転生者たちは終末世界で好き勝手したい!(出来ない) 作:NATTOUGOHAN
治安局ルミナ分署・会議室
「では、改めてまず今回の事件について説明します」
ルミナスクエア治安局のとある会議室。
プロジェクター以外の光源が無い薄暗い部屋の中で重大な会議が行われようとしていた。
プレゼンターを務めるのは関わった事件で未解決は
皆が物々しい雰囲気に包まれる中、彼女は続けた。
「白祇重工のホロウ内特殊作業用知能重機の脱走インシデントにおいて、白祇重工側がそのうちの一体を探していたところ正体不明の武装集団を発見」
それを見た一同が、息を呑んだ。
単なるホロウレイダーなどではない。
統一された装備。
無駄のない動作。
旧都陥落時に壊滅した防衛軍の分隊の写真だと言われても、信じてしまいそうなほどだった。
「その後知能重機の逃走を追いその集団も移動、その集団を追っている最中にボンプの故障で未許可区域であるバイオニア記念広場に白祇重工側が気付かずに侵入」
見ている人々がプレーンのワイヤーアクションや武装集団のその壁を登る姿に度肝を抜かれている最中、広場に映像が切り替わる。
「そこで武装集団の指揮官と思われる女性に論理コアに引き渡しについて取引を持ちかけられていたところモニュメントから正体不明の怪物が出現、彼らはそこでその怪物に対して共同で戦闘しそれを撃破しましたが、討伐後その集団はディニーや知能重機の論理コアの模造品などの交渉材料を残したまま、姿を消しました」
「随分と用意周到だな」
聞いていた中の一人が証拠品と模造品を見て言った。
そして手を挙げたものがいた。
「なんでしょうか」
その話を聞いていただれもが思っていたことをその男は代弁した。
「その集団とその怪物には何か接点はありそうなのか?」
そのモニュメントの怪物はエーテリアスでも人間の侵蝕体でもない全く未知の化け物である。
その正体解明は証拠品が送られた治安局とは仲の悪いH.A.N.D.ですることになってはいるが治安局側でも少しでも正体解明の糸口は掴みたいものであった。
朱鳶は追加の資料である映像を映すと、怪物がモニュメントから現れた場面にし、音量を最大にした。
『ちっ出てきましたか』
女性の不愉快そうな声が会議室に響く。
「彼女はこの発言をした後武器を構えました。これは明らかに広場に怪物がいた事を知っていたという事であり、同時に怪物が現れたことが彼女の予想外である事を示していると思われます」
「それ以外でわかることは?」
「残念ながらそれ以上のことは現時点では不明です。ただ⋯…無関係ということはないでしょう」
皆口には出さないが会議室は落胆の雰囲気に包まれ、そしてまた質問が飛んだ。
「その武装集団の目的や所属はわかっているのか」
プロジェクターがプレーンの鉄球、元の三倍までに伸びた足、ワイヤーが映し出す。
「この画像を見てください。この機体の製作者の話によるとこの様な機能は搭載していないのにも関わらず1人でにこうなったという話です」
「では、その特異性に目をつけていたのか?」
「恐らくそうかと、加えて私たちは過去の事件と照合し、現在未解明事件とされている防衛軍施設、工場、民間の建物、一般家庭、孤児院などで発生した140件の窃盗、84件の誘拐事件との関連性を疑っています」
映像は切り替わり、様々な物品、人物に変わった。
それはあの朱鳶ですら解決できなかった事件の資料であることに気付くと会議室が緊迫感に包まれていく。
「その関連性というのは?」
「その全てにおいて犯人は不自然なほどに監視カメラや指紋、目撃情報などの犯人特定の手掛かりを全く残していないと言うことです。今回も歩容、声紋認証、使われていた武装の映像解析を試みましたが巨大な背後組織がいると推測されるにも関わらず何れの企業、軍事組織のものとも一致せず、そして未解明事件の目的物、被害者は回路基板や論理コア、特殊な力を持っていると噂されていた人物でした。そしてこの一連の不可解な事件は旧都陥落の数年前、ソフトクリームマシン解体窃盗事件から始まっています。このソフトクリームマシンはほかの同じ型番と比べ、奇跡の機械と称されるほどおいしいと評判でした」
「なるほど、特殊な物品、人物を集めている今まで痕跡を全く残さなかった存在が今回姿を現したかもしれないのか」
「この事件を追っていた刑事はこの一連の事件の犯人のことを機械の魂の宿ると言っていい基盤や論理コアを盗むのでソウルスティーラーと呼んでいるそうです。ですので、この武装集団をこれからソウルスティーラーと呼称します」
会議は続く、何故白祇重工と交渉をしようとしたのか、プレーンのSOSの話は本当なのか、背後組織は何者なのか、ただ会議は踊らず、されど進まず、その様子が4kmも離れていないところに生中継されているとも知らず……。
ヤヌス区ルミナスクエア ディルムン本社ビル・最上階
分署より4kmも離れていないディルムン本社ビル最上階で休み時間にそのやりとりを見届けているもの達がいた。
「ハハハハッ、「心は誰のものでもないでしょう」だって?随分とカッコつけたんだね」
CEOは昼食のイワシ缶を食べながら笑いクリンを見た。
クリンは悶絶していた。今にも穴があったら投身自殺しそうなぐらいに。
「ああいう感じの問答にはなれてないんですよ……どう考えてもこっちに非があるのに説得するのは慣れてないんです」
もじもじしながらクリンが答え、そしてイワシ缶を食べ終わったCEOがやれやれという感じで言った。
「交渉に失敗というか放棄したのは責めない。まあ今回は無理を言ったからね」
「ありがとうございます」
そしてCEOは壁を回転させ、コルクボードを出した。
「ソウルスティーラーという名前がついた以上治安局も本格的に捜査をするだろう。今後もこのリストに名前が載っている人物、場所に関連する救出活動をするときは気をつけてくれ、治安局は正直どうとでもなるがこのリストに関連するものに手を出した場合どうなるかわからないから」
「はい、分かりました。ただ…どうしてここまでこの人物や場所に固執するのですか?別にこんなものにこだわらなくてもいいのでは……というか私たちが何もしなくても自然にポップした転生者が何かしてるかもしれないですし、それにCEOも結構干渉してますよね?例えば……」
クリンがコルクボードのある人物を指さそうとした。
だがそれはCEOによって阻止されてしまった。
「はいはい、まあ今後に影響が少なければいいんだから、万が一意図せず大きく影響してもあのデッドエンドブッチャーの時のように干渉して元に戻せばいい」
「うーんなんか納得いきません」
ジト目で見つめて来るクリンにCEOは少しだけ焦りながら答えた。
「まあぶっちゃけこのリスト関係なくやりたい放題したいけど、その場合俺たちは多大な代償を背支払う可能性が高いし、やっぱりちょうどいい感じに緊迫した世界でこそ策謀はし易いのだからね」
そんなことを話していると休憩時間の終わりがやってきた。
「またそういう事があったら掲示板ですぐ連絡してくれ、こちらが対応を決めよう。後子午館の件は頼むよ」
「はあ、それもこのリストに載ってましたよね。建物そのものを盗んだら結構影響が出ると思うんですけど。フリンツ合金の複製元の確保とロゼッタデータの自前での作成の為とはいえ……」
「そんなときの転生特典でコピーじゃないか。それで完全に複製した館を元の場所に移植すればOKだ。まあ頼んだよクリン」
「まあ理屈は分かりますけど、そこまで上手くいくんですかね……」
「上手くいくさ、仮に上手くいかなくても楽園計画をめちゃくちゃ前倒ししてやるだけだから」
そのCEOの発言に呆れながらクリンは普段の仕事に戻って行った。
ディルムン社の現在の本拠地は実は地下にあるんですけどなかなか触れられない……
因みに映像はイアスの視覚映像ですがところどころ戦闘によって故障したという名目でFairyの編集が入っています。
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