貞操逆転世界でクールな先輩にオスガキムーブかましてたら普通に押し倒された 作:しゃふ
どうも。オスガキです。
今日も元気なオスガキライフ送ってます。
最近はとても楽しい毎日です。
センパイも元気を取り戻してくれましたし、なんなら前より距離が近くなった気がします。喧嘩を超えて、仲良くなれたんでしょう。
……ただまぁ、少々近すぎる気もしますが。
「あの、センパイ、どこ触ってるんですか」
「ふともも」
「よく堂々と言えますね。
僕以外の子にやったら即刑務所行きですよ、これ」
「……天音にしか、しない」
「ん、そーですか。
……ひゃ、ちょっとセンパイ、手、冷たいです」
近い、絶対近い。
前までここまで触ってくることは無かった。
間違いなく例の件があったせいだ。
……その、キス、とか。
色々あったせいで、センパイが僕に触れるハードルが下がっている気がする。
「……はい。もうお終いですっ。
これ以上触るようならお金取っちゃいますよ。
僕の身体は高いんです」
彼女の手をグイッとに上へ退ける。
すると、センパイはちゃんと諦めて、本を読むのに戻ってくれる。
……強引では、ないんだよなぁ。
僕の頭に数日前の記憶が蘇る。
無理やり腕を掴まれて、引きずられるように壁に押し付けられたあのときの記憶が。
何度力を込めても、ピクリともしなかった彼女の身体が。
――でも、思うのだ。
僕は男である。
少々中性的な容姿をしているかもしれないが、それでも男の子である。
センパイは女の子である。
色々と僕よりおっきいし、今も僕を膝に乗せているけど、でも女の子なのだ。
……だとしたら、単純な力比べなら僕の方が強いんじゃないだろうか。
あのときは、いきなりだったから押し負けただけで、本気を出せばセンパイくらいひょこっと持ち上げられる。うん、そんな気がする。
よし、センパイに僕の恐ろしさを教えてやろう。
「センパイ。腕相撲をしましょう」
「……え、なんで? 腕折られたいの?」
「怖いこと言わないでください。
もしそんなことなったら、普通に泣きますよ、僕」
というか折りにこないでよ。センパイ。
そう思いながらも、僕はセンパイに向かって笑みを浮かべる。
「ふふんっ、よくよく考えたらセンパイみたいなザコ、僕の相手にならないんです。
なんせ、所詮センパイはか弱き乙女ですからね。
……あ、すみません。乙女じゃなくてど淫乱女の間違いでした」
「よし、やろっか。
腕、千切れたらごめんね」
「受けて立ちましょうとも」
センパイの膝から降りた僕は、机に肘をつけて彼女を待つ。
「ほらほら、さっさとにぎにぎしましょうね?」
挑戦的な声で煽ってみると、センパイの手が僕の手に絡みつく。
僕より少し大きな冷たい手。
触っていると、少し、身体が熱くなるのを感じる。
あんまり触ってると、変になりそうだ。
そう感じた僕は、スタートの号令をかける。
「――それでは、よーいドンですっ!」
瞬間、僕の手が机へと叩きつけられる。
あ、無理だ、これ。ぜったいかてない。
千切れるっ! まじで腕取れるっ!
肩がゴリゴリ言ってるっ、死ぬ、逝っちゃう!
あまりの衝撃に、壊れそうなほど溶けた声を漏れはじめる。
「……っぁ、せん、ぱいっ、だめです、しんじゃい、ます」
「……ちょっと、天音、声」
「お゛せんぱいの手、すっごいですっ、お、お゛れりゅ」
「……」
あれ、なんか急に力が弱くなったな。
センパイの顔へと目を向ける。
すると、彼女はなぜか驚愕の表情している。
よく分からないが、チャンスだ。
僕は力の限りを腕に込める。
「センパイ、イけっ、イっちゃえっ、僕の腕で、ぶっ壊れちゃ――」
「……あの、ドアの前、人いるけど」
「へ?」
あ、ほんとだ。いる。
なんか、見覚えのある人が立ってる。
「……あ、委員長。こんにちは」
そこに立っていたのは、委員長こと速水さん。
彼女は持っていた本を床へと落とし、ガタガタと震えている。
……そして、ゆっくりと顔を上に向けた後、
「――が、学内での変態行為は禁止ですっ!!」
とんでもない爆音を部屋に響かせた。
「ちがう、変態は天音だけ。私はやってない」
「……はぁっ!?
あんなどエロいキスかましてきて何言ってるんですかっ!?」
「どエロいっ!?? な、なに言ってるんですか桜井さんっ!?」
「速水ちゃんは黙っててっ!
あのですね、センパイ。僕は未だにアレはないと思ってますからねっ!
ムードもへったくれもありませんっ!」
「最後の方は天音も楽しんでたでしょ。
……ほら、見て、この写真。どうみても喜んでるでしょ」
「いや、それは、その。べ、別に喜んでなんていませんよっ!
まったく、これだから処女は困っちゃい――んっ、ちょ、ばかっ!!
み、みられて、んむぅ!?」
「ほら、喜んでるじゃん」
強引に唇を奪われた僕は、抵抗できず、彼女に何度も貪られる。
ぜ、ぜんぜん反省してない、この人。
どうしようもなく彼女に身体を預けた僕は、目を横に向ける。
……そのとき、僕の目はとんでもないものを捉える。
「うわっ!? ちょ、速水ちゃんがぶっ倒れちゃってますっ、センパイ! 滅茶苦茶血出してますぅ!」
「……ほんとだ」
「なんでそんな冷静なんですかっ!
い、行きますよっ、保健室までっ!」
こうして、僕らは保健室へと速水さんを運ぶことになった。
幸い、ただの鼻血だったようで、大事にはならなかった。
が、どこまで見られたかは分からない。
……明日からどうやって話せばいいのだ。
というかなんで速水さんは部室に来たんだろう。
用でもあったのか?
そんなことを考えながら、僕らは部室へ帰還した。
「……ねぇ、結局あの子誰だったの」
「うちのクラスの委員長です。
名前は速水ちゃん。少々生真面目なとこはありますが良い子ですよ」
「……あっそ」
部室への道中、センパイに委員長のことを聞かれる。
……お、何だこの反応。ちょっと気になるな。
「――あれぇ? もしかして嫉妬しちゃいましたかぁ?
セ・ン・パ・イ?」
「……うるさい口。
塞いであげようか?」
「はっ! そんなこと言っちゃって、こんな廊下でやる勇気はない――んむっ!? あ、らめ、ちょっ」
が、好奇心というものは猫を殺す。
僕のニヤニヤは彼女の身体によって、無理やり潰された。
てか、ここ廊下なんだけど。人来たらどうするんだ、まじで。
「……やっぱ変態はセンパイの方じゃないですか」
「ん、天音が可愛いのが悪いよ」
僕が吐き捨てた言葉は、何とも言えない言葉で返される。
……果たしてそれは、回答になってるのだろうか。
そのまま、僕は彼女と歩く。
相変わらず、部室へは遠い。話す内容も思いつかない僕は静かに廊下を進む。
「……ん」
だが、そのとき。センパイが少し気になった。
何かを話そうとして、辞める仕草。
一瞬声が出たと思えば、吐息と混ざって消えていく、
「センパイ? 何か隠してませんか?」
疑問に思った僕は彼女に問いかける。
「……カクシテナイヨ」
「いや、明らかに片言ですよね。
ちょっと、何なんですか」
センパイは黙って歩いている。
先ほどまでより少し、駆け足で。
僕は慌てて彼女に歩幅を合わせる。
彼女が次に言葉を発したのは、部室に着いてからだった。
「……明日、ここ来れない」
「え?」
センパイは小さな声で、僕に向かって呟く。
「バイト、始めたから。
たぶん、明々後日も来れないと思う」
相変わらずの無表情だけど、でも声色はいつもと少し違っている。
けど、そこに含まれる感情はよく分からない。
「えー。なんですそれ。
僕、暇になっちゃうんですけど」
「ごめんね、天音」
僕は不満気にセンパイに伝える。
だって、約束じゃないか。こうやって、放課後一緒に遊ぶというのは。
それを発案者の彼女から破るのは駄目だろう。
でも、センパイの態度からするに、今からなしにするってのはできないだろう。
結局、僕が折れるしかないのだ。
「……ふん、だったら仕方ないですね。
それじゃあ僕は適当に女の子でも引っ掛けて遊んで来ます」
「――は?」
「センパイが悪いんですからね。
あんだけ言ったのに、僕に構ってくれな……あ、うそうそ。冗談です。首掴むのやめてください。
もう、可愛い後輩ジョークじゃないですか」
「そっか、そうだよね」
危ない。今一瞬、センパイが前と同じ目をしていた。
やはり、こういう話はNGなのだろうか。
僕は話を変えようと、彼女に言葉を放つ。
「で、何のバイトなんですか?」
「……内緒」
「いや、隠すことないでしょう。
んー、この辺ならコンビニかスーパーですかね?」
「違う」
「……もしかして、えっちなバイトですか?」
「君は何を言ってるの?」
なんだ、僕は大真面目に言ってるのに。
センパイは口数が少ないし、変なバイトに巻き込まれてないか心配してやってるのだ。
……というか、べつに教えてくれてもいいだろう。
なんでだ。そこまで、僕は信用がないのか。
「……教えてくれないなら、いいもん。
べつにセンパイが何しようが勝手ですもんね。
好きにすればいいじゃないですか」
僕は拗ねたように、顔を下に向ける。
ふんっ、センパイが悪いのだ。
そう、思ったとき。
「……だって、サプライズだから」
センパイが僕の耳元に、小さな声で囁いた。
「へ?」
「天音の誕生日。もうすぐでしょ」
「だから、プレゼ――」
「あー、駄目駄目っ! 言っちゃ駄目ですっ!
え、あ? センパイ、そういうの祝ってくれるタイプだったんですかっ!?」
聞いちゃいけないことを聞いたっ。
さ、さぷらいずって、つまり、センパイがお祝いしてくれるってことだろう。
……だ、だから、隠していたのか。僕に勘繰られないようにするため。
「……君には、世話になってるからね」
「そ、それってえっちの意味ですか?」
「……やっぱ、祝うのやめよっかな」
「あーっ、ちゃんと祝ってくださいっ!
えへ、えへへ。センパイとパーティですか。
もう、それなら許しちゃいます。チューしちゃいたいくらいです」
「そっか、じゃあ楽しみにしてる。
……まだ、天音からはしてもらってないもんね」
そう言うと、彼女は僕の頭をぐりぐりと撫でる。
いつもは子供扱いに文句を垂れるところだが、今日のところは許してやろう。
……てか、なんか勢い余って変なこと言っちゃったな。
ま、いいか。誕生日まではまだ時間がある。
数日もすれば忘れてくれるだろう。
「はい。僕も楽しみですっ、センパイっ!」
次の日の放課後。
僕は教室で机に頭をゴロゴロしていた。
センパイがサプライズを考えてくれたのは嬉しい。
家族以外と誕生日を祝うのは始めてだし、なにより、センパイに祝ってもらえるのは嬉しい。
……だけど、結局暇なのは変わりない。
センパイがいないとなれば部室に行く意味もないし、本当にやることがないのだ。
家に帰っても姉に絡まれるだけだし、大した趣味もない。
……はぁ、どうしようか。
「ね、ね。桜井くん。
どうしたの、そんなに暇そうにして」
そのとき、隣の席に誰かが座る音がした。
「……あ、僕に話してるの?
えっと……何とかさん」
「あはは、何とかさんはないかなぁ。
できれば南原さんって呼んでね」
まあまあ合ってる気もするが駄目らしい。
てか、そんな名前だったんだな、この人。
南原さんを名乗る彼女はこの前の昼休み、僕に絡んできた子の一人だ。
もう二人いたけど、どっちかは内村さんだったりするのだろうか。
「……で、何の用。
あんまりウザ絡みしてくるなら委員長呼びつけるよ」
「そ、それはやめてほしいかなぁ。
……あ、でも確か今日は休みだよ、あの子。貧血なんだって」
そういや確かに、朝から委員長を見ていない。
もしかして、昨日のアレが効いたのだろうか。
滅茶苦茶鼻血出してたし。
……今度ちゃんと謝るとしよう。
そんなことを考える僕に対して、目の前の少女は言葉を続ける。
「用は単純。
前に言ったじゃん。今度遊び行こうって。
で、今からクラスの子何人かでカラオケ行くから一緒にどうかなって」
「……あー、言ってたね。そういや」
作り物っぽい笑みを浮かべながら、目の前の少女は机へと手を置いた。
んー、カラオケかぁ。どうしよう。
お金もないしなぁ。
「僕、今無一文だよ。
財布の中には非常食の飴ちゃんしかないよ」
「もちろん、桜井くんの分は私たちで奢るからさ。
あ、なんならお菓子もいっぱい買ってあげる」
「行く」
決してお菓子に釣られたわけじゃない。
そう、決してだ。
……まぁ、どうせ暇だし、いいだろう。
センパイもバイトに浮気しているのだ。
僕が友人もどきと遊びに行くのも許してくれるだろう。
「……桜井くんって、やっぱチョロいな」
「え? なんか言った?」
「ううん、何も。それじゃあ行こっか。
遅くなるまでには帰るから安心してね」
「ん、そだねー。うへへ、ただ飯だぁ」
ということで、僕は南原だか、南郷さんに着いていくことになった。
途中寄ったコンビニでお菓子をいっぱい買った。
買いすぎて若干顔が引き攣ってた気もするが気にしない。
ふふふ、僕は金がかかる男なのである。