できるだけ早く決闘回に繋げられるよう努力します。
檜山達を返り討ちにした直後、見ていた天之河達が近づいてきた。
「おい南雲!いくら何でもやりすぎだぞ!!」
「何言ってんだ?こいつらは勝手に俺のデッキを奪ってルールもカードの使用法も理解しようとせず勝手に改造し、挙句の果てに負けそうだからってイカサマをしたんだぞ」
「そ、それは君があまりにも強い戦いをするからだろう!?」
「あのな。あいつ等が奪ったデッキは四対一で改造しないの状態なら確実に俺は負けてたはずだ!!」
「それは本当だよ。光輝」
「そうなのか?」
「私達はハジメくんがデッキを作るところを実際見ていたし、檜山達が使ってたデッキで何度か対戦したことがあったの。はっきり言って檜山達は円滑に優位な状況を進められるデッキを台無しにして自爆しただけ」
「そ、それでもあんな大きな力で押しつぶすような勝ち方なんてあっちゃいけないはずだ!!」
「檜山達は完全に天狗状態だった。あのままだったら敵との対人戦で確実に負ける。誰かが天狗の鼻を折らなかったら取り返しのつかないことになってたはずよ」
「…!!」
言い返せない状態になった天之河を尻目に訓練所を後にするハジメだった。
数日後、ハジメ達はオルクス大迷宮に訓練に行くことになった。
大迷宮に隣接する町の宿に泊まった夜。ハジメと香織と雫は三人で今後のことを話していた。
「対人戦なら遊戯王を使うが戦闘はモンスターでも有り得る。今回の訓練でその問題も解決しよう」
「そうだね。落ち着いたら行方不明になったデッキの行方を探そう」
「あぁ。時械神も厄介だが危惧するべきは…」
「「神のカード」」
「そうだ。あれは一枚あるだけで戦況をほぼ支配できるカードだ。もし好戦的か自己中心的者の手に渡ったら厄介だからな」
「そのためにも必ず生きて帰ろうね!」
「そうね」
「それじゃぁ、明日」
ハジメはそう締め括り香織達は部屋を後にした、トイレに行っていて偶然にも彼女たちが出る姿を目撃している人がいるとは知らずに…。
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翌日、大迷宮に突入したハジメ達一行は騎士団の引率もあってか予定していた20階層に余裕で到着。休憩を挟んで帰る流れになっていた。
だが、天之河が戦闘で壁を壊したことで鉱石が出土した。
メルド曰く貴族令嬢に送られる宝石の一種らしい。
檜山が香織にあげようと確認もせず鉱石を掴んでしまいトラップが起動。迷宮最高到達地点65階層に転移してしまったのだ。
天之河が無謀な考えで65階層の階層主ベヒモスに戦いを挑もうと粋がっていた。
「天之河!!今すぐ皆を援護しろ!!!」
「何を言ってるんだ!!ここでこいつを倒さないと皆がやられる!!」
「馬鹿野郎!!あれが見えないのか!?皆混乱してるんだ!!リーダーがいないから!!前ばっかり向いてないで偶には後ろを見ろ!!」
「分かった。後ろは頼んだ!!」
「おう!!」
ハジメはメルドの協力の元ベヒモスの足止めをしていた。
錬成で岩盤を操作しベヒモスの両足を拘束しているのだ。
当然長続きするわけもなくタイミングを見計らってハジメも退避を始めそれと同時に後方にいる魔法部隊が詠唱を開始した。
だが、放たれた魔法はあろうことかハジメに直撃。
大暴れしたベヒモスのせいで橋が崩壊。
ハジメは暗い奈落の底に落ちていくのだった。
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奈落に落ちたハジメは何とか脱出しようと模索したが奈落はオルクスの101階層。当然かなうはずもなく階層主の攻撃で左腕を失った。
必死になって錬成で危機を脱したが八方塞がりなのに変わりはなく空腹と幻肢痛がハジメの心を苛んでいった。
『ちゅ~!!』
『クェ!!』
『クリクリ~』
何かの声が聞こえ目を開けるとそこにはカードの精霊達が心配そうにハジメを見つめていた。
「お前ら…」
最初は空腹による幻覚と思ったがすり寄ってくる彼らの感覚が伝わり幻覚ではないことを知らせた。
「左腕がなくなった。もうデュエルはできないな…」
『ちゅちゅ~~!!ちゅ~!!!』
生き残ったこと、一人ではに事を実感できたが同時に何よりも大好きだった遊戯王ができないという事実に絶望するハジメ。
そんなハジメのそばにすり寄ってくれる精霊達。
『どうすればいいんだ…』
そう何もない虚空に疑問を投げかけるハジメ。
『俺はまだ生きている!!生きているかぎり絶望はしない!!』
それはどんな時でも心を震わせた決闘者のうちの一人の言葉だった。
子供のころから大好きで。いつもカードとにらめっこして。色々な人と決闘をした日々。
どんな瞬間だってカード達が、仲間がそばにいた。
そんな仲間たちが諦めるなと言っているのだ。それなのに自分が諦めてどうするんだ!!
「そうだな…。こんなところで、諦められない…!!仲間が、カードが、命がある限り諦めない!!!」
その瞬間。奈落の底で一人の「決闘者」が真の産声を上げたのだった。