再スタートキヴォトス   作:猫と兎の総力戦

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 うへーい、うへへーい、うへへへーい、うっへへーい。(訳:書くこと無いです。ごめんなさい)


エデン条約編始動

 前話から次の日、私はバイトとしてシャーレで働き、ミヤコは当番としてシャーレに来ていた。

 

"いらっしゃい二人とも、よろしくね"

 

「始めに言っておきますが、私は貴方のような大人が一番嫌いです」

 

「うーん…困った」

 

 ある程度は予想していたが、やっぱりミヤコは先生のこと信じれてないよなぁ…まぁ先生なら大丈夫だろうけど、私としても困るというか。

 

"取り敢えず仕事を始めよっか、そのために来てもらったしね"

 

「…そうですね」

 

 さっきから空気がギスギスしてるなぁ…どうしようか、何かこの空気を絆す良い方法があれば良いのだが、まぁ…今は仕事に集中するか。

 

◆◇◇

 

「…」

 

「…」

 

"…"

 

 気まずいなぁ…何も話すことがないのも理由なんだけど、何よりミヤコの警戒心が強すぎて迂闊に会話できない。

 

「…お茶淹れてくるよ」

 

"分かった"

 

 最低限の会話だけを残し、3人分のコップを持って台所に向かう。はー…気まずすぎてつい離脱してしまった、何か良い方法でもあれば良いのだが…生憎そんな方法が一つも思いつかないんだよな。まぁこうなったら時間が解決してくれるのを待つしかないか。

 

「淹れてきたぞ、ついでに煎餅も」

 

「ありがとうございます」

 

"煎餅まで持ってきてくれてありがとう、古食"

 

 先生の感謝に微笑み返すと、ミヤコの鋭い視線が深く突き刺さる。これ以上は危険だな、さっさと仕事に戻ろう。

 先生も察してくれたのかそれ以上は何も言わずに仕事に取り掛かった。ミヤコには先生に懐くとまでは行かなくとも早く慣れてもらわないとな。

 

「ん…この煎餅美味いな」

 

"ああ、最近良い店を見つけてね"

 

 はえー…今度教えてもらおっと、それはそうとこの資料は…先生に一度見せた方が良さそうだな。

 

「先生、この資料なんだけど…」

 

"トリニティからの要請?分かった、後で確認しておくね"

 

 トリニティの要請、しかもこの時期に。間違いなさそうだ、これは…()()()()()()()だ、先生に渡す前に一通り確認しておこう。

 

「…やっぱり」

 

 トリニティ総合高等学園、生徒会長ティーパーティーのホスト、桐藤ナギサからの要請。昔のこともあって不信感が募る、ナギサは人を利用する奴だ。警戒していても損はないだろう。

 

「日時は…」

 

"おまたせ、それじゃ書類貰うね"

 

 む…ギリギリで確認できなかったか、まぁそれは先生を尾行すれば解決だから良いんだけど。それじゃこの件はもう終わりとして、仕事を進めるか。

 

"あれ、古食。来週は空いてる?できれば4日くらいは空けてほしいんだけど"

 

「来週か、とくに用事もないから大丈夫だが…どうかしたのか?」

 

"実はトリニティの要請に古食も同伴するよう書いてあって"

 

「…」

 

 私の同伴…ねぇ、よくもまぁトリニティから追い出した奴を呼べるよ。本当に呆れる、その頭にロールケーキをぶち込んでやりたい。だがこれで先生を態々尾行する理由もなくなった。

 

「良いぞ、来週は全て空けておく」

 

"そう?ありがとう、助かるよ"

 

 しかしあの(ツラ)をもう一度見るハメになるとはな、ヒフミと会える機会が減ったのは痛手だがあの顔をもう見なくても良いならメリットはあると思ったが、そうそう上手くはいかないか。

 

 トリニティの件から数時間経ち、仕事に忙殺され忘れかけていた頃に先生から休憩を提案され、休むこたになる。

 

「あ゛ーっ…疲れた…」

 

"はは…シャーレは本当に仕事が多いよね、しかもこんなおじさんと一緒なんて嫌だよね"

 

「また言ってる…」

 

 全く…そんなこと良いながら今も私の頭を撫でてるし、ネタで言ってんのか疑ってしまう。まぁ別に良いけど、自認おじさんがこんなスキンシップするかね。

 

「古食さん、私も撫でてあげますのでこちらに来てください」

 

「?…分かった」

 

 ミヤコの鋭い視線がなくなったかと思えばミヤコの膝上に来るよう言われ、疑問に思いつつも座る。するとうなじに顔を(うず)められ、首に左腕を回され、頭に右腕を乗せられる。

 

"なるほど…つまりそういうことか"

 

「?」

 

 ミヤコにされるがままでいるとそれを見ていた先生が何かを察したような表情を浮かべ、ニヤニヤとこちらを眺めている。一体何を察したと言うのだろうか。

 先生の察したことについて考えているとミヤコがうなじに顔を(うず)めるのをやめ、右から顔をだし抱きしめられる。そのまま頬と頬を付けられ、スリスリされる。

 

「ん…ミヤコ?」

 

 スリスリされた後は頬をモニモニされ、次は左手に指を絡められお腹に右腕を回される。それに私はどんどんエスカレートしてきていることを察する。

 

「ちょっ…せ、先生助けっ…!ミ、ミヤコ…そこは…!ひゃんっ…」

 

「…我慢するのも一苦労ですね」

 

"クックック…実に眼福"

 

 せ、先生が黒服みたいな口調になってる…クッ…ここには誰も私の味方がいないのか!?一体どうすれば…このままでは私が保たない!

 

「先生、この書類の数字をアラビア数字に…」

 

「あっ、リンちゃん…久しぶりだね」

 

 ミヤコからの攻撃を必死に堪えているとドアを勢い良く開け、お怒りの形相のリンちゃんが現れる。

 

「なんですか、この地獄絵図は」

 

「取り敢えず助けてくれない?」

 

 リンちゃんは私の助けを呆れながら聞き入れ、ミヤコから引っ張り出して先生に書類を突きつける。困った表情の先生は放っておいて、煎餅を一齧りしながら先程のトリニティ要請の書類を見る。

 なるほど、補修授業部とかいう部活の監視役として私を使うつもりか。ほんと、(ツラ)の皮が厚い奴だ。まぁこちらとしてもメリットがあるから一緒に行くことにしたんだが、この話は今は良いか。

 

 それにしても、何故補修授業部なんていう物の監視役に私が宛てられたのだろうか。そんなもの、先生一人でも良さそうなのだが…裏がないことはないだろう。

 そうだな…エデン条約で巡航ミサイルが飛んできていたのを鑑みると、裏切り者の一人や二人はいたのだろう。あのお偉いさんが集まるタイミングでの奇襲は内通者がいないと話がつかない。

 概ね、補修授業部という箱に裏切り者の候補にいる奴をぶち込んでその中から探させるというのが目的なんだろうな。

 

 なんとも性格の悪い、だが合理的な判断ではあるし、裏切り者を見つけるという目的の上での選択なら正解だ。まぁ先生はそういうことをできる性格ではないのに目を瞑ればという話だがな。

 一度、話を付けておくのもやぶさかではなさそうだ。一応指名されている身だし、会えないこともないだろう。

 

「すまん、大事な用ができたから今日は帰らせてもらう」

 

"うーん…それなら仕方ないか。それじゃもう帰っても大丈夫だよ、ありがとうね"

 

 無事先生から帰宅許可を貰えたことだし、帰るか。スクールバッグに一通りの荷物を詰めて肩に掛ける。帰る間際、ミヤコが寂しそうにしていたので撫でてシャーレから出る。

 シャーレから子ウサギ公園に戻り、荷物を選別し始める。

 

「あれ、もう戻ったんだ?意外と早かったね」

 

「ああ、用ができたからな。もうすぐ出る」

 

 普通の用や出掛けなら過剰にも程がある装備を持ち、テントを出る。そのまま駅に向かい、電車に乗る。

 取り敢えず今のうちに作戦…というより計画でも立てておこう。勿論何事もなく会えればそれで良いのだが、エデン条約が目前となっているこの時期に私みたいな者はそう安々と通さないだろう。

 

 だから潜入する。まずトリニティの地形が記された地図は暗記しているし、最新の地図も念のために用意している。まぁ妥当なのは裏から侵入することだが、エデン条約関係の情報は極秘なため公的な場所である生徒会室にいる可能性も少ない。

 恐らくセーフティーハウスにでもいるのだろう。しかしそのセーフティーハウスの数が明確でない以上、特定するのは不可能に近い。

 だが部下からの情報も不可欠なため、どこかに繋がる道やそれが記された地図が生徒会室にある可能性も捨てきれない。

 

「まずトリニティに到着…と」

 

 それじゃまず校舎に侵入しないとな、確か裏口は…あった。監視もいない、こちらとしてはありがたいが、どうも何か違和感がある。

 確かに裏口は監視も他と比べて少ないし、人通りも少ない。だがこんな…一人もいないことなんてあるか?最低でも2~3人はいるはずだが…

 

 だが神秘も反応しない、少なくとも罠ではなさそう。ひとまずこのまま進むしかない…か。角に留まっては敵がいないか確認し、神秘も稼働させる。そうしている内に生徒会室に到着する、本当に誰とも遭遇せずに到着してしまった。

 それでも生徒会室にトラップがある可能性を踏まえ、ドアをほんの少し開けて中を確認する。

 

「…居るのか」

 

「はい、お待ちしておりました」

 

 はぁ…とため息を漏らしながらドアを開けて部屋に入る。そしてその目の前にいる目的の人物を、今一度視界に入れる。

 

「話がある…桐藤ナギサ」

 

「はい、何でしょうか?」

 

 桐藤ナギサは、昔と変わらないような獲物を見るような、冷たく貫くような目がこちらに向けられる。そして今回は昔のような慢心、下に見ることは控え警戒心をMAXにする。

 

「今回の要請…エデン条約についてだ」

 

「エデン条約については口外していないはずですけど…今回は目を瞑りましょうか」

 

「それで良い、それで本題に入るが。今回、私を監視役として雇った理由だ」

 

 私が本題に入ると、ナギサは菓子を口に運び、紅茶で流す。そして何か不穏な表情で微笑み口を開く。

 

「殆ど把握しているのでしょう?」

 

「…裏切り者を見つけるため、違うか?」

 

「正解です、流石は生徒会長の候補として上がっていた者の一人ですね、ハナコさんには届きませんが、その頭の回転の速さと発想にその武力、まるでハナコさんとツルギさんを足して二で割ったようなものです。充分脅威ですね」

 

 ナギサの言葉に少しばかり頭に来る、こういうところが苦手なんだ。相手を苛立たせて隙を突く、つくづく私とは相性が悪い。

 

「お世辞は良い、何で私だ?武力として裏切り者が暴れた時の抑制なら私より強い奴だっているし素直に従う奴がいるだろうし、頭脳として特定ならハナコが…」

 

「そのハナコさんが裏切り者の候補として上がっているのです、そして武力として頼りになる…いえ、なる予定だった正義実現委員会、委員長の剣先ツルギさんは暴走の可能性があるため苦肉の策だった貴方が選ばれたのです」

 

「それは分かったが、ハナコが裏切り者というのはどういう意味だ?」

 

「ハナコさんは何を考えているのか分からないんですよ、それに加えてあの高い頭脳。可能性としては小さいですがあり得ることです。疑わしきは罰せよ、という物です、最悪の事態について備えるのも生徒会長の役割なんですよ」

 

 つくづく嫌な奴だな、だがまぁ当初の目的は達成できた。それじゃもう戻るか、にしてもナギサの相手は本当に疲れる。とりまさっさと戻らないと、任務もあるしな。




 色々調べた結果、5,000文字近くが良いと判断したのでこれからは5,000文字付近で投稿していきますね。
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