ファンの心とかないんか? 作:笑っちゃうよね〜たはー
作者はアホです。なのでだいぶ適当ですがそこはまあ流してください。(ごめんちゃい♡)
『KASSEN』というゲームがツクヨミの中にある。
その中で最もフィジカルの強さが出ると言われているモード──『SETSUNA』
そこで行われていた”かぐや争奪戦”という企画の最中に、不運は起こった。
彩葉にとって不運だったのは、主に三つ。
・その企画に『SETSUNA』のセミプロが紛れ込んでいたこと。
・その相手と戦ったのが、数戦試合をした後の疲労している状況であったこと。
・そしてその相手がモラルというものがなかったこと。
この三つである。
そして彩葉は、惜しくもそのセミプロに敗退してしまった。
それはいい。相手は不正をしたわけではなく、純粋に彩葉の実力を上回っていただけなのだから。
疲弊した状況であったとはいえ、負けは負けである。
だが彩葉にとって最も不運であったのは、三番目──相手がモラルのないプレイヤーであったことだろう。
元々彩葉はこの企画を一種の『参加型』のようなものであると考えており、それは大半のユーザーも同じであった。
よって賞品であった”かぐやと結婚”というものも、半分ネタのようなものであると理解してくれている。
そう彩葉は考えていた。
だが世の中にはそれが通じない人種もいるもので、残念なことにそのセミプロはその人種であった。
「俺に負けたんだからよ。結婚してくれよ!」
そう言って男は彩葉達に詰め寄る。
『できるわけねえだろ』
『ネタだってわかんないのかよwww』
『いや宣言したんだからその通りにしろよ』
男の行動にコメント欄は荒れ、現場には不穏な空気が漂っていた。
男が痺れを切らし、掴みかかろうとしたその刹那
「非道いなあ」
胡散臭い、コテコテの京都弁の声が響き渡った。
(何……?もうお腹いっぱいなんだけど……)
彩葉はそう思いながら、声がした方向へと顔を向ける。
そこには金髪で耳にピアスをつけた和服の男が、ゆっくりとこちらへ足を進めていた。
『おいおいおいおい』
『冗談やろ?』
『マジか……』
その男の顔を知っているユーザーのコメントが、盛り上がる。
彼の顔は、一部の『SETSUNA』専の間では変人として有名であった。
「ファンの心とかないんか?」
彼の名は”NAOYA”──『SETSUNA』ランキング不動の第78位の男である。
◆◆
彩葉達は、いきなり現れたNAOYAに怪訝な表情を向けた。
それを見たNAOYAは両手を挙げて、彩葉達へ向かって敵対していないという意思表示を見せる。
「ちょい待って、味方やで。君ら、かぐやいろPチャンネルやろ?最近一気に数字を伸ばしてきてる新規精鋭の」
「そうですけど……あなたは?」
彩葉はNAOYAに向かってそう質問した。
「俺はNAOYA。しがない『SETSUNA』専のプレイヤーや。よろしゅう」
NAOYAは自己紹介をし、件の男──セミプロへと向き合う。
「なんだよ!お前もそいつらの味方をするのか!?」
「せやからそう言うとるやろ。耳ついてないん?あ、ついてないからこうやって駄々こねてるんやったね。ごめんちゃい♡」
男に向かって直哉はそう煽り立てた。
「てめぇっ!」
顔を真っ赤にして怒りの表情を見せた男は、直哉に掴みかかろうとする。
その時、ピコンというこの場に不釣り合いな、なんとも間抜けな音が響き渡った。
その音は対戦の招待を受けたことを知らせる通知音。
「ごちゃごちゃ言うとる暇あるんやったら
そう言ってNAOYAは男を挑発する。
『これで引き下がったら恥だぞ恥』
『NAOYAじゃん』
『ここまで言われて受けないとかダサいだろ』
コメント欄でも、男とNAOYAの対戦を望む声が数多くあった。
「チッ」
男は舌打ちをしながら、招待を受理する。
すると専用のステージに視界が移り変わり、彩葉達は観戦席へと飛ばされた。
二人はそれぞれの武器を持ち出してお互いに構える。
『は?』
その時、ほとんどの人間が思考をフリーズさせた。
何故ならNAOYAは武器を一切持たず、素手で構えていたのだから。
「内緒やで?ぶっちゃけダサいと思っとんねん。プレイヤーが得物持ち歩くの」
驚愕の表情を見せる彩葉達へ向かってNAOYAはそう発言した。
「ねえねえ彩葉、これっていわゆる”かぐやの為に争わないで!”ってやつかな?」
「もう嫌になってきた……」
かぐやの場違いな質問を無視して、彩葉は額に手を当てる。
『KASSEN』には多種多様な職業が存在し、職業特有のモーションがそれぞれ存在する。
彩葉はNAOYAのモーションを見て、彼の職業が”妖術師”であると考えた。
“妖術師”──その名前でなんとなく察した方も居るだろうが、この職業は遠距離やサポートで真価を発揮するタイプの職業である。
そう、お世辞にも『SETSUNA』に向いている職業ではないのだ。
そんな職業をNAOYAという乱入してきた男が使っているのだから、彩葉の頭はもうパンク寸前である。
『おいおいおいおい』
『死んだわアイツ』
『マジかこいつ』
NAOYAの奇行に、コメント欄も呆れのコメントばかりであった。
「舐めてんのか?」
「どうやろな」
男の問いに、NAOYAは余裕の表情を崩さずにそう言い放った。
《START!》
開始の合図が鳴った瞬間、男はNAOYAに向かって真っ直ぐ駆け出した。
その速度は並みのプレイヤーであれば間違いなく後手に回されるもの。
だが、それに対抗するようにNAOYAも駆け出していた。
男は詰め寄ってきたNAOYAに一瞬驚愕するが、すぐさま刀を振り下ろし、NAOYAへと斬りかかる。
NAOYAはそれを半歩横にずれることでスピードを落とさず回避した。
男はそれを見て後ろに下がり、横凪に斬り払う。
だが、NAOYAはその攻撃を読んでいたかのようにジャンプして回避行動を取り、刀が自身の足元を通過する直前に蹴り落とした。
その反動を使って男の顔面に膝蹴りを叩き込み、着地すると同時に足払いで男の体勢を崩して足刀蹴りを放つ。
その攻撃によって男は吹き飛ばされた。
しかし男も負けじと再び近づいて斬撃を繰り返す。
だが、NAOYAはそれを軽々と捌いてHPを略実に削っていき、男をノックアウトさせた。
「!」
一連の流れるような動きに、彩葉は驚愕の表情を見せる。
対戦相手の男は決して弱いわけではない。
少なくともそんじょそこらの一般人では相手にならないほどの実力を持っている。
一度戦った彩葉はそれを身に沁みて感じていた。
だからNAOYAがそれを完封するほどの強さを持っていることに彩葉は驚愕したのだ。
『動きヤバすぎwww』
『キッショ……なんで後衛職なのに近接できるんだよ』
『NAOYA鬼つえええ!このままストレートでボコボコにしようぜ!』
『近づいてくるなら同じように近づく!そこに痺れる憧れるぅ!』
NAOYAの圧倒的な実力に、コメント欄は大いに盛り上がる。
「セミプロっていうから期待してたんやけど……君、トロすぎへん?」
その状況で、NAOYAはさらに相手を挑発した。
男の顔が見る見る真っ赤へと染まっていき、今にも爆発しそうな程になる。
「メンタルも弱い、モラルもない。取り柄の刀は当たりまへん。もう誰も君のこと眼中にないで?とっとと降参したらどうや?」
そこまで言ってNAOYAは構えを取った。
再び開始の合図が鳴り、NAOYAは男へと近づく。
しかし男は先ほどの経験から、今度はカウンター狙いの戦法に切り替えた。
NAOYAが近付いてくると同時に、渾身の一振りを放つ。
「残念、こっちはカウンター前提で動き作っとんねん」
だが、それを予想していたNAOYAはすぐさま男の後ろへと回り込み、攻撃を叩き込んだ。
そこからは先程と全く同じような展開が続き、再び男はHPを削り切られ、試合終了の合図が出る。
「クソが!覚えてろよ!」
そう男は言い残して、スタコラサッサと逃げるようにその場を去っていった。
「ハッ、口だけの雑魚やんけ」
NAOYAは去っていった男を馬鹿にして嗤った。
「あの……」
彩葉が声を掛けると、NAOYAはああ、と思い出したかのように彩葉達へと向き合う。
「いきなり乱入してもうてすんません。俺のことは気にせずこれからも頑張ってください。ほな」
そう言い残してNAOYAも颯爽と去っていく。
残された二人とコメント欄には、なんとも言えぬ雰囲気が漂っていた。
「キリがいいので、今日の配信はこれで……」
そう言って彩葉が締めくくり、今日の配信は終了した。
超かぐや姫が流行ってるなら、ミームになってる直哉を入れてみようと考えて適当に作りました。
笑っちゃうよね〜たはー