再スタートキヴォトス   作:猫と兎の総力戦

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 SRTに古食ちゃんをぶっ込んだなら原作ストーリーも読まないとな、と思って読み始めたら少々ハマってしまいまして。2日、厳密にはノンストップで読み進めたらいつの間にか日を跨いで読み終わりました、とても面白かったです。
 それと古食ちゃんの名前の呼び方が分からない、という御方が出てきたので折角ですしここに苗字込みで書いて起きます。

嘉瀬乃(きせの) 古食(こじき)

 古食ちゃんの名前の読み方としてはこうですね、それでは引き続きお楽しみください。




ガンショップでの出来事

「だだいまー…いやー、疲れたぁ〜…あっ、古食〜、そこの飲み物取って〜」

 

「目一杯遊ぶと運動するより疲れるよな、はいこれ、頼まれた飲み物」

 

 家に帰宅して早々(そうそう)モエに飲み物を取ってくるよう要求され、面倒に思いながらも手に取り手渡しする。そして何故か未だに私の手を握っている、というかもうしがみついているミヤコと、それに対抗するように私の背中に飛びついているヒフミに疑問を得ながらソファに座る。

 あまりこういうことを思うものじゃないが重い、ヒフミは対面して私の膝に乗るし…ミヤコは依然として私の腕にしがみつきながら頭を撫でてくるし…少しは休ませてほしいものだ。

 

 これ以上は私がヤバいと予知し、マリーちゃんに助けを求めるが苦笑いで眺められるばかり。サキやモエ、ハナコにもお願いするがサキは呆れ、モエとハナコはニマニマしながら眺め、ハナコに関してはこの状況を逆手に取りセクハラまでしてくる始末だ。

 もう地獄絵図(じごくえず)だよ…これ。その後はヒフミとミヤコを『何でもするから』と言って説得し、ハナコにはセクハラした罰としてデコピンをオデコにかましておく。というか眠い、眠すぎる。(まぶた)が重い…意識も混濁(こんだく)し始めて視界もフェードアウトしていく。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「寝てしまいましたね、古食さん。このままソファで寝かせてしまっては身体を痛めますので寝室に運んであげましょうか」

 

「そうですね」

 

 私は古食さんを背負(せお)って寝室に向かう。そう言えば…この家は元々古食さんの使用していた家だと聞きました、ということはこの部屋は古食さんの部屋でしょうか。部屋の隣にも文字が(かす)れて読みづらいですが、古食さんの苗字と似た文字が確認できますし。

 ひとまず、古食さんを寝かせることが先決ですね。早く古食さんをベッドに横にしてあげましょう。

 

 部屋の扉を(ひら)き、ベッドに古食さんを寝かせる。こうして見ると、古食さんの頬ってとても柔らかいですよね。こう…何でしょう、マシュマロに近いような感触です。それに髪もサラサラで…

 

「…ミヤコさん?」

 

「えっ…あ…どうしましたか?」

 

「いえ…ただ、何で古食ちゃんの頬を撫でているのかな、と」

 

 古食さんの頬が気になったから、などと言えるような空気じゃありませんね。なんとか言い訳して戻りましょうか、そう考えた矢先、古食さんのスマホが鳴り響く。

 

「SRT…私のスマホにもメールが来なかったあたり、恐らく個人的な任務でしょうか。それならば名残惜しいですが、古食さんを起こす他ありませんね」

 

───

 

「ん…あれ、私寝てたのか」

 

「はい、それと古食さんに任務が届いてますので早急に準備してください」

 

「ひゅん…こんな時まで任務か…相変わらずSRTは過酷だなぁ。まぁ、これまでも休みの日に任務なんて数えれない程に舞い込んできてたし今更って感じだけど」

 

 唐突な任務と寝起きの状況楽しんでにやる気が滅入(めい)った身体に(むち)を打ちながらサーマルカメラや煙幕弾、暗視ゴーグルを用意する。それと弾薬も十二分(じゅうにぶん)に持っていこう。これで準備は大方完了した、それじゃ出発するか。

 ハンガーラックに掛けていたジャージを手に取り、袖に腕を通しながら限界を出る。危険度Level*1は2だったしすぐに終わるかな。

 

 

 

◇◆◇

 

 

「アアアアアアアアア!!!!!」

 

 私は現在、大量のゴリアテに追いかけられている。なぜかって?突入した任務先がカイザーの関係にあったからだ。どうやら私が任務でここに来ることを把握し、ここでボコボコにしようという算段らしい。

 これのどこが危険度Level2なんだ!普通に危険度Level6は軽く超えてるだろ!ていうかこの鬼ごっこもいつまで続けるんだよ、けどまぁ…もうそろそろ人気(ひとけ)のない広い場所への誘導が完了しそうかな、まぁ元々ここら辺自体人気(ひとけ)がないけどな。

 

『ハッハァ!!ようやく観念したか!嘉瀬乃 古食!!!それなら大人しくこのカイザーPMC理事長に捕まることだなぁ!』

 

「相変わらずうっせぇオートマタだ、テメェのその減らず口なスピーカーをぶっ壊してやろうか」

 

『できるものなら是非ともやってもらいたいものだな、できるのなら、だがな!』

 

 本当にこの減らず口は五月蝿いな、こうなったらガチでスピーカーをブチ壊すのもアリかな。まぁ取り敢えずボコすことだけ考えるか。

 

『おいおい、前回の結果を忘れたのか?前は私のゴリアテ軍隊に敗北を喫したではないか』

 

「私が何も学ばず、鍛えずここにいると?勘違いも(はなは)だしい。ならその学ばずで向こう見ずなCPUチップにねじ込んでやろう、色彩の幼子がどれほどに強大で、成長の限界を知らないことを。感謝しろよ?黒服なら狂喜乱舞(きょうきらんぶ)するファンサービスだ」

 

 折角なら、司祭君に言われたアドバイスを試してみるか。反転は一点のみならず、それ(すなわ)ち、全ては反転する余地があるということだ。そうだな…想像しやすい物でいえば重力、ということで重力を反転させてやろう、だが浮かせるだけでは物足りない、なら反転させて、もう一度反転させてやろう。何倍も強くな。

 

『なっ…なんだこれは!?我々のゴリアテ軍隊が浮いているだと!?』

 

「どうだ、不思議な体験だろ?思う存分楽しめ、それじゃもう終わらせるぞ」

 

 重力を反転させたこの状態から、通常の何倍もの重力がかかるように反転させる。さすればゴリアテ軍隊は地に落ち、ヒシヒシと、メキメキと音を立て、次第には崩れていく。

 

「さて…そろそろ良いかな」

 

 反転を解除し、重力から解放する。流石にこれなら理事も壊れただろ、と、思ったが何故か壊れたゴリアテ軍隊の瓦礫の中から這い出てきた。ちょっとしつこ過ぎるな。

 

「クソッ…何なんだお前は…!そんな技、前にお前を捕らえた時は使ってなかったではないか!ズルいぞ!」

 

「捕まった後に黒服に手助けしてもらったんだよ、それに私だって色彩やら神秘の研究を怠っていない。これ以上文句を言うならお前のその錆びた頭の中に入っているCPUチップをブチ壊してやろうか?」

 

「なっ…クソ…覚えてろよ!嘉瀬乃 古食!次は完膚なきまでに潰してやる!」

 

 完全に三下のセリフだな、まぁ私が色彩を失わない限りそんな日は訪れないがな。さて、それじゃ任務で頼まれた極秘USBでも盗むかな、今は夜で暗いし、暗視ゴーグル付けるか。どこやったっけ…あ、あったあった。

 カイザーのなんちゃら長がヘリで逃げたのを確認し、暗視ゴーグルを装着する。

 

「さてと、さっさと…あっやばい地雷踏んだ」

 

 地雷を踏んだことを即座に察知し、咄嗟にRestartで防ぐ。しかし地雷のダメージは最小限に抑えられたが、Restartが粉々になってしまった。

 

「うわぁ…明日新しい銃買いに行かないと…そうだな、これを気にショットガン以外の銃でも買ってみるか」

 

 SRTの任務は大変だけどそれなりにお金は貰えるからお金の心配もないな、それに任務の頻度が高すぎるわ大変すぎるわで使い道もなく貯まり続けているし。こんなに貯金が貯まったのはヒフミにペロ…ペロ…そう、ペロペロジラ*2、あれを誕プレで買ってあげる前以来かな、大体1,000万は貯まってるはずだし。

 

 そういやミヤコにお金が貯まりすぎることを相談したらそんな貯まっていないと言われたこともあったな、他の三人にも聞いたが貯金は程々に貯めているらしいし…どうやら趣味とかに使っているらしいが私は趣味という趣味もないしな。

 そうだ、折角だしカスタムなる物を試してみようかな。お金も貯まりに貯まっているし、少し明日が楽しみになってきた。そうだな、一人は寂しいしミヤコかヒフミでも誘ってみようかな。サキでも良いけど…なんかヒフミにした方が良い気がするからヒフミを誘おう。

 

 そんなことを考えつつ軍隊基地(ぐんたいきち)最深部(さいしんぶ)に到達し、大事に保管されていたUSBをパソコンから抜き取り胸ポケットに収納する。

 これで任務で要求された物は回収し終えたし、さっさと帰宅するか。たしか郵便でSRTの校舎に送り付ければ良いんだっけ、機密情報(きみつじょうほう)の入ったUSBをそんな公的機関(こうてききかん)配送(はいそう)して良いのか分からんが、まぁもし盗まれたとしても連ちゃん*3のせいにしておけば良いか!

 うんうん!そうしようそうしよう双子葉類!…筆者が言わせたんです、私をそんな冷めた目で見ないでください。冷めた視線を送るなら筆者にして私には暖かい視線をください。筆者は私に対して親バカしてるので筆者もそれを望んでいます、多分。

 

 取り敢えずさっさと帰ってSRTに送り付けるか、現在時刻2348*4だから眠いし寒いんだよ、さっさと帰ろ。

 

 

 無事に帰宅して1時間後、布団に潜ったら何故かミヤコが居た。うん、なんで私の布団に?部屋を間違えたかとも思ったが周りの物からしても私の部屋だし…うーん、じゃあミヤコが間違えたのかな。仕方がない、起こすか。

 

「おーい、ミヤコ。ここ私の部屋だゾッ…」

 

 ミヤコを起こそうとするといきなり腕を引っ張られミヤコと対面するように横にされる。

 

「知ってます、知っていて古食さんの布団に潜っているんですよ」

 

「な、何故に?」

 

「古食さんと一緒に寝ようと思ったので」

 

 うーん…この、何で私の部屋かな。というかミヤコが私にしがみつく力が強すぎて背中が痛い、いやまぁこの程度どうってことないけど。

 

「…古食さんの手、私より小さいですね。可愛らしくて私は好きです」

 

「え?まぁ、そうだが誤差の範囲じゃないか?私もミヤコも身長は1cm差だしそんな変わらな…」

 

「うるさいですね、その口を私の好きにされても良いのならそのまま喋っても良いですよ」

 

 ミヤコは私に見向きもせずに指を絡ませぎゅっと握る、他には私の頭を撫でたり服の中に手を入れてきてお腹を(さす)られたり、好き放題される。

 というかこれ、ミヤコ深夜テンションなんじゃないか?何か話そうと口を開く度に人差し指を唇に当てられるし、まぁ、別に変なことをされてる訳では…いやされてるか。まぁ別にそんな気になる訳ではないし…しばらく好きにはさせてやるか。

 

 ミヤコのセクハラから20分後、未だにお腹などを触られているどころか、エスカレートして太ももや()を触られるようにもなってきた。流石にそろそろ止めなければ。

 

「あ、あのなぁ、ミヤコ。流石にエスカレートして…んっ…!?!!?」

 

 えっ…今何され…ミヤコの顔が目と鼻の先くらい近く…それに唇に柔らかい感触が、えっ…もしかしてこれキスされてる…?

 

「んぅ…ん…んむ…ふぅ…一回目なのでこれだけですが、次はどうなるか分かりませんよ」

 

 コ、コイツ…!何という手段を取りおる!流石にこれ以上はヤバい所も触られそうだが…キス以上のことをされるのも勘弁(かんべん)願いたい、仕方がない、もう少し様子を見るか。

 

 

◆◇◇

 

 

 えー…アレから更に30分後、ついにはお尻やら胸を触られるようになりました。それだけでは留まらず、スカートの中にも普通に手を入れてスパッツを撫でられるし、マジで意図が分からん。

 なんとか止めたいけど流石に今の状態じゃ何されるか分からないし…マジでどうしようか、でもミヤコがさっきからウトウトしてるしそろそろ眠ってくれるはず。

 

「古食さん…」

 

「…おっ、寝たみたいだな。いやー、ミヤコのセクハラ、長かったな」

 

 今は…もう1時近くか、そろそろ寝ないとな。筆者みたいな朝日が登ってから寝るような人にはなりたくないし、というか筆者は何で次の日学校でも普通に起きてるんだろうか。結論、バカだから。ということでおやすみ。

 

 

◇◆◇

 

 

 現在ヒフミを連れ懐かしのショッピングモールへと来ている、理由は言わずもがな、新しい銃を買いにきたのだ。その他には食材だったり…兎にも角にも、色々買いにきた。

 あと銃を色々カスタムしたいからお金も少し多めに持ってきている。大体十万程度だろうか、銃本体はニ、三万程度なのだが、カスタムに必要な部品がかなり値を貼るのだとサキが言っていた。

 

 ということで来ましたガンショップ、相変わらず浪漫(ロマン)溢れる店だ。スナイパーやらアサルトライフルやら、サブマシンガンが勢揃いだな。

 

「たしか任務でショットガンが壊れてしまったんでしたっけ、災難(さいなん)でしたね」

 

「まぁな、だけどこれを気に他の銃を試すのもアリだと思ってな。ある意味運が良いのかね」

 

 そんなことをヒフミを駄弁(だべ)りながら銃を物色(ぶっしょく)する。そうだな…ビナー君の尻尾などの組み合わせにもピッタリで、火力が高くて、射程距離(しゃていきょり)も長めなのが好ましい。と、いうことはもうアレしかないでしょ!

 

「それは…デザートイーグルですか?」

 

「あぁ、高威力で長い射程、それに片手で簡単に扱える銃と言ったらこれだしな」

 

 説明しよう、デザートイーグルは50口径マグナムに分類(ぶんるい)され、射程距離は200mに(およ)ぶ。実用的な距離としては50〜90mらしいが、そこは私の神秘でカバー出来るし、いざとなれば色彩で飛距離を反転させて伸ばすことだってできる。

 残りの一つの条件の高威力だが、デザートイーグルはハンドガン世界最強レベルには強い。と、いうことでこれに決定だ。あとはカスタマイズだが、取り敢えず全面的に能力を伸ばすように調整し、あとはデザインだな。

 

 適当に参考となる絵を描いてからオートマタ定員に渡す。全体的に白くして、銃身に目が三つ描かれたデザインだ。因みに由来(ゆらい)だが、白は私の髪の色で、三つの内二つの目が私の目。そして三つ目の目がサードアイを表している、サードアイは未来を見通すともあるし、私の神秘にピッタリだと思ってな。

 それから少し経ち、デザートイーグルを受け取る。かっこよく仕上がったな、私としても満足だ。そうだな…名前は、Restartとは別の名前にしよう。名前は…

 

「デフテリ・フォラ、うん、良い名前だ」

 

「デフテリ・フォラ…ですか?」

 

「ああ、デフテリ・フォラはギリシャ語で『二度目』って意味だ。私にピッタリだと思ってな」

 

「そうですかね、二度目という言葉と古食ちゃんに何の関係があるかは分かりませんが…古食ちゃんがそう言うのならきっとそうなのでしょう」

 

 死に戻って得た私の『二度目』、まだエデン条約まで時間があるが、私は諦めない。私を殺した巡航ミサイルと…ヒフミを殺した聖園ミカを。この二度目の世界では聖園ミカは、私が止める。ヒフミを死なせないためにも、聖園ミカの為にも。

 

 ヒフミを殺した聖園ミカは、次の日には自殺したニュースがそこらかしこで横行(おうこう)していた。恐らく計画とかけ離れた事だったのだろう、勿論、私は聖園ミカが嫌いだが助けない訳ではない。私みたいに自殺しようとする人は、もういらないから。

 

「古食ちゃん?ボーッとしてますが…大丈夫ですか?」

 

「ん?いや、何もないぞ、ほらさっさと買い物行こう。食材も買わないとだしな」

 

 私のちょっとした心情の変化を察したヒフミの手を取ってショッピングモール内を歩く、流石に幼馴染の前で隠し事は難しいか。ポーカーフェイスを極めないとな。たしか足りない食材は…

 

ドォォォン!!!

 

 ショッピングモール内の食品(しょくひん)コーナーへ歩いて向かっている最中(さいちゅう)唐突(とうとつ)に後ろから火薬の()ぜるが(たか)らかに鳴り響く。

 

「お前らァ!!手ェ上げろォ!!!!!」

 

 爆発音が聞こえた方向に振り向こうとした矢先(やさき)、複数の銃声が鼓膜(こまく)を刺す。これまでの不快をもたらす音を出した犯人を見ればヘルメットを被った団体が暴れていた。

 SRTの者としては制圧すべきなのだろう、しかし周りにいる一般的と犯人の距離が近かったり、他にも敵がいるかもしれない現状、不用意に動けない。仕方がないが、ヴァルキューレに通報していざという時のために自分に意識を集中させておこう。

 

「ヒフミ、ヴァルキューレに通報してくれ。私はヴァルキューレが来るまでの間、時間を稼いで被害を抑える」

 

「え…古食ちゃんに何かあったら…」

 

「頼むヒフミ、これはSRTの者である私がすべきことなんだ。じゃあ任せたぞ」

 

 私はヒフミにそう告げ、ヘルメット団の元へ向かい手を上げる。ヘルメット団のリーダーらしき赤いヘルメットを被った奴は私に気付き、銃口を向けられる。

 

「何だお前、私に何か用か?」

 

「そうだな…たしかSRTはもう公的な存在…だったよな。あー…私は非番のSRT部隊だ、お前らと交渉するために来た」

 

「SRT…?たしか精鋭部隊だったよな、それに私らと交渉か。なら武器を捨ててもらおうか?」

 

「チッ…分かったよ」

 

 まぁもしもの場合はビナー君の尾がある、だから武器がない訳ではない。けど一応デフテリ・フォラは隠すか、場合に寄っては拳銃のデザートイーグルの方が合理的な時もある。

 デフテリ・フォラを隠しつつ鉄パイプだけを捨て、変わらず手を上げる。

 

「ほら、捨てたぞ。これで良いよな」

 

「…そーいやさぁ、最近ウチの仲間がSRTに捕まっちゃったんだよね、言いたいこと分かる?」

 

「チッ…」

 

 はぁ…よりにもよってこんな奴とまみえるとは運が悪い、が、要望を聞かなきゃ何されるか分からない以上、耐えるしかない…か。

 相手の嘲笑(あざわ)う笑みにストレスを感じながら、手を下げ大人しく目の前に近寄る、相手はそんな私を横目に笑い、銃床(じゅうしょう)を横に振りかざし、私の頬を殴る。

 

「ゲホッ…」

 

「その反抗的な目でいてもらわなきゃ、甚振(いたぶ)ってもあんまり楽しくないよね。ということで、そのままその怖ーい目で居てね?」

 

 つくづく虫唾(むしず)の走る奴らだ、本当に性根(しょうね)が腐りきっていることが目に見える。今すぐにでもボコしたいほど(いら)つくが、私の無鉄砲な行動で無関係の人を巻き込むわけにはいかない。

 そのまま何度か銃床で殴られ、髪を掴まれお腹を蹴られ、頭にマグナ厶を撃ち込まれて周りが私から飛んだ血で赤く染まる程には耐え続ける。まだヴァルキューレは来ないのか、こっちは限界ギリギリなんだよ。

 

「うっわ…まだ耐えるの?ちょっとタフすぎない?そろそろ倒れてほしいんだけど…仕方ないか、アレあったよな」

 

「えっ?まぁ…一応ありますけど…ま、まさかアレ使うんすか?そんなの絶対死に…!」

 

「良いから持ってこい、お前もコイツみたいになりたいのか?」

 

 何を持ってくるのか考えていると、蹴飛ばされ床に伏せるように背中を踏まれる。そのまま横目でリーダー格のヘルメット団を睨んでいると、下っ端からアサルトライフルがリーダー格に手渡される。

 

「コイツは少し改造されていてな、威力が市販の物よりちょーっと高いんだ」

 

「チッ…ゴミ共が…」

 

 そのまま頭に標準を合わせられ、発砲が開始される。激しい痛みに気合で耐えながらも、意識が朦朧(もうろう)とし始める。

 

 それからしばらく経った頃には私の頭の周りの床は元々の色の白を全て私の血が覆い尽くす、意識も息も絶え絶えになりながら、気絶するまいと手を握る。

 

「リーダー!人質と金!奪ってきたっす!」

 

「よし、よくやった。あとは車で逃げるぞ、コイツは…放置で良いか」

 

 人質を取られたことに不甲斐(ふがい)なさを私の血で霞んだ目を凝らして人質を見る。そして私は目を見張った、何故なら人質がヒフミだったからだ。私はそれにひどく怒りを覚えるのと同時に、脳にノイズが走る感覚が覆い尽くされる。

 この感覚、覚えがある。そうだ、色彩を始めて自分に使った時だ、色彩の本質は恐怖などではない。天使(生徒)を堕天させることだ、だから別に怒りでも反転はできる。

 

 ただ絶望が手っ取り早いだけで、ただ、それだけ自分が怒りを覚えてしまったということなのだろうな。勿論このまま進めば、壊滅的な未来が待っている。ただ今の私にはそれがひどく甘く感じられた。

 その時、私を何かがひっくり返った感覚がおそう。私は立ち上がり気力を取り戻す、それに伴い、私の目が澄んだ緑から鮮血を連想させるような紅に染められ、ヘイローの形*5が変化し、黒から白に、目の様な模様が閉じた目に変わる。

 

〚ダメだ、それは今、一番やってはいけない行為だ。その目を開けろ、古食よ〛

 

 そんな(司祭の)声が私の頭に響いた瞬間、また私の中の何かがひっくり返った感覚に襲われ、気を失う。それと同時にヴァルキューレが来たことを知らせる声が聞こえ、少しばかりの安堵を覚えて意識を落とす。

 

◇◇◆

 

「ん…んん…ここは…」

 

 目を開けば、大きく響く救急車のサイレンと、揺れる柔らかい布団の感触が背中を撫でる。どうやら今は救急車の中で病院に運ばれているようだ。

 

「古食ちゃん!目、覚ましましたか」

 

「ん…ヒフミか…心配させてすまなかったな。はは…私もまさかこんなになるまでやられるとは思ってなくてな」

 

「っ…もう…!」

 

 手を強く握られ、少し手が痛む。それを苦笑いで誤魔化(ごまか)してヒフミを(なだ)めていると、同伴(どうはん)してきたであろうヴァルキューレのマークが()られたネームホルダーを首にかけている少しばかり顔の怖い人が私に話しかける。

 

「どうも、ヴァルキューレ保安局の臨時責任者の尾刃カンナです。あの場では局長も不在な状態でしたので、私が臨時的な責任者を任命され、同伴させていただきました」

 

「貴方がですか、被害者は?」

 

「軽症が一人、そこの阿慈谷ヒフミさんですね。それと重症者の嘉瀬乃 古食さん、貴方です」

 

「…そうですか」

 

 ヒフミは人質として捕まる時に少し殴られたようだ、あのヘルメット団が憎たらしいが、解決した問題なため口出しはしない。

 

「SRTの生徒…ですよね。非番でしたのに、市民を助けていただき臨時責任者として感謝します」

 

「いえ、あの場では問題を何とかできて責任も取れるのは私しかいませんでしたので、お礼には及びません」

 

 カンナさんは私の言葉を聞き、少し怖い微笑みを一瞬浮かべて、しまったという顔をした後に真顔になる。

 

「しかし、あの場を凌いでくださった貴方がこれほどの怪我を負ってしまう事態になってしまって謝罪を申し上げます。この件に関しては、後々(のちのち)、私自らSRTを訪れお詫びを…」

 

「いえ、重症を負ったのが私だけであったという結果で充分ですのでお気にさならず、始末書も不要ですので」

 

「…本当に、お優しい方ですね。分かりました、それではそろそろ病院にも到着する頃合いですので、落としていたこのデザートイーグルと、ヒフミさんに教えていただいたところこの棒も貴方の所有していた武器と判明いたしましたので、返却しますね」

 

「はい、ありがとうございます」

 

 カンナさんからデフテリ・フォラ*6と鉄パイプを受け取り、担架(たんか)ごと運ばれて病院に連れていかれる。

 ヒフミは待合室で分かれて治療を受けに行く、生憎頑丈だったため、頬のところは内部出血のみ、頭は頭蓋骨にヒビが入ったらしく、包帯を何層にも巻かれる。左腕は何度も銃床で殴られた影響で骨折し、ギプスを付けられる。

 

 これで治療は大方(おおかた)完了し、しばらくしたらまた病院に来るよう言われて待合室で待機しているヒフミの元へとむかう。

 ヒフミには私の治療後の姿を見られ、涙目で怒られてポカポカと肩を叩かれる。帰宅後は皆に驚かれ、RABBIT小隊の皆にはなんで呼んでくれなかったのか、と説教を食らわされ、セリナちゃん達にはとても心配された。

 それから私の左腕の問題で、風呂やらの面倒を見るのにセリナちゃんとミヤコとヒフミが立候補し、じゃんけんを(おこな)った結果的にヒフミになった。セリナちゃんは安堵した様子で、ミヤコは悔しそうに眉を(ひそ)めていた。

 

「あの…ヒフミ、距離近い…くっつきすぎ…」

 

「古食ちゃんにご飯を食べさせるにはこれしかないじゃないですか、ほら、口空けてください」

 

「別に利き手が骨折した訳じゃ…むぐっ…」

 

 まぁ…嫌な気はしないどころか少し嬉しいしこれはこれで良いか、そのままヒフミにご飯を食べさせてもらいつつミヤコの視線を感じ、ふとミヤコを見ると納得の行っていない表情だったので、試しに私にご飯を食べさせたいのか聞いていてみたらぱぁっと明るくなり、頷く。

 そしてミヤコにご飯を食べさせせもらっていると次はヒフミが納得の行かない表情を浮かべていたので、仕方がなく交互に食べさせることにする。

 これ結構疲れるけどまぁ、二人の笑顔が見れるだけで儲け物かな。

 

 

 

 

                〜続〜

*1
補足。このお話限定だと思いますが、危険度Levelとはその名の通り任務の危険度を簡単に表した物で10段階に分けられてますね。以上!

*2
ペロロジラです。

*3
連長より良いの思いついたのでこれからは連ちゃんにします。

*4
原作のストーリーでも使っていた時間の表し方なので使ってみました。

*5
一応私のTwitterアカウントにヘイローの形が一緒に描いてある古食ちゃんの絵があります、けどアナログなので分かりづらかったら近々投稿されるデジタル絵をご覧ください。

*6
いちいち書くの面倒なのでこれからは『デフテリ』と略します。




 結局最後は乞食するに限るんですよね、お気に入り登録と評価、感想をよろしくおねがいします。
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