〈完結〉超かぐや姫Z!~もうちょっとだけハッピーなエンドを~   作:すっごい性癖

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本日一話目です

次話の入り口なので短いです


八百長かぐや

 

「なんか急に旅行したくなってきた……」

「唐突だな、おい」

 

 リビングにて夕飯を食べている最中、かぐやちゃんが「思い付いた!」と言わんばかりの突如さで表明された旅行への欲求。

 

 本日のメニューは麺から作った蕎麦と付け合わせの天ぷらで、私はつゆに蕎麦を浸し、一気にズルズルッと啜った。

 

 うんうん、麵から作ると香りが違うなぁ、とそんなことを考えながら目の前の二人の会話を見守ることにする。

 

「いやさ、あるでしょ? 急に、『あっ、旅行したい!』みたいな気持ちになるタイミングが!」

「そんないつ爆発するかわからない爆弾、人間の中にはないと思う」

「え~~! 彩葉ぁ、旅行行こうよ~!」

「イヤだ。絶対行かない」

「なんで~!?」

 

 ふむふむ。急に旅行に行きたくなったかぐやちゃんに対して彩葉は乗り気ではないみたいだ。冷たい顔でドンピシャリ、と隣に座るかぐやちゃんに揺らされながらも一切の反応を示さない。

 

 まぁ彩葉の性格的に急な旅行とか嫌がりそうだからなぁ。この子、予定を立てること自体が好きだし。予定にない、急遽な弾丸旅行はお好きじゃないだろう。

 

 私は二人を眺めながらしし唐の天ぷらを齧った。サクッとした歯触りとしし唐特有の風味が鼻を抜けてすごくおいしい。

 

 今更だけどご飯を炊いておけば天丼にもできたなぁ、と惜しいことをした気持ちである。蕎麦とご飯なんて両方食べちゃったら太りそうだしアレだけども。

 

「ねーさー? 旅行行こうよ~。温泉行こ? 温泉饅頭と温泉卵が私たちを待っている!」

「食べ物ばっかりじゃん」

「旅行の目的何てどんなに飾っても結局は食べ物なんだよ!」

「それは過言でしょ、流石に」

 

 どうだろうねぇ。私的にはかぐやちゃん派の人間だけども。

 

 旅行に行くにあたってなんだかんだ言って目的地の美味しいお店や名産品を調べちゃうし、人間は心のどこかで旅行には食べ物を求めて要るっぽいし。というか、せっかく旅行するなら美味しいものが食べたいのは当然だしね。

 

 そういえば温泉饅頭ってなんであんなに美味しいんだろうか。普通のお饅頭とかわらなそうなのに、旅館の部屋に置かれてるお饅頭を食べるとメチャクチャ美味しくてビビる。長い移動の後だからなのかねぇ。

 

 私は味変としてお蕎麦に少量のわさびを乗せて啜る。このわさびも鮫皮のおろし器でおろしたてだからまったくもって嫌な辛さではない。むしろ甘いくらいで爽やかな、ミントのような風味。

 

 ……わさびソフトっていうのも美味しそうだよねぇ。

 

「……で、お姉ちゃんはさっきからずっとなんで黙っているの?」

 

 そんな風に二人の会話に混ざらず、ぼーっと眺めているだけの私が気になったのかこちらを見つめてくる彩葉。普段の私なら会話の輪に入っていただろうからだろう。

 

 なんでずっと黙っているか、と言われましても……。

 

 そんなの――

 

「……車、出すよ?」

 

 旅行賛成派だからでしかないのだけどもね。

 

 はっきり言って、私も旅行行きたいし、温泉に入りたいし、美味しい食べ物も食べたいのだ。私、旅行大好き。

 

「――ッ!?」

「ん~~、えへっ♪」

 

 もしや、という顔でバッ、と彩葉がかぐやちゃんの方を見る。恐らく、気が付いてしまったのだろう。そしてかぐやちゃんも彩葉が気が付いたことに気が付いたらしく、先ほどまでのあくまで思い付きですよ? みたいな顔を止めて、てへぺろしてる。

 

「まさか……、二人とも!?」

「えへへっ、なんのことかなぁ? かぐやちゃん、わっかんないなぁ」

 

 あくまでシラを切り続けるかぐやちゃん。しかしその仕草が全てを物語っている。すでに彩葉に逃げ道など無いのだと。

 

 

 

 

 

 

 

 ――というわけで。唐突ですが酒寄家東京支部、緊急旅行の予定が立ちあげられました。

 

 出発は、明日。実はもう宿も取っていたりしちゃっています。午前中、彩葉が学校に行っている間に私とかぐやちゃんとで予定を組んじゃったのですよ。

 

 行先は草津。

 

 ちょいな~、ちょいな~で有名な温泉地で、温泉の素バラエティパックでだいたい入ってくるような日本有数の名湯でもある。

 

 非常に楽しみだ。

 

 私は蕎麦に薬味のネギをのっけて啜りました。美味しい。

 




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