百合の間に挟まりたくない男はどうしたらいい   作:かぐいろ大好き侍

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本当はもっと描きたかったけど、キリがいいので6000文字弱。
初めての挿絵を入れました。自力で描けたら良かったけど、そっちの才能はありませんでした。AI生成に頼りましたが良いできたと思います。




夏の暑さは人をおかしくする

 

 照りつける太陽。

 穢れなき純白の雲。

 燦々と煌めく海。

 温もりを感じる砂浜。

 

 そう、ここは

 

「「「「海だーー!!」」」」

 

 夏の一大イベント、海水浴。

 

 


 

 

「まだまだ足りない!どうすればいいのだ!」

 

 欲張りなかぐや姫。ヤチヨカップのランキングを確認し、1位には程遠い事実に憤慨する。現在の順位は160位。

 レジャーシートでゴロゴロと転げまわり不満を体現。

 

「優勝したい〜〜!」

 

 かぐや、芦花、真美、彩葉、そしてボディーガードとして(自己暗示)来た尊。彼、彼女ら5人は海水浴に来ている。

 保護者2人の知らぬ間にかぐやと芦花で水着を買いに行っていたようだ。宇宙人であるかぐやにとっての初めての水着、芦花は新調し真実と彩葉は去年と同じ水着を流用。尊は当日誘われた為何も準備できていなかったので、現地で購入。ちなみに芦花と彩葉のプロデュース。17,550円、財布にパンチの効くお値段であるが先日のかぐやのやらかしで、懐は潤っております。

 

「この間の歌配信良かったよね〜」

「ね〜、かぐやちゃん歌も上手いんだね」

 

 真実と芦花が、かぐやを褒める。だがしかし、その様に持ち上げると気分が上がるお調子者である。

 

「まっ、天っ才、歌姫ですから!」

 

 あっさりと、調子に乗る。伸びたかぐやの鼻は入道雲を、貫かんばかりの勢いだ。

 

「オリジナル曲も良かったしさ」

「わかる〜、あれって彩葉が作ったんでしょ〜?」

「彩葉、可愛い上に天才すぎ」

 

 賞賛の矛先が彩葉に向く。恥ずかしく、尊から借りたサングラスをかけ顔を隠そうとする。

 

「あ、あれは昔作ったやつだから……」

 

 ニヤつく親友たちから目を逸らそうとするが、何も意味をなさないだろう。

 

「んがあ〜。でも、これだけじゃ足りない!もっともっと、ファンを増やさないと!」

「う〜ん。でも、もう結構やってるしね」

「この間のかぐやちゃんのラッキースケベ事件でファンは増えたけど一過性だったしね〜」

 

 真実よ、それは触れてあげるべきではない。かぐやも反省してるし、彩葉も自分がムッツリである事が世間に知られ恥ずかしい思いをしてるのだから。

 

「そ、それは言わない約束!」

「まあ、炎上商法みたいなやり方だし、もう一度する訳にはいかないわよね。天野君も変なファンが付いちゃったみたいだし」

 

 『かぐやラッキースケベ事件』により、登録者数は増えたがかぐやは一過性。尊は恒常性のファン獲得に繋がったが、その代償はあまりにも大きかった。元々のファンは尊の事を知れたからより良い関係に落ち着いたが、騒動が原因で増えたファンは尊の配信にそぐわないコメントを寄越すのでたまったものでは無い。

 

「やはりここは彩葉が着ぐるみを脱いで新たな需要を___」

「はい、却下」

 

 真実が言い終わるより早く彩葉が牽制。

 

「え〜、なんで〜?」

「なんでじゃないの、私は配信に絶対出ないから」

「え、出てるじゃん。このキツネの着ぐるみ彩葉でしょ?」

 

 バレバレである。芦花から提示されたスマホ画面にはキツネの着ぐるみ着て尊を追いかけるいろPの姿が。

 

「…ぐっ」

 

 かぐやに押し負け生配信に出たり、ゲリラライブの伴奏、尊を折檻する姿。配信に出ないと言いながらガッツリ出演し、なんなら固定ファンもいる程。

 しかし、彩葉個人はあくまでオマケ。賑やかし要員であり、かぐやの背景。メインでの配信出演は御免こうむる、というスタンスである。

 

「特に、配信切り忘て猥談に花咲かせるのは、高校生らしくていいと思うよ〜」

 

 揶揄う気満々の目つきで真実は彩葉を挑発。

 

「と、とにかく、私は出ないから!」

 

 ホールスタッフ仕込みの腹式呼吸でNOを突きつけ声を張る。

 

「ヤダー!一緒にライブしよ!新曲も作って!」

 

 我儘かぐや降臨。ここまで、ハッキリ断られているのに要求が更に2個追加。肝が据わってる、親の顔を見てみたいですね。片割れは目の前におります。

 

「……ねえ、彩葉」

 

 かぐや伝家の宝刀を抜く。

 かぐやの必殺技(ウルト)の発動を察して丹田(たんでん)に力を込める彩葉。

 

「このままじゃ、優勝できない…」

 

 彩葉に哀れな声を出しジリジリと近づく。

 

「かぐやのこと助けて…」

 

 潤んだ瞳で僅かな身長差を利用し上目遣い。

 

「彩葉に演奏してほしい…」

 

 彩葉の心は決まっている。かぐやに対してハッキリと

 

「…ま、まあ、時間が空いてたら……ね」

「よっしゃー!もっともっと配信するぞー!」

 

 断れませんでした。

 

「くそう。なぜ、なぜ断れない」

 

 両膝を地面に着き、浜の砂を握り込む。

 

「ちょろは〜」

「ちょろはねえ」

「これにて9戦9敗。10連敗記念でも用意しておくか」

「あ、天野!いつ戻ったの?!」

 

 先程まで買い出しに行っていた、尊が戻ってきた。

 その両手には人数分のかき氷と、フルーツドリンク。自称ボディーガードでありながら、数十分の留守。護衛の自覚はあるのだろうか。

 

「かぐやのオネダリが始まった当たり」

「ちょろはの戦闘シーン冒頭からか〜」

「その通り。はい、かき氷とドリンクだ。好きなの取ってって」

「わあ、美味しそう〜」

「天野君、ありがとね並ばせちゃって」

「いいのいいの、炎天下で女の子を立たせるとか男のすることじゃ無いだろ」

 

 尊はビーチで場所取りが終わってすぐ、海の家で軽食を買いに行っていた。長蛇の列で30分待ちだったので1人で行くことを決め、女子4人は好きに過ごすよういいきかせていた。

 

「っていうか!天野だってかぐやのオネダリ断れた試しないじゃん!私なんかより連敗してるでしょ!」

「残念だったな、俺はかぐやのオネダリを断るつもりなんてサラサラない。断ろうとして断れない酒寄と、断る気のない俺では敗北条件が異なるのさ!」

 

 彩葉の敗北条件はかぐやのオネダリを断れない事、尊の敗北条件はかぐやのオネダリを叶えられない事。つまり、尊がかぐやに負ける事は万が一にもない。

 

「ぐぬぬ」

「彩葉〜、新曲お願い☆尊と一緒に演奏してね♪」

 

 尊の背に乗り、肩に顎を乗せる。自分の勝利を確信し、味方にくっ付き彩葉と尊に媚びを売る。自分の良さをしっかり理解している、魔性の女である。

 

「はあ、もういいや。吐いた唾は飲み込めないし、ただし天野も手伝ってよ」

「芸術性皆無の俺に出来ることなら何なりと」

 

 彩葉は諦め、かぐやの要求を聞き入れる。

 

「彩葉、変わったね〜」

「え?そう?」

「そうねえ、前までだったら誰かに頼るなんて絶対しなかったのに」

 

 彩葉は最近、人を頼る事が出来るようになった。と言っても、頼れるのは尊限定であるが。

 尊にはかぐやと一緒に振り回されているので、その分は無茶をさせても問題ないと思っている。無自覚ではあるが、尊は彩葉にとって遠慮する必要が無い存在となってきている。

 

「特にかぐやちゃんが来てからは、天野君と一緒に居る時間が増えてるからか、遠慮が無くなってきてるしね」

「そうだね〜、彩葉にとってもいい変化だと思うよ〜」

「そ、そうかな?」

 

 無自覚ゆえ、彩葉に尊を頼ってるつもりはなく、巻き込まれたから巻き込み返すと言うだけのつもりであっただけ。

 

「そうよ、本当なら私たちがそうしたかったのに、ちょっと嫉妬しちゃうわ」

「ええ、そんなつもりはないんだけどなあ」

「かぐやちゃん、天野っちやるね、どんな魔法使ったの〜?」

 

 芦花が本心を語り、真実がおどけて尊を問い詰めよう視線を移そうとする

 

「…あれ?天野っちは?」

 

 が、その先には尊は居らず。なんならかぐやも居ない。

 

「あれ?あの2人どこ行ったの?」

「妙に静かだと思ったら」

 

 周囲を見回し、海の方に目を向けると

 

「イヤッホォォォォイイ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

 2m程打ち上がる、かぐやがいた。

 

「「「……は?」」」

 

 


 

 

「尊〜、かぐやもアレやって」

「アレ?」

 

 かぐやの指差す先には親子がいた。そこで、父親は子供を抱え投げた。子供は父に投げられ海にダイブ。ライフジャケットを着ているので直ぐに浮いてきた。その顔はとても楽しそうで、もう一度とねだっている。

 

「……マジ?」

「うん!」

 

 親子の方は、子供が6歳程でまだまだ軽そうだが、かぐやは××kg。かぐやを抱えて投げあげるのは負担が大きすぎる。

 しかし、期待の籠った瞳で見られれば尊の答えは決まっている。

 

「……よし、やるか」

 

 肯定一択。尊は後の事など考えない。きっと後で彩葉に怒られる事はわかっている。筋肉が悲鳴をあげることなどわかっている。それでも、かぐやのお願いを叶える事は尊にとって最も優先される事由である。

 

 腰の高さまでの海辺に行き、かぐやの脇に両手を入れる。

 

「……行くぞ?」

「ワクワク!」

 

 瞬間、尊は全身に力を込める。足裏から脹脛、大腿から胴体、肩から腕、あらん限りのエネルギーを自身の鍛えぬいた筋肉に順々に注ぎかぐやを打ち上げる。

 

「イヤッホォォォォイイ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

 かつてない全身運動。かぐやを喜ばせる為に、火事場の馬鹿力も動員され海面から2mは飛んだ。

 

 バッシャーン!!

 

 水飛沫を上げ、直ぐにかぐやが浮いてくる。

 

「プハッ、すっごい!尊、もう1回できる?!」

「む、無理かな〜。次は大事な筋繊維や血管がブチ切れるかもしれないし」

 

 代償は大きかった。一瞬で尊の全身は筋肉痛に悩まされ、2度目の人間ロケットは不可能になった。

 

「それに、もし酒寄に見られてたら「天野?」……」

 

 肩に手を置かれ、ドスの効いた声色で話しかけられる。

 振り向いた先には天女を思わせる美しい微笑みを見せる彩葉。しかし、背後にはドス黒いオーラを漂わせる鬼が居た。

 

「……ご、ご機嫌麗しゅう酒寄様。今日もお美しいですね〜」

「今のなに?」

 

 尊の機嫌取りは一切無視。簡潔に端的に、先程の光景を聞き出した。

 

「か、かぐやに人間ロケットをしてほしいとせがまれて…」

「それで?安全とかはちゃんと考えた?」

 

 彩葉の笑顔は絶えない。しかし、尊には般若の面を被っているようにしか見えない。

 

「い、一応周りに人がいない事は確認したし、かぐやが溺れたりしないように注意はしましたよ?」

「ふーん。でも、危険な事に変わりはないでしょ?」

 

 どんな言い訳をしようが、彩葉の判決は有罪(ギルティ)。尊はどこまで刑を軽くできるかの勝負であるが、どんな言い訳をしようと減刑は受け入れてもらえないだろう。

 

「……三十六計逃げるに如かず!」

「待ちなさーい!!」

 

 尊は走った、というか泳いだ。

 分が悪いと判断し、彩葉の怒りが治まるまで逃げ続ける。かぐや人間ロケットで疲労困憊ではあるが、彩葉より体力があるので持久戦に持ち込めば勝機はある。

 ここから始まるは、ミコトパパといろママの夫婦喧嘩。かぐやはその様子を面白そうに撮影している。

 

「これも後で編集してアップしちゃお〜」

「まーた夫婦喧嘩?」

「2人もようやるね〜」

 

 かぐやの両脇に芦花と真実が並ぶ。

 

「彩葉いい笑顔するようになったね〜」

「そうね、時々フッと消えちゃいそうな儚さがあったものね」

「え?そうなの?」

「天野っちが彩葉に関わる前は結構ヤバかったんだよ〜」

「天野君も、最初の頃はあまり干渉しすぎるのは良くないと思っていたのか、今ほど積極的にお節介を焼くことはなかったからね」

 

 尊は、彩葉とアパートやバイト先が同じであるが、積極的な関わりを持つようになったのは高校1年7月頃。

 無茶をしてる事には気付いていたが、誰かに話せない事情に土足で踏み込む真似はしない程度には分別(ふんべつ)があった。

 しかし、授業中に目を開けたまま気絶、時折見せる消え入りそうな笑顔、夜遅くまで起きてる気配。どう考えても死にに行っているように感じ、そんな事はさせないとお節介を開始。

 初めのうちは、成績優良者として一緒に勉強。自分で覚えた所を他人に教えるのはいい復習になるからと、互いに教えあった。

 その次は、実家から届く食料をお裾分け。元々1人で消費できる量だったが、食べきれないと嘘をつき彩葉に渡していた。なんなら実家に事情を話し、多めに送ってもらうようにも言っていた。

 そして、バイトのフォロー。尊はキッチン担当なのでホールのフォローに回る事は出来ないが、料理にクレームが入らないように完璧な仕上がりで用意。それを彩葉に提供させて料理に関するクレームゼロを達成させた。

 更にはバイトの入れすぎで過労にならないように、土日のどちらかは休みになる様に店長と共謀。自身のシフトも調整し、可能な限り同じ時間になる様にしている。

 

「かぐやちゃんが来てからは、特にいい笑顔が見れるようになったよね〜」

「「どんな魔法、使ったの〜?」」

「うえ?」

 

 2人はかぐやの両肩に手を置き揶揄う。

 

「ハア、ハア、ハア」

「ヂぬ〜」

 

 そんなやり取りをしてると、息切れし疲れきった尊と自力で動けないほど脱力し尊に背負われた彩葉が帰ってきた。

 

「うわっ、戻ってきた」

「2人とも大丈夫〜?」

「彩葉も天野君もヘトヘトじゃない」

 

 背負っている彩葉を芦花に預け、姿勢を正す。

 

「ふぅ、俺の勝ちだな」

「……後で…説教…だから」

 

 息を正した尊は勝ち誇るが、彩葉は刑の執行を諦めていない。

 

「まあまあ、もうお昼だしお弁当食べよ〜」

「おっ?もうそんな時間か」

「お弁当!かぐやも尊と一緒に作ったんだ〜」

 

 全員で、荷物の置いてあるシートの所に戻る。疲れきった彩葉はビーチチェアに横たわり、尊は座る余裕の差が現れている。

 

「当日に突然言われたから、大したものを作れなかったのが悔しいが、味は保証する」

 

 取り出された三段重ねの重箱。

 1段目は主食、おにぎりとたまごサンド。おにぎりの具材は梅干し、塩昆布、ツナマヨ。

 2段目は主菜、ウインナー、だし巻き玉子、ミートボール、筑前煮。

 3段目はデザート、うさぎカットのリンゴ、苺、蜜柑、ぶどう。

 

「うわ〜、スゴ〜い」

「運動会のお弁当みたいね」

「だし巻き玉子と筑前煮はかぐやが作ったんだ〜」

「おにぎりの具材は高菜も用意したかったが、材料が足りなかったな。あとは、水筒に味噌汁もあるから」

「これで、大したものじゃないって天野の感覚おかしいって」

 

 豪華な弁当を賞賛する真実と芦花。作った料理を教えるかぐや。品目に納得が行かない尊。完成度に納得が行かない尊に慄く彩葉。

 

「できる事ならより良いものを提供したくなるのが作る者の性ってやつさ」

 

 ビーチチェアにもたれ掛かり、サングラスをかけ直し不敵に笑う。全力で泳いだせいか上着のボタンがとれ肌ける。その姿を目にした女子4人は

 

 

【挿絵表示】

 

 

「うわぁ〜、天野っち色っぽ〜い」

「なるほど、これはモテるわ」

「ふわ〜」

「……///」

 

 唯一の彼氏持ち真実は余裕のある返答。

 彩葉に想いを寄せる芦花は客観的な意見。

 先日、尊の筋肉を触りまくったかぐやは喜びを言葉に出来ない。

 顔を逸らしつつも、視線だけは尊に向け顔を赤くする彩葉。

 

 まだまだ、夏真っ盛り。少年少女達の青春は始まったばかりだ。

 

 





最後、主人公のキャラがブレましたが意図して表現してます。

映画のウェルカムボイス次はかぐやといろPですね。
『いろっぴー』で無事憤死。週末が楽しみでしょうがない。
あれ?毎週映画見に行ってるな、ネトフリ契約してるのに。
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