〈完結〉超かぐや姫Z!~もうちょっとだけハッピーなエンドを~   作:すっごい性癖

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本日一話目です
超かぐや姫!世界は現代日本に大分近いので、実在したアーティスト名を出しましたが、問題ありそうなら伏せさせていただきます(映画館での広告繋がりのつもりです)


かぐやちゃんの初ライブに備えて

 

「結局さ、ライブってどうすればいいの?」

「何、いきなり?」

 

 もぐもぐ、とカルビを頬張りながら胡乱げな表情で隣に座るかぐやちゃんを見やる彩葉。

 

 あぁもう、ほっぺにタレが付いている。拭いてあげるから……、って、恥ずかしがらないの。変な所子供っぽいんだから。

 

 ……と、そんなことよりも。

 

「ライブって何のこと?」

「あれ、結葉に言ってなかったっけ?」

 

 言われていないなぁ。というか、私が貴女たちに伝えられている情報なんてほとんどゼロじゃないかな。

 

「そだっけ?」

「私としては保護者的な意味で連絡したいんだけど……。いっつもかぐやは突発的だからさぁ」

 

 なるほど。そういえばライバーになったのも、楽曲を出したのも唐突であったな。即断即決は美徳なんだろうけども、それはきっと距離がある場合の話だ。近くにいる場合、そのソニックブームで吹き飛ばされる。

 

「ライブって言ってもたいそれたことやるってわけじゃなくて、あくまで〈ツクヨミ〉での路上ライブをやるってだけ」

 

 せっかくオリジナル楽曲を獲得したのだから、次はライブを。そう思い立ったのはどうやら今朝の話らしい。

 

 たしかにあそこなら人通り多いし、目を止めてくれる人も少なくないだろう。都内でもストリートミュージシャンを前に足を止める人が一人はいる……、ことが多いし。絶対的ではないけれど。

 

「まぁかぐやにしては名案だと私も思う。お金はかからないけど、広告としての効果は強いし」

「うぉいっ!? 彩葉ぁ、かぐやにしてはってどういうことっ!?」

「どういうって、そのままの意味だけど」

「まぁまぁ……。ほら、タン焼けたよ~」

 

 彩葉は照れ隠しで攻撃的になるところが玉に瑕なんだから。素直に褒めてあげればもっと喜ぶだろうに。

 

「牛の舌うめ~! なんで舌食べようなんて思ったのか、かぐや全然理解できないけどうま~!」

「お肉は牛タンが最強……っ!」

「二人とも味の好み似てるんだねぇ……。おいしっ」

 

 そして私もどうやら好みは似ているらしい。みんな好きな食べ物が一緒、というはもしかしたら世界平和に一番近いかもしれません。

 

「って彩葉!? なに白米なんて食べてるの! お肉の味が損なわれるでしょ! もっとお肉食べよ、お肉!」

「シャラップ宇宙人。焼肉のお供は白飯、というのが日本人、ううん、地球人のデフォなの。右手に剣を握ったら左手に盾を持つようなモノ」

「ぜ~ったい違う! ただの彩葉の好みでしょ! 勝手にマジョリティを味方に付けないで! 宇宙人差別反対!」

 

 うぅん、姦しい。女三人寄れば、だんてよく言いますがここに実際女三人が集まった結果それはそれは大騒ぎだ。

 

 けれどその騒ぎもうるさい、とかそんなネガティブな感じじゃなくて、もっとポジティブに、楽しそうなもの。

 

 その和に入ると、自然と口角が上がってくるような騒々しさだ。見ているだけで栄養になる、やがてガンにも効くようになる、というのはきっとこういうコトなんだろう。

 

 今日も妹たちが愛らしい。

 

 ……と、話がそれていた。

 

「それでライブが結局どうしたの? 何か問題ある感じ?」

 

 そもそもの話の発端はかぐやちゃんの初楽曲ライブだったのだ。牛タンの美味しさや、焼肉と白米のコンビネーションがスタートじゃない。

 

「ちょっとイマイチ、ピンと来ないんだよねライブって」

「ピンと来ない……、とは?」

 

 遠回りな表現過ぎてちょっとその輪郭がつかめないなぁ。

 

「ほら、ライブってさ、歌を歌って踊るんでしょ? でも、歌うのはわかるけどさ……」

「踊るってのがわからないと?」

「うん、そー」

 

 まぁ別にライブって言うモノは全部が全部歌って踊る、ってわけじゃないけれどもね。ミュージシャンのライブであれば楽器の演奏と歌唱、とか、歌を武器にしているアーティストは歌だけを、みたいに。

 

 でもきっとかぐやちゃんがイメージしてるのは彼女が初めて見たライブである、ヤチヨのライブなのだろう。彼女のライブなら私も見たことがあるが、圧巻の一言だ。あれを見て、参考にしたいと思わない人はいないほどに。

 

 けれど当然、あんな大規模、おおがかりな真似は出来ないからイマイチ等身大のイメージが掴めない。そんな感じであろうか。

 

「別に踊る必要はないと私は思うんだけどねぇ」

「えーっ! ライブにダンスは絶対でしょ!ダンスがないライブとか、シャリ抜きのお寿司だよ!」

「それならお刺身として全然おいしく食べれるし、別に良くない?」

「よくないの!」

 

 ふぅむ。ダンス、ダンスかぁ。いや、コスプレイヤーをしている私はなんだかんだいって踊る機会も人並みにはあるけども……。あぁいうのはネットに上がってる、流行りのダンスを覚えるだけだからなぁ。

 

 一からオリジナル、なんてのはやったことないから教えられることが何もない。

 

「かぐやもヤチヨみたいに~、ひゅーっ、ってやって、きらきらっ、みたいな! そんな感じがやりたい!」

「夢見すぎ。かぐやとヤチヨじゃあ経験も資金力も月とスッポンだし」

「むぅ……」

「まぁそもそも、路上ライブであの規模のことをやったら下手したら迷惑行為でBANされるしねぇ」

 

 それもそっかぁ……、と机に顎を乗せうなだれるかぐやちゃん。網が近いから危ないからやめた方が良い、と言ったら「わかった」とそう答えて少し網から離れた位置に顎を移した。そう言うことじゃないんだけども。

 

 あっ、そうだ。

 

「こういうのはどうかな?」

「むぅ?」

「さっきからかぐや、むぅしか言ってないじゃん」

 

 一つ、思いついたのでごそごそ、とポケットからスマホを取り出して動画配信サイトを開く。続けざま検索窓にタップし、フリック入力で打ち込んで……。

 

「はい、これ」

「これって……」

 

 スマホを逆手にして差し出し、かぐやちゃんが上から覗き込む。気になったのか彩葉も横から覗き込んできて……。

 

「ダレ、この人?」

「この人って……。お姉ちゃん、本気?」

「まぁかぐやちゃんは知らないかぁ……。彩葉は知ってるみたいだけど」

「うん、まぁ……。学校の授業でも出てきたし」

 

 多分、歌って踊る、のベースというか、それを学ぶ上でこれ以上ない教材のはず。私はそう思っているけどもね。

 

「そりゃあ、まぁ最適って言うか、これ以上ないって言うか……。まんま、王様って言うか……」

「むぅ、二人だけで通じ合って! かぐやにも教えてよ! 誰、この人?!」

 

 誰? 誰って当然、そんなの決まっている。

 

 現代の世界の音楽の方向性を生み出すうえで必ず語るべき一番星。歌とダンスを行うのならば、全員一度は通る収束点。

 

 ――ポップ界のキング。

 

「マイケル・ジャクソンだよ」

 

 




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〈アンケートについて〉
今作のエンディングは2パターンを想定しており、現在決めかねている状況です
そのため皆様の意向を探らせていただきたく、アンケートを設置させていただきました

Aエンドは結葉はみんなのお姉ちゃんエンド、Bエンドは結葉のヒロインはヤチヨエンドとなります

完全にアンケート通りの展開になるとは約束できませんが、今後の参考とさせていただきたく、参加していただければ幸いです
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