そらなとあんなは母親と一緒に自分達の誕生日パーティーで食べる料理の材料とバースデーケーキを買い、たった今自宅であるタワーマンションに帰ってきたところだ。
「それにしてもあんな、よくあの子のリボンが風で植え込みに飛んでいったってわかったね」
「ホントホント!さっすが姉ちゃん」
二人の母親があんなにそう言う。何でも帰り道にリボンを失くした女の子を見つけ、そこからあんながリボンを見つけてあげたそうだ。
「リボンが片方しかなかったからピンと来たんだ!それにそらなだって、私がリボンを探してる間にあの子を励ましてあげてたでしょ?」
「僕にはそれしか出来なかったからね。一番凄いのはリボンを見つけてあげた姉ちゃんの方だよ」
「そんな事ないよ。そらなが励ましてあげたから、あんなが安心してリボンを探し出す事が出来たんだから」
「そうだよそらな!流石私の妹だね!」
あんなは誇らしげな表情をしながらそらなの頭を撫でる。
「エヘヘ~…ハッ!こ、子供扱いしないでよ~!」
姉から頭を撫でられ、最初は嬉しそうにしていたそらなだったが、すぐに恥ずかしそうにしながらあんなから離れる。孫悟天という名であった前世ではかなりの甘えん坊だったそらなだが、前世であの事件が起き、この世界に転生してから14年で精神的に成長した為、少しこういう事に耐性がなくなっていたのだ。
「じゃあ私、コート置いてくるね!」
「あっ、僕も!」
そらはとあんなはそれぞれの自室に戻り、外出時に着ていたコートを脱いだ。
そらなが着ている服は、薄紫色のTシャツの上に青色のパーカーを羽織っており、黒の短パンに薄紫色のニーハイソックスというボーイッシュめの物だ。
「お母さーーん!プレゼントありがとーー!」
部屋を出ようとするとあんなが部屋から母親に礼を言っているのが聞こえてきた。
「姉ちゃん、もうスマホ貰ったんだ…」
そらはとあんなは母親からプレゼントとしてスマホを貰える事になっている。
(…あれ?でもプレゼントって、パーティーの時に貰うんじゃなかったっけ?)
だがそらなはあんなだけに、それも早めにプレゼントを貰えたことに疑問を感じたようだ。気になったそらなはあんなの部屋にノックし、あんなからの了承を得て部屋に入った。
「見て見てそらな!素敵なペンダントでしょ!?」
そう言ってあんなが見せてきたのは首にかけている不思議なペンダントだった。
「わぁ…確かにオシャレだね…でもこれ、ホントに母さんから貰ったの?」
「そうだよ!だってこれ、机の上に置いてあったもん」
「フーン…」
あんなのペンダントを見ていたそらなだったが、突如部屋のクローゼットから物音が聞こえてきた。
「な、なに…?」
(…あのクローゼット、誰かの気を感じる…!)
「ポチーーーーーーー!!」
「「わっ!?」」
するとクローゼットの中からピンク色の小動物が飛び出してきた。
「な、なになに!?何かの動物!?」
「ね、ねぇ、君は?」
「ポチタンだポチ!」
「へぇ~、変わった名前だね」
どうやらこの小動物はポチタンという名前の様だ。
「いやいや!そらなは何でそんなに冷静…しゃ、喋った!?」
「静かにするポチ!」
何が何だかわからず困惑していたあんなだったが、ポチタンに口を塞がれてしまった。
「君には一緒に来てほしいポチ!」
「姉ちゃんに?」
「ポチ!このペンダントを使って…」
すると突然あんなのペンダントが光り出した。
「ま、まだ説明してないポチ~!」
「わわわっ!」
「姉ちゃん!」
光に呑み込まれそうになるあんなを守ろうと、そらなが光の前に飛び出した。
「「…えっ?」」
気が付くとそらはとあんな、それにポチタンは空の上にいた。案の定三人は地上に向かって落っこち始めてしまった。
「えぇーーーーー!?」
更に下の方には女の子の姿もあり、このままでは全員タダでは済まないだろう。
「姉ちゃん!ポチタン!」
だがそれは、そらながこの場に居なかったらの場合の話だ。
「そ、そらな!?」
「ポチ?」
「しっかり掴まってて!」
そう言ってあんなとポチタンを抱き抱え、そらなは空中に止まり、そのままゆっくり地面に降り立った。これこそが前世から持つそらなの力の一つ、舞空術である。
「ふぅ…大丈夫?」
「ポチポチ~!」
「う、うん…じゃなくて!今空の上に浮かんでたよね!?どうやったの!?」
「え、え~っと、それは…」
あんなの動揺を見るに、おそらく彼女の前で舞空術を使ったのはこれが初めての様だ。
「あ、あの!」
どう説明しようか迷っていたそらなであったが、先程ぶつかりそうになった女の子が話しかけてきた。
「(ヤバッ!この子にも見られてたんだ…)いや、これはその…「その子、妖精ですよね!?」…へ?」
そらながなんとか誤魔化そうとしたが、女の子が気になるのは一緒に居るポチタンのようだ。
「妖精を連れているということは、お二人はキュアット探偵事務所の名探偵ですよね?」
「名探偵…?」
「僕達が?」
突然女の子から名探偵と訊かれ、二人は困惑していた。
「あっ、自己紹介がまだでしたね!私、小林みくると言います!」
「みくるちゃんだね。僕は明智そらな!こっちは双子の姉ちゃんの…」
「明智あんな!…じゃなくて!妖精って何?それに私達、部屋にいたのにどうして外にいるの!?」
「…もしかして、探偵テストはもう始まってる?」
あんなの言葉を聞いて訳がわからないといった表情をしていたみくるだったが、何やら小声で探偵テストという単語を出していた。
(あれ?みくるちゃんの気って…それにあの顔立ち…)
一方そらなの方はみくるから感じる気、そしてみくるの顔を見て考え事をしていた。
(…まさかね!同じ世界に同じ気を持ってる人なんていないし。きっと気が似てるだけだな)
どうやら見知った誰かと同じ気の持ち主だと思ったようだが、そんな訳はないとこの考えを胸の奥に仕舞い込んだ。
「…お答えしましょう!」
するとみくるがそう言って虫眼鏡を取り出した。
「かの名探偵、シャーロック・ホームズは靴の汚れや傷を見て、どこから来たのか言い当てました!あなた達はズバリ!」
そう言ってみくるは二人の足を虫眼鏡を通して見てみるが、二人は靴を履いてなかった。それもそうだ。何故なら先程までそらな達は屋内にいたのだから。
「…履いてないじゃないですか~~!!」
「あ、あはは…」
それから一同はそらなとあんなの靴を買いに靴屋に訪れていた。店に入った際にそらなは店内のテレビを見て「なんか古臭いテレビだな~」と思ったようだが、特に疑問を感じずに自分が履く靴を履いてみる事にした。そらなが黒色の靴で、あんなが桃色の靴を履いた。
「う~ん…やっぱりありえませんよ。部屋から落ちてきたなんて…」
「…ねぇポチタン、これって君の仕業なの?」
「ポチ?」
「もう、ポチポチじゃわかんないよ?」
「さっきまでは喋ってたんだけどな~…」
先程現れた時は流暢に喋ったいたポチタンであったが、どういう訳か外へ放り出されてから言葉を喋らなくなっていた。
「…その子、おしゃぶりをしてますね」
するとみくるがポチタンがおしゃぶりを加えている事に気づいた。
「あ、ホントだ…」
「何らか理由で、赤ちゃんになって喋れなくなった!…どうですか、今の推理?探偵テストは合格ですか!?」
「た、探偵テスト…?」
「ねぇみくるちゃん。さっきから言ってる探偵テストって何なの?」
そらなは先程からみくるが口走っている探偵テストの事を彼女に訊く。
「その質問なら、簡単です!」
そう言ってみくるは名探偵について語り始めた。
「名探偵は様々な難事件を調べ、解決し、人々を助ける!みんなの憧れであり、希望!私は、そんな名探偵になる為に探偵テストを受けに来たんです!」
「…名探偵って、凄いんだね!」
「うん!なんかカッコイイかも!」
「ポチ~…!」
するとポチタンが身体からポーチに付いているような紐を出した。やがてポチタンはあんなのポーチの様な姿になり、そのままあんなを引っ張っていった。
「わぁ~~~!?」
「ね、姉ちゃん!まだ靴代支払ってない…ああっ!お金部屋にあるんだった!」
すぐに支払いを済ませてあんなを追いかけようとしたそらなだったが、肝心の財布は自室に置いてきてしまったので支払いが出来なくなっていた。
「ごめんみくるちゃん!代金建て替えといて!」
「ちょ、そらなさん!?」
そらなはあんなを追いかけていき、その過程でみくると合流した後にあんなに追いついた。
「ポチポチ!」
するとポチタンがある場所に指を指していた。
そこは、結婚式場であった。
この回は原作たんプリの展開次第で修正が入るかもしれません。
次回辺りでそらなの戦闘シーンを入れたい…!