転生者たちは終末世界で好き勝手したい!(出来ない) 作:NATTOUGOHAN
非情なる任務 上
ルミナスクエア
[リンっ怪我は!]
これだから電子的な体は嫌なんです!
「あ⋯⋯うん大丈夫」
私たちは運転免許を更新しにルミナスクエアの治安局に向かおうとしていたのだけれど、突如謎の障害に襲われ、H.D.Dからスマホに通信が繋がりにくくなり、その隙にリンに車が猛スピードで突っ込んできたのだ。
今回は幸い朱鳶さんと青衣さんという親切な治安官二人が助けてくれたけど、そのまま轢かれてたら私は……私は……。
「失礼かもしれませんが、そちらの声の方は?」
[私は全てのAIの頂点に立ちたい万能AIアシスタント、Soureiです!リンを助けてくれて本当にありがとうございます!]
いつもならプロキシとしてのマスターたちの脅威なので塩対応するところだけどまあリンの恩人だからね!
そんなこんなでリンが少し失言しかけたりしてヒヤッとしたものの何事もなく事故の調書の作成、免許証の更新を終えた私たちは車で帰り、相変わらずマスターたちの駐車は汚いので念動力で綺麗になるよう調整したりした。
……もしかして私がそうやって甘やかしてるから一向にマスターたちの駐車スキルが上がらないのか?
いや多分私が居ても居なくてもマスターたちは多分汚く停めてるような気がする。
そんなことを考えながらマスターたちと一緒にほど会った治安官に関する先日の白祗重工の時の映像記録を見返していた。
あのときディルムンの話はさせない様にすればよかったけど、やっぱり超不自然だし、妙にブリンガー長官が話に食いついてきたからね……
[なんか妙じゃありませんか?あの筋肉だるま、あの集団については滅茶苦茶話を聞いてきたのにどう考えてもおかしいエーテル活性体についてなんも一切興味を持たないなんて、きっと何か知っているに違いありません。徹底的に調べ上げましょう!まあ治安局に喧嘩を売る勇気なんてないので冗談ですが]
とは言いつつも後で掲示板かFairyに頼んで調べてもらおっかな。
「ブリンガー長官については私も同じこと思ってた。H.A.N.D.に証拠を送ること自体には反対しなかったみたいだけど……今気づいたんだけど、ブリンガー長官の言っていた「重要な任務」ってルミナ分署の安全講習イベントだよね。わざわざ朱鳶さんたちに任せるんだもん、よっぽどすごいイベントなのかな?」
そしてイベントの詳細を今までは私が答えていたのにも関わらず、Fairyに聞くマスターたちを見てFairyにジェラシーを抱いたけど、私に聞くよりFairyに聞いたほうが早くて正確なのは今までの経験から解ってしまっているので何も言い出せない⋯⋯。
そして話し合いの結果、マスター達は朱鳶さんたちを応援しに行くついでになにか有用な情報が得られるかもしれないのでそのイベントに参加することになった。
それから数日は私の特技20本ビデオ同時整理をヘディーさんに目撃され、それをビデオ屋の地縛霊の仕業(あながち嘘ではない)と言い張って誤魔化したりした以外は何事もなくビデオ屋の運営をして過ごしていた。
「Sourei!朱鳶さんたちにあってくるから店番よろしくね!」
まあ私は店番をしながらマスター達を見守りながら、掲示板で筋肉だるまのことを調べるという三重タスクをしていたわけだけど、筋肉だるまって昔は「ホロウを征服した英雄」って呼ばれてたんですね。
でも今はTOPS(ディルムンを含む)とマスコミにすり寄る腑抜けに堕ちた典型的な汚職治安官と言った感じか。
でもまあなんか妙な感じがしたし、パエトーンに対する激ヤバブログを書いてる奴みたいに厳重警戒対象に加えた方がいいかな?
そしてそんなことを片手間に調べている間にマスター達は朱鳶さんのアンケートに協力することになり、道中でアシャさんの違法なダビングをしたんか?という言葉に私がびくっとしながらも、アンケートをしていたのだけれど全然集まらなくて困っていた。
何かしてあげたいけれど私からはなあ……と思っていると
「きゃー!」
「ンナナ!(何!)」
『警告、ビデオ屋にスライム状の何かが接近しています』
外からアシャさんの悲鳴が聞こえてくると、突然ドアが開き銀色のスライム状の何かが扉から飛び込んできた!
「窶ヲ縺。繧?▲縺ィ蛹ソ縺」縺ヲ縺上l縺ェ縺?シ?」
急いでマスターに連絡しないと!
[なんか銀色の変なのがビデオ屋に押し入ってきました!]
「なんだって!すぐ行く!リン!朱鳶さんと青衣さんを呼んできてくれ!」
「分かったよ!」
そしてビデオ屋に押し入ってきた入ってきた銀色のドロドロの液体は徐々に様々な形容し難い奇妙でグロテスクな色彩を描きながら人の形になってゆき黒毛混じりの白髪のチャラい感じの男になった。いや何だこいつ!
「いやーびっくりした〜突然結合が切れるなんて」
[あなた誰ですか!]
トワちゃんをスタッフルームに逃すと建物内の全ての扉を閉め切り、タブレットの画面に治安局のコール画面を表示した。
そうするとその不審人?物は慌て
「俺だよ!「T」!というかトラキアン!」
なんだトラキアンさんか。
ああ思い出してきたぞ、確かさっきの銀色のドロドロって多分知能液体金属かな?
確かあのドッペルゲンガーの性質を模倣しているとか言う。
エーテリアス転生者が外出するときはそれに掲示板を介して接続してるんだっけ。
どうしよう。もうアキラに連絡しちゃったよ……。
「なんだトラキアンさんでしたか。なんでドロドロの状態でウチに?」
そう言おうとした瞬間、アキラがビデオ屋に近づいているのがFairyにハッキングしてもらった監視カメラに映ったので入り口を閉める力を弱めると扉がバン!と開かれる音がした。
「Sourei!大丈夫かい!」
「そこの人、動かないで!」
治安官である朱鳶さんを見てトラキアンさんはビクッとしてる。
「えっ治安官呼んだの?」
[うん]
まあ正確にはアキラが呼んだんだけど、まあ取り敢えず誤解だったと伝えておこうかな?
[すみません。アキラ、朱鳶さん誤解でした!なんでもないです]
それに合わせてトラキアンさんもクソ焦りながら言った。
「ああ、Soureiの言うとおりだ!これは誤解だ」
朱鳶さんは銃を下ろした。
「なんだ誤解か。Sourei、銀色の何かはなんだったんだい?」
アキラの問いに私から応えようとしたけど、トラキアンさんの方が一歩先だった。
「それは俺が説明しよう」
そう言うとトラキアンさんは手を銀色にした。
それを見た朱鳶さんとアキラはビクッとしているが私も何も知らずこれを見たらびっくりするだろう。
というか実際さっきびっくりしたし。
「それは……一体?」
トラキアンさんは腕の色を戻すと話し始めた。
「これは知能液体金属って言ってね。ドッペルゲンガーみたいに色や形を変えられて、今日は午前が休みだったから久しぶりにこれで外出してゲーセンでアシャさんの記録に挑戦しようと思ってたんだが、突然不具合か何かで姿が保てなくなっちゃったんだ」
[それでなんでウチに?]
「……なんでって、まあ姿を再整形するのはちょっと一般人にはショッキングな感じだから、迷惑かけない様に知り合いのいる所でやりたかったのさ」
トラキアンさんは頭をポリポリとかきながら、気まずそうに笑った。
「その知能液体金属というのはよくわかりませんが、誤解だったのなら私は戻ります」
そうして朱鳶さんが別件のオツリちゃんアヒル窃盗疑惑事件の方に向かった。
そしてアキラはこっちを向くと、トラキアンさんを指して行った。
「えーっと、Soureiは彼と知り合いなのかい?」
[ええ、あなたも知ってますよ!なんと、「T」さんです!]
「えっ「T」なのかい」
アキラも驚いたかな?
まさかここで会うとも思って無かっただろうし、姿もめっちゃ変わってるからね。
[せっかくあった事だし、この前の俺が参加できなかった祝賀会の続きでも話し合いたいところだけど、そろそろ迎えがくるからね、ここら辺でお暇するよ]
そう言うとトラキアンさんは早歩きで店を出て行ったと思うと顔面蒼白のアシャさんに止められ、何があったのか聞かれていた。
まあそりゃそうだ、客が突然銀色の塊になったわけだし。
見返してて思ったんですけどブリンガー長官が安全講習イベントに青衣と朱鳶を任せたのってサクリファイスのサンプルを奪う計画を妨害される懸念があったからインタビューで動けない様にしてたんですかね。
というかそもそも安全講習イベントそのものが自動輸送車の警護を薄くするための策略だったのかもしれない。
そして散々計画を妨害されてて圧力らしいものがなかったのはブリンガー長官の心の中に残った最後の良心だったのかなと思ったり。
バーが半分も行かずに30話まで来てしまったのでもう評価は伸びないのかなと思いつつも評価、お気に入りしてくれたら今までの2493倍喜びます。