僕は、学園で一番惚れてはならない者に惚れている。
これは紛れもない事実である。
だからこそ、この恋は恐らく成功しない。
相手は、学園で「氷の女神」とも呼ばれている、告白を振り続ける美少女だから。
これは、ナポレオンのロシア遠征程に無謀だろう。
入学早々有名になった一年生が二人いるらしい。
まあ一人目は僕だ。ヤバい本の虫がいるから関わるな、授業が始まるぞ、と。
二人目はメアリー・ローザ・アドラー。懐かしい、僕の旧友だ。どうやら、数々の男をふっているらしい。そんな彼女と再会したての頃の話だ。
四月十五日。タイタニック*1に御冥福を祈ろうとしたその時、彼女と再会した。
入学早々に図書委員に顔を覚えられた僕は、飽き始めた此の図書館に巣食う。僕は昔からユダヤ人*2でも崇めるほど本の虫なのだ。
その女性が現れた瞬間に僕は視界を奪われた。脳のリソースを全て食われた。嬉しい悲鳴を上げる。こんな美女に会えたらどんな男もイチコロだろう。因みに僕は一目惚れの二度漬け中だ。 そんな茫然とした僕の前を気にも留めず進む彼女。
四月十八日。世間一般では、またアインシュタインを救えなかったと嘆く日、再び彼女が姿を現した。
直視できない程に麗しかった。どうやら今日は髪を結っているようだ。綺麗なうなじが曲線美を描き、この世の者とはおもえない。
「すみません、貴方何処かであった事がありますか?」
ヤバい。見惚れてて聞き逃した。これは流石に彼女が美し過ぎるのが悪い。聞き返せ、聞き返せば...。...無理だ。どんな罵倒が飛んでくるか分からない。軽く死ねる。ここは無難に
「え、そうですか?」
「...他人の空似でした。忘れて下さい」
四月二十三日。今日はシェイクスピア*3の命日だ。そんな中もう一度彼女が姿を現す。六年前の事はもう覚えていないのだろう。では、此方から声をかけるか。
「あの」
そう声を掛けてみる。しっかり瞳を凝視すると、ラピスラズリも恐れる様な
「……用件は?」
その感情の乗っていない、氷の様な
「いえ、貴女にはバックシャン*6という言葉が凄く当てはまるなあ、と。」
思ったことがそのまま口から溢れた。
「バックシャン?なんですか、そのどの国にも無い様な適当な複合語は。まるで私のよう...」
「和製英語かな?英語でもないけど。後ろ姿の美しい女性を形容する日本語ですよ。」
四月二十八日。連休前最後の登校日だ。その事もあって図書館は賑わいをみせる......わけもなく静かだ。そんな図書館に今日も彼女がくる。今日は以前と比べ歩くのが少し速く、音も少し大きい気がする。何かあったのだろうか。いいや、多分五日前のことだろう。ナンパだもん。なぜ、ああなってしまったのか。
連休明けにも彼女が現れた。日に日に僕への視線が熱くなっているのは気のせいではないだろう。
「そこの貴方、そのジロジロと盗み見るのを止めてください。」
少々キツイ愛をぶつけられた。お陰でその日はまともな思考が出来なかった。
五月病を拗らせながら学生をしていると、彼女は遂に僕を認識しなくなった。只の置物同然なのだろう。それでも、定期的に彼女は現れる。そろそろ僕の色々な感情が溢れそうだ。何故彼女はあんなにもkawaiiのだろうか。玉砕覚悟で告白するのもありだろうか。
処女作です。評価が良ければ続けます。