TS・ダウナーお姉さんによる後方師匠面   作:何が何でもダウナーお姉さんを出したい。

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今回も高評価ありがとうございます!! 皆様のおかげで! なんと! 1000pt行きました!! 本当にありがとうございます!!


35枚目:閉園!!

「本当を言うと、もっとデスパークにしたいけれど。デスパークモンスターはフィールドに1体しか存在できないんだ。そっちがデスモン塗れになることはないから安心してよ!」

 

 だとしたら、強いというか酷い。自分のモンスター達が勝手にデスパーク塗れになるんだから、堪ったモンじゃない。

 サクタ君も迷っている。ここで自爆ドローンを投げても、無効化されるか破壊されないかで分が悪い。2/3の確率で効果が通らないなら、温存しておいた方がいいというのは妥当な判断だ。

 

「俺は装備スペルを2枚発動! これらのカードは『エスケーパー』モンスターのみに装備できる! まず1枚目! 『殺意の大ナタ』はATKを+500して、戦闘で相手モンスターを破壊した場合、相手のフィールドのカードを1枚破壊する! もう1枚は『抵抗の釘バット』! このカードはATKを+500して、相手モンスターを戦闘破壊した場合、もう1度戦闘ができる!」

「この主人公、物騒すぎるだろ」

 

 なんで、インヴェなんてファンタジー系の世界観に大ナタとか釘バットを持ち込んでいるんだ。唯一の救いはコイツらが『エスケーパー』モンスターにしか装備できないという所か。大ナタと釘バットを装備したヴォイド・マンとか……いや、似合っているけれど。

 

「このままバトルに入る! 効果の発動は!?」

「マザー・ドローンでドローンカードをサーチ! 我は『リペアドローン』をサーチする!!」

 

 どうぞ。と、タツヤは促していた。ここでサクタ君がサーチしたということは、盤面の切り返しを図ってのことだろう。

 

「俺が攻撃するのはコマンド・ドローン! さぁ、互いにダイスを振ろう! ワンチャンスあるかもよ? お姉さん、お願いね!」

「我もダイスを振る!」

 

 相手を強制的にデスパークに招待するという悪質な効果を用いていた。

 私も手の平からダイスを転がした。特定の目を出すつもりはない。出た目は3だ。ATKの小バンプと言った所だが、サクタ君はと言えば。

 

「我は4だ」

「コマンドローンも小バンプだね。でも、上昇値が同じならば俺の方が有利! いっけぇ! デスケーパー!」

『ぶっ〇してやらぁあああああああああ!』

 

 とてもじゃないが小学生も遊ぶカードゲームのキャラクターと思えない位に口汚かった。しかも、何故かモデリングがローポリである為、不気味さがすごい。

 振り上げた大ナタと釘バットでコマンド・ドローンを滅多打ちにして破壊していた。とてもではないが、映画に出ていた助手君とは思えない程に凶暴だ。

 

「教育に悪すぎるだろ、キミのカード」

「誰にでも見せられるデスパークはデスパークじゃないだろ!!」

 

 この時間帯、シュウ君が来ていなくて本当に良かったと思っている。同時にコイツが使われない理由も分かって来た。

 ダイスで効果が変動するという不安定さもあるだろう。特典なので入手し辛いというのもあるだろう。だが、一番の理由は。

 

『ハハァーッ! オホホホッー! オホーッッ!!』

 

 コマンド・ドローンを撃破した勢いで大ナタを投擲した。すると、吸い込まれるようにデコイ・ドローンに命中して大破した。ズリズリと釘バットを引き摺って向かった先は、マザー・ドローン。ではない。

 

「俺は『抵抗の釘バット』の効果でもう1回バトルをする! 相手は『キラーピッチャー』だ!! デス野球の開始だ!!」

 

 送り付けたキラーピッチャーは無効化する奴を絶対にぶっ殺す効果を持っている以外にも、戦闘要員としても強い。デスケーパーは大ナタと釘バットを装備して、やっと同じ位のステータスだ。

 しかし、良いのだろうか? 『メイガス・インヴェイション』は世界観的に言えば魔術師(プレイヤー)がモンスターを召喚して、互いの領土を取り合うみたいな話であるハズなのだが……。

 

『生き延びてやる、生き延びてやる、生き延びてやる!』

『死球式(さつじんたいむ)だァ!!』

「世界観遵守する気ある?」

 

 きっと、コイツらを召喚した魔術師(メイガス)達はビックリしたと思う。

 とは言え、そんなことを言い出したらどうして美少女が巨大なドラゴンをぶっ倒せるんだとか、そういう所も突っ込まなくてはならないのでゲームに集中しよう。

 

「我のダイスは……5!!」

「俺のダイスは……1ぃ!?」

 

 デスケーパーが持っていた大ナタと釘バットがへにゃりと垂れて、対するキラーピッチャーは全身がバンプして、握っているボールが砲丸へと変わっていた。

 

『攻撃(ストライク)ゥ!!』

『ぎゃああああああああ!!!』

 

 デスケーパーの頭部に砲丸が命中して、砕け散った。コレはフィールドだからこうなっているんだろうけれど、多分劇中で行われていたらグロいことになっていたんだろうなと思う。

 返り討ちにあった上に、タツヤのMPにはとんでもないダメージが入っていた。もしも、調子に乗ってもう1度バトルなんてことをしなければ、彼はフィールドにデスケーパーを残しておくこともできただろうに。

 

「スピードスペル『EASYコンテニュー!』を発動! このカードは『エスケーパー』モンスターが破壊された場合に発動できる! セメタリーから破壊された『エスケーパー』モンスターを蘇生させる! 更に! この効果で蘇生された『エスケーパー』モンスターのATKは+500され、このターン中に発動するダイス効果を6が出た物として扱ってよい! もう一度、キラーピッチャーにアタック!!」

 

 映画というよりかはゲーム的な効果だ。+500されている上に倍化するんだから、一回り攻撃力が高いキラーピッチャーだって射程圏内にある。

 

「我は……4! 1足りない!」

「デスケーパー!!」

『うぉおおおおお!!』

 

 復讐の一撃と言わんばかりに。相手を殴り倒していた。こんなバイオレンスな絵面なのに、このバトルの中で一番穏便なのが意味不明過ぎる。

 

「バトル終了。このターン中、『コマンド・ドローン』『デコイ・ドローン』『大ナタ』『釘バット』『デスケーパー』の5体がセメタリーに送られているから、デスパークカウンターは5つ。3つ取り除いて『デスパーク』モンスターをサーチする。俺がサーチするのは『デスパ―クの処理人―マッド・コック―』をサーチして、サクタちゃんのマザー・ドローンをリリースして特殊召喚!」

「またか……」

 

 強制リリースされては、抵抗のしようがない。それこそ、対抗手段は『ヴォイド・マン』の様に特殊召喚事態を封じるしかない。

 

「『マッド・コック』の効果は、カードを無効化または破壊する効果が発動した場合、デスパークカウンターを3つ取り除いて発動できる。ダイスを振り、出た目の数によって以下の効果を適用するか」

 

1・2:このカードは破壊される。

3・4:相手が発動した効果を無効化し、破壊する。

5・6:相手が発動した効果を無効化し、相手フィールドのカードを2枚までモルグへと送る。

 

「さっきより、効果が強くなっていないか?」

「次の門番だからね。スタッツもキラーピッチャーよりも上だよ」

「無理矢理、カードを使わされている様で気に入らんが……」

 

 相手が出した大型モンスターをリリースしつつ、『エスケーパー』モンスターで差を開けて行くというコントロール型のデッキか。昔ならば、きっと強かっただろう。一度、使ったリソースは中々に回収できないからだ。

 

「俺はカードを2枚伏せてエンド。サクタちゃんのターンだよ」

「ドロー! ……。我のターン! リペアドローンの効果を発動! このカードとセメタリーにある『ドローン』モンスターをフィールドに特殊召喚する! 我が蘇生させるのは『スウォーム・ドローン』! ……と言っても。このカードで蘇生したモンスターの効果は無効化されるが」

 

 それができたら強すぎる。ただ、潰したハズの大型モンスターが戻って来るのは強い。高スタッツモンスターで攻撃できるのも大きいし、何よりも。

 

「我は『スウォーム・ドローン』と『リペアドローン』でコネクシオン! 出でよ! 機構の芸術者! 『リマジネーション・ドローン』!」

 

モンスターの合体とでも言えるコネクシオン以外にも特殊召喚方法はある。

その一つが、モンスターの効果やスペルを使った結合(ユナイト)と呼ばれる方法で、効果の発動を介する代わりに強力なモンスターが多い。

 

「我は手札から『偵察ドローン』『自爆ドローン』。そして、『リマジネーション・ドローン』をセメタリーへと送り! 現れろ! 『ホーミング・カミカゼ・ドローン』!!」

 

 現れたのは『神風』とボディに書かれたドローン……と言うか、形状はほぼミサイルだ。融合素材とモンスター名からして、どういう効果は考えるまでもない。

 

「あ、サクタちゃん。そういうことする?」

「貴様のモンスター達は無効化を無効化できるが、それ以外は無効化できなかったな? ちなみに『カミカゼ・ドローン』の効果を教えてやろう。このカードはプレイヤーに直接攻撃ができる。代りに、攻撃をした後は自壊する。ダイスを振れ」

 

 これはドラマティックな物ではなく、場には『流れ』という物が存在している。コレを手にしたプレイヤーには勝利が訪れる。サクタ君がダイスを振る。私もダイスを振る。

 

「私が出した数値は5だ。良い数値が出たね」

「我の数値は『6』だ。突撃しろ! カミカゼ!!」

 

 ミサイルめいてタツヤに突っ込んだ。先にデスケーパーが返り討ちにあったこともあって、減っていたMPは更に減ったが。それでも、トドメには至らない。

 

「まだ、残って……」

「所で。我にはもう1体モンスターがいる。貴様からプレゼントされた『マッド・コック』というモンスターだ。喜ぶと良い。攻撃力は倍になっている」

 

 締めとしては完璧だ。自分が張ったフィールドの効果で強化された、自分のモンスターによってやられる。暴走したヴィランが自業自得の末に破滅するという構図は、もはや美しさすら感じる。

 

「『マッド・コック』よ! 逃亡者を調理してやれ!」

『仰せのママにー!』

 

 憐れ。デスケーパーはマッド・コックに調理され、その超過ダメージを持ってしてタツヤのMPは0になった。勝者は決まった。

 

「サクタ君の勝ちだ。にしても、こんなデッキを使うプレイヤーがいるなんて。そこそこ、インヴェには詳しいつもりだったけれど」

「……この男は、常に自分が楽しむことしか考えておらん。何故だ? 貴様ほどの腕があれば、真っ当に強くなろうとすれば、我を上回ることもできたろうに」

 

 始まる前は噛ませ犬とか言っちゃったけれど、やはり彼は強い。伊達にグループのトップをやっている訳ではなさそうだ。

 

「それが嫌なんだよね。俺達はカードで遊んでいるんだよ? カードに遊ばせて貰っている訳じゃないんだよ? 強くなるのが楽しいならそれも良いけどさ」

 

 ……私の心の琴線にも触れる話だ。時折、私も分からなくなる時がある。

 使いたいカードより、強いカードなんて幾らでもある。互いに勝利を目指して競い合うのだから、より勝ちやすくなるカードを使うと言うのは道理である。

 でも、それだったら延々と強いカードに使われるだけになるんじゃないかとは、プロ時代。何度も自問自答したことだ。

 

「我は、その切磋琢磨を楽しんでいる。環境やカードプールの変遷に弄ばれ、適応していくのもまた醍醐味だろう。それだけ、知識も遊び幅も広がる」

「公式が推奨する楽しみ方だね。でも、俺はそれだけが楽しみだってのはいやーだね。――ねぇ、お姉さんはどっちの方が良い?」

「え?」

 

 唐突に質問を振られて、私は反応できずにいた。……カードの流通に関わる場所に身を置いている者として、サクタ君の意見に同意するべきだろうが。

 

「――」

 

 声が。出ない。タツヤが投げた意見に頷きたいが、できない。かと言って、サクタ君の意見にも同意できない。宙ぶらりんだ。

 

「答えられないのが答えって所かな。サクタちゃんなら強要することはないと思うけれどさ。その人格者っぷりが、誰かを追い込んでいることも意識した方が良いと思うよ」

 

 と、言って。彼は何かを買ったりすることもなく去って行った。入れ違う様にして、女子と仲良く入店して来る男子が1人。

 

「アレ? ヒジリさん? サクタさん? 勝負していたんですか?」

「……ちょっとね」

 

 何があったのかをかいつまんで説明しつつ、私達はいつもの日常に戻ろうとしていた。どうにか気を逸らしたくて、財布の中身を見てみた。……店長から貰った温泉施設のクーポンがあった。

 

「(……行ってみるか)」

 

 風呂に浸かって帰って来るだけだ。家でだってシャワー位は浴びているし、自分の体で興奮する様な時期は過ぎている。今更、同性の体を見たって何も思わないさ。今日の私は珍しいことにストレージも弄らずに、シュウ君達の勝負を見ていた。

 

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