〈完結〉超かぐや姫Z!~もうちょっとだけハッピーなエンドを~ 作:すっごい性癖
オリ主お姉ちゃんを混ぜた超かぐや姫!を書くために始めたのですが、その前準備である原作本編に14万字もかけてしまいました
ここからはハッピーエンド後なので温かい目で見守ってください
引っ越ししなさい、今すぐに!
「ってことだから、お姉ちゃん。ウチに引っ越してもらうから」
「なんでぇ……?」
それは全員でハッピーエンドを迎えてすぐ後のこと。唐突に彩葉に呼び出された私であったのだけども……。
なんと突然ながら、強制的な引っ越しを要求されていた私でした。
「なんでも何も、説明したでしょ? お姉ちゃんが一人で暮らせるって私たち一同、もう信頼できなくなりました」
「信頼できないって、なんで……?」
「はぁ……。かぐや、このお気楽な姉に教えてあげて?」
「あいよっ、まかせんしゃい!」
パンパン、と彩葉が両手を叩くとどこから現れたか、ひょっこりと出てきたかぐやちゃん。よっしゃー! と気合十分で「どれから言おうかな~」なんて言っている。
え、そんなに選ぶものを悩むほど理由があるの?
「まぁまずがアレだよねぇ……。かぐやの身代わりになって月に行っちゃった件」
「アレは私の中に居たイロが心配だったからでだったし……」
「でも何の相談も無しで、自分だけで勝手にやったでしょ?」
「うぐぅ……」
言い返せる言葉が無い。あれは今振り返っても、我ながら自分勝手すぎた。あの時はかぐやちゃんが月に帰る、だなんてことも重なっていて視野狭窄に陥ってしまっていたのだろう。
自分一人が犠牲になれば丸く収まる、だなんて思い上がりも過ぎたし。結果的に私、すぐさま地球へ交換材料として持ち帰られましたしね。
もう一回言うが、マジで言い返せない。
「あとはそもそもイロのことを隠してたこともそーだよね? 気が付いていたんだったら最後にラスボスみたいな感じで言いに来なくても、もっと早く言えたじゃん!」
「あれはぁ、その……。確信が持てたのは月に行った後だったからさぁ……?」
「つまり月から戻ってきた後ならいつでも言えた、ってことでしょ?」
「いやぁ、そのさぁ? 帰ってきてすぐの頃は記憶が消された影響で意識が朦朧としてたしぃ……」
「それ初めて聞いたんだけど!? もっとダメでしょ!」
「あ……、やばっ」
これ言ったら更に心配させるかなぁ、と思って黙っていたのに言い訳に困ってつい言ってしまった。人間、追い詰められるとダメになるらしい。私はこの土壇場で強く理解した。
「んー、まぁ最後はアレかなぁ」
「まぁ、アレだよね」
「アレ?」
そう言い合ってお互いに顔を見合わせ、頷き合う彩葉とかぐやちゃん。仲睦まじいようでお姉ちゃん、すっごく嬉しいのだけれども、その橋渡しが私のやらかしってのは残念だなぁ。
というか、アレって……。なんだ?
そう私が頭の中にクエスチョンマークを浮かべていると、二人は「はぁ……」とため息をつく。言外に、「コイツ、マジか?」みたいな様子だ。若干、いや、だいぶ視線が痛い。
「お姉ちゃん、今までどこに住んでたっけ?」
「どこって……。やだなぁ彩葉。彩葉も何度か来たことあるでしょ、我が家に」
「うん、あるよ。あるから問題だって言ってるの。お姉ちゃん、本当にわからないの?」
「その……、それがさっぱり」
「まぁ、彩葉さん聞きました?! このお方、まったくもって分からないって言っていますのよ!?」
あぁ、両者からの信じられないものを見る目線がさらに強まった。もっと上があるとか、お姉ちゃん思ってませんでしたよ。二人とも、そろそろ視線で人を倒せるんじゃないでしょうか。
「はぁ……。お姉ちゃんさ、私たちにここへの引っ越しを勧めたとき、自分で何て言ってたか覚えてる?」
「え、あの時? なんだったっけ……」
たしか色々と引っ越しを嫌がる彩葉に私は説得したけども。あの時は確か……
「配信には向いていないよ、とか?」
「違う」
「ゆい姉ってば、選択肢そんなにないのに数少ないハズレを引かないでよ」
マジ? そんなに私って察し悪いのかな……。今日はイロが外に出てるから普段の二割増しでポンコツとかはありそう。……二割増しならいいな。
それから暫く頭を悩ませるも、一向に出てこない。ダメだ、私。二割増しじゃ全然足りていないようらしい。
二人もそんな私に呆れたのか、再度もう一度ため息をつく。このままではらちが明かない、と思ったのだろう。彩葉が答えを教えてくれた。
いや、でも……。それなの、理由?
「部屋のセキュリティって……、そんなことある?」
彩葉が呆れ混じりに教えてくれた私の問題点三つ目。故に引っ越しをしろと言い始めたらしいのだけども……。それがどうやら、我が家のセキュリティの低さらしい。
「セキュリティって言っても別に、普通じゃない……?」
別に我が家、特別セキュリティが凄いってことはないけども、標準性能くらいはありそうだが。鍵が壊れてる、とか無いし。部屋も一階じゃないし。
「大丈夫そうじゃない?」
「……マジか」
「うーん、ゆい姉の緩いトコかぐやは好きだけどさぁ。たまに怖い」
そもそも都内の物件って基本高いし。必要最低限をそろえていて地方の倍以上の額、とかもザラじゃん。立地にメチャクチャ影響受けるし。あそこもまぁまぁ家賃はする方なのよ?
「……お姉ちゃんに聞きたいんだけどさ? お姉ちゃんの趣味、ってなんだっけ」
「趣味はコスプレだけど……」
唐突に下を向いたままの彩葉がしてきた質問に驚きながらも、きちんと答える。その声にはこちらに有無を言わせない、といった迫力が籠っていて妹ながらに恐ろしい。
「で、お姉ちゃんはコスプレイヤーとしてどれくらい売れてるんだっけ?」
「売れてるって……。うぅん、まぁ、度々イベントとか番組に出させてもらうくらいかなぁ。学校とか就職のことを鑑みて、だいたいは断ってるけど」
「つまり、少なくとも平均以上の知名度ってことでいいよね?」
「そうはっきりと聞かれると困るけど……。まぁ、多分」
あくまでも趣味は趣味だし、人気がどう、とか言われると答えるのにちょっと困るけども。お金をもらうこともそれなりにあるし、いつまでも趣味って言い張るのもアレかもしれないが、それでも自分は趣味の延長線上だと思ってるし。
「……じゃあさぁ」
すぅ、と彩葉が息を吸い込む。私はその様子を見て、ものが爆発したり燃焼したりするのには酸素が必要なことを、なぜか連想してしまっていた。
彩葉が口を開いた。
「お姉ちゃん、有名人ってことでしょ! だったらセキュリティを気にしてよ!」
……。
「コスプレイヤーとしても顔が売れているっていうのに、かぐやのチャンネルでも更に知名度上がってるんだからさ! お姉ちゃんが私に言った事じゃん!」
後ろの方からかぐやちゃんの「そうだ、そうだ!」と言っている声が聞こえる。
頭の中で彩葉の声が反響し続ける。
私は何も言えない。何かを言わなきゃ、と思って口を開くも何を言えばいいのかがわからなくってまるで金魚のようにパクパクとするだけ。
しかし思考は止まっていない。反響する彩葉の言葉を何度も飲み下し、吐き下し。半数を繰り返す。
何分そんなことをしていたのかはわからない。けれども自分自身の感覚で言うのなら、それはそれは長い時間をそうしていた気がする。
けれどもここまでの会話で私は一方的に殴られてしまっていて、もはやグロッキー。私の言い訳と言う名前の刃は刃こぼれをし、言い逃れと言うパンチからは速さが失われてしまっている。
私はごくり、と一度つばを飲み込み、そして……
「負けました……」
妹二人に白旗を振るしかなかった。
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〈ハッピーエンド後設定〉
・結葉
月に言った影響で身体が半月人に とはいっても髪色や肌色を変えられるくらいで、本人曰く「コスプレに最強!」とのこと
・彩葉
姉の体に住み着く憎きイロ(推しともイチャつきやがって!)を追い出す為に、原作のように理系の道へと進み、義体の第一人者となる……予定
まだまだ彼女はただの女子高生なので、未来は無限に開かれている
・かぐや
月から帰ってきたお姫様 配信者として復活するために引退ライブのスパチャ返還を行ったが、どうせならとその光景を配信した剛の者
・ヤチヨ
皆大好き、〈ツクヨミ〉の管理人 どこかへと消えていたパートナーを見つけて上機嫌なお姫様 暇があればイロとイチャついている
・イロ
結葉の裏に隠れていたもう一人の彩葉 両方彩葉呼びは面倒なのでイロ呼びとなった
最近は電脳世界でヤチヨとイチャついてる
学生の方の彩葉については推しであるかぐやとイチャついているから気に食わない