ラブライブ! School idol liberty ~ 苺の木の詩 ~ 作:めたんはいどれーと
そこはたったいまブレイブ・ベリーズのファーストライブが行われた、UTX高校の特設ステージに併設されている、いわばVIPルームだった。
その部屋の窓から、いま一人の少女が、ライブを終えたばかりのブレイブ・ベリーズが立つステージをじっと見つめていた。
「どう? 見に来て良かったでしょう?」
と、突然扉を開き、VIPルームに入ってきたツバサが、そう少女に声をかけて来る。
「ツバサさん……」
その言葉に少し困惑した表情を浮かべる少女。そんな少女に向かって、ツバサは優しく微笑みかけた。
「これが『ブレイブ・ベリーズ』。スクールアイドルの活動を休止しているあなたには良い刺激になったんじゃないかしら? ねぇ、音ノ木坂学院のスクールアイドル
「……」
ツバサの言葉に、『Iri'S』のアイスこと、高坂雪穂は沈黙で返す。その沈黙の前で、ツバサは静かに目を閉じると、小さく笑みを浮かべながら言った。
「私ね」
「……?」
「以前、あなたたちからされた、あの依頼を受けようと思っているの」
ツバサの言葉に、雪穂は驚きのあまり大きく目を見開く。
「え? どうしていまごろ……。そもそも、最初にお願いしたときは、ツバサさんすぐに断ったじゃないですか」
「気が変わったのよ」
「そんな……」
あっさりとそう言ってのけたツバサに、雪穂は戸惑いの表情を浮かべる。そんな雪穂にツバサは言葉を継ぐ。
「けど、受けるには条件があるわ」
「条件?」
おうむ返しに問い返してきた雪穂に、ツバサは「ええ」と答え、静かに言った。
「アリサは一人でも
「……」
「さて、どうかしら?」
「どうって、何がですか?」
「とぼけないで。あなたはどうなの? いや、どうしたいの?」
「私は……」
「ともかく、一度じっくりと考えてみるといいわ。あなたが本当はどうしたいのか――じゃあ、今日のところはこれで失礼させてもらうわね。答えはまた後日聞かせてもらうわ。高坂雪穂さん」
そう言うと、ツバサはツカツカと歩き出し、VIPルームをあとにしようとする。だが途中で立ち止まると「あ、そうそう」と、ステージに目をやった。
「彼女たちのキャッチフレーズはね、〈挑戦し続ける勇気の果実〉だそうよ」
その言葉を最後に、ツバサはVIPルームをあとにした。
「挑戦し続ける――勇気の果実……」
一人残された雪穂は、そうつぶやきながら再びステージを見つめる。
そこには観客たちから、惜しみない拍手を贈られているブレイブ・ベリーズの二人の姿があった。
続く。