〈完結〉超かぐや姫Z!~もうちょっとだけハッピーなエンドを~   作:すっごい性癖

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ごめんなさい 間に合わなかったです

一応、ソシャゲカウントなら今日中ですので、二話目をどうぞ……


ライブの前の静けさ

 

「結葉、おっそ~い」

「お姉ちゃん、さすがに操作方法忘れるのはヤバいって……」

「うぅ、申し訳ありません……」

 

 結果として合流するのにまあまあな時間をかけてしまった私、酒寄結葉。

 

 座標を教えてもらい、思い出したダッシュ行動にて急行し、静かな休憩所な所で落ち合えたわけですが……。これは、やってしまいましたね。

 

「忘れてるんだったら待ち時間に聞いてよね?」

「おっしゃるとおりです……」

「結葉ってば、割と抜けてる?」

「割とって言うか、結構抜けてるよ。お姉ちゃんは」

 

 はいそうです。

 

 抜けてます。抜けてます。だいぶポンです。私です。

 

 ただ一つ言い訳させてもらいたいんですけれども、忘れていたこと自体を忘れていたと言いますかねぇ。あるじゃないですか、自分自身が何かを忘れてること自体に気が使いない事って往々にして。

 

 よく、サービスエリアを出てからトイレに行きたくなって『なんで言わなかったの!?』と言われて、いや、その時にはそんなつもりなかったんだよ、と言いますか。そんな感じで。いや、ちょっとちがう?

 

 ……そっか。

 

「……あれ? その子、なぁに?」

 

 このままではマズイ。そう感じ取り、何とか話題を変えようと周囲を見渡してみると、縁側に座るかぐやちゃんの近くに佇む、可愛らしき孫座に目が留まる。

 

 あれは……、犬かな?

 

「この子? 犬DOGEだよ!」

「いぬ……、どーじ……」

 

 ふむ。いぬどーじ、とは何ぞや? 〈ツクヨミ〉のアイテム? 私がいない間に買ったのだろうか。

 

「アレだよ。〈ツクヨミ〉に来る前にかぐやが私のパソコンでアレコレやってたでしょ?」

「あー、昼間に買ってあげた携帯ゲーム機みたいなやつにプログラム書き込んでた……」

「今、買ったって言った?」

「言ってナイヨー」

 

 あぶない、あぶない。思わず変なことを口走ってしまった。口元を固めねば。

 

 そう言えば夕飯後にかぐやちゃんが熱心に色々やっていたけど、その時丁度知り合いから電話が来ていたからなぁ。あんまりちゃんと聞けていなかったのが仇になりましたか。

 

「というか、そういうのも持ってこれるんだ。〈ツクヨミ〉ってすごいね」

「だよねー」

「いや、私もそんな機能あったの知らなかったんだけど」

 

 そうなんだ。

 

「いや~、結葉と外歩いている時に見かけた猫が可愛くってねぇ。かぐやもコレ欲し~、ってなったんだよ~」

 

 そういえばそんなこともあったっけ。今日の出来事だと言うのに、一日の内容が濃すぎて忘れてしまったよ。これも老化現象なんだろうか。

 

「猫が可愛かったのに、作ったのは犬なんだ」

「そこは、まあ……。パッション的な?」

「つまりは何となくと」

 

 試しに犬DOGEの頭を撫でてみれば、気持ちよさそうに目を細める。愛らしい。犬を飼ったことは無いけれど、こういうバーチャルなら責任問題も無いし、イイかな? なんて思いもする。

 

 何となくでもたった数時間でここまで高精度な動物モデルを作るとか、かぐやちゃん凄すぎない? 月での記憶とか、あんまりないらしいけどそういうコトは出来るんだね。

 

「ふっふっふ。ねーねー、結葉?」

「なぁに、かぐ、や……、ちゃ?」

 

 声を掛けられ顔を犬DOGEから上げる。かぐやちゃんがやけに楽しそうな声をしているなー、だなんて呑気なことを考えていた私でしたけども。

 

 そこに居たのは……。

 

「だっ、誰?」

 

 振り向きざまに視界に入る、白一色の顔。視界いっぱいに、その顔が広がる。

 

 まるでホラーゲームから抜け出してきたかのようなそのいで立ち。真っ赤な十二単を着こみながら、手には鈴らしきものを握っているその容貌。

 

 謎の人物がじっと、こちらを覗き込む。

 

 知りません、知りません。私はあなたを知りません。

 

 だけど、さっき聞こえた声は確かにかぐやちゃんのモノだったはずなんだけど……。

 

 というか、かぐやちゃんはどこに?

 

「ぷっ、っふふ。――あっはは!」

「ちょっと、彩葉ぁ!? なんで笑うの!?」

 

 頭の中がそれはそれは白く、能面のように真っ白になっていた私。そんな私の様子がおかしかったのか、お腹を抱えて笑う彩葉。楽しそうで結構なのですが、この不審者はいったい?

 

(うん? 能面さん、おもむろに顔に手を伸ばして……、あ、外した。――って、えぇ!?)

 

「かぐやちゃんだったの!?」

「えっへへ、驚いた?」

 

 不審者が顔のお面を取り外したその瞬間。着ていた十二単やなんやらはどこかへと消え去り、小道具たちも姿を失い、体格まで大きく変わって。

 

 一瞬のうちに不審者はその姿をかぐやちゃんへと変貌していった。

 

「これね、さっき自分で買ったんだ~! 完全変装くん~巫女ちゃんホラーエディション~!」

「視覚的情報を完璧に別アバターに変換してくれるアイテムなんだって。やろうと思えば声まで変えられるらしいけど」

 

 ドッキリ大成功、イエーイ! と、二人でハイタッチする彩葉とかぐやちゃん。それに置いていかれて、その場でぽかんとするだけの私。なんとも残酷な対比でしょう。

 

「お姉ちゃんと連絡し合ってた時、丁度近くで売ってたのをかぐやが見つけてね。 初回ログインボーナスのふじゅ~で買える! って言ってソッコーで買ってた」

「そんでそんで! 私がこれ使うまでの時間稼ぎを彩葉に頼んでたんだ!」

「うぅ……。二人とも、酷いよ……」

 

 マジでびっくりしたんですけど。寿命縮むかと思ったよ。

 

「それにしても、こういうアイテムもあるのか。さっすがバーチャル。なんでもありだ」

 

 かぐやちゃんから能面を受け取り、隅々と見てみる。ぱっと見、ただの能面なんだけどもね。いや、ただの能面とかもこんなしっかり見たことは無いんだけどさ。

 

 ――ピピピピ、ピピピピ。

 

「ん?」

「あっ、時間だ……」

 

 唐突になり出した連続的な電子音。何かのアラームのようで、彩葉が浮かんだがウィンドウを消している。

 

 いったい何の時間なんだろう。そう尋ねようとした時、

 

 ――ピコン!

 

「また?」

「あっ、今度は私だ」

 

 次いで辺りに響く電子音。先ほどが連鎖的な音だとしたら、今回は発作的な音。一回で十分な存在感を放つミュージック。

 

 普段私が使っている連絡アプリの通知だった。

 

「え~っと、……おぉう、マジですか」

 

 送り主は大学の友人。要件は、つらつらと長く書いてあるけれども、要約すれば短くなって、結局のところ

 

『今度のテストヤバい。たすけて』

 

 らしい。

 

 若干、テストを意識するには早すぎる様な気もするけれども、彼女は私と同じく現在四年生。しかも単位を一つでも落としたら留年が確定する限界学生であったか。

 

 絶対に留年だけは避けて見せる、とそう言った気概での高速勉強なのだとしたら、それは偉いと言うべきなのだろうか。それとも最後の最後までいろいろとツケにしているあたりはちょっとどうなのか、と咎める話なのだろうか。

 

 しかし彼女には就活関連の話に乗ってもらったりと、いろいろお世話になったし、救助要請を無視するわけにもいかない。

 

「ごめんね! 私、ちょっと大学の友達に呼ばれたから行かなきゃだ!」

 

 そう二人に断りを入れログアウトしようとする。

 

 二人からは、

 

「う゛ぇ゛~!? 結葉いっちゃやだ~!!」

 

 とか、

 

「ヤチヨのライブがあるのに……」

 

 と、直接的と間接的の引き留めの言葉を両方頂くも、さすがにここに残るわけにはいかないので、もう一度謝ってからログアウトをすることにした。

 

 

 

 

「また今度、埋め合わせするから~!」

 

 

 

 

 ――こんな、ただの緊急離脱の社交辞令的な言葉が、後にとんでもないことに繋がっていくだなんて。

 

 ――その時は誰も、当然私も、予測などしているはずがなかった。

 

 

 




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唐突に犬DOGE出したからって、忘れてわけじゃナイヨー
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