転生者たちは終末世界で好き勝手したい!(出来ない) 作:NATTOUGOHAN
制御室
僕とライカン、リナの3人は道中でエーテリアスと交戦しながら制御室に辿り着いた。
ライカンさんはその両足に取り付けられたその凍てつく義足で、リナさんは2匹のボンプを華麗な指揮で操り、その敵達を蹴散らしている様子を見るとあの時本当にカリンがいてくれと良かったと思う。
[まあ私の切り札使えばけちょんけちょんに出来ますよ!使ったらH.D.Dもその周辺も無事では済まないけど]
『それだけはやめてくれ』
ナチュラルに僕の心を読んでマウントをヴィクトリア家政に聞こえないように取ってくるSoureiに呆れている内にライカンさんが制御盤をチェックしていると、段々その顔が険しくなっていった……。
「うん?妙ですね、これは一体……」
もしかして故障していたのか?
そうライカンさんに確認するとそうではないらしい。
むしろ正常な状態であり、非常用発電室が万全ならすぐに復旧できるけれど、地下発電所には異常はなくなぜ停電しているのか全くわからなかったらしい。
「プロキシ様、次はエレンとカリンを発電室に案内してくれませんか?それと合言葉での確認を忘れずに」
「ああ、分かったよ。ライ──」
その瞬間だった。
発電室の方角から突如爆裂音が轟いたのだ。
それと同時にどこかの天井が崩れたのか、その砂埃が発電室に舞い込んできた。
『何が起こったか分かるかFairy』
『報告します。発電室に存在していたエーテル燃料が何らかの原因により爆発した模様です。爆発の衝撃により空間が不安定化しているのでルートを再計算します』
警報音が鳴り響く制御室にて制御盤から目を離したライカンさんが険しい表情をしている。
「通信が繋がらない。プロキシ様。エレン、カリン両名は今どうなっているか分かるでしょうか」
『Fairy、エレンとカリンがどうなっているか分かるかい?』
『現在調査中です』
『済まない。わからない』
「そうですか……お二人が無事であればよいのですが」
僕はルートの再計算に必要なデータを迅速に取る為にエレン、カリンのいた方向に向かおうとしたのだけれど。
「プロキシ様、むやみに向かうのは危険です。まずは通路の状態を確認し通信が回復するのを待ちましょう」
『でも、二人が爆発に巻き込まれていたら……』
「ええ。ですから、急ぐ必要があります。しかし状況を把握せずに飛び込めば救助する側まで危険にさらされます」
もっともな話だった。
僕は焦る気持ちを抑え、Fairyからの報告を待つことにした。
[うう……爆発に、通信障害に、不安定な空間……。ホラー映画なら、絶対にこの後で何か出てくるやつですよ……]
『そういうことを言わないでくれ。Sourei、僕だってホラー映画嫌いなので知っているだろう』
[言わないでって言われても、もうフラグが立ってるじゃないですか!]
こんな状況でもいつも通りのSoureiに、少しだけ肩の力が抜けた。
そんな時だった。
通路の奥から、慌ただしい足音が聞こえてきた。
反射的に全員がそちらを向いた。
砂埃の向こうから一人の少女が駆けてきた。
背中には見慣れたサメの尻尾、手には使い慣れた園芸用のハサミ。
「ちょっと最悪なんだけど……!」
聞き覚えのある声だ。
『エレン!』
思わず声を上げてしまった。
『カリンは?大丈夫なのかい』
全力で走ってきたのか息切れしながらエレンは言う。
「さあ……。さっきの爆発で通路が崩れちゃって離れ離れ。通信も繋がんないし、もう最悪」
エレンは心底うんざりしたように肩をすくめた。
それが本当なら今すぐにでも助けに行かなければならないだろう。
「エレンさん。念のため、合言葉をお願いします」
リナさんが穏やかな笑みを浮かべたまま尋ねる。
「えー……今それやる? まあいいけど」
エレンは面倒くさそうにため息をついた。
「月下の舞踏会」
さらりと言った。
「招待客は二人、ですわね」
合言葉も言えたし、様子も別に変わっているとは言えない。
恐らく本物だろう。
僕はようやく胸をなで下ろした。
『よかった。君まで何かあったのかと思ったよ』
「私がそう簡単にやられると思う?」
エレンは僕の方へ歩み寄ってくる。
「それよりカリンは?そっちに来てないの?」
『いや、まだだよ。今確認しているところで──』
「そう。じゃ、早く探しに行かないとね」
エレンがさらに一歩、近づいた。
その瞬間。
「──失礼」
制御室に低い声が響き次の瞬間、白い影が視界を横切った。
「えっ?」
ドンッ!!
先程から静かだったライカンさんの義足が、エレンの腹部を正確に蹴り抜いていた。
その身体が宙を舞い、床を滑って制御盤の手前に叩きつけられる。
[『ライカンさん!?』]
「皆様、下がってください」
その場にいたリナを除いた皆が驚く中、ライカンさんは一歩も退かず倒れたエレンを見据えていた。
その表情からは先ほどまでの穏やかな執事の面影が消えている。
「ボス!?マジで痛いんだけど」
床に手をつき、エレンがゆっくりと顔を上げる。
「……失礼。貴方様からは生き物の匂いがしません」
ライカンさんは静かに告げた。
「そう言うことでしたの?」
恐らく何らかのサインでエレン?が偽物であることを知らされていたと思われるリナさんが驚いた。
「……へえ」
それが笑った。
けれど、その目だけは、まるで別の生き物のように冷たかった。
「合言葉を知っていたのは聞いていたからでしょう」
「分かっちゃうんだ」
そのエレンを模した何かはゆっくりと立ち上がり、こちらにハサミを向けた。
「じゃあ……もう真正面からやるしかないね」
「戦闘準備を!」
ライカンさんの号令と同時に、二匹のボンプが電光を迸らせた。
[喰らえ!]
Soureiが近くにあった椅子や雑貨を豪速球でエレン?に向け投げつける。
エレン?はその全てをハサミで弾き、素早くライカンに近づくとそのハサミを振り落とした。
そのハサミを、ライカンさんは義足の側面で受け止めた。
甲高い金属音が制御室に響く。
「……!」
ライカンさんの眉がわずかに動いた。
受け止めたはずの刃が、義足の表面に深々と食い込んでいたのだ。
「これは……」
「へえ。これやっぱり結構硬いんだね」
エレン?は感心したように呟きハサミを引いた。
その刃先がまるで生き物の舌のように細く伸びる。
ライカンさんは即座に身を引いた。
直後、3mまで伸びた刃が彼の立っていた床を抉り、コンクリートの破片を撒き散らす。
「リナ!間合いが見た目通りではありません!ご注意を!」
エレン?の周囲を二匹のボンプが飛び回る。
「喰らエ!」「パクリ野郎はくたばれ!」
エレン?が変形したハサミのような何かで破壊しようとするもリナさんによる華麗な手捌きにより当たらない。
そしてボンプが光り、雷がエレン?へと解き放たれた。
だがエレン?の目が赤く光るとそれを泳ぐように回避し、ボンプを指揮していたリナさんへと跳躍し、刃が断頭台の刃を2つ束ねたかのように分厚くなったハサミでリナさんの体を両断しようと迫った。
「させません!」
そうはさせまいとライカンさんがそのエレン?を横から蹴ったことにより間一髪でその軌道がずれ、リナの隣にあったデスクが粉砕されるだけで済んだ。
[ああもう!全部飛ばせば当たるよね!]
一回自分が放った弾が全部弾かれたことによりヤケになったSoureiがそのデスクの断片を弾丸のようなスピードで撃ち出す、それと同時にリナも電撃を打ち出した。
再び回避を試みるエレン?の進路へ、ライカンさんが踏み込んだ。
「逃がしません」
凍気を帯びた義足が、エレン?の側面を正確に捉える。 蹴り飛ばされた偽物の身体がわずかに宙へ浮いた。
その軌道の先にはリナさんのボンプが放った電撃が待ち構えていた。
回避はもう間に合わない。
青白い閃光がその身体を包み込んだ。
感電!!
【過電流を検知、擬態を停止します】
エレン?の形が崩れていく、肌が、服が、ハサミが、グロテスクな色彩でかき混ぜられ、そして色が落ち、そしてそれは真の姿である銀のマネキンのような姿となった。
『データを更新します。敵性存在は幽霊などではなく侵蝕により暴走した知能機械であると断定。先程までは生体反応を偽造していた模様』
『見たらわかるさ、あんなのどう見たってあんなの幽霊じゃない』
真の姿を目撃されたその怪物の腕は不気味に変形を始めていた。
【損害を検知、撤退を開始します】
【レーザー砲の冷却の終了を確認】
「皆様!避けてください」
その様子を見て猛烈に嫌な予感を覚えたライカンさんが警告する。
その怪物が変形した腕をこちら側に向けると、一瞬その中に液体ではない金属のようなものが見えたかと思うと熱線が放たれた。
因みにライカンが常人より鼻がいいという公式資料は無かったけれどこの展開がやりたかったのでこの作品ではそう言う設定ということで。
第三章はどれぐらい長い方がいい?
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1話ですぐ終わる
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最低3話ぐらいでじっくりやる