〈完結〉超かぐや姫Z!~もうちょっとだけハッピーなエンドを~   作:すっごい性癖

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本日一話目

今日、もしかしたら四話くらい投稿するかもですけど、その場合はごめんなさい 先に謝っておきます

今回、後書きにまあまあ長い設定開示があるので、気になった方は読んでいただければ幸いです(読まなくても本編の内容がわからないってことには多分なりません)

また、もしかしたら勘のいい方は本編の結末が見えてきたんじゃないかなぁ……、とヒヤヒヤしながら書いております


ありがとう、それはそうとして首を刈る

 

「いろP~、かぐやちゃ~ん、まみまみちゃ~ん! がんばれ~!」

「三人とも頑張れ~!」

 

 時は過ぎましてBlack OnyXとのKASSENコラボ当日。私、酒寄結葉は観客席から精一杯の大声で応援中。まだ試合は始まっていないけれども、やっぱり勝負事はスタートがイチバン大事。レースゲームでもロケットスタートの失敗は負けにつながるのだ。めちゃウマの人は違うけど。

 

「いや~、ROKAちゃんといっしょに応援できてうれしいよ~」

「私もですよ。彩葉からお姉さんのお話は聞いてましたけど、こうやってお話するのは初めてですし」

「これまでずっとあの子から接触禁止令が出てたからねぇ。『クラスメイトに会わせるのはなんか気恥ずかしいからダメ!』って。酷くない?」

「あっはは、彩葉らし~」

 

 カラカラと笑うその笑顔はメチャクチャなる陽の気配。かぐやちゃんとは別方向の生まれついての陽キャって感じだ。かぐやちゃんが純粋たる明るさの太陽だとしたら、魔性の気配を孕むROKAちゃんこと芦花ちゃんはお月様。

 

 実際はかぐやちゃんこそ出身が月だと言うのだから逆も逆なんだけれどもね。

 

「というかいろPの学校のお友達が二人ともフォロワー十万人以上のインフルエンサーってのがビックリといいますか。いったいどんな高校なのか、お姉さん、めちゃくちゃ気になります」

「まぁ私も真美もレアケースだとは思いますよ?」

 

 彩葉もいろPとして有名人の仲間入りしたしねぇ。これでグループ三人、みんな有名人だし。彩葉はキツネの着ぐるみで顔隠れてるから、リアルでどうこうって言うのは無いだろうけども。

 

「私も真美も高校入学したころはインフルエンサー活動ばっかりで勉強はズタボロ、って感じで……。それでクラスでも一番頭の良い彩葉に二人で勉強を教えてもらおうとしたんですよ。――今思うと、すっごく図々しいですよね私たち」

 

 そう言って自嘲的に笑う芦花ちゃん。その表情には影が差していて、どこか辛そうだ。きっと、自分を責めてしまうのだろう。

 

 彩葉は優しいから、その優しさに付け込んでしまった、と。その頃の彼女は彩葉が精いっぱいの生活をしていることだなんて知らなかっただろうから、重く受け止める必要はないのにも関わらず。

 

 確かに構図だけを見ればそう感じてしまうのも無理は無いのかもしれない。一方が無理に重荷を背負わせているって、そう思っても。

 

 でもね、

 

「――それは、違うよ」

「えっ……?」

 

 うん。それは違う。あくまでそれは彼女の目線から見ただけの正しさだ。視線というのはどうしても一直線でさ。真実ってのは三次元だから直線だけじゃあ把握できないんだ。

 

 真実には……、立体視にはもう一個視界を与えてあげないと。

 

「彩葉が今日まで楽しそうに学生生活が送れたのは、芦花ちゃんと真美ちゃんの二人のおかげだよ」

「そんな、私達なんて……」

「そんなに自分を卑下しちゃダメ」

 

 言葉に想いが籠り、誤って本名を出してしまったが気にしない。止まらない。

 

「彩葉はさ、ギリギリまで自分を追い込もうとするからさ? 時間が十分余ってるなら十分、一時間余ってるなら一時間、自己投資に回しちゃう」

 

 ヤチヨの推し活で自分という自己を崩壊させない程度には保つけれど、それ以外の時間は自分を鍛えていないと不安で不安で仕方がないんだ。今までが崩れたら、全てを失うって考えちゃって。

 

「それは芦花ちゃんも知っているでしょ?」

「……はい。だからこそ、私たちは彩葉の重荷に」

「なってない」

「……えっ?」

 

 ぎゅう、と芦花ちゃんを抱きしめる。震える肩を、もう見ていられないから。

 

「そんな彩葉だから。本当だったら学校の休憩時間も放課後も、全部勉強に使っちゃうようになっちゃってたと私は思うんだ。『学校は勉強をするところだから!』なんて、意地張っちゃってさ」

 

 授業と授業の間は勉強。学校の行き、帰りは勉強。部屋に居てヤチヨの配信がなかったら勉強。きっとそうなっていた。

 

 けど……。

 

「そうはならなかった」

「……あ」

 

 そうはならなかったんだよ。

 

「学校での休み時間は友達とお話して、放課後には一緒に遊びに行って、家でヒマな時間はゲームをして。そんな、ごく普通の女子高生としての生活を今日まで送ってこられたのは……」

 

 一拍を置いて、芦花ちゃんの瞳を覗き込む。やや潤んでいる、紫色の瞳を逃がさない。そこに、彼女は確かに居るから……。

 

「全部、芦花ちゃんと真美ちゃん。二人のおかげなんだよ」

「そんな、私達なんて……。彩葉が元気になれたのだって、かぐやちゃんのおかげで……、私は……」

 

 確かに、彩葉がこんなに明るくなったのはかぐやちゃんの影響だろう。あの日、赤ん坊のかぐやちゃんを拾ってからの短い期間であの子は良く笑うようになった。

 

 でもそれとこれとは話が違う。

 

「ありがとうね、芦花ちゃん。彩葉を、ただの普通の女子高生にしてあげてくれて」

 

 お母さんの言葉と、自分の思い込みに囚われた人形のような生活を送らないでいられたのは紛れもない、たしかな二人の親友のおかげなんだ。

 

「彩葉、楽しそうに芦花ちゃんたちとのことを話すんだ」

 

 それを忘れてもらったら、あの子のお姉ちゃんとしてちょっと怒るのです。

 

「さぁ、応援しよう? ROKAちゃん」

「――っ、はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 なんて感じでね、珍しくお姉さんらしさを発揮してね? KASSEN自体も終わってくれればよかったんだけど。

 

『オレが勝ったら結婚してくれるの?』

 

 ちょっと、お姉さんさ、限界かも。今はお姉さんをお休みして、妹として動かせていただきたいな、だなんて。思っちゃったり……。

 

「ちょっとごめんね、ROKAちゃん。私、行ってくる」

「えっ、ちょっと結葉さん!?」

 

 がたん、と客席の足場に乗り出し一呼吸。獲物を腰に据え、抜き出し……。いざ。

 

「ウチの妹にセクハラすんなっ、バカ兄がぁッ!」

 

 宙へと駆け出した。

 

 

 

 

 

 

「前傾姿勢、可愛すぎ」

 

 ひゅう、と茶化すように口笛を吹く赤い鬼。その立ち姿は余裕綽々と、王者の如く。

 

 ――否、如くではなく確かに王者なのだ。Black OnyX、そのリーダーである帝アキラはプロゲーマーとしての活動をしており、いくつものKASSEN大会を総なめ。

 

 そのライバルは最強AIライバーである月見ヤチヨと目される程の、人間の中の頂点。

 

 まさしく帝だ。KASSENという国の中の頂点に座する、鬼の王様。

 

 ……だけれども、そんな肩書なんて私にとってはどうでもいい。

 

 憧れの一人であった。羨望の対象であった。どんなに手を伸ばしても届かなかった。

 

 生まれついての凡人な私ではどう頑張ってもたどり着けない空に輝く星であると、そう何回も思った。

 

 あの背中に追い付けたら、と思って。追いつけなくって。追いつくよりも先に妹に追い抜かれて。

 

 でもそれは悔しかったけど、同じくらい誇らしくってさ。ウチのお兄ちゃんはこんなにすごいんだぞ、って感じで、自慢で……。

 

 あぁ、こんがらがってきた。そんな過去の話は今はどうでもいい。私が憧れてたとか、お兄ちゃんは凄い奴なんだ自慢とか、そう言うのは今はいい。

 

 まぁ、要はつまりさ――

 

「身内の恥晒すなや、このアホンダラ!」

「げぇっ、結葉!?」

「お姉ちゃんっ、なんで!?」

 

 本当はカッコイイんだから、ダサい姿を世界に晒すなってこと!!

 

 私は落下しながら構えた日本刀を鬼の首に向けて振り払った。

 

 




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〈作中設定小話〉
実は意図的に彩葉とかぐやとの重要イベントで基本ハブられている結葉さん 知らぬところでその二人、『なかよしのヤツ』とかやってるらしいっすよ

また原作二人のスタンスについて少しだけ

彩葉は少し前に語らせて頂いたように原作との違いとして、初期の金銭的負担が少なかったので原作ほどかぐやを厄介に思っていません わがままなヤツだけど、まぁ一緒に住むくらいないいよ……、と

そしてかぐやの方ですが……

結葉と彩葉は両方とも大切なのに、何かその大切のベクトルが違う…… そんなことに気が付いて……
と言った感じなので前話のように帝の求婚に対し原作よりもやや攻撃的な反応を示しています 本気じゃないことはわかっているけど、それはそれとして……です
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