やオーブ軍、おそらく田上一佐を始めとする長門のクルーが背負う事になる。

 

 そういう観点からすると私の行いは間違いであり悔いるべきだ。

 

「マリ、顔を上げなさい」

 

 父上の言葉に私は顔を上げる。

 

 すると次の瞬間に乾いた音と共に右の頬へ衝撃が奔った。

 

 ジンジンと疼く右頬へ反射的に手を当てながら視線を直すと、そこにあるのは厳しい顔で平手を振りぬいた父上の姿。

 

 その姿を見た瞬間、私の心に過ったのは怒りでも悲しみでもなく納得だった。

 

 バカ娘がこんな厄ネタを持ってきたのだ、殴りたくなるのも当然と。

 

「馬鹿! 私が言いたいのはそんな事じゃない!」

 

 けれど、そんな自嘲と斜に構えた物の見方は身体を包み込む温もりに打ち砕かれた。

 

 父上は私の身体を持ち上げると強く抱きしめたのだ。

 

「……父上?」

 

「私達がどれだけお前の事を心配したと思っているんだ! 小学校の先生に連絡しても逸れたというし、シェルターのネットワークで避難者のリストを調べても名前が無かった!! あの時は本当に心臓が止まるかと思ったんだぞ! そのうえ戦場に出ただなんて……私達をショック死させる気か!」

 

 こんな風に声を荒げる父上は今まで見たことが無かった。

 

 それに抱きしめられているから見えないけど、父上は泣いているのか?

 

「マチュが生き残るために必死だったのも、大切な人を護ろうとしたのも分かるわ。でも、あなたはまだ子供なの。危ない事はしないで」 

 

 そして母上も私に抱き着いてくる。

 

 その温かさと懐かしい匂いに、我知らずに張りつめていた心の糸が緩むのを感じた。

 

「うぁ…あああああああああ……」

 

 今まで誤魔化していただけで本当は怖かったのか、それとも父上達に心配された事が嬉しかったのかは自分でも分からない。

 

 気が付けば私の涙腺は崩壊して大泣きしてしまっていた。

 

 それからどのくらいが経っただろう。

 

「……取り乱しました」

 

 再び居住まいを正した私は少し枯れた声を取り繕いながらこう言った。

 

「お前はまだ子供なんだから、何度でも取り乱してもいいんだよ」

 

「昔はおもらしする度に泣きながら走ってきてたものね」

 

 そんな言葉に父上は嬉しそうに私の頭を撫でる。

 

 あと母上は人の黒歴史を掘り返さないでほしい。

 

 さて、今回の件で多分一番の爆弾処理は終わったけど、生憎とホッとしている暇はない。

 

 私はキラ兄がどうなったかを二人に説明しないといけないのだ。

 

「……キラがそんな事になっているとは」

 

「あなた……」

 

「心配はいらない、オーブの外交官に伝手がある。そちらを通じて大西洋連邦へキラ達の身柄の返還を打診してもらおう。なに、マリの聞いた通りなら緊急避難も適用される。罪に問われる可能性は低いさ」

 

 心配で顔を曇らせる母上の肩を抱いて慰める父上。

 

「失礼します」

 

 やっぱりオーロラで迎えに行ったらよかったかと思っていると、獅子吼が部屋に入ってきた。

 

「どうしたの、獅子吼?」

 

「避難民の中にウズミ元代表のご息女、カガリ・ユラ・アスハがいらっしゃいました」

 

「えっ! なんでこんなところに?」  

 

 これには驚いた。

 

 オーブ連合首長国には国を取り纏める5つの氏族が存在する。

 

 彼等はオーブ群島を兼ねてより支配していた族長らの一族であり、現在の五大氏族はアスハ家、サハク家、マシマ家、キオウ家、トキノ家の各当主で構成されているのだ。

 

 ちなみにこの五大氏族は固定ではなく、彼等を補佐する下級氏族の中から功績があった者を入れ替わりで昇格させることもあるらしい。

 

 前段を踏まえて、獅子吼が言ったカガリ・ユラ・アスハは前国家元首であるウズミ・ナラ・アスハの娘で現首長ホムラの姪という人だ。

 

 そんな名家のご令嬢なので普通はオーブ本国から出ないはずなんだが、何故こんなところにいるのやら?

 

「父上、カガリ様と面識はおありですか?」

 

「いや、五大氏族で我々の事を知っているのは当主を継いだ者だけだ。彼女と顔を会わせることはないよ」

 

 私の問いかけに父上は首を横に振る。

 

 けど母上に少し憂いが見えるのはどうしてだろうか?

 

 五大氏族はオーブを統べる関係上、私達の事は把握している。

 

 とはいえ、友好的……とはなかなかに言い難い関係らしい。

 

 住友の重鎮である桐原の爺様曰く、『サハク、マシマ、トキノあたりは目の上のたん瘤と思っているだろうよ』とのこと。

 

 オーブは日系人の割合がかなり多いし、その殆どが祖国復活を望んでいる。

 

 その中には大八州国を奪還すればオーブから移住しようと考えている者も多数いるだろう。

 

 当然、オーブ側からしてみれば面白くない話だ。

 

 如何に基は産油国だった自分達を技術立国へ押し上げ、西暦末期の石油資源枯渇を乗り越えた立役者とはいえ、自分の国を腰掛けのように扱われては当然だろう。

 

 けど、それで悪感情を持たれるのはコッチとしても困る。

 

 そもそも、オーブ建国時にひい御爺様が当時の五大氏族の首長と『日本が復活すれば、日本人は祖国へ帰る』って約束を取り交わしているのだ。

 

 この約束がある以上、文句を言うのはお門違いである。

 

「だったら、余計なトラブルになる事はないね」

 

「うむ」

 

 私の言葉に頷く父上。

 

 大和会では公然の秘密になっているとはいえ、世間一般では私達は普通の庶民で通っている。

 

 それに過去の遺恨と日本列島を手放すリスクから、東アジアの旧中華や朝鮮のメンツはまだウチの事を狙っているのだ。

 

 大っぴらに騒がれるのは勘弁である。

 

 そんな訳でビルから出た私達が避難所に戻ると、高らかに訴えかける女の子の声がした。

 

「皆には本当に申し訳ない事をした! ヘリオポリスが戦火に見舞われたのは私達の責任だ!」

 

 見れば、避難民の中央で金髪に琥珀の眼を持ったお姉さんが皆に語り掛けている。

 

 あれがカガリ・ユラ・アスハなのだろう。

 

「なんでザフトがここに攻めてきたんですか? オーブは中立国の筈なのに」

 

「モルゲンレーテが地球連合と共に、ここで連合のМSを造っていたからだ。それがザフトを引き寄せてしまった」

 

「そんな!?」

 

「俺達は、連合のМSの巻き添えになったっていうのか!?」

 

「なんでモルゲンレーテがそんな物を造ってるんだよ!」

 

 カガリ様が明かした真実に騒然となる避難民たち。

 

「桜子さん、あれって言っていい事なの?」

 

「モルゲンレーテが国営企業である以上、連合との技術提携でこうなったからには住民への説明義務が生じます。ただ、無位無官で何の権限もないカガリ様がそれを明かすのは……」

 

 私の問いかけに言葉を濁す桜子さん。

 

 うん、政府の公式発表ならともかく、これは拙いのではなかろうか。

 

「今、行政府が襲撃によってコロニーが受けたダメージの算出を行っている。その結果によっては、皆にはヘリオポリスを離れてオーブ本国へ移ってもらう事になるかもしれない! しかし安心してほしい! 今回の件で失った財産はオーブ政府が責任を以て補填させてもらう!!」

 

「うわ……」

 

 なんかトンデモない空手形ブチまけてんだけど、本当に大丈夫なの?

 

 ここの住民の被害を総補填するとなったら凄い額になるんじゃあ……。 

 

 避難民たちに紛れながら心配していると、カガリ様に行政府の職員らしき男性が駆け寄ってきた。

 

「皆、聞いてくれ! 調査の結果、コロニーを支えるメインシャフトが破損しているという結果が出た! そこで大事を取ってヘリオポリスの住民達には一時避難をしてもらう!!」

 

 どうやらコロニーの損傷チェックが終わったらしく、結果をカガリ様が避難民へ説明している。

 

 というか、こういうのって行政府長の仕事だと思うんだけど、カガリ様がやっていいの?

 

「ツッコミどころが多いですね」

 

「うん」

 

 隣にいる獅子吼の言葉に頷く私。

 

 だけど、カガリ様の行動が善意から来ている事は分かる。

 

 言葉の端々から戦争に巻き込まれた民を憂いていて、その為に動こうとする思いは伝わってるからだ。

 

 あの暴走気味な演説も、国の方針で被害を被ったヘリオポリスの住民への申し訳なさが先行しての事だろう。

 

 取るべき政治的過程や手続きがすっ飛ばし気味になっているのは、年若さからのご愛嬌……なのかな?

 

「マリも人の事を言えないからね」

 

「うぐぅ……」

 

 ごもっともです、母上。

 

 まあ、彼女についてはコッチが気を揉む必要は無いだろう。

 

 多少やらかしても、アスハの人達が尻拭いするだろうし。

 

「Mrヤマト、それにマリ嬢。ご自宅へ戻り荷物を纏めましょう。本国までは長門でお送りします」

 

 獅子吼の言葉に振り返ると、そこには父上の護衛を務める人達が用意したトラックが横付けされていた。

 

「すまないね。大鳥二尉」

 

「勿体ないお言葉です」

 

 父上の労いの言葉に会釈を返す獅子吼を見ていた私はある事を思い出した。

 

「そうだ! 獅子吼、家に着いたら手伝ってほしい事があるの」

 

「なんでしょうか?」

 

 そう問いかける獅子吼に私は耳打ちをする。

 

「家にゲームの形をしたМSシミュレーターがあるから、それを長門まで運んでほしいんだ」 

 

「!? そんな物が……」

 

「アムロの中にあったデータからキラ兄と友達が造ってくれたの。それが私がオーロラを動かせた理由だよ」

 

 驚愕する獅子吼に私はニヤリと笑ってみせる。

 

「女の子がそんな笑い方していけません」

 

「あいたっ!」

 

 そしてすかさず脳天に落ちる母上のチョップ。

 

 お姫の皮を被ってない私はこんなもんだって、知ってるじゃん!

 

 その後私達は護衛の人や獅子吼に手伝ってもらい、家から必要なモノを運び出した。

 

「他の人達はどうやって本国へ帰るの?」

 

「アメノミハシラから宇宙軍が救援に来るでしょうから、その船に乗るんじゃないでしょうか」

 

「今、ヘリオポリスにいるのは長門だけですから。万が一の事を考慮すると、我々がここを出るのも彼等と同じになるでしょう」

 

 長門が停泊している宇宙港への道すがら、疑問を投げかけてみると桜子さんと獅子吼からこんな答えが返ってきた。

 

 他の人達より先に脱出とか気が引けるから安心した。

 

 そんな訳で長門の中で過ごして2日ほどが経った頃、レーダーがヘリオポリスへ接近する艦隊を捉えた。

 

『ヘリオポリスに接近する艦影多数! これより我が艦は緊急発進し、コロニーの防備に就く! 総員は戦闘配置に就け! 繰り返す! 総員、戦闘配置に就け!!』

 

 緊迫した館内放送を受けて、にわかに慌ただしくなる艦内。

 

「この艦影ってアメノミハシラからの船団じゃないみたいだね。いったい何があったんだろう?」

 

 その喧噪からただ事じゃないと感じている私を見た桜子さんが、室内に備え付けられたモニターの電源を入れる。  

 

「このモニターはブリッジの通信モニターと繋がっているそうです。これで接近してくる船団が誰か分かると思いますよ」

 

「ブリッジって、いいのかい?」

 

「はい。田上一佐から許可はいただいていますので」

 

 父上の問いかけに笑顔で応じる桜子さん。

 

 軍事機密的によろしくないのではと思っていたんだけど、相手がヤバい敵だった場合に自発的に脱出を判断してもらうための配慮だそうな。

 

 そうして少しのノイズの後に画面に映った一人の人物。

 

 それは地球連合の軍服を着た金髪に厳つい顔をした中年の士官だった。

 

「ヘリオポリスのみなさーん! 私は大西洋連邦のウイリアム・サザーランド大佐でーす! 私達は貴方がたを邪悪なザフトの手から護りに来ました!! 安心してくださーい!!」

 

 ホワイ・アメリカン・ピーポー!? 




サザーランドは『開国してくださーい』のペリー風でヨロシク
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