〈完結〉超かぐや姫Z!~もうちょっとだけハッピーなエンドを~ 作:すっごい性癖
流石に一日で本編を進め過ぎたので箸休め回です(ので、短い)
明日は五話更新してライブ終了までは終わらせたい……
「はーい二人とも出来たよ~」
ドン、と机の上に完成した料理たちを並べる。ラインナップは特別なメニューなど一つもなく、白いご飯にお味噌汁、お新香に肉じゃがとほうれん草のおひたしだ。
「かぐやちゃんの料理に慣れた二人には物足りないかもだけどね?」
「ううん、そんなこと無いよ。私、お姉ちゃんの料理好きだから」
「まったく、嬉しいこと言ってくれちゃって。このこの~」
彩葉の頭を照れ隠しにぐりぐり、と少し強く撫でつける。最初は若干の抵抗を見せるが、私が辞める気がないと感じたのか次第に眼を細めて受け入れて、本当に犬やキツネのよう。
「かぐやは初めてだから楽しみだな~。ゆい姉の手料理~」
「だから別にそんな美味しいってわけじゃないってば。ほんと、変な子たちなんだから。もう……」
ふふっ、と私自身そんなことを言いながらも笑みが漏れる。
人懐っこいかぐやちゃんは一人置いてけぼりの状況が寂しかったのか私の前、彩葉とは反対の方向に立って頭を差し出してきた。
私はそんな彼女の意をくみ取って空いたもう片方の手でかぐやちゃんの頭を撫でる。
掌に伝わってくる絹の様な、サラサラとした髪の毛の感触。彩葉曰くこの髪は変色やなんだを自由自在らしいが、触っているだけではただの美しい髪の毛だ。
「ん~~♪」
そう声を漏らしながら目を細め、口の端を緩めながら全身を震えさせ喜びを表現するかぐやちゃんは彩葉とはうって変わって、本当にウサギのよう。
本質的には一人が寂しくて、撫でられると感情があふれ出るその姿は正にウサギ。愛らしい、愛らしい女の子。
二人とも大切な私の妹たち。こんな私を姉だとまだ言ってくれる、愛すべき妹たち。
「味じゃないの。ただ、お姉ちゃんの料理って、すごく優しくて、そこが好きなんだ」
「優しい、って味が? 彩葉って薄味好みだっけ?」
塩辛い味付けは好みでは無いから、あんまり塩とかは濃くなり過ぎないようには気を付けているけれども。
しかしそんな私の考えはすぐに否定される。
「ううん、そうじゃなくってね……」
そう言って彩葉は一拍を置く。すぅ、と一息吸い込んで、胸の奥を吐き出すように優しい声で話し始めた。
「優しいってのはね、栄養はもちろん、野菜の角取りとか、丁寧な灰汁取とかさ。食べる人のことを考えた、手間を惜しまない料理をするところ」
「……」
「えーっ、ゆい姉ってそういう料理するんだ~。やっさし~」
(ヤバい、ちょっと顔が熱いかなぁ……)
いや、確かに私自身そういう料理を心がけているというか、誰かに出す時には少しでも気分良く、って考えがあるからさ。多少の面倒は気にならないんだけども。
その点を直接挙げられて、好きだと言われると……。さすがにこっぱずかしい。
(彩葉ってば、いつの間にそんな手を! 生まれつきの魔性の女かな!?)
全身の血液が顔に集まってくるのが手に取るようにわかる。耳とか、たぶんもう真っ赤だろう。めちゃくちゃ外の空気が冷たく感じるし。
この子、きっと知らないトコロでいろいろな子を虜にしているんじゃないだろうか。バイト先とか、学校とか、怪しいぞ。
特に女の子、女の子相手はすっごく怪しい。
こういう、自覚はしているけど表に出すのは恥ずかしい部分を褒めてくるのとか、めちゃくちゃ女の子特攻でしょ。
「もうっ、お姉ちゃんを揶揄わないの! せっかく作ったんだから、冷める前に食べてちょうだいね?」
結局、その場の主導権を握られてしまった私は誤魔化すように、そんなありきたりの言葉を言うことしかできなかった。
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〈少しだけ結葉話〉
別に自認ほど姉という立場に甘えていたわけでも、依存していたわけではない。
そもそもそう言う性格だったら芦花との会話シーンは生まれないし、彩葉も懐かなければ、かぐやも姉として見てくれない。
二人の悲しそうな表情や、やらかしたことの大きさで自嘲的になっていただけで、姉適正自体はずっと高い。
じゃあなんでわざわざ姉としてもう一段階進化する覚醒回を入れたかって言ったら……。その内わかる、……かも?