「ありふれた遊戯王で世界最強」   作:武藤 桜

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最近遊戯王の作品にハマったので勢いで投稿します。完全んにデュエル内容を理解したわけじゃ無いので他の作品から流用しました。



第一章 オルクス大迷宮編
第一話「勇者召喚」


俺の名は「南雲ハジメ」。何処にでもいるありふれた学生だ。

唯一人と違う点は転生者という事。

俺は生前「遊戯王」というカードゲームが大好きでやり込んでいた。

大会にも出場し、「この年で」と言われることもあったが遊戯王の業界では名の知れたデュエリストになっていた。

そんな風に日々を過ごしていたある日、トラックに刎ねられあっけなく死んだ。遊戯王のカードを握りしめて・・・。

 

気が付いたら赤ん坊になっていていわゆる転生という感じだと気づいた。

ある程度体を動かせるようになると早速遊戯王をやろうと思ったが誰に聞いても「そんなカードゲームなんて無い」と言われた。

何と転生先では遊戯王が存在しなかったのだ。

その事実を知った日は数日落ち込んだ。

だが、どうやら今世は画力の才があるらしく好きなモンスターの絵を見様見真似で書いて

漫画作家とゲーム会社務めというサブカルチャー両親に見せてみると、

「すごいじゃないかハジメ!!」

「さすが私達の息子ね!!」

両親からべた褒めされた。

イラストを見せた後「こんな感じのカードゲームなんてどうかな?」と聞くと、

「早速作ってみよう!!」という話になったがルールが難しすぎるとのことで却下された。

 

「せめて自分の好きなカードに囲まれて過ごしたい」と考えた俺は両親に頼んで商品化ではなく個人的な趣味としてカードを作りたいと頼んだ。

 

「分かった。でも、作ったカードは大切にするんだぞ」

と釘を刺される形だったが了承してもらい以降十年。自分の好きな遊戯王のキャラが使用していたデッキをいくつも作るため少しづつせっせとイラストを描いては印刷所経由で作ってもらいいくつもカードを作った。

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

「おはようハジメくん!!相変わらずギリギリだね」

 

「おはよう香織。いつもすまんな」

 

「ふふ♪」

クラスメイトの白崎香織。中学からの付き合いでイラストを手書きしているのを見て声をかけられたのが始まりで両親以外で遊戯王を好きになってもらえた最初の人。

 

「よぉ、キモオタ! また、徹夜でゲームか? どうせエロゲでもしてたんだろ?」

「うわっ、キモ~。エロゲで徹夜とかマジキモイじゃん~」

 

クラスの小悪党組の檜山大介、斎藤良樹、近藤礼一、中野信治達が相変わらず俺への風評被害をばらまいていく。

 

「朝っぱらからうるせぇんだよ小悪党野郎。こっちは親の仕事の手伝いで寝不足気味なんだよ」

 

「っち!!」

 

もっともな理由で檜山を追い返したハジメは最近カード化した新しいカードを香織に見せた。

 

「うわ~!!これが新しいカード!?綺麗ぇ~」

 

「香織のマジシャンズデッキにぴったりのカードだから使ってみてくれ」

 

「うん!!休み時間になったらデュエルしよ!」

 

「盛り上がってるわね」

 

「あ、雫ちゃん!!」

 

「おはよう八重樫。お前の分のカードもできてるぞ」

 

「ありがとう。待ってたわ」

 

ハジメは八重樫にもう一つのカードを手渡した。

 

「相変わらずさすがの出来栄えね。・・・、なるほどね前に組み込んだカードと組み合わせればいいのね」

 

「後で一戦してから再度微調整しよう」

 

「ええ。待ってるわ」

 

八重樫がそのまま自分の席に戻りハジメもデッキをしまい授業の準備を始めた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

「今日の授業はここまでです」

 

四時間目の授業が終わり昼休憩が始まった。

デッキとお弁当を持った香織と八重樫がハジメの席の近くに机を寄せた。

 

「ご飯食べ終わったら一戦しようね」

「新しいカードの調整もかねて色々なタイプのデッキと戦わせてみようか」

 

カードの話をしつつ、昼食を食べていると突然教室が光りだしたのだ。

「教室から出て!!」という声に驚きつつもハジメは咄嗟にしまい込んでいたデッキホルダーを掴む。

一気に光が強くなり光が消えるとそこには誰もいなかった食べかけの昼食や倒れた机やいす。まるで一瞬のうちに消えてしまったような状態だった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」

 

周りを見渡すと少なくとも三十人近い人々が、ハジメ達の乗っている台座の前にいたのだ。まるで祈りを捧げるように跪き、両手を胸の前で組んだ格好で。

 

 その内の一人、法衣集団の中でも特に豪奢(ごうしゃ)で煌(きら)びやかな衣装を纏い、高さ三十センチ位ありそうなこれまた細かい意匠の凝らされた烏帽子(えぼし)のような物を被っている七十代くらいの老人イシュタルが好々爺(こうこうや)然とした微笑を見せた。

 

 現在、ハジメ達は場所を移り、十メートル以上ありそうなテーブルが幾つも並んだ大広間に通されていた。

 

 この部屋も例に漏れず煌びやかな作りだ。素人目にも調度品や飾られた絵、壁紙が職人芸の粋を集めたものなのだろうとわかる。

 

 おそらく、晩餐会などをする場所なのではないだろうか。上座に近い方に畑山愛子先生と光輝達四人組が座り、後はその取り巻き順に適当に座っている。ハジメは最後方だ。

 

 ここに案内されるまで、誰も大して騒がなかったのは未だ現実に認識が追いついていないからだろう。イシュタルが事情を説明すると告げたことや、カリスマレベルMAXの光輝が落ち着かせたことも理由だろうが。

 

 教師より教師らしく生徒達を纏めていると愛子先生が涙目だった。

 

 全員が着席すると、絶妙なタイミングでカートを押しながらメイドさん達が入ってきた。そう、生メイドである! 地球産の某聖地にいるようなエセメイドや外国にいるデップリしたおばさんメイドではない。正真正銘、男子の夢を具現化したような美女・美少女メイドである!

 

 こんな状況でも思春期男子の飽くなき探究心と欲望は健在でクラス男子の大半がメイドさん達を凝視している。もっとも、それを見た女子達の視線は、氷河期もかくやという冷たさを宿していたのだが……

 

 ハジメも傍に来て飲み物を給仕してくれたメイドさんを思わず凝視……しそうになってなぜか背筋に悪寒を感じ咄嗟に正面に視線を固定した。

 

 チラリと悪寒を感じる方へ視線を向けると、なぜか満面の笑みを浮かべた香織がジッとハジメを見ていた。ハジメは見なかったことにした。

 

 全員に飲み物が行き渡るのを確認するとイシュタルが話し始めた。

 

「さて、あなた方においてはさぞ混乱していることでしょう。一から説明させて頂きますのでな、まずは私の話を最後までお聞き下され」

 

 そう言って始めたイシュタルの話は実にファンタジーでテンプレで、どうしようもないくらい勝手なものだった。

 

 要約するとこうだ。

 

 まず、この世界はトータスと呼ばれている。そして、トータスには大きく分けて三つの種族がある。人間族、魔人族、亜人族である。

 

 人間族は北一帯、魔人族は南一帯を支配しており、亜人族は東の巨大な樹海の中でひっそりと生きているらしい。

 

 この内、人間族と魔人族が何百年も戦争を続けている。

 

 魔人族は、数は人間に及ばないものの個人の持つ力が大きいらしく、その力の差に人間族は数で対抗していたそうだ。戦力は拮抗し大規模な戦争はここ数十年起きていないらしいが、最近、異常事態が多発しているという。

 

 それが、魔人族による魔物の使役だ。

 

 魔物とは、通常の野生動物が魔力を取り入れ変質した異形のことだ、と言われている。この世界の人々も正確な魔物の生態は分かっていないらしい。それぞれ強力な種族固有の魔法が使えるらしく強力で凶悪な害獣とのことだ。

 

 今まで本能のままに活動する彼等を使役できる者はほとんど居なかった。使役できても、せいぜい一、二匹程度だという。その常識が覆されたのである。

 

 これの意味するところは、人間族側の〝数〟というアドバンテージが崩れたということ。つまり、人間族は滅びの危機を迎えているのだ。

 

「あなた方を召喚したのは〝エヒト様〟です。我々人間族が崇める守護神、聖教教会の唯一神にして、この世界を創られた至上の神。おそらく、エヒト様は悟られたのでしょう。このままでは人間族は滅ぶと。それを回避するためにあなた方を喚ばれた。あなた方の世界はこの世界より上位にあり、例外なく強力な力を持っています。召喚が実行される少し前に、エヒト様から神託があったのですよ。あなた方という〝救い〟を送ると。あなた方には是非その力を発揮し、〝エヒト様〟の御意志の下、魔人族を打倒し我ら人間族を救って頂きたい」

 

 イシュタルはどこか恍惚(こうこつ)とした表情を浮かべている。おそらく神託を聞いた時のことでも思い出しているのだろう。

 

 イシュタルによれば人間族の九割以上が創世神エヒトを崇める聖教教会の信徒らしく、度々降りる神託を聞いた者は例外なく聖教教会の高位の地位につくらしい。

 

 ハジメが、〝神の意思〟を疑いなく、それどころか嬉々として従うのであろうこの世界の歪さに言い知れぬ危機感を覚えていると、突然立ち上がり猛然と抗議する人が現れた。

 

 愛子先生だ。

 

「ふざけないで下さい! 結局、この子達に戦争させようってことでしょ! そんなの許しません! ええ、先生は絶対に許しませんよ! 私達を早く帰して下さい! きっと、ご家族も心配しているはずです! あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」

 

 ぷりぷりと怒る愛子先生。彼女は今年二十五歳になる社会科の教師で非常に人気がある。百五十センチ程の低身長に童顔、ボブカットの髪を跳ねさせながら、生徒のためにとあくせく走り回る姿はなんとも微笑ましく、そのいつでも一生懸命な姿と大抵空回ってしまう残念さのギャップに庇護欲を掻き立てられる生徒は少なくない。

 

 〝愛ちゃん〟と愛称で呼ばれ親しまれているのだが、本人はそう呼ばれると直ぐに怒る。なんでも威厳ある教師を目指しているのだとか。

 

 今回も理不尽な召喚理由に怒り、ウガーと立ち上がったのだ。「ああ、また愛ちゃんが頑張ってる……」と、ほんわかした気持ちでイシュタルに食ってかかる愛子先生を眺めていた生徒達だったが、次のイシュタルの言葉に凍りついた。

 

「お気持ちはお察しします。しかし……あなた方の帰還は現状では不可能です」

 

 場に静寂が満ちる。重く冷たい空気が全身に押しかかっているようだ。誰もが何を言われたのか分からないという表情でイシュタルを見やる。

 

「ふ、不可能って……ど、どういうことですか!? 喚べたのなら帰せるでしょう!?」

 

 愛子先生が叫ぶ。

 

「先ほど言ったように、あなた方を召喚したのはエヒト様です。我々人間に異世界に干渉するような魔法は使えませんのでな、あなた方が帰還できるかどうかもエヒト様の御意思次第ということですな」

「そ、そんな……」

 

 愛子先生が脱力したようにストンと椅子に腰を落とす。周りの生徒達も口々に騒ぎ始めた。

 

「うそだろ? 帰れないってなんだよ!」

「いやよ! なんでもいいから帰してよ!」

「戦争なんて冗談じゃねぇ! ふざけんなよ!」

「なんで、なんで、なんで……」

 

 パニックになる生徒達。

 

一方でハジメ、香織、雫は大広間の壁に描かれた絵に驚いていた。

 

「おい、あの絵って…!?」

「嘘でしょ!?こんなことありえるの!?」

「でも、あの壁の絵は…」

 

「「「オシリスの天空竜・・・」」」

 

「あっちに描かれてるのはオベリスクの巨神兵…」

「あっちにはラーの翼神龍…」

 

遊戯王の最初の最強「三幻神」の三体の絵が大聖堂の絵に雄々しく描かれていたのだ。

 

「これって一体全体どういうことなの!?」

「って!?おい嘘だろ!?オベリスクとラーのデッキが無い!?」

「「ええぇ!?」」

「それだけじゃない。地縛神に機皇帝、時械神のデッキも無くなってる…」

「嘘!?」

「ちゃんと探したの!?」

「あぁ、地縛神のデッキはコカパクアプとウィラコチャラスカだけなくなったるが他のシリーズのデッキは全部なくなってる!!」

「家に置いてきたとかじゃにくて!?」

「それはない。今朝の時点では確かにあったはずだからな」

 

壁に描かれた遊戯王の絵に消えたデッキ。異世界転移には驚いたが本来俺達以外知らないはずの存在の絵があることに並々ならぬ驚きを隠せなかった。

 

「ハジメくん…」

「あぁ。これは本腰入れて向きあわなきゃいけないな」

「そうね…」

 

壁の絵を見つめながらハジメ達はそう決めるのであった。

 

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