〈完結〉超かぐや姫Z!~もうちょっとだけハッピーなエンドを~   作:すっごい性癖

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本日二話目です

これから数話は配信者ネタの閑話ですので、基本短いと思います


配信者として

 

「記念すべき最初の企画は~~。……やっぱメントスコーラっしょ!」

「メントスコーラって、また古風な……」

 

 配信者としての第一歩を踏み出したかぐやちゃん。

 

 ヤチヨカップ優勝を目指して邁進していくつもりらしく、動画、配信、〈ツクヨミ〉での路上ライブなど様々な活動を思い描いているらしい。

 

 その記念すべき第一弾としてはじき出されたのがメントスコーラとのことなのだけども……。

 

「私たちの世代からしたら懐かしいを通り越して、もはや古いってレベルだしね~。あれ、流行ったのって二十年位前でしょ?」

「逆にかぐやはどこでそんなの見つけてきたのかのが気になる」

 

 それこそ動画配信の興り、初期も初期の流行りだったって言うのは上の世代の話で聞いたことがあるけども。

 

「え~? でも今から始めるインフルエンサー、ってブログには『やればバズる! やらなきゃバズらん! 投稿者の登竜門!』って書いてあったよ?」

「そのブログ書かれてるのいつよ……。って、2006年て書いてあるし!」

「それくらいらしいよね、流行ったって言うの。 私たち二人とも、まだ生まれてないや」

 

 お兄ちゃんがギリギリ生まれてる? いや、まだ生まれてない? くらいの時期だしね。そう考えると結構昔の話だよねぇ。

 

「今更やってもバズらないでしょ」

「というか下手したら変なイメージついちゃうかもねぇ。懐古系ライバー、みたいに」

 

 そう言った年代を狙い撃ちするライバーにも需要はあるだろうけども、そういったイメージは活動に大きな制限を作る。自由を好むかぐやちゃんには邪魔な枷にしかならないだろう。

 

「そもそも、メントスもコーラもどうやって調達するつもり? あんた、お金持ってないよね?」

「ぎくっ……」

 

 ぎくっ、って。自分でホントに言うことあるんだね、その言葉。漫画の世界だけだと思っていたよ。

 

 図星を突かれたかぐやちゃんは眼をぐるぐるとまわし、視線を右往左往。左右両手を使っていろいろと大きなジェスチャーをして……。

 

 将来的な投資、とか、ヤチヨに会える第一歩、とかアレコレと思いつく限りの理由を挙げまくって。

 

「彩葉ぁ……。買ってぇ?」

「ダメ」

「う゛ぇー! 彩葉のケチぃ!」

 

 そして説得できそうなネタがなくなったのか、直接的なおねだりをするも、彩葉によって却下された。

 

 じたばた、じたばたと床で暴れる姿を見ていると、たまにスーパーのお菓子売り場で見かける子供を連想してしまう。言葉を選ばずに言うと、みっともないことこの上ない。

 

 まぁ、姿こそ大きくなったが、ちょっと前まで赤ちゃんだったことを考えると全然普通なのかもしれない。宇宙人の年齢の基準が良く分からないけども。

 

(あ、目が合った……)

 

 そんな風にゴネるかぐやちゃんを見ていたが、ふと目が合う。

 

 あっ、ニヤけた。イイこと思い付いた、みたいな顔してる。

 

「ゆ、い、は~?」

 

 砂糖を溶かし込んだかのような甘い声。猫もすぐさま逃げ出すほどの猫なで声で、私の足元まで這ってくるかぐやちゃん。語尾にハートマークが付きそうなほどに媚びている。

 

 まるで蛇のように私の脚にぐっ、と抱き着かれ、下から顔を見上げられた。

 

(わぁ、すっごい顔してる)

 

 目元はニヤけ、口元もニヤけ、全てがニヤけているそんな顔。かぐやちゃんは美少女だから何とかなってるけども、人によっては警察を呼ばれかねない。

 

「ちょっとカグヤ! おねえちゃんにタカってもだめ! おねえちゃんも絶対買わないでね!」

 

 そんな彼女の姿にすぐ合点がいったのか、彩葉もかぐやちゃんと、ついでに私にへと忠告をする。

 

「そもそも、メントスコーラってメントスもコーラも無駄になるやつでしょ! ただ食べる、飲むだけでも贅沢だってのに、遊びに使うってのはもってのほか!」

「まぁ私的にももったいないってのは同感かなぁ?」

 

 あれ、流行っている時の人たちがどう思ってたのかはわからないけども、個人的にはあふれ出たコーラがもったいないな、って感じだし。

 

「そこはだいじょーぶ! かぐやが口付けて一滴もこぼさないから! ちょー有用! 無駄になんてならないからっ、セーフ!」

 

 そういう問題なのかな?

 

「これはね、いにしえーしょんなんだよ! かぐやがヤチヨカップ優勝するために必要な儀式! かつての王者はみんな通ってきた道だから!」

「その理屈で言うと、今度はアルミホイルを無駄にしそうだから却下」

「アルミホイルを叩くやつも流行ってたねぇ~。懐かし~」

 

 あれは生まれてからの流行だったけどもね。他にも1000度の鉄球とかもあったっけ。今思うと全部、なんであれが流行ったんだろう。インターネットの不思議だ。

 

「はぁ~~……」

 

 深い、そして大きなため息をつく彩葉。この反応だけで彼女が何を言おうとしているのか分かるのは、姉妹としての付き合いの長さのおかげだろうか。

 

「今回だけだからね?」

「今回だけ?それって……。っ!」

 

 がばっ、と地から起き上がり彩葉を抱きしめるかぐやちゃん。満面の笑みで、全力で、嬉しそうに。

 

「彩葉ありがと~っ!」

「言っとくけど、今回限り! あと暑いから抱き着くの止めて!」

 

 あらあら、まあまあ。

 

 正直、コーラとメントスくらいなら別に買ってもよかったんだけどね。大した出費じゃないし。

 

(でも、今回は……)

 

 私の出る幕は無いかな、と今回の話に見切りをつける。

 

 あんなに嬉しそうなかぐやちゃんと、まんざらでもない彩葉との間に私が入っていくわけにもいかないからね。

 

 今回のメントスコーラがバズるのか、バズらないのか。それは私には分からない。

 

 私の理性は多分無理だろうな、と言っているが、やはり何がバズるかが分からないのがインターネットの世界だし、流行ってやつだ。

 

 けれども、それでも。

 

 今回の件は二人にとって小さい、日常の中の一幕であっても。いつかきっと輝く大切な思い出になるだろうと。

 

 それだけは、こんな私でも確信できるのであった。

 

 




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〈動画の一部を転載〉
「かぐやっほー! かぐやだよ! 今回はメントスコーラをやっていきます!」
「え、ナニ? 古い? わかってないねぇ。これも温故知新ってやつだよ!」

「今回はメントスをコーラに入れて、爆発したコーラを全部飲みほす!」
「てか何でメントスをコーラに入れたら爆発すんだろ。火薬でも入ってんの?」

「まいっか、それじゃいっくよ~……、ってヤバ!?」
「あむっ……、んぐ!?っ、ひゃ……、ぶはっ!?」

「やっば、鼻からも出てきたんだけど……。マジ、メントスコーラ舐めてたわ」
「ってちょっと彩葉!? そんな笑わなくてもいいでしょ! 結葉もそっぽ向いてさ! ひどいよ!」

「うげぇ、服もびしょびしょぉ……。き゛も゛ち゛わるぅ……」
「まっ、まぁギリギリ。四捨五入して成功ってことで! 勝者、かぐや! んじゃ終わり!!」
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