〈完結〉超かぐや姫Z!~もうちょっとだけハッピーなエンドを~   作:すっごい性癖

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本日第三話です ほとんど日は変わってしまっていますが本日三話目です

なんか三月中に終わりそうな、終わらなそうな、微妙な雰囲気


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 かぐやが帰るまでの三週間はすぐに過ぎ去っていった。

 

 私たちは互いに、最後の想い出を埋め尽くすように、最後のその時まで笑顔であれるように毎日を過ごす。ライバーとしてもう引退してしまったかぐやは時間を持て余していたこともあり、私も三週間だけならばとスケジュールに空きを作って。

 

 兄たちや芦花、真美には既に今回の件の顛末は伝えてある。皆、寂しそうであったがそれでも当事者であるかぐやが悲しそうな顔を見せていなかったことと、お姉ちゃんの無事を聞いて安心したような表情をしていた。

 

 唯一ヤチヨにだけは連絡できずにいたのだけども……。おそらく以前言っていた〈ツクヨミ〉の復旧作業が長引いているのだろう。ここのところ配信も過去の再放送ばかりで心配なのだけれども。何もないことを願いたい。

 

 この期間中、私とかぐやは色々なことに挑戦してみた。

 

 釣りをしてみたい、といったかぐやに付き合って海に向かい、何もつれない私に対してヤケに釣れまくるかぐやなんて一幕や、そこで釣れた魚を使ってお刺身やアラ汁を作って食べたり。

 

 スカイダイビングが急にやりたいと言い出したから予約をして、二人で落下しながら記念写真を撮ったり。

 

 かぐやが温泉旅行に行きたいというから、ちょっとだけ遠出して一泊二日の弾丸旅行をやってみたり。

 

 前の私ならお金がかかるから、と嫌がっただろうけども……。かぐやが配信活動で稼いだお金だ。居なくなる前に使い切った方が健全と言うもの。

 

 しかしまぁ額が額だ。結局、三週間じゃあ全く減らなかったし、減らなかったどころか引退ライブやその後のグッズの収益が異常な勢いで振り込まれていたので気が付いたら前より大きく通帳の値が増していたのだが。

 

 かぐやは残った分は一緒に活動をしていた私と、帰ってくるはずのお姉ちゃんとで好きに使って、とそう言ってくれているのだけれども。こんなたくさんのお金、使いきれる気がしない。ちょっと前まで苦学生も苦学生であった私だ。お金の貯め方は知っていても、使い方なんて知らないのだ。

 

 まぁこんな風に、この三週間は出来る限り二人ともに悔いが残らないよう、過ごしていたのだけれども。この中でも、特に記憶に残る出来事と言えば……。

 

『この曲の完成を見届ける前に帰るなんて出来ないよ!』

 

 と、再度かぐやは私のパソコンを持ち出し見せてきた一つのファイル。それはいつの日か教えた、私と父がかつて共同で作っていた楽曲の卵。

 

 何度か完成させようとしてはみたけれども、結局満足のいく続きを作ることができず、ほこりを被させてしまったそれだが。

 

 かぐやはどうしてだか、その曲に執心している様子であった。

 

 一度、

 

『なんでその曲がそんなに気になるの?』

 

 と、気になってかぐやに尋ねてみたのだが……。本人は、

 

『ん~。かぐやもわかんないんだけど、なんか懐かしいって言うかさ。子守唄でも聞いているような安心感があるんだよねぇ』

 

 と、よくわからない返事をしてきた。懐かしいも何も、この曲は未だ完成しておらず世に出したこともないし。そもそもかぐやが地球に来てまだ半年もたっていないのに、懐かしいっていうのもよくわからない。

 

 そもそもかぐやにとっての子守歌はその場の勢いで唄ったヤチヨの歌だから。

 

 まぁ、そんな風にかぐやはその曲の完成がどうしても見たい、と言うのでこの三週間はほとんどそれのために費やしてきたと言っても過言ではない。

 

 時間配分と言えば思い出作り一割、楽曲制作九割といった割合で。

 

 あれや、これやと色々と頭を悩ませながらなんとか期間中に完成させたい、と努力するが、それでも難しいモノは難しく。伊達にほこりをかぶせてしまっていたわけではないのだ。

 

 私が曲の続きを作ってみて、かぐやに聞かせてみても「なんか違う」と言われ、じゃあかぐやはどんな感じになると思う? と尋ねてみたら、今度は私が「なんか違う」と否定して。

 

 二人して、完成なんてまだしていないのにもう完成版をすでに聞いているかのように、そうじゃないんだと却下する。

 

 結局、そんな日々を三週間送ってきたのだけれども……

 

「結局、あと一歩ってところだったね~」

「……ごめんね、かぐや。心残りを作っちゃって」

 

 そう。完成まであと少し、と言うところでタイムリミットはやってきてしまった。三週間と言うのはあっという間の時間で、すぐさま過ぎ去ってしまったのだ。

 

 あんなにかぐやが楽しみにしていたというのに……。自分の不甲斐なさが情けない。

 

「んーん。確かにちょっぴり残念だけどさ。彩葉と一緒に曲を作った毎日は、すっごく楽しかった! 私はそれでいいんだ!」

「かぐや……」

 

 にへら、と笑うかぐやの顔が私には直視に耐えない。けれどもそんな彼女の顔も、もう見納めかと考えると私は寂しく思い、ただその顔を見つめてしまうのだ。

 

「……でも、やっぱり完成しなかったのはムカつくから絶対。ぜーったい、完成させてよね! 約束!」

 

 ん! と、三週間前の再来のようにこちらに指を伸ばすかぐや。何がやりたいかは、よくわかっている。

 

「……わかった。約束、だね」

「そう、約束! 完成したら、月のかぐやに向かって歌ってね? 絶対、聞き届けるから!」

「ははっ、なんじゃそりゃ。月までどれだけの距離があると……。うん、でも。……それも、約束」

「いえーい、約束!」

 

 指を重ねる。指を絡める。

 

 かぐやの存在を確かに感じ、かぐやの熱で自身を燃やす。ことある毎にやってきたこんなハンドサインも、これでおしまいかと考えるとやはり寂しい。

 

 あの引退ライブの日にかぐやから貰った腕輪の、金属特有の冷たさがやけに厳しく伝わってくる。

 

「……また逃げ出したくなったら、好きにしなよ。この家はもう、かぐやの家でもあるんだからさ」

「彩葉……。――うん、もしもまた弱虫かぐやが出てきちゃったら。その時はごめんね?」

 

 弱虫だなんて、そんなことはない。かぐやはずっと、強かった。いつも笑顔で、楽しそうで、自由で。日々勝手に自分の首をして続けるだけだった私には、眩しいくらいに強かった。

 

 だけど、直接そう言うのはなんだか恥ずかしくて、私は誤魔化すように……

 

「まぁ、この部屋からは引っ越しちゃってるかもだけどね? ここの家賃、すっごいのにかぐやのお願いで引っ越ししてきたんだから」

「なんですとっ!? えーっ、思い出として彩葉は一生ここで過ごしてよ~。お金、いっぱい置いてくんだから~!」

 

 なんて、最後まで締まらなくって。でもそれが、それこそが私たちらしいのかもしれない。

 

 

 

 

 

「……時間だ」

 

 指定された時刻となった。もう、猶予はない。

 

 私はぎゅう、と強くかぐやの手を握り締めた。離したくないと、そう愚かしくも思いながら。今になって私は、まだ諦めていられないらしい。

 

 あとは前回のように、〈ツクヨミ〉へとログインすればいいだけ……。

 

 しかしその一歩がどうしても踏み出せなくて。けれどもやはりかぐやは強くて、弱い私を置いてもう覚悟を決めたらしい。

 

 かぐやはこちらを向いて、口を開く。

 

「ねぇ、彩葉……?」

 

 なに、とそう尋ねようとして、私は言葉を失った。

 

 なんてことはない。大した理由はない。私が言葉を失ったのは、ただ、ただ……。

 

「大好き!」

 

 かぐやの大輪の花のような美しい笑みに、見惚れてしまったからであった。

 

 




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〈ちなみにちょこっと裏話〉
※ほとんど今作のネタバレはありませんが、それでも気になると言う方は読み飛ばしていただいても問題ありません

アンケートで調査させていただいたエンディングについてですが、Aエンドは今話でほとんど完結となるルートでした
あとは月に帰ったかぐやが原作通り地球へもう一度戻る際、結葉の作った一か月のおかげで隕石にぶつかることなく戻ってこれた そんなルート

この場合の独自設定として、原作には居ない酒寄結葉という人物が存在した世界線ということから、ヤチヨは過去に戻っているのではなく、僅かに異なった世界の過去に転移していることとなりつまりは

A世界の現代→B世界の過去→B世界の現代まで時間経過→C世界の過去……

とらせん構造を描いたループです 
このらせん構造を軸方向から眺めていたから、ループは円を描いているように見えてしまっていた ばねを上から覗いたら輪っかに見えた、みたいに

そしてこの独自設定のならば、かぐやは過去にはいかず、しかしヤチヨは横の世界からやってきているため存在することとなり……

そういった意味を込めてのZ Aから始まったループは、終着点であるZにたどり着いた と、そんな話になりました

……ですが今作はAでもなくBでもなく、それらを統合したCエンド そんな設定はどこかへと吹き飛びました

まだまだ話は続きますので、楽しみにしていただければ幸いです
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