「南雲君……!」
愛子の声が、店内に響いた。
ハジメは料理を注文しようとしていた手を止め、入口へ振り返る。
そこに立っていたのは、見間違えるはずもない人物だった。
「……愛子先生?」
「南雲君っ!」
愛子は駆け寄ろうとしたものの、ハジメの姿を間近で見た瞬間、言葉を失った。
銀色の髪。左目を覆う黒い眼帯。機械仕掛けの左腕。そして、かつての彼とは明らかに違う、鋭く研ぎ澄まされた雰囲気。
生きている。
目の前にいる少年は、確かに生きている。
「……本当に、南雲君なのね?」
「ああ。お久しぶりです、先生」
「よかった……本当に、よかった……!」
愛子の目に涙が浮かんだ。
クラスで最も心配していた生徒の一人。それが南雲ハジメだった。
クラスメイトたちの証言では、彼は迷宮の奈落へ落ちたはずだった。誰もが生存は絶望的だと考えていた。
それなのに、彼は今、こうして自分の足で立っている。
「先生、泣かないでください。俺はこの通り、ちゃんと生きてますから」
「そんなことを言われても……! あなたがどれほど心配をかけたか、分かっているの?」
「……まあ、色々と」
ハジメは苦笑した。
その両隣では、ユエとシアが彼にぴったりと寄り添っていた。
ユエは愛子を静かに見つめ、シアは明るい笑顔で手を振る。
「初めまして、愛子先生! 私はシア・ハウリアです!」
「……ユエ。ハジメの大切な人」
「ゆ、ユエさん! そんな堂々と……!」
「……本当のこと」
ユエはハジメの腕に抱きついた。
「おい、ユエ。先生の前だぞ」
「……だから?」
「いや、だからって……」
シアも負けじとハジメの反対側に寄り添い、愛子は目を瞬かせた。
「え、ええと……南雲君。ずいぶんと賑やかになったのね……?」
「……まあ、否定はしません」
ハジメは頭をかいた。
愛子はその姿を見て、ほんの少しだけ表情を和らげた。
以前のハジメなら、こんなふうに誰かと軽口を交わすことも、誰かを守るために自然に立ち回ることも、今ほど堂々とはできなかっただろう。
奈落で何があったのか。
聞きたいことは山ほどあった。
だが、まずは彼が生きて戻ってきたことを喜びたかった。
「先生、積もる話もありますが、まずは食事にしませんか。話はその後で」
「……そうね。ごめんなさい、私ったら」
「いいんですよ」
ハジメは店員を呼び、愛子と護衛のクラスメイトたちの分も含めて席を用意してもらった。
ユエとシアは当然のようにハジメの左右を確保する。
「……ここが私の席」
「私もここです!」
「お前らな……」
そんなやり取りに、愛子は小さく笑った。
その笑顔には、再会できた安堵が確かにあった。
食事を終えた後、ハジメたちは宿の一室に集まった。
愛子の護衛として同行していたクラスメイトたちも、ハジメの話を聞くために席につく。
彼らの顔には驚きと戸惑い、そして安堵が入り混じっていた。
「それじゃあ、南雲君。あの時、あなたは奈落に落ちた後、どうやって生き延びたの?」
愛子の問いに、ハジメは少し考えてから口を開いた。
「最初は、ほとんど運です。落ちた先で怪物に襲われて、逃げることもできず、死にかけました」
「……そんな」
「でも、生き残るために戦うしかなかった。武器も食料も、自分で作るしかなかったんです」
ハジメは左腕を軽く持ち上げた。
「この腕も、その過程で失ったものを補うために作りました」
愛子は息を呑んだ。
生き延びるために、そこまでしなければならなかったのか。
「食べ物も、水も、魔物との戦いも……全部、自分で何とかするしかなかった。最初の頃は、何度も死ぬと思いましたよ」
「南雲……」
クラスメイトの一人が、言葉を詰まらせる。
ハジメは淡々と話していたが、その内容は決して軽いものではなかった。
何度も死にかけ、傷つき、失いながら、それでも生きるために進み続けた。
「それで、迷宮の中でユエと出会ったんです」
「……ハジメが、私を助けてくれた」
ユエがハジメの腕に寄り添いながら、静かに話した。
「……長い間、一人だった。でも、ハジメが来てくれた」
「ユエは、あの場所に閉じ込められていたんです。俺は彼女を助けて、一緒に迷宮を攻略しました」
「そして私も仲間に入れてもらったんです!」
シアが勢いよく手を挙げる。
「私も強くなって、ハジメさんたちと一緒に旅をすることにしたんですよ!」
「……シアは元気」
「ユエさんだって、ハジメさんの前ではすっごく甘えん坊じゃないですか!」
「……シア?」
「ひゃいっ!」
ユエの冷たい視線に、シアは慌てて姿勢を正した。
愛子は思わず笑みをこぼした。
危険な迷宮で出会い、命を預け合い、こうして一緒に旅をする仲間になったのだろう。
ハジメが生き延びることができたのは、彼自身の努力だけではない。彼を支え、彼が守りたいと思える人たちとの出会いもあったのだ。
「……南雲君」
「はい?」
「よく、ここまで頑張ったわね」
その言葉に、ハジメは少しだけ目を伏せた。
「……ありがとうございます、先生」
愛子はそれ以上、無理に問い詰めなかった。
ハジメがどれほどの苦しみを味わったのか。その全てを、今ここで理解することなどできない。
それでも、生きていてくれた。
それだけで、今は十分だった。
夜。
宿の廊下には静けさが満ちていた。
ユエとシアが部屋で休んでいることを確認したハジメは、愛子に声をかけた。
「先生。少し、二人だけで話せますか」
その声は、昼間とは違っていた。
愛子はすぐに表情を引き締める。
「……大事な話なのね?」
「はい。ほかの連中には、まだ話さないでほしいことです」
愛子はうなずき、ハジメとともに宿の小さな談話室へ向かった。
人の気配がないことを確認すると、ハジメは壁にもたれ、しばらく黙り込んだ。
「先生。俺は、この世界について一つ、どうしても伝えなければならないことがあります」
「この世界について……?」
「ええ。ただし、これは俺が迷宮で知ったことです。簡単に信じられる話じゃない」
「それでも、聞かせてちょうだい」
愛子の返答を聞き、ハジメは静かに話し始めた。
「この世界には、俺たちが思っている以上に、根深い問題がある。人族と魔人族が争っている理由も、表向きに語られている話だけじゃ説明できない」
ハジメの声は低かった。
「この世界には、神と呼ばれる存在がいる。そいつは、人々の信仰を集めるだけの存在じゃない」
愛子の表情が強張る。
「……どういうこと?」
「神は、この世界の人々を駒として扱っているんです」
「駒……?」
「人族も、魔人族も、ほかの種族も。そいつにとっては、自分が楽しむための道具にすぎない」
ハジメは拳を握った。
「戦争も、憎しみも、悲劇も。そいつは、それらを娯楽として楽しむために、争いが終わらないように仕向けている」
「そんな……」
愛子は口元を押さえた。
人々が信じてきた神が、実際には彼らの苦しみを楽しんでいる。
それは、あまりにも残酷な話だった。
「神は、わざと人々を争わせているの……?」
「そうです。誰かが死ぬ。家族を失う。故郷を焼かれる。そういう悲劇を見て楽しむために、戦争を企て続けている」
ハジメの瞳に、冷たい怒りが宿った。
「俺は、その事実を知った。だから止めようとしたんです」
「……南雲君」
「でも、俺は敗れた。そいつを倒すには至らなかった」
ハジメは一度、目を閉じた。
あの時の悔しさは、今でも消えていない。
「ただ、そいつに抗おうとした者たちもいた。神の思い通りになる世界を終わらせようとした者たちが」
「その人たちは……?」
「かつて神に挑み、敗れた者たちです。そいつらは、自分たちが生きている間に決着をつけられなかった。だから後世に希望を託した」
ハジメは愛子をまっすぐ見た。
「それが、大迷宮です」
「大迷宮が……?」
「ただの試練の場所じゃない。神に抗うための力と知識を、後世の人間に託すために作られたものなんです」
愛子は息を呑んだ。
この世界で、大迷宮は神から与えられた試練だと考えられている。
しかし、その本当の意味は正反対だった。
神に従うためではない。
神に抗い、その支配を終わらせるために作られたものだったのだ。
「……それじゃあ、南雲君が奈落に落ちたことも……?」
「誰かの仕業だと、俺は考えています」
ハジメは声を低くした。
「俺は、ただ運が悪かっただけで落ちたんじゃない。あの時、俺が奈落に落ちたことには、何者かの意思が関わっていた可能性が高い」
「そんな……!」
愛子の顔から血の気が引いた。
教え子が奈落に落ちたのは、事故ではなかったかもしれない。
誰かが彼を殺そうとしたのかもしれない。
「でも、確証はまだありません。誰が、何のためにやったのか。それは、これから調べる必要がある」
「……南雲君は、それを知っていて、今まで一人で……?」
「一人じゃありません。ユエも、シアもいます」
ハジメは隠すことなく、二人の名前を口にした。
「俺は、あいつらを守る。神が何を企んでいようと、俺の仲間を好き勝手に扱わせるつもりはない」
愛子は目を伏せた。
ハジメは変わった。
しかし、その根本にあるものは変わっていない。
誰かが理不尽に苦しむことを、黙って見過ごせないのだ。
「……南雲君」
愛子はゆっくりと顔を上げた。
「その話は、ほかの生徒たちには?」
「今は話さないでください。信じられるかどうか以前に、知れば危険に巻き込まれる可能性があります」
「分かったわ」
愛子は真剣な表情でうなずいた。
「私も、すぐに誰かに話したりはしない。でも、あなたが一人で抱え込む必要もないのよ」
「……先生」
「私は教師だから。あなたたちを守ることが私の役目なの。あなたがどんな道を進むつもりでも、少なくとも私は、あなたが理不尽に傷つくことを望まないわ」
ハジメは少しだけ驚いたように目を見開いた。
そして、苦笑する。
「……先生らしいですね」
「そうかしら?」
「ええ。昔から変わらない」
愛子は小さく笑った。
その夜、二人の間に交わされた話は、誰にも知られることのない秘密となった。
神が仕掛ける悲劇を止めること。
そのために大迷宮が存在すること。
そして、ハジメ自身が奈落へ落ちたのは、誰かの意思によるものかもしれないこと。
愛子はその全てを胸に刻んだ。
翌朝。
ハジメたちは、ウルの町周辺で行方不明になった冒険者の捜索へ向かう準備を整えていた。
そこへ愛子がやってくる。
「南雲君。私たちも同行させてください」
「先生たちも?」
「ええ。行方不明者がいるのなら、見過ごせないわ。それに、私たちも戦えるように訓練を続けてきたもの」
愛子の護衛を務めるクラスメイトたちも、真剣な表情でうなずいた。
彼らには危険な場所へ向かう覚悟があった。
ハジメは全員を見回し、慎重に考える。
「……分かりました。ただし、無理はしないでください。危険だと判断したら、俺の指示に従ってもらいます」
「もちろんよ」
「よし。じゃあ、出発するぞ」
「はい!」
ユエは当然のようにハジメの隣に立ち、シアも反対側に並ぶ。
「……ハジメの隣は譲らない」
「私だって譲りませんよ!」
「お前ら、捜索に行くんだぞ……」
愛子はその様子を見て、少しだけ安心した。
どれほど過酷な経験をしても、ハジメには共に歩く仲間がいる。
そして今度は、自分たちも彼の力になれるかもしれない。
一行はウルの町を出発し、冒険者たちが消息を絶ったという地域へ向かった。
周囲には、魔物の痕跡が点在していた。
不自然に荒れた地面。
折れた木々。
そして、争いの跡。
「……やはり、何かが起きているな」
ハジメは地面に残る足跡を調べた。
「この辺りで戦闘があったみたいです」
シアが周囲を見回す。
「……血の臭いがする」
ユエの表情が険しくなった。
その時だった。
「……誰か、いるのか?」
かすれた声が聞こえた。
一行が振り向くと、岩陰に一人の青年が倒れていた。
衣服は破れ、全身に傷を負っている。顔色は悪く、体力も限界に近いようだった。
「人が倒れているわ!」
愛子が駆け寄ろうとする。
「先生、待ってください。周囲を確認します」
ハジメは先に進み、魔物の気配がないことを確認してから青年へ近づいた。
「おい、生きてるか?」
青年はゆっくりと顔を上げた。
「……あ……」
「名前は?」
「ウィル……。冒険者の……ウィル、だ……」
彼こそ、行方不明になった冒険者の生き残りだった。
ウィルは水を飲み、簡単な治療を受けた。
愛子が傷の状態を確かめ、シアが周囲を警戒する。ユエはハジメのそばに立ち、いつでも戦えるようにしていた。
「……どうして、俺だけ……」
ウィルが震える声でつぶやいた。
「どうして、俺だけ生き残っちまったんだ……」
愛子は悲しげに眉を寄せる。
「そんなことを言わないで。あなたが生きていてくれたから、私たちはここまで来られたのよ」
「違う……俺は、仲間を置いて逃げたんだ……!」
ウィルは顔を覆った。
「みんな戦っていたのに……俺は怖くなって、逃げた……。仲間が死んだのに、俺だけ生き残った……!」
彼の声は、悔恨に震えていた。
ハジメは黙って聞いていた。
やがて、ウィルの目をまっすぐ見つめる。
「……それで、お前は死にたかったのか?」
ウィルが顔を上げる。
「え……?」
「仲間を置いて逃げたことを悔やんでいる。それは分かった。だが、お前は本当に死にたかったのか?」
「俺は……」
「死ぬのが怖かったんだろ」
ハジメの声は厳しかった。
「生きたかったから逃げた。死にたくなかったから、必死で逃げた。違うか?」
ウィルは答えられなかった。
「……それの何が悪い」
ハジメは静かに続ける。
「生きたいと思うことは、間違いじゃない。仲間を失ったからといって、自分まで死ななきゃならない理由にはならない」
「でも……俺は……!」
「仲間を見捨てたことを悔やむなら、生きて、その悔しさを背負っていけ。生き残ったお前にしかできないことがあるはずだ」
ウィルの目から涙がこぼれた。
「……生きていても、いいのか……?」
「当たり前だ」
ハジメは迷いなく答えた。
「生きたいと思った自分を否定するな。お前が生き延びたことに意味があったかどうかは、これからのお前が決めればいい」
愛子はその言葉を聞き、胸が締めつけられる思いだった。
奈落で死にかけたハジメだからこそ、伝えられる言葉なのかもしれない。
死の恐怖を知り、それでも生きることを選んだ彼だからこそ。
ウィルはしばらく泣き続けた。
やがて、震える手で涙を拭う。
「……ありがとう」
「礼はいい。何があったのか、話してくれ。お前たちが襲われた原因を知りたい」
ウィルは深く息を吸い、ゆっくりと話し始めた。
「俺たちは、依頼を受けてこの辺りを調査していたんだ……。その途中で、見たこともない魔物に遭遇した」
「見たこともない魔物?」
「ああ。圧倒的な力だった……。俺たちは抵抗したが、まるで歯が立たなかった」
ウィルの顔が青ざめる。
「仲間たちは次々に倒された。俺は……逃げるしかなかった」
ハジメの目が鋭くなった。
「そいつは、今もこの近くにいるのか?」
「分からない……。だが、あの化け物が原因なのは間違いない」
ハジメは立ち上がり、周囲を見渡した。
「……ここに長居するのは危険だ。ウィルを安全な場所へ運ぶ。先生、手を貸してください」
「ええ!」
愛子たちが動き始める。
その瞬間――
地面が、かすかに揺れた。
森の奥から、ゆっくりと足音が近づいてくる。
重い。
一歩ごとに、地面が軋むような気配がした。
ハジメはすぐさま愛子たちを背後へ下がらせる。
「全員、警戒しろ!」
ユエがハジメの隣に立ち、シアもハルバードを構えた。
「……来る」
木々の間から、一人の女性が姿を現した。
長い黒髪。
整った顔立ち。
そして、人間のものとは思えないほどの圧倒的な存在感。
彼女は一行を見回し、ゆったりとした笑みを浮かべた。
「ほう……。これはまた、珍しい者たちが集まっておるな」
ウィルの顔から血の気が引いた。
「そ、そんな……! こいつだ……!」
彼は震える指で女性を指さした。
「俺たちを襲った……化け物……!」
女性は楽しげに首を傾げた。
「襲ったとは人聞きの悪い。妾はただ、少々力を試していただけじゃ」
「力を試した、だと……?」
ハジメの声が低くなる。
目の前の女性は、明らかにただ者ではない。
人間離れした魔力。そして、余裕に満ちた態度。
その視線がハジメの左目の眼帯と機械仕掛けの腕を捉えた瞬間、女性は興味深そうに目を細めた。
「おぬし……面白いものを身につけておるのう」
「……あんたが、冒険者たちを襲ったのか?」
「いかにも。妾はティオ・クラルス。竜人族の者じゃ」
ティオは胸を張り、誇らしげに名乗った。
「そして、強者と見れば挑まずにはいられぬ性分でな。そこの者たちでは少々物足りなかったが……」
彼女の視線が、ハジメへ向けられる。
「おぬしなら、妾を満足させてくれるかもしれぬ」
ユエの表情が凍りついた。
「……ハジメに手を出すなら、許さない」
シアもハルバードを握り直す。
「この人たちを襲っておいて、何を勝手なことを言ってるんですか!」
ティオは二人を見て、楽しそうに笑った。
「ほう、そちらの娘たちもなかなか気が強い。ますます興味が湧いてきたわい」
「……あんた」
ハジメは一歩前へ出た。
その眼差しには、明確な怒りが宿っていた。
「自分の力を試すために、無関係な冒険者を殺しかけたのか」
「結果として生き残った者もおる。何も問題はあるまい?」
「……そうか」
ハジメは静かにデュエルディスクへ手をかけた。
「なら、話は簡単だ。二度と、こんな真似ができないようにしてやる」
ティオは一瞬きょとんとした後、愉快そうに笑った。
「はははは! よい、よいぞ! その目、その気迫! おぬし、実に面白い!」
森の中に、緊張が満ちる。
愛子はウィルをかばいながら、ハジメの背中を見つめていた。
昨夜、彼が語った世界の真実。
神が人々を駒として扱い、悲劇を娯楽として楽しんでいるという話。
そして今、目の前には、他者の命を顧みずに力を試そうとする存在がいる。
この世界には、まだ知らない危険がいくつも潜んでいるのだろう。
ハジメはデュエルディスクを起動させた。
「……ユエ、シア。先生たちを頼む」
「……分かった。でも、無茶はしないで」
「ハジメさん、絶対ですよ!」
「ああ」
ハジメはティオを見据える。
「ティオ・クラルス。お前の相手は俺だ」
竜人族の女は、満面の笑みを浮かべた。
「望むところじゃ、南雲ハジメ!」
こうして、ウルの町で起きた行方不明事件の原因との対峙が始まろうとしていた。