〈完結〉超かぐや姫Z!~もうちょっとだけハッピーなエンドを~ 作:すっごい性癖
次回から中編をはじめようと思うので、その前段階のお話
メチャクチャ短いです
「おりゃおりゃッ!!」
急ぐ、急ぐ、急ぐ、急ぐ。
自身の全霊を全身に詰め込んで、出せる限りの最高速度を二段階以上は超えていく。
すべては彼女の為。愛するあの人の為。
私に幸せを教えてくれた人の為。私に楽しさを教えてくれた人の為。私を私で居させてくれるあの人の為。
一度は別れてしまったけど。自分から離れてしまったのだけれども。
けれどダメだ、我慢できない。自分を自分自身でさえ抑えられない。腹の底からあふれ出てくるこの熱い情動が抑えきれない。今すぐにでも全身を掻きむしりたいほどの情熱と、愛情は止まることを知らないのだ。
今の私は打ち出された弾丸、もしくはミサイル、またはロケット。とりあえずでっかい推進力を持つどっかーん系の生き物。狙った標的を逃さず、最速で狙い撃つ系のヒロイン。
きっと彼女がこの想いを聞いたら苦笑いを浮かべながら「いっつも物騒だな、おい」なんて言ってくれるのだろうか。それとも「私のこと好きすぎでしょ」とか言ってくれるのかな。はたまた「私も会いたかった!」と私と同じくらいのミサイルになってくれるのか。
できれば最後がサイコーにイチバンな選択肢なんだけども。きっと彼女は恥ずかしがりだから、嬉しい本心を隠して口ではなんでもない風に言っちゃうんだ。「帰ってくるの早くない?」なんて。
でもそれでいい。それがいい。
そんな彼女だから私は大好きなのだ。だから私は止まれないのだ。
身体が止まらない。動かす手を止めない。仕事を一秒でも早く終わらせようと、私は私の限界を超える。
それに仕事だけじゃない。仕事が終わっただけではまだまだ不十分。
次は今回みたいに強制送還、なんてことにならないよう仕事の引継ぎも終わらせないとだし。同時進行で私の代わりも作り上げないといけない。私の抜ける穴が塞がれば万事解決だからね!
それにきっとどんなに高速で仕事を終わらせても、その頃には彼女はおばあちゃんになっちゃってる。それでは意味ない。
別に彼女がおばあちゃんになったら嫌いになっちゃう、とか、可愛いままじゃないと嫌だ! とかそう言う話じゃない。いや、可愛いままの方が嬉しいんだけども!
ただ、彼女がおばあちゃんになっちゃう位まで時間をかけてしまえば、どんな感動の再開を遂げたとしてもすぐさま迎えるのは死別と言う名前のバッドエンド。
久しぶりに会うのが病院の中とか悲しいにもほどがある。
だから私は仕事や引継ぎの他にも、時間の問題もクリアにしてくれる機械を作らねばならない。言わばタイムマシーン、時を超えるアイテムを。
きっとそれは難しい事なのだろう。いや、実際に難しいのだ。
今の、身体に無理を強いて行っている仕事だけで大変だと言うのに。それと平行作業でする作業ではないのは火を見るよりも明らかだろう。
今更になってあの子が毎日していた、自身の寿命を削るような生き方の危険さを知った。そりゃあバランスが崩れれば体調も崩す。
自身が迷惑をかけ過ぎたことも今では反省してもいる。
今の私以上に彼女は忙しかったというのに、素性も分からない宇宙人に予定を滅茶苦茶にされて……。
それでも怒らなかった彼女はやはり優しすぎで、私はそれに甘えてしまっていた。
あぁ、身体が疼く。全身が歓喜する。
一秒、一秒、また一秒。
それは一つずつは僅かな時間であれども、しかし確かに恋焦がれる再開の時へと近づいているのだ。嬉しくないと言ったら嘘ってものだろう。
だから私は頑張れる。自分が好きだったり、興味のあることばっかりやりたがる私だけれども、今だけは嫌なことでも好きになって取り込める。
大好きな彼女を思えば、嫌いも好きに塗り替えられる。
だから――
「彩葉ッ、待っててね!!」
――だから、遠い星から歌声を届かせてくれた親愛なる彼女のためにも、私はこの一瞬を最高のものへと。
頑張れるのであった。
「……え?」
がんば――れるの……で、あtt。
た?
……………………なに、を?
わたしはなにを、がんばる……のか。
わから……ない。
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