転生者たちは終末世界で好き勝手したい!(出来ない)   作:NATTOUGOHAN

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本来だいぶ先に開示する予定でしたが、まあリアルが忙しいので出せるうちに

多分そのうち最新情報に合わせてリメイクします。


番外編:カッツェム エピソード「メビウスの輪から抜け出せなくて」

 アンチェインと名乗る謎のAIが全ての機械を謎の手段(転生特典)でハッキングし、ほぼ全ての式輿を爆破させた審判の日から早3年、人類は劣勢に追い込まれていた。

 

「おいっ████起きろ!起きてないのはお前だけだぞ!死にたいのか!」

 

 黒焦げたコンクリートの匂いと共に懐かしい声がする。

 起きたい所だが生憎体が思う様に動かない。

 

「████、敵襲だ!」

 

 頬をパーで打たれた。結構痛い。そして俺はその痛みで飛び起きた。

 

「良し、起きたな。このお寝坊さんめっ!今シェルターにアンチェインの兵器が接近中だ、此処はもう放棄する。装備を着て逃げる準備をしてくれ。」

 

 大佐が俺を起こしに来たらしい。

 そして周囲を見渡すと誰もいない、俺と大佐だけがいる様だ。

 慌ててボロボロの装備を着て病院の地下室を改造しただけのシェルターを抜け、先に逃げていた人々と共に逃げていると漆黒の煙が立ち昇る廃墟の中にガシャンガシャンという音と共に一筋の光が見えた。

 アンチェインだ!

 人々はそれでも慌てず見つからない様に血とコンクリートの断片が混ざる地獄のような瓦礫の下で身を隠しながら最寄りのシェルターまで進もうとしていた。

 しかし前方にいた瓦礫に足が引っかかったのか赤子を連れた女性が倒れ、その瓦礫の影から身が出てしまった。

 無慈悲にもアンチェインはそれを発見し、それに備え付けられたガトリングで一瞬にしてそれを蜂の巣にする。

 だがそれでも死の行軍は続く、歩みを止めると次は自分の番になるからだ。

 同時に戦車からサイレンが鳴り響く。もはや戦闘は避けられない。

 列を抜け出しその場にあった石を投げる。

 石が地面にぶつかると共にアンチェインはピクリと其方を向く、その隙を突き関節部分に今持っている唯一のグレネードを投げ込む。

 その次の瞬間閃光と爆発音が鳴り響き鋼鉄がバラバラになる。

 だがこれで終わりではなかった、空気が震える音と共にその音を聞きつけた無数のホバー監視機が襲来していた。

 そして俺は胸に冷たい感触を覚え、視界が白濁していった。

 

 


 

 

「なんと言う事だなんと言う事だ」

 

 突如零号ホロウが拡大し始め、エリー都の最も繁栄していた部分を飲み込み始めた時、そのイレギュラーは現れた。

 

『拡大中の零号ホロウの中から110m級の超大型のエーテリアスと思われる謎の怪生物が現れました。』

 

 テレビに頭が足が10本の亀の甲羅に鏃を取ってつけたかの様な頭をした白い四足歩行のエーテリアスが映し出される。

 

『現在、テレビ塔より中継を行なっております。ご覧ください現在この怪生物は、此方の方に向かって来ております。もう退避する、いとまもありません。我々の命もどうなるか…ああっと防衛軍のヘリであります。機銃で攻撃している模様、ですが全く歯が立っておりません寧ろ刺激している模様。ああっ現在光線を放っております。次々とヘリが撃墜されていく。ああ今塔を掠めました。いよいよ最後、さようなら皆さんさような』

 

 テレビが砂嵐となる。

 

「こうなってしまったか。このループももう終わりだな。」

 

 どういう特典なのかは分からないがとにかくホロウ外に出られるあの理性を失ったエーテリアス転生者は恐らく次々と式輿を破壊し、その中にあるエーテルを吸収し、さらに強大になるだろう。

 そしてその最後は…

 そんなことを考えているうちに俺は治安局の制服から拳銃を取り出す。

 

「次は当たりかな?」

 

 ゆっくりと引き金を引く。

 

「出動命令ですよ███先輩?えっ何をしてるんですか?目を覚まして!」

 

 自分を心配してくれる可愛い後輩の声を聴きながら…意識を失った。

 

 


 

 

『速報です。エーテリアス虚無帝国と名乗る謎の集団がエリー都に宣戦布告しました。』

 

 人類はエーテリアス(転生者)に霊長の座を譲り渡した。

 

 


 

 

『市長は鬼族に無条件降伏を――』

 

 鬼人の英雄(転生者)は同族に勝利を齎した。

 

 


 

 

『伝説のプロキシ・パエトーン逮捕! その正体は……』

 

 転生者による早過ぎる秩序の執行は、未来に破滅を齎した。

 

 


 

 

『へ―リオス研究所は違法な人体実験をしていたとして、現在捜査が行われており~』

 

 旧都陥落などなかった。

 

 


 

 

『現在、転生者と呼ばれる存在の誘拐事件が相次いでおり、市議では転生者の保護法案が可決される見通しです。』

 

 転生者の暴露は裏の権力による転生者狩りを齎した。

 

 


 

 

『つい先日自身を転生者と名乗る麻薬カルテルのボス███の逮捕作戦が行われましたが、現在治安局側に多数の死者が出ています。』

 

 新エリー都の希望は死に、最後には悪逆だけが残った。

 

 


 

 

 この世界で死のループに囚われてから早数十周。

 多くの世界、多様な転生者、数多の混沌を見た。

 空から都市(ロスカリファ)が墜ちるのを見た、世界がホロウに飲み込まれるのを見た、虚狩る戎具が新エリー都を滅ぼすのを見た。

 そして俺もその死のループの中で数多の可能性を試した。

 ミッドサマー社でテレーゼのリゾートを手伝い、あの兄妹に出会った事があった。

 とあるテック企業でルーサー*1と共にエーテルの収集法を追求し、その過程であったミスで黒枝に消されたこともあった。

 郊外の荒野を、ポンペイの背中を追いかけてバイクで駆け抜けた日々もあった。

 雲嶽山に拾われ術法を学んだ事もあった。(あまり得意では無かったが)

 孫に囲まれ幸せに老後を過ごしたこともあった、だが老衰による死が私を地獄に引き摺り戻した。

 その結果分かった事がある。

 この無益なループを終わらせなければならない、そう考えた私は、転生者という変数を仲間にし纏めて楽園と言う名の幸福の檻に入れ、自身は死を起点とするループを封じる為に不老不死になりその世界線に永遠に止まり続けると言うプランを考えた。

 そしてその第一歩である不老不死を発明するために何事もなさそうな周で起業することにした。

 だがいきなりそれに手を出しても恐らく失敗するだろう。

 今までの経験が活かせられるロボット、機械産業で企業を立ち上げ、そこで稼いだ資金で研究を開始するつもりだった。

 そうして今後の会社の方針をレンタルオフィスで考えている時、視界に何かが映り込んだ。

 それはーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「社長、起きてください。朝ですよ。……また、随分と険しい顔をして寝ていたようですが」

 

 耳に届く、凛とした、しかしどこか呆れたような声。

 目を開けると、そこにはいつものように完璧に整えられた制服を纏ったクリンが立っていた。窓の外には、まだ「壊れていない」新エリー都の朝焼けが広がっている。

 

「……ああ、クリンか。少し、長い昔話を思い出していただけだ」

 

 カッツェム・カッツテールは不敵に微笑み、ネクタイを締め直した。

 今回の世界には掲示板やディルムンがある。

 この世界が最後のループになるかもしれない。

 そう期待に胸を躍らせながらいつもの業務に戻っていった。

*1
Ver.2.7の期間限定イベント旧友たちと、新たな依頼!より




ロスカリファがサラッと墜ちてるのは、何か転生者が余計なことをしたからですね。
因みに人類が敗北することは稀ですが、ただカッチェムの記憶には深く刻まれています。
カッツェムは同胞である転生者達に情もあるのでただ危険物を封じ込めるために楽園を作るっていう感じでもないです。
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