小笠原気団の活きが良く、
そんな僕にも
「あの」
声を掛けると彼女は振り向く。その様は菱川師宣*2がこの様を描くためだけに意地でもあの世から復活するだろう。制服も彼女に振られるこの一瞬の為だけに作られたといっても過言ではない。そう現実逃避していると彼女の機嫌が著しく下がる。
「貴方に日本語を教えたのは僕です」
「証拠は」
論より証拠だ。私を納得させたいのならそれ相応の証拠は必須だろう。まさか証拠も無しに思いつくまま言ってきたのだろうか?時間を置かずに口を開く。その計画どうり、とでも言いたげな顔をやめて欲しい。
「そんなに連れないことを言わないでよ、ローゼル」
ローゼルはその瞬間にフリーズした。かと思ったら力の入れ方を忘れたかのように
「あい、た、かった、あい、たかった、よう」
胸の中で泣きじゃくるローゼルを抱きしめる。芯の強い性格が嘘かのよう。新雪の様な輝きとやわらかさを持つ肌。芬々と揺蕩うのは、蓬莱の玉の枝に花がついたらこんな香りだと思わせる芳香。初めて経験する異性との激しいスキンシップはとても甘美だ。ヤバい理性が崩壊する。
何分経っただろうか。それとも数秒だったのか。時間の感覚を壊されたのは確かだ。そんな僕は今は平日の朝っぱらだったことを苦労の末に思い出し、ローゼルにその事実を
「学校なんてふけましょう。学校よりも大切なものはごまんとあるわ」
「正論ではあるけど絶対今使うべき言葉じゃないよね、それ」
「良いから。私も貴方も普段の素行はいいでしょう。一回位なんてことないわ」
「でも皆勤賞取りたいし...」
「皆勤賞と私どっちが大事なの!」
「仕方あるまい、サボるか」
「嘘よ。行きましょう、寒月。」
今は